エリート魔術師様に嫌われてると思ったら、好き避けされてるだけでした!

小達出みかん

文字の大きさ
8 / 43

発情(2)※

しおりを挟む
 やっとのことで目を開ける。

「……!」

 すると、サイラスが起き上がって、イリスを見下ろしていた。

「ふふ……あなたは、気をやるときに、とっても苦しそうな声を出すんですね……なんだか、いじめてるみたいな、いけない気持ちになります」

 サイラスが、イリスの上に覆いかぶさる。

「でも……これからもっとあなたをいじめることになります。許してくれますか?」

 彼の裸の下半身が密着し――イリスはふとももに、硬くて熱いモノを感じた。

(ひっ……けっこうでかい⁉)

 焦ったイリスは、頼み込んだ。

「あ、あ、あんまりっ……その、激しく、し、しないで……」 

 すると彼は微笑んだ。

「ええ、もちろん。優しくするし――たくさんあなたのことも、気持ちよくしますね」

 その笑顔は、逆らえない優しさと色気があって――イリスはおもわず気おされて、蚊の鳴くような声と共にうなずいた。

「は、はい……」

 足が開かれて、濡れた入口に彼のものがあてがわれる。

「はぁ……ぁ、入れますよ、イリス……ッ」

 間髪入れずに、その先端がイリスの中にねじ込まれる。
 しかし、たっぷり潤っているおかげか、痛みはなかった。むしろ、こそばゆいような、快感の扉をノックされたかのような――鈍い疼きがあった。

「く、ぅ……はあ、あったかい……あなたの中、が、私を、締め付けて……ッ」

 顔をしかめながら、サイラスはゆっくりと腰を進め、そしてついに、サイラスの腰とイリスの内ももの肌が、ぺたん、と触れ合った。

「はぁ、はぁ……全部、入りました……」

 すると感極まったように、サイラスはつながったまま、イリスを抱きしめた。

「イリス……っ、はぁ、あぁ……」

 奥に、彼のものが押し入っているのを感じる。そこで動きを止められているせいで、だんだんイリスの中が、彼のものを受け入れて、じわりじわりとなじんでいく。 

 その温かさをイリスが感じるのとは裏腹に、彼の背中はわずかに震えていた。

「っは……ぁ」

「だ……大丈夫です……?」

 イリスがおそるおそる聞くと、彼はやっと顔を上げて、はぁはぁ息をしながらも、微笑んだ。

「はい……すみません、きもち、よすぎて」

 動いてないのに。ただ、入れただけなのに。
 その言葉に、いやがおうにもキュンと胸が高鳴ってしまう。ずるい。

「く……動き、ますね」

 ゆっくりと、彼の下半身が動き出す。すっかりなじんでおさまっていたものが、ずるりと離れていく感触に、イリスの中はわなないた。必死に彼を離すまいと、本能的に締め付ける。

(あっ……う、そ、こんなの)

 ――知らなかった。引き抜かれる行為が、こんなに悦いなんて。

「っ……は、イリス……すごい、こんなに、私を、食いしめ、て……ッ」

 溜めた言葉と同時に、今度はゆっくりと杭が打ち込まれる。

「っぁ、あ……ッ」

 待ちわびている奥の部分に、ゆっくりとしかし確実に、彼のものがねじ込まれる。
 おさまるところにおさまって、奥が悦びながら、彼のものを締め付ける。

「くっ……あぁ、イリス……ッ嬉しい、です」

 ゆっくりと抜き差しをしながら、彼はつぶやいた。

「あなたの身体……私を、求めて、くれて……」

 彼の動きが、だんだんと早くなってくる。身体が揺れる。腹の底の熱がどんどん増して、頭の中も、はちみつのように甘くとろけていく。

「あなたは……っ、気持ちいい、です、か? その口から、聞かせて、ください……ッ」

 イリスはうなずいた。

「き、もちい……です……ぁ、先生……ッ」

 ああ、上司を相手に、こんな恥ずかしいことを言ってしまうなんて。
 まるで自分じゃないみたい。自分の体じゃないみたい。

(こんなに……こんなに、なっちゃうなんて)

 自分の中から、蜜があふれていく。奥を突かれると、そのたびにナカがうずいてたまらない。

「ずっと……こうして、いたい……あなたとつながって……ッ」

 その声が切なくて、イリスは思わず、彼の首に腕をまわした。

「……いいよ、せん、せいの、の好きにして……」

「はぁ……ぁ、どうして、イリス……ッ」 

 すると彼は、ぎゅっとイリスを抱きしめながら、奥を貫いた。

「私がいちばん欲しい言葉を……くれるんですか……ッ」

 ずん、と重い一撃に、腰がわななく。がっちり上から抑え込まれて、逃げようもなく、奥の奥を、彼のものが押しつぶす。

「~~~ッ!」

 身体を貫くような快感。弓なりになった身体を、サイラスはいとおし気に撫でた。

「ぁ、今……、中でイきましたね……ッ、わかりました、私のものを通して……ッ」

 彼は目じりを下げながら、容赦なくイったばかりのイリスの体をゆさぶった。

「はぁ、今ので、私も、もう……ッ」

 最後にぎゅっと、サイラスがイリスの体を抱きしめる。
 その体がびくん、と震えて――彼が精を吐き出したのがわかった。

「っ……ぅ……」

 イリスの肩口に顔をうずめて、そのあとしばらくサイラスは動かなかった。

「イリス……はぁ……イリス……」

 名前を呼びながら、その背中が震えている。
 彼の肌は、吸いつくように濡れて、しっとりしていた。必死に動いたせいで汗だくなのだ。イリスは回した手をほどいて、その背中を労うように撫でた。

「う……イリス……?」

「先生、震えています。大丈夫、ですか……?」

 するとサイラスは、顔を上げて、イリスを見た。驚いたように目を見開いた紫の目が、星を散らしたかのようにうるんで光っていた。

「イリス……は、どうして、そんな、優しいんですか……」

 聞かれたので、イリスはわりかし真面目に答えた。

「先生、辛そうでしたから……少しでも、楽になりましたか?」

 微笑みながら目をみて答えると、彼の目に浮かんだ星の光が、雫になって、ぽた、ぽた、とイリスの頬に落ちた。落ちたところから、じわり、とぬくもりが広がっていく。
 涙は、紫の光を映したかのように発光してみえた。発情の光とは違う、暖かく柔らかな光に、イリスは一瞬目を奪われた。

「う……ぅ……」

 泣いてる。泣かせてしまった。

(私なんかの、こんな雑な励ましで……相当つらかったのかなぁ……)

 そう思って、どうにか慰めてあげようと、イリスは少し上半身を起こして、その頬に唇をくっつけた。

「大丈夫ですよ。元気出してください」

 すると、彼はふぅぅ、と獣のように息をついて、一層強くイリスを抱きしめた。

「もう……もうこの夢から覚めたくないです、ずっとこうしていたい、耐えられない、イリス……」

 濡れた声。イリスはただ、彼の背中をさすり続けた。

「イリス、離したくない。離さないで……」

 泣き言をいう彼を、イリスは寝入るまで、抱きしめ続けてやった。

「よしよし……大丈夫、大丈夫ですから……」

 彼を抱きしめているこの時間、イリスの頭はふわふわと現実感がなく、ただただうっすらと幸福を感じて――やがて自分も、休息の眠りに落ちたのだった。





 半刻後。二人の体温ですっかり温まったベッドで、イリスはぱちりと目を覚ました。

(あれ、待って……まずい)

 サイラスにかけられた麻痺はすっかり溶けて、頭の中のほわほわは消え失せ、イリスは焦った。

(まだ、仕事中だっていうのに! 主任に任せてきてしまった!)

 サイラスは、まだ目を閉じて眠っていた。イリスはそーっと彼の腕から抜け出すと、慌てて服を集めて身に着けた。

(早く戻らないと! っていうか――肝心の荷物のことって、伝わってる⁉)

 さすがに今起こして告げるのは、ちょっと気まずい。彼が眠っている間にそっと去りたいイリスは、メモに伝言を書いて残した。

「薬が届いています……と。これでOK。あっ、あと窓、割っちゃってすみません、と」

 応急処置として、とりあえず修復テープを張って、穴をふさいでおく。
 そして窓からすたこらっさ……と出ていこうとした、その時。
 寝室から、何かが落ちるようなものすごい音がした。

「⁉ 大丈夫ですか?」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。

石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。 ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。 そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。 真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処理中です...