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街の広場で
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東へと向かううちに、トリトニアに入った。街道はだんだんと広くなり、街道わきの街も大きくなっていった。ゆきかう人々の服も上等で、食べ物も洗練されて贅沢だ。
(久々だなぁ。もう少しで首都か)
あと数日歩けば、首都エウレデにつくだろう。今夜の宿をおさえ、兵士たちの寝床を確保し余裕のできたセレンは一人暮れなずむ街に出た。シザリアやミリア様、姫君たちになにか土産を探そうと思ったのだ。
だが、少し歩いて広場に出たとたん、その気持ちは見事に萎えた。
トリトニアは、もうすぐ年越しの祭りの期間に入る。広場は月桂樹の葉や赤い実で飾り付けられ、駄菓子やおもちゃ、富くじの屋台がならび、人々も浮き足立って楽しい数週間だ。
ところが今年は、この国の第一王子の喪に服すため、お祭りは中止だ。鮮やかな飾りつけは消え、広場の彫像も店の入り口も黒い喪章が掲げられている。
その光景を見て、セレンの気持ちは沈んだ。歩くのも億劫になり、彫像のしたに腰かけた。
(ああ…去年は、ミリア様とシリル様と、年越しの花火をながめたのに。シザリアの富くじがあたって、お揃いのブローチを買いもしたっけ…なのにまさか今年、こんなことになるなんて)
そう思うと、また胸の底が抜けたように冷たくなり、セレンはぎゅっと外套の襟をかきあわせた。
(…少し暇な時間があるとだめだ。こうして余計なことを考えてしてしまう…)
こんなことで葬儀に冷静に出席できるだろうか。セレンはそんな弱気な考えを振り払うために勢いよく顔をあげた。
すると広場の向かいに、粗末だがけばけばしい色でぬりたくられた幌馬車が見えた。
(ああ、旅芸人たちかな…)
果たして予想は当たっていた。中からがらの悪そうな男、はすっぱな女たち、そして子どもたちが出てきて営業の準備をはじめた。
が、しばらくして異変に気が付いたらしい。頭らしき男が街の人をつかまえて悪態をつきはじめた。
「何!?王子が死んだって?!じゃ、今年の祭りはなしかいい!チッ、ここをあてこんではるばるクザーソから来たっていうのに!」
その剣幕に、後ろの子ども達は小さくなって震えている。その怯えはセレンにはよくわかった。頭は虫の居所が悪いと平気で子どもたちを殴って放り出す。
彼らの手足は枯れ木のように細く、肌も服も汚れている。せっかく何かにありつけるだろうと今日は期待していただろうに、これではあんまり可哀想だ・・・
と、セレンはわがことのようにつらくなり、思わず目をそらした。
(全く…街へ出たっていいことなんかちっともない。大人しく旅籠に戻ろう)
セレンはため息をついて立ち上がり、きびすを返した。するとドンと誰かにぶつかった。
「すみませ…って団長」
「こんなところで何をしている」
トラディスはいつもどおりの仏頂面でセレンに聞いた。
「何って…座ってたんです」
「座って?なんのために」
めんどうくさかったので、セレンは正直に白状した。
「あと少しでエウレデにつくと思うとほっとしまして。兵士たちのように店を見ようと出たんですが、なんだかいやになっちゃって」
トラディスは困惑した顔になった。それもそうだろう。
「でも、もう戻ります。でも団長は少し街を見ていっては?まだ日没前ですし」
が、彼もセレンと肩を並べて歩き始めた。
「いや、俺も戻る」
「…そうですか」
二人は無言で歩き出した。うつむいて歩くセレンは不気味ほど静かで、トラディスはなにやら居心地が悪かった。彼女の沈んでいる原因は、やはり王子なのだろうか。
「その、お前が」
「はい?」
セレンがトラディスのほうを向いた。夕日に照らされたその目が少し潤んでいるような気がして、トラディスは質問を飲み込んだ。
「その…そういえば広場に、旅芸人の子どもたちがいたな」
ああ、とセレンはうなずいた。
「いましたね。かわいそうに。今夜は空きっ腹の上、殴られるかもしれません…」
いくら恵まれた育ちのトラディスとはいえ、その光景は想像がついた。
(俺達も訓練でいやというほど殴られてきたが、あの子どもたちの受ける暴力とは、全く違う…)
先ほどの子どもたちの目は暗く、どの子も卑屈な怯えた表情を浮かべていた。親もなく明日の希望もなく、大人たちの気まぐれに残酷に扱われていると、子どもは子どもらしらを失ってしまうのだとトラディスは思った。
「…可哀想なことだな」
トラディスそのその言葉を、セレンは少し意外に思った。彼にそういった哀れみの感情があるのは、なんとなく腹立たしかった。
「団長でも、そう思うことがあるんですね」
ウツギの子ども達も、あなたたちイベリス兵に殴られ、両親を殺されているんですよ、とセレンは言いたかったが、いえなかった。
「ああ。前はそんなこと、考えもしなかった」
「なぜです?」
自分をおさえながら、セレンは聞き返した。
「このところいろいろな事がおこって、俺も考えるようになった…。そのきっかけは、お后様だ。お前も、そうかもしれん。前は考えなかったことを、考えるようになった」
「それは、どんなことです?」
内心見下しながらも、セレンは優しい声を出してきいた。どんな恵まれた言葉を吐くのか、聞きたかったからだ
「俺はイベリスを任された軍人だ。当然、イベリスがこの世界の中で一番裕福で、すばらしい国だと教えられてきた。だから…お后さまとお前のことも、最初はよく思っていなかった。お前も知ってのとおりだが」
本当にそうだ。ずいぶんな扱いをしてくれましたよ、とセレンは心の中でいった。
「だが、お后さまは、俺達の予想とはちがって、聡明で、公平な方だった。なにより陛下もお子達も、彼女をしんから気に入った。そしてお前だが…」
セレンはちょっと身構えた。
「な、なんですか」
「まるで男のように口をきき、帯剣し、馬に乗り意見をする。西にはこんな女がいるのかと思うと…負けたと感じた」
「ま、負け?」
「俺個人がお前に負けたという事ではない。国としてだ。昔から言われているが、イベリスの兵は最強だが、それ以外の強みがない。外交や経済面が弱い。今は宰相のおかげでもっているが、暗殺未遂が起こって、このままではまずいと俺は思った」
セレンはうなずいた。
「そうですね…宰相さまがジュエルに目をつけたのは慧眼でしたが、ジュエルだよりでは後がなくなる。昨日も話していましたが」
「ああ。戦いがいの方法で、外へ打って出なくてはいけない。それなのに、俺たちは外の事を何も知らない…だから」
そこでトラディスは、歩みを止めてセレンを見た。
「最初は疑ってすまなかった。これからは俺たちに手を貸してはくれまいか」
予想外の態度に、セレンは驚いた。
(団長が、私に、頭を下げて…!?)
「い、いやいや、そんな、やめてくださいよ」
セレンはおずおずと言った。
「では疑ったこと、許してもらえるか」
「そんなの、暗殺未遂のとき、水に流すって言ったじゃないですか」
「そうか」
トラディスはようやく頭を上げた。
「ならよかった」
その時、セレンは初めて団長の笑った顔を見た。
いつも仏頂面かしかめた顔しか見たことがなかったので、驚きを通り越してセレンはうろたえそうになった。
それはシリル王子の優しい笑みとも、アサギリの豪気な笑みとも違っていた。
ちょっとバツが悪そうな、笑うことに慣れていない笑み。
「わ…笑うんだ…」
セレンは思わずつぶやいた。
「何だ?もう行くぞ」
先を行く団長のあとを追いかけながら、セレンは先ほどとはちがった思い気持ちを抱いていた。
(ごめんなさい。団長は、私を信頼してくれたのに…)
そう、セレンは彼を裏切っている。最初から。
(ミリア様もきっと、こんな…いや、もっとお辛い気持ちになっているはずだ)
何しろ裏切る予定の相手と、子までなしてしまったのだから。
(だから…この程度で、私は辛がってはいけない)
セレンはそう、自分をいましめた。
(久々だなぁ。もう少しで首都か)
あと数日歩けば、首都エウレデにつくだろう。今夜の宿をおさえ、兵士たちの寝床を確保し余裕のできたセレンは一人暮れなずむ街に出た。シザリアやミリア様、姫君たちになにか土産を探そうと思ったのだ。
だが、少し歩いて広場に出たとたん、その気持ちは見事に萎えた。
トリトニアは、もうすぐ年越しの祭りの期間に入る。広場は月桂樹の葉や赤い実で飾り付けられ、駄菓子やおもちゃ、富くじの屋台がならび、人々も浮き足立って楽しい数週間だ。
ところが今年は、この国の第一王子の喪に服すため、お祭りは中止だ。鮮やかな飾りつけは消え、広場の彫像も店の入り口も黒い喪章が掲げられている。
その光景を見て、セレンの気持ちは沈んだ。歩くのも億劫になり、彫像のしたに腰かけた。
(ああ…去年は、ミリア様とシリル様と、年越しの花火をながめたのに。シザリアの富くじがあたって、お揃いのブローチを買いもしたっけ…なのにまさか今年、こんなことになるなんて)
そう思うと、また胸の底が抜けたように冷たくなり、セレンはぎゅっと外套の襟をかきあわせた。
(…少し暇な時間があるとだめだ。こうして余計なことを考えてしてしまう…)
こんなことで葬儀に冷静に出席できるだろうか。セレンはそんな弱気な考えを振り払うために勢いよく顔をあげた。
すると広場の向かいに、粗末だがけばけばしい色でぬりたくられた幌馬車が見えた。
(ああ、旅芸人たちかな…)
果たして予想は当たっていた。中からがらの悪そうな男、はすっぱな女たち、そして子どもたちが出てきて営業の準備をはじめた。
が、しばらくして異変に気が付いたらしい。頭らしき男が街の人をつかまえて悪態をつきはじめた。
「何!?王子が死んだって?!じゃ、今年の祭りはなしかいい!チッ、ここをあてこんではるばるクザーソから来たっていうのに!」
その剣幕に、後ろの子ども達は小さくなって震えている。その怯えはセレンにはよくわかった。頭は虫の居所が悪いと平気で子どもたちを殴って放り出す。
彼らの手足は枯れ木のように細く、肌も服も汚れている。せっかく何かにありつけるだろうと今日は期待していただろうに、これではあんまり可哀想だ・・・
と、セレンはわがことのようにつらくなり、思わず目をそらした。
(全く…街へ出たっていいことなんかちっともない。大人しく旅籠に戻ろう)
セレンはため息をついて立ち上がり、きびすを返した。するとドンと誰かにぶつかった。
「すみませ…って団長」
「こんなところで何をしている」
トラディスはいつもどおりの仏頂面でセレンに聞いた。
「何って…座ってたんです」
「座って?なんのために」
めんどうくさかったので、セレンは正直に白状した。
「あと少しでエウレデにつくと思うとほっとしまして。兵士たちのように店を見ようと出たんですが、なんだかいやになっちゃって」
トラディスは困惑した顔になった。それもそうだろう。
「でも、もう戻ります。でも団長は少し街を見ていっては?まだ日没前ですし」
が、彼もセレンと肩を並べて歩き始めた。
「いや、俺も戻る」
「…そうですか」
二人は無言で歩き出した。うつむいて歩くセレンは不気味ほど静かで、トラディスはなにやら居心地が悪かった。彼女の沈んでいる原因は、やはり王子なのだろうか。
「その、お前が」
「はい?」
セレンがトラディスのほうを向いた。夕日に照らされたその目が少し潤んでいるような気がして、トラディスは質問を飲み込んだ。
「その…そういえば広場に、旅芸人の子どもたちがいたな」
ああ、とセレンはうなずいた。
「いましたね。かわいそうに。今夜は空きっ腹の上、殴られるかもしれません…」
いくら恵まれた育ちのトラディスとはいえ、その光景は想像がついた。
(俺達も訓練でいやというほど殴られてきたが、あの子どもたちの受ける暴力とは、全く違う…)
先ほどの子どもたちの目は暗く、どの子も卑屈な怯えた表情を浮かべていた。親もなく明日の希望もなく、大人たちの気まぐれに残酷に扱われていると、子どもは子どもらしらを失ってしまうのだとトラディスは思った。
「…可哀想なことだな」
トラディスそのその言葉を、セレンは少し意外に思った。彼にそういった哀れみの感情があるのは、なんとなく腹立たしかった。
「団長でも、そう思うことがあるんですね」
ウツギの子ども達も、あなたたちイベリス兵に殴られ、両親を殺されているんですよ、とセレンは言いたかったが、いえなかった。
「ああ。前はそんなこと、考えもしなかった」
「なぜです?」
自分をおさえながら、セレンは聞き返した。
「このところいろいろな事がおこって、俺も考えるようになった…。そのきっかけは、お后様だ。お前も、そうかもしれん。前は考えなかったことを、考えるようになった」
「それは、どんなことです?」
内心見下しながらも、セレンは優しい声を出してきいた。どんな恵まれた言葉を吐くのか、聞きたかったからだ
「俺はイベリスを任された軍人だ。当然、イベリスがこの世界の中で一番裕福で、すばらしい国だと教えられてきた。だから…お后さまとお前のことも、最初はよく思っていなかった。お前も知ってのとおりだが」
本当にそうだ。ずいぶんな扱いをしてくれましたよ、とセレンは心の中でいった。
「だが、お后さまは、俺達の予想とはちがって、聡明で、公平な方だった。なにより陛下もお子達も、彼女をしんから気に入った。そしてお前だが…」
セレンはちょっと身構えた。
「な、なんですか」
「まるで男のように口をきき、帯剣し、馬に乗り意見をする。西にはこんな女がいるのかと思うと…負けたと感じた」
「ま、負け?」
「俺個人がお前に負けたという事ではない。国としてだ。昔から言われているが、イベリスの兵は最強だが、それ以外の強みがない。外交や経済面が弱い。今は宰相のおかげでもっているが、暗殺未遂が起こって、このままではまずいと俺は思った」
セレンはうなずいた。
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「最初は疑ってすまなかった。これからは俺たちに手を貸してはくれまいか」
予想外の態度に、セレンは驚いた。
(団長が、私に、頭を下げて…!?)
「い、いやいや、そんな、やめてくださいよ」
セレンはおずおずと言った。
「では疑ったこと、許してもらえるか」
「そんなの、暗殺未遂のとき、水に流すって言ったじゃないですか」
「そうか」
トラディスはようやく頭を上げた。
「ならよかった」
その時、セレンは初めて団長の笑った顔を見た。
いつも仏頂面かしかめた顔しか見たことがなかったので、驚きを通り越してセレンはうろたえそうになった。
それはシリル王子の優しい笑みとも、アサギリの豪気な笑みとも違っていた。
ちょっとバツが悪そうな、笑うことに慣れていない笑み。
「わ…笑うんだ…」
セレンは思わずつぶやいた。
「何だ?もう行くぞ」
先を行く団長のあとを追いかけながら、セレンは先ほどとはちがった思い気持ちを抱いていた。
(ごめんなさい。団長は、私を信頼してくれたのに…)
そう、セレンは彼を裏切っている。最初から。
(ミリア様もきっと、こんな…いや、もっとお辛い気持ちになっているはずだ)
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