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第一部 高嶺の蝶
しんどい生活
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「学?誰と話していたの?」
ドアが開けられると同時に、学ぶはスマホを机のわきに置いた。
「誰とも。Siriと話していたんです」
「あんまりバカなことに使うんじゃないよ。成績が下がったら、それは預かるからね」
母はきつい声でそういった。この人が話すときはいつもこうだ。なので学にとってはこれが普通になっていた。玲奈のように小さな声で話す女の子は逆に新鮮だった。
「わかってます。ごめんなさい」
学はあやまった。怒らせると面倒だ。幼少時からの教育により、彼はそう学んでいた。
「いいから早く寝なさい」
母はバタンとドアを閉めて出て行った。だがまだ外で耳を済ませているにちがいない。
学は電気を消して、ベッドに入った。
耳の中で、さっき聞いた、少し震えた声が再生された。
(じゃ、おやすみ・・・)
彼女と一緒に下校し、ラインをする仲になったのは、学にとって全く想定外のことだった。
彼女のことは、数ヶ月前からよく見ていた。
なぜなら、今までずっと学がとっていた数学の一位を、彼女にとられたからだ。
成績が前回よりも下がったことで、両親はきつく学を責めた。一晩中正座をさせられ、土下座をしてあやまった。
それ以来、学は玲奈のことをよく思っていなかった。妙な噂もある彼女のことを見下していた。
だが、ずっと彼女を観察していると、あることに気が付いた。
それは彼女もまた、孤独であるということだ。それも今日や昨日の話ではない。たぶんずっとだ。彼女はクラスに友達がいない。いつも一人だ。
彼女の目には、クラスメイト達の目のなかにあるような、いきいきとした快活さが微塵も感じられなかった。
いつも、死んだ目をしている。時折人の顔をうかがっては、また感情は底へ潜って見えなくなる。
それを見て学は、同じだ、と思った。直感的に、彼女に共感を感じた。
それからは学は、彼女を盗み見ることにひそかに喜びを感じるようになった。彼女が孤独の達人だとしても、所詮は自分と同じ高校生だ。だから時折傷ついたり、あせったりする生の感情がその整った顔にふっと出る。
それを見るのは、面白かった。
だが自分もまた彼女に見られているときが付いたとき、学はみっともなく動揺した。
(あんな女…嫌いだ)
そう思ったが、今、そう思い切れない自分がいる。あの震えた声が、また耳元で響いた気がした。
(葦原・・・)
このことを考えていると眠れなくなりそうだ。
そう思いながら学は寝返りを打った。
「葦原、これ」
昼休み、屋上で教科書片手に時間をつぶしていた玲奈は都築に声をかけられて顔を上げた。
「あれ、先生。なんですか」
「この間貸すって言ったろ」
都築はそう言ってCDを差し出した。
「ああ…ありがとうございます、わざわざ」
「お前、昼飯いつも屋上なのか」
「まあたいてい。ダメですか?」
「ダメとは言わんが…夏は暑いし冬は寒いだろ」
「季節を感じられていいですよ」
玲奈がそう返すと、ははと都築は笑った。
「屋上でずっと予習復習か。それ、昨日やったとこだろう」
「そうです。先生、ここの例文なんですが」
ちょうどいいと思って玲奈はわからなかったところを聞いた。
「ああ、ここは過去形だから…」
玲奈はため息をついた。
「そっか、過去形か…暗記するしかないか」
「そうなるな。葦原は成績はいいけど、実は英語あんま得意じゃないだろう」
たしかにそうだ。数学などは得意だが、英語はしっかり時間を割かないと点数が取れない。
「そうなんですよね…さぼるとすぐついていけなくなる」
「英語はどの大学でも必須だからなぁ…滑り止めとか考えてないのか?」
「うーん…私立は、ちょっと厳しくて」
「受けるだけ受けたらどうだ?葦原なら、第一種奨学金も取れる可能性高いぞ」
「それって、返さなくていいやつですか?」
「そうだ。でも個人的には、第二種でも取って大学いった方がいい。お前はできるんだから。もったいないぞ」
返せる保障もないのに借金はしたくない。が、そういわれて悪い気はしない玲奈は顔を上げて築城を見た。
築城の甘めの目鼻立ちは、ベビーフェイスの部類に入るだろう。だが彼の積み重ねてきた年齢と経験が、その顔を信頼に足る大人の顔にしていた。
(ちゃんとした大人…信頼、できるのかな)
周りにまともな大人の男のいない玲奈は、ふとそんな思いを抱いた。
「…ありがとうございます、先生。考えてみます」
「前向きにな。あと雨の日なんかは準備室で飯食っていいからな。開けとくから」
そういって築城は階段を下りて行った。
「昨日、どうしたの」
なんとなく一緒になった帰りみち、学が唐突にそう聞いてきたので玲奈は素直にあやまった。
「あんな遅くに電話しちゃって、ごめんね。ちょっと深夜のテンションで、おかしくなっちゃってさ」
「いや、それはいいけど。葦原さんは塾とかいってないの」
「ううん、いってない。行きたいけど・・・時間もお金もないし」
「そうか・・・・」
それ以上は話しそうにもない玲奈の事情を、学はなんとなく汲み取りそれ以上は聞かなかった。
「三上くんは放課後忙しいの?塾で」
「ああ、夕方から深夜までずっとだ。土日も」
「それも大変だね…」
自分のタイムスケジュールとほぼ似たようなものだ。しかしそんなに勉強に打ち込めるのは少し、羨ましいと玲奈は思った。
だが、本人はどうなのだろう。いきいきしているようには見えなかった。
「あのさ…三上君は、勉強好きなの?」
学は少し考えた。
「…好き、ではないな。手段だ」
その答えに、玲奈は好感を持った。
そうだ、ここを抜け出すために、玲奈も必死で勉強しているのだ。
「わかる。それ…すごいわかる」
電車に揺られながら、2人はしばし見詰め合った。
普段は死んでいるような2人の表情が、今は生きていた。一人ぼっちの人が遠く離れた星を見つけたように、二人はお互いの目に輝きを認めた。
その稀有な瞬間は、突然かけられた声によって終わった。
「おい、お前」
向かいの席に座っていた高校生が、立ちあがって2人の前に来た。その表情は不愉快そうに歪められている。
灰色のブレザーに、深緑のネクタイ。超金持ち高校のA学院の制服だ。
だが制服はだらしなく着崩されている。高級そうなカバンはよれよれで、革靴のかかとははきつぶされている。
つまりいいところのお坊ちゃんだが、悪ぶっている半グレだ。
そしてこういう手合いにありがちな美形であった。
なぜありがちかというと、息子をA学院に通わせることができるような男は金持ちで、金持ちの男は美人を妻に選びがちで、男の子は母親に似がちだからである。
玲奈は相手を観察しながら負けじとばかりに嫌な表情で返した。
「何か用?」
「お前じゃない、そっち」
「何か?」
顎をしゃくられた学もまた冷たく返した。
「お前さっき俺のこと睨んだろ」
ガンをつけたと・・・。いまどきそんな因縁のつけ方があるか。玲奈は呆れた。
「三上君、あっちいこ」
玲奈は立ち上がって学の腕をひっぱった。こういうのは相手するだけ無駄である。
だが相手は歩き出した2人の前に足をスッと出した。玲奈はとっさによけたが学は引っかかってよろけかけた。
「おっと、そのまま」
半グレは学を突き飛ばし、上から肩に手を置いた。
「な、何すんのっ・・・!」
玲奈はすぐさま食って掛かったが、半グレがポケットからライターを取り出したのを見て動きを止めた。
「イラつくんだよね、お前らみたいなのが同じ電車にいると」
「やめて!!!」
玲奈は叫んで周りを見渡したが、誰も彼も見てみぬふりをするばかりだ。
だが学はあっさり頭を下げた。
「何が理由かわからないが、気に障ったなら謝る。手をどけてくれないか」
「ますます気にくわねぇなあ…」
半グレはライターを学の顔に近づけた。
とっさに玲奈はタンブラーを取り出し、フタをあけて中身の飲み物ごとあいての頭にぶちまけた。ばしゃんと液体が広がったのち、タンブラーは半グレの頭にあたって落下しカランカランと音を立てて転がった。
「っ…!」
相手がひるんだスキに玲奈は学を引っ張って隣の車両に逃げ込んだ。
「次はーーー新宿ーーー新宿ーー」
ちょうどいいことに電車が停車した。二人は後ろも振り返らずホームへと降りた。
「はぁ…三上くん、大丈夫?」
「ああ、俺は平気…。」
「よかった…一応駅員さんに言っておこうか」
二人は駅員室へ向かい、事の一部始終を話したのち、学は玲奈に言った。
「ありがとう…助かった」
玲奈は肩をすくめた。むしろ先日学が玲奈をかばった(?)方がよほど勇敢だと玲奈は思っていた。
「どってことないよ。変なやつに絡まれて災難だったね」
「一体どこの高校の生徒だろう」
「A学院。超金持ち私立」
「ああ、あそこか…」
学はうなずいた。
「わたしはもういくけど、三上くんはもう少し電車にのるでしょ、気をつけてね」
「ああ。そっちも」
「うん…じゃ、また明日」
そういって二人は別れた。改札を出た玲奈はなんとなく振り向いて学を見送ってしまった。
彼が振り返らなかったことに、玲奈は少し安堵した。
こんな風に見ていることを、知られたくない。
だが、嬉しかった。まるで普通の高校生のようで…。
数日間、玲奈は学と下校中周りを警戒していたが、まったく平穏に時間は過ぎた。
(よかった、たまたまあの時間にだけだったんだな)
結局タンブラーを紛失した程度の被害ですんでよかった。似たようなものを雑貨屋でもう一度購入し、すべては終わったかに見えた。
だが気もゆるみかけた一週間後、玲奈はまた彼と再会することになった。
歌舞伎町で。
ドアが開けられると同時に、学ぶはスマホを机のわきに置いた。
「誰とも。Siriと話していたんです」
「あんまりバカなことに使うんじゃないよ。成績が下がったら、それは預かるからね」
母はきつい声でそういった。この人が話すときはいつもこうだ。なので学にとってはこれが普通になっていた。玲奈のように小さな声で話す女の子は逆に新鮮だった。
「わかってます。ごめんなさい」
学はあやまった。怒らせると面倒だ。幼少時からの教育により、彼はそう学んでいた。
「いいから早く寝なさい」
母はバタンとドアを閉めて出て行った。だがまだ外で耳を済ませているにちがいない。
学は電気を消して、ベッドに入った。
耳の中で、さっき聞いた、少し震えた声が再生された。
(じゃ、おやすみ・・・)
彼女と一緒に下校し、ラインをする仲になったのは、学にとって全く想定外のことだった。
彼女のことは、数ヶ月前からよく見ていた。
なぜなら、今までずっと学がとっていた数学の一位を、彼女にとられたからだ。
成績が前回よりも下がったことで、両親はきつく学を責めた。一晩中正座をさせられ、土下座をしてあやまった。
それ以来、学は玲奈のことをよく思っていなかった。妙な噂もある彼女のことを見下していた。
だが、ずっと彼女を観察していると、あることに気が付いた。
それは彼女もまた、孤独であるということだ。それも今日や昨日の話ではない。たぶんずっとだ。彼女はクラスに友達がいない。いつも一人だ。
彼女の目には、クラスメイト達の目のなかにあるような、いきいきとした快活さが微塵も感じられなかった。
いつも、死んだ目をしている。時折人の顔をうかがっては、また感情は底へ潜って見えなくなる。
それを見て学は、同じだ、と思った。直感的に、彼女に共感を感じた。
それからは学は、彼女を盗み見ることにひそかに喜びを感じるようになった。彼女が孤独の達人だとしても、所詮は自分と同じ高校生だ。だから時折傷ついたり、あせったりする生の感情がその整った顔にふっと出る。
それを見るのは、面白かった。
だが自分もまた彼女に見られているときが付いたとき、学はみっともなく動揺した。
(あんな女…嫌いだ)
そう思ったが、今、そう思い切れない自分がいる。あの震えた声が、また耳元で響いた気がした。
(葦原・・・)
このことを考えていると眠れなくなりそうだ。
そう思いながら学は寝返りを打った。
「葦原、これ」
昼休み、屋上で教科書片手に時間をつぶしていた玲奈は都築に声をかけられて顔を上げた。
「あれ、先生。なんですか」
「この間貸すって言ったろ」
都築はそう言ってCDを差し出した。
「ああ…ありがとうございます、わざわざ」
「お前、昼飯いつも屋上なのか」
「まあたいてい。ダメですか?」
「ダメとは言わんが…夏は暑いし冬は寒いだろ」
「季節を感じられていいですよ」
玲奈がそう返すと、ははと都築は笑った。
「屋上でずっと予習復習か。それ、昨日やったとこだろう」
「そうです。先生、ここの例文なんですが」
ちょうどいいと思って玲奈はわからなかったところを聞いた。
「ああ、ここは過去形だから…」
玲奈はため息をついた。
「そっか、過去形か…暗記するしかないか」
「そうなるな。葦原は成績はいいけど、実は英語あんま得意じゃないだろう」
たしかにそうだ。数学などは得意だが、英語はしっかり時間を割かないと点数が取れない。
「そうなんですよね…さぼるとすぐついていけなくなる」
「英語はどの大学でも必須だからなぁ…滑り止めとか考えてないのか?」
「うーん…私立は、ちょっと厳しくて」
「受けるだけ受けたらどうだ?葦原なら、第一種奨学金も取れる可能性高いぞ」
「それって、返さなくていいやつですか?」
「そうだ。でも個人的には、第二種でも取って大学いった方がいい。お前はできるんだから。もったいないぞ」
返せる保障もないのに借金はしたくない。が、そういわれて悪い気はしない玲奈は顔を上げて築城を見た。
築城の甘めの目鼻立ちは、ベビーフェイスの部類に入るだろう。だが彼の積み重ねてきた年齢と経験が、その顔を信頼に足る大人の顔にしていた。
(ちゃんとした大人…信頼、できるのかな)
周りにまともな大人の男のいない玲奈は、ふとそんな思いを抱いた。
「…ありがとうございます、先生。考えてみます」
「前向きにな。あと雨の日なんかは準備室で飯食っていいからな。開けとくから」
そういって築城は階段を下りて行った。
「昨日、どうしたの」
なんとなく一緒になった帰りみち、学が唐突にそう聞いてきたので玲奈は素直にあやまった。
「あんな遅くに電話しちゃって、ごめんね。ちょっと深夜のテンションで、おかしくなっちゃってさ」
「いや、それはいいけど。葦原さんは塾とかいってないの」
「ううん、いってない。行きたいけど・・・時間もお金もないし」
「そうか・・・・」
それ以上は話しそうにもない玲奈の事情を、学はなんとなく汲み取りそれ以上は聞かなかった。
「三上くんは放課後忙しいの?塾で」
「ああ、夕方から深夜までずっとだ。土日も」
「それも大変だね…」
自分のタイムスケジュールとほぼ似たようなものだ。しかしそんなに勉強に打ち込めるのは少し、羨ましいと玲奈は思った。
だが、本人はどうなのだろう。いきいきしているようには見えなかった。
「あのさ…三上君は、勉強好きなの?」
学は少し考えた。
「…好き、ではないな。手段だ」
その答えに、玲奈は好感を持った。
そうだ、ここを抜け出すために、玲奈も必死で勉強しているのだ。
「わかる。それ…すごいわかる」
電車に揺られながら、2人はしばし見詰め合った。
普段は死んでいるような2人の表情が、今は生きていた。一人ぼっちの人が遠く離れた星を見つけたように、二人はお互いの目に輝きを認めた。
その稀有な瞬間は、突然かけられた声によって終わった。
「おい、お前」
向かいの席に座っていた高校生が、立ちあがって2人の前に来た。その表情は不愉快そうに歪められている。
灰色のブレザーに、深緑のネクタイ。超金持ち高校のA学院の制服だ。
だが制服はだらしなく着崩されている。高級そうなカバンはよれよれで、革靴のかかとははきつぶされている。
つまりいいところのお坊ちゃんだが、悪ぶっている半グレだ。
そしてこういう手合いにありがちな美形であった。
なぜありがちかというと、息子をA学院に通わせることができるような男は金持ちで、金持ちの男は美人を妻に選びがちで、男の子は母親に似がちだからである。
玲奈は相手を観察しながら負けじとばかりに嫌な表情で返した。
「何か用?」
「お前じゃない、そっち」
「何か?」
顎をしゃくられた学もまた冷たく返した。
「お前さっき俺のこと睨んだろ」
ガンをつけたと・・・。いまどきそんな因縁のつけ方があるか。玲奈は呆れた。
「三上君、あっちいこ」
玲奈は立ち上がって学の腕をひっぱった。こういうのは相手するだけ無駄である。
だが相手は歩き出した2人の前に足をスッと出した。玲奈はとっさによけたが学は引っかかってよろけかけた。
「おっと、そのまま」
半グレは学を突き飛ばし、上から肩に手を置いた。
「な、何すんのっ・・・!」
玲奈はすぐさま食って掛かったが、半グレがポケットからライターを取り出したのを見て動きを止めた。
「イラつくんだよね、お前らみたいなのが同じ電車にいると」
「やめて!!!」
玲奈は叫んで周りを見渡したが、誰も彼も見てみぬふりをするばかりだ。
だが学はあっさり頭を下げた。
「何が理由かわからないが、気に障ったなら謝る。手をどけてくれないか」
「ますます気にくわねぇなあ…」
半グレはライターを学の顔に近づけた。
とっさに玲奈はタンブラーを取り出し、フタをあけて中身の飲み物ごとあいての頭にぶちまけた。ばしゃんと液体が広がったのち、タンブラーは半グレの頭にあたって落下しカランカランと音を立てて転がった。
「っ…!」
相手がひるんだスキに玲奈は学を引っ張って隣の車両に逃げ込んだ。
「次はーーー新宿ーーー新宿ーー」
ちょうどいいことに電車が停車した。二人は後ろも振り返らずホームへと降りた。
「はぁ…三上くん、大丈夫?」
「ああ、俺は平気…。」
「よかった…一応駅員さんに言っておこうか」
二人は駅員室へ向かい、事の一部始終を話したのち、学は玲奈に言った。
「ありがとう…助かった」
玲奈は肩をすくめた。むしろ先日学が玲奈をかばった(?)方がよほど勇敢だと玲奈は思っていた。
「どってことないよ。変なやつに絡まれて災難だったね」
「一体どこの高校の生徒だろう」
「A学院。超金持ち私立」
「ああ、あそこか…」
学はうなずいた。
「わたしはもういくけど、三上くんはもう少し電車にのるでしょ、気をつけてね」
「ああ。そっちも」
「うん…じゃ、また明日」
そういって二人は別れた。改札を出た玲奈はなんとなく振り向いて学を見送ってしまった。
彼が振り返らなかったことに、玲奈は少し安堵した。
こんな風に見ていることを、知られたくない。
だが、嬉しかった。まるで普通の高校生のようで…。
数日間、玲奈は学と下校中周りを警戒していたが、まったく平穏に時間は過ぎた。
(よかった、たまたまあの時間にだけだったんだな)
結局タンブラーを紛失した程度の被害ですんでよかった。似たようなものを雑貨屋でもう一度購入し、すべては終わったかに見えた。
だが気もゆるみかけた一週間後、玲奈はまた彼と再会することになった。
歌舞伎町で。
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