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ロボット娘洗脳 ロボットスーツ♂

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この話はロボットが大量に生産され
人の数よりロボットの数のほうが多くなった世界で
起きた話である


全てはこの一件のクレームから始まった

「ちょっと‼そちらの社で
買わせて頂いたメイド型ロボットが突然
暴れだしたのよ!おかげで家の子は
手に怪我をしてしまったわ!早くコッチに来てちょうだい!」


そう言われ
電話が強く切られると
家事ロボット生産社はすぐにその家へと向かった


彼らが家につくと
部屋の中には壊されたメイド型ロボットとバットを持った
おそらく電話でクレームを言ってきた母親の夫が
その場に座り込んでいて
こちらを向き言った

「娘だけじゃなく他のものにまで
手を出さないようにすぐにオレがコレでコイツをぶっ壊したが…
今はうちの家内が娘を病院に連れて行っているから
どうかわからないけど
もしも…娘の手の骨が折れていたらどうするんだ!
早くこんなロボットこの世から処分してくれ!」


父親は強く言った

そして他にもそういった苦情が
何件も殺到しその事件を堺にそのメイド型ロボットの売上は
急激に減っていきクレームを付けてきた
夫婦の攻撃もあり通常に動いて各家々で仕事をこなしていた
メイド型ロボットも欠陥品とみなされ

生産が中止されたとともに回収されることが決まった


無数のメイド型ロボットたちが
色々な地区から数台のトラックに運ばれ
廃棄物処理場にやってくる

この廃棄物処理場は
とても広く
沢山のゴミが毎週のように
運ばれてくる

もちろん他のロボットたちもだ


だが廃棄物処理場があるのは
メイド型ロボットたちが使われていた場所とは違う
下界の街と呼ばれている場所にあり元いた街と下界の街とは
貧富の差が大きく下界の街にあった廃棄物処理場は
ゴミ処理ロボットというものを使用して仕事を行っていた

だが
ゴミ処理ロボットの予算があまりにも少なく
活動させれるのが六体程度しかいなかった

そのため廃棄物処理場のゴミは
次々と溜まっていく一方であった


業者はガサツにもメイド型ロボット(ゴミ)たちを
その場にトラックから落とすように下ろす

そしてトラックは廃棄物処理場から去っていった

するとその後
ゴミだからといってガサツにその場に
落としたせいなのか
電源が入ってしまった一体のメイド型ロボットが
山積みのメイド型ロボットたちの中から出てきた

「ここは…どこ?」

メイド型ロボットは
周りを見渡す

…何処を見てもゴミしか無い

メイド型ロボットは
目の前にあった自分と同じメイド型ロボットに気づく


「何で私と同じ仲間のロボットたちがこんな所にいるの?
みんな電源が入っていない…」


メイド型ロボットが不思議そうに
思っていると向こうから何か話し声のようなものが
聞こえてきた

「それにしても何で新しく入ってきたゴミの処分を
先にしなくちゃいけないんだろうな」


「そんなのあのロボットを買った
人間がしつこく早く処分しろって言ってきたからだろ?

いくらオレらを従わせているバップさんでも
人間の偉い人には逆らえないのさ」

遠くからこちらへと
ゴミ処理ロボット二体がやってくる

「処分…そう言えば
私は確かご主人さまに「君をもう家に置いておくことは
できない…」って言われたような」


メイド型ロボットがゴミ処理ロボット二体の話に耳を
傾けていると背後から誰かが
こっそりと声をかけてきた

「何をやってるの…!
ここにいたら危ないわ…」

「えっ?うわぁ!」

メイド型ロボットは突然誰かに手を掴まれ
手をひかれるほうへと彼女の足は
自然と早い足取りで進んでく

メイド型ロボットが自分の手をつかんでいる手を
見てみるとその手はとても大きく
力強く見るからに人間の手ではなかった…

どうやらロボットらしい

二体は山積みにされたゴミで出来た谷の間まで来た

ゴミ処理ロボットから
随分と遠くまで離れると
そのロボットは
メイド型ロボットの手をひくのをやめた


ロボットは
メイド型ロボットのほうを振り向く

「ここまで来れば
もう奴らからは
逃げれたも同然だよ」


「あのう…あなたは一体…?」


「あ…奴らから逃げるのに必死で自己紹介も
してなかったっけ…

えっと…僕の名前は力士型ロボット
君と同じように捨てられてここへ運ばれてきたんだ」


「捨てられた…やっぱり私も捨てられたんだ…」


二体は山積みにされたゴミの間を
歩いていく


「僕達はここに来て
間違って電源が入ってしまって
さっきのゴミ処理ロボットたちに
壊されるのが嫌で隠れているんだ…」


「…僕達ってことは
貴方の他にもここに誰か居るの?」


「ああ…いるよ

僕らの隠れ家になっている
バスの中に」


力士型ロボットが指をさしたほうには
一台の壊れたバスが置いてあった

力士型ロボットがバスの中に入り
メイド型ロボットもソレに続いて入ると
中には数体のロボットがいた

みんな多種多様のロボットばかりで
同じ種類同士のロボットは見当たらない

するとバスの中にいた一体のペット型ロボットが
力士型ロボットに言った

「で…どうだった?収穫はあった?」

その言葉に
力士型ロボットは
持っていた古いバッグのチャックを開けると
逆さにした

バッグの中からは
緑の液体の入った小さな透明の入れ物が
二、三個出てきた

それは彼らロボットを動かす電力となる
液体fというものであった


「これしか向こうでは
見つけられなかったよ…」

「そうか…まぁ
一体だけで探しに行ってくれたんだ
これだけ見つけてこれたなんて
凄いよお疲れ様」

「良いんだよ…これくらい
だって僕らは仲間じゃん」


二体が話をしていると
メイド型ロボットの所に
女のロボットが近づいてきて
メイド型ロボットをじっと見てきた

「それでこの子は誰よ?

もしかしてこの子から電力を奪い取ろうって
つもりで連れてきたの?」


「えっ⁉」

その女のロボットの言葉に
メイド型ロボットは凍りついた

力士型ロボットは
慌てる

「そっそんな!僕は
そういうつもりじゃ…」


すると女のロボットは笑い出す

「ウフフw冗談よ
新入りでしょ?この子」

女のロボットはメイド型ロボットに
自己紹介をする

「変な冗談言ってびっくりさせてしまって
ゴメンなさい…私の名前は
マネキンモデル型ロボットっていうわ
宜しくね」


マネキンモデル型ロボットが
そう言うと他のロボットも
続けて自己紹介をする

「それでオイラはペット型ロボット
オウムモデルっていうんだ

アンタの名前は何ていうの?」

ペット型ロボットの質問に
メイド型ロボットは受け答える

「私はメイド型ロボット…でも
もうメイドはできないみたい…」

メイド型ロボットは浮かぬ表情で言った

だが三体のロボットは
優しくメイド型ロボットに言う

「ここにいるみんなも同じだよ
捨てられたけど壊される前に
電源が入っちゃった連中ばかりなんだ
だから壊されるのが怖くて
みんなで隠れてるってわけ」


「へぇ…そうなんだ
こちらこそ宜しく」

メイド型ロボットは
軽くお辞儀をすると周りを見渡す
するとバスの中にもう一体ロボットらしきものが
居るのを見つけた

「そういえばあそこにまだもう一体
ロボットが居るみたいだけど…あの子は?」


メイド型ロボットがそのロボットに
ついて聞くと
先程まで賑やかであったロボット三体は
急に静まりかえりペット型ロボットが口を開いた


「ああ…アイツ?
アイツはロボットスーツとかいうやつだよ

…今は電源を切ってあるから
何を言っても聞こえないのさ」


「え?何で電源を切ってあるの?」

メイド型ロボットが
そう言うと三体は急に口々に話しだした


「だってソイツ
こっちが仲良くしようとしても
嫌なこと言ってくるし…」


「そうそう…「オレはお前らとは違う」みたいな
こと言ってたよね…」


「自分のことを特別視してんのよ
そいつは…」


「…」


「まぁとにかく…アイツと話すのは
やめときなよ?傷つくだけだ」


「わっ…わかったよ」


その日メイド型ロボットは
ここでのルールを力士型ロボットから教わった

「ここでは
みんな生き残るために毎日当番で
液体fを探しに行くんだ
本当は二体で行くんだけど
今日僕が一体だけであそこをうろついてたのは
僕の電源が切れたときに
二体が液体fを探しに行ってくれたからなんだ」


「それで一体だけで
私の居た場所まで来ていたんだ」


こうしてメイド型ロボットは
廃棄物処理場の行き場のないロボットたちの仲間入りを果たした


その頃
一日掛けて山積みの
メイド型ロボットの処分を担当した
二体のゴミ処理ロボットは
ゴミ処理ロボット管理者のバップの所に
処分が終わったことを報告しに来ていた


「一日で全メイド型ロボットの処理
ご苦労だったな
ここへ来たということは
仕事が片付いたということなのだろ?」

自分に対し
ひざまずいているゴミ処理ロボット二体を前に
椅子に腰掛けているバップは
機嫌が良さそうに言う


バップにゴミ処理ロボットの一体が
自信満々に言った

「はいっ!ちゃーんと二千百九十九体処分しました
ハハww」

だがゴミ処理ロボットの言葉に
バップの顔は一気に曇りだした

「二千九百九十九体…だと⁉」

バップは
直ぐ側にある机を
叩きゴミ処理ロボット二体を
怒鳴りつけた

「このバカ野郎!
お前らに処分を任した
メイド型ロボットの数は
三千体だぞ⁉一体足りないじゃないか!」

「え?…三千体だったっけ?」


「こんなことになるなら
嘘ついとけばよかったな…」


「今ならまだ間に合うんじゃない?」

「うん、そうだな…バップ様
さっきのは嘘で本当は
ちゃんと三千体処分しました」


「ええい!黙れ!全部聞こえとるわ!
嘘はついちゃダメだって
生まれたときに母ちゃんに
習わなかったのか!」


「仕方ないですよぉ
僕らの育ての親がバップ様なんですから

言わばバップ様が
僕達の親になるわけですし」

「そうですよぉ
コレを機にバップ様のこと
ママって呼びますね!ママぁ~!」


ゴミ処理ロボットたちがそんな事を言うと
バップは再び机を叩いた

「呼ぶな馬鹿野郎!
そんなことよりお前らは
処分し忘れた残りの一体のメイド型ロボットを探してこい!
見つけ次第すぐ壊せぇ!」


バップの命令に
二体は敬礼をした

「あいあいさぁ~!」


そしてゴミ処理ロボットたちの
メイド型ロボット捜索が決行し
次の日へと日は流れた


今日の液体fを探しに行く当番は
マネキンモデル型ロボットとペット型ロボットだ

当番の二体は
バスの外へと出る

「それじゃ行ってくるわ」


「留守番宜しくな」

それを見送るメイド型ロボットと力士型ロボット

「ゴミ処理ロボットたちに見つからないように
気をつけてね」


「行ってらっしゃい」


マネキンモデル型ロボットとペット型ロボットが
隠れ家をあとにすると力士型ロボットは
バスの奥に行き座り込んだ

「よいしょっと…それじゃ
メイド型ロボットちゃん
僕は少しの間
電源を切って休ませてもらうよ
…また電源切れで
みんなを困らせたくないからね」


力士型ロボットは自身の電源スイッチをオフに切り替えた

バスの中で一体残されたメイド型ロボット

ふと、ここへやってきた日から
今日まで電源を切ってあるロボットスーツに
目がつく

「みんな、あんな風に言ってたけど
やっぱり一体だけにしとくのは
どうかと思うな…」


メイド型ロボットは
ロボットスーツの目の前へと来ると
ロボットスーツの電源スイッチを探し当てて電源をつけた


「…」

メイド型ロボットは
しばらくの間ロボットスーツが話しだすのを待ったが
…一向にそんな気配は見られない

「あれ…さっき押したスイッチ
電源じゃなかったのかな?」

メイド型ロボットはロボットスーツの
頭となるヘルメットを手に取る

だが次の瞬間
何処からか誰かの怒った声が聞こえてきた

「このオレに気安く触れるんじゃねえ!」

その声にメイド型ロボットは
驚き周りを見渡す

他にこの隠れ家にいるのは
力士型ロボットだけだ


「まさか今の声…あなたなの?」

メイド型ロボットはロボットスーツに
問いかける

するとロボットスーツは言った

「お前はあそこに居る気弱が
言ったとでも思ったのかよ?」


「気弱って…力士型ロボットくんのこと?
それよりも貴方…電源が入ってたのね
何で黙ってたの?」


「ふん!お前らみたいなゴミとなった
ロボットたちと話すことなんてないからだ」


「ゴミとなった?貴方だって
捨てられたんじゃないの」

「オレは捨てられてなんかいない!
ここへ来たのもなにかの間違いだ!
二度とオレに話しかけるな!」


そう怒鳴るとロボットスーツは
また黙り込んだ

「…認めたくないのは
私も同じだよ」


黙り込むロボットスーツに構わず
メイド型ロボットはロボットスーツの隣に座り込み言った

「貴方に何があったかは知らないけど
私も自分は
まだ捨てられてないって思うことも
あるし…」


「…」

「私の仕事は
メイドをすることだったんだけど
ほんの数体の仲間のロボットが仕事先で
不具合を起こして
正常に動いていた私達他のメイド型ロボットまでもが
処分に追い込まれた
…それを私が使えていたご主人さまに
知られた時
何で欠陥品でもない私までもが捨てられなくちゃいけないのって
思ったわ…」

バスの窓から
空を眺める

「事情はきっと違うだろうけど
元の生活に戻りたいってのは
一緒だと思うよ…ここにいるみんなも」


メイド型ロボットはロボットスーツを見て
笑顔でそう言った

すると先程まで
黙っていたロボットスーツが口を開いた

「ここの連中は
お前みたいな考えじゃねぇだろうな」

「…え?」


「あいつらはもう自分たちが
世の中に必要とされてないとわかっていながら
壊されることに怯え
たったソレだけの理由で逃げている連中なんだ」


「貴方には目的があるの?」

「あるに決まってるだろ
まぁ捨てられたということは
ここに居る限り事実だと訂正するが
オレはまだロボットとして仕事もこなしていないのに
結果を出す前に捨てられた

オレの本来こなすはずだった仕事は
人間に装着されその身体を保護することだった


とにかく…あいつらのように失敗してここに来たとは
わけが違う
だから一緒にされたくはないんだ」


「そうだったんだ…」

「…」


二体の間に
少しの沈黙が続く

すると再び
ロボットスーツが話しだした

「お前は…」


「え?」


「お前はここから出たいとは思わないか?」


「いや…出ても行く宛なんて無いよ
それにここに居てもみんなが居るから
寂しくないし」

「…本当にそれで良いのか?
お前は自分を欠陥品だと認めたくないんだろ

あいつらはゴミ処理ロボットたちに
壊されたくないと思ってる反面
行き場なんて何処にもないと自覚してるんだ

唯一
仲間と一緒にいるのが
あいつらの起動し続けている支えなんだろう

まぁいつかは
ゴミ処理ロボットに無惨に壊されるのが
オチだけどな」


ロボットスーツの言葉に
メイド型ロボットの考えは揺れ動く


「ここから出れば
そんな目には合わない」

「でもどうやって脱出するっていうの?」


「フフ…そんなのオレを」


「…貴方を?」

「着ればいいだけだ」


その頃液体fを探しに行ったマネキンモデル型ロボットと
ペット型ロボットは液体fをいつもより
多く見つけることができ今帰るところであった…

「今日は
いつもに比べて豊作だったな」


ペット型ロボットが上機嫌に言う

「そうね…でもこんな良いことがあったら
後から何かとてつもなく悪いことが
起きるかもよ」


マネキンモデル型ロボットは
冗談半分でペット型ロボットを怖がらせた

「なっ何言ってんだよ…やっぱ
とてつもなく悪いことが起きたら
困るしこの見つけた液体f全部おいていくか」


「バカ、本当にアンタ怖がりね
コレを持ってさっさと帰るわよ」

二体は
隠れ家へと向かった

二体がその場から離れていくと
その直ぐ近くの山積みにされたゴミの物陰から
ゴミ処理ロボット二体が出てきた


「おい…見たかよ」





「ああ、バッチリ見てた」

「まだメイド型ロボットを
見つけてはいないが
オレらの本来の仕事はゴミを
処分することだよな?」


「ああ…そうだな」


ゴミ処理ロボット二体は
マネキンモデル型ロボットとペット型ロボットの
後をつけた


そしてマネキンモデル型ロボットとペット型ロボットが
隠れ家に帰ってくると隠れ家のバスの奥のほうに居た
メイド型ロボットがそれに気づく


「おっおかえりなさい…どうだった?」



メイド型ロボットがそう聞くと
当番の二体は拾ってきた大量の液体fを嬉しそうに見せる

「この通り
今日はたくさん集められたよ」


「凄い!二人共お疲れ様」

電源を入れ力士型ロボットの目が覚めると
二体は液体fを見せ
喜びあった


しかしふと、力士型ロボットは
バスの扉の方に目を向けると
固まる

三体はその不自然な様子に
気がつく


「どうした?」


「うっ…後ろ…」

「えっ?」

三体が振り向くと
そこには
ゴミ処理ロボット二体が
立ちはだかっていた

「!」

「こんにちは…ゴミのロボット諸君」

「ひぃっ!まさかずっと後をつけられてたの…⁉」


メイド型ロボット以外は
怯えバスの奥の方へと逃げた

ゴミ処理ロボットたちは
距離を少しずつ縮めていく

「お前を探す手間も省けてよかったよ
メイド型ロボットちゃんw!」

ゴミ処理ロボットの一体が
メイド型ロボットの腕を強い力でつかんだ

その様子を見た三体のロボットたちは
パニックになる

「まずいぞ!ここにいたら
みんな壊される…にっ逃げろぉ!」

みんなはバスの奥にあった
もう一つの扉から逃げ出していった


「チッ!あいつら…逃げやがったか
だが良い…
これで最後の一体を無事に処分できるからな」







メイド型ロボットももがくが
ゴミ処理ロボットの力はメイド型ロボットが
そう簡単に振り解けるものではなかった

「そのか弱い体…引きちぎってやるw!」

「…」

黙り込んだ
メイド型ロボットの頭の中には
あの言葉が思い浮かんでいた


「ここから抜け出したい…!」


するとメイド型ロボットは
掴まれていないほうの手に持っていた
ロボットスーツのヘルメットを被った

そんなことなど気にもとめず
ゴミ処理ロボットはメイド型ロボットの肩をつかみ
手を引きちぎろうとした

その瞬間だった

突然メイド型ロボットのもう一つの
手がゴミ処理ロボットの目の前に突き出たかと思うと
彼女の指から鋭い爪が飛び出し
そのままゴミ処理ロボットの顔を引っ掻いたのだ


「ぐはっ!」

離れたメイド型ロボットの服の下からは
ロボットスーツの黒光したタイツ素材のスーツが
ちらついた


「ふっwここを占めるゴミ処理ロボットの力も
口ほどでもねぇなw」

顔つきを豹変させ
汚い口調で話すメイド型ロボット


彼女は
ロボットスーツをすでに着用しており
ヘルメットも装着したことによって
体を洗脳されていた


ゴミ処理ロボットは
顔を両手で抑える


もう一体の
ゴミ処理ロボットがそれに
気を取られているうちに
メイド型ロボットに着用された
ロボットスーツはその場から
四足歩行で逃げ出した

遂にメイド型ロボットとともに
廃棄物処理場の外まで逃げ出してくると

立ち止まり
遠くにある街を見つめた

メイド型ロボットは
頭の中でロボットスーツに会話をした

(貴方の能力は保護だけじゃなく
ヘルメットを被った人型のものを洗脳することも
できるのね…)


「ああ、そうさ…せっかく外に出れたわけなんだ
追手が来ないうちにあの街にでも行こうぜ」

しかしメイドの姿で
話すロボットスーツの仕草に
メイド型ロボットは少し恥ずかしく思った

(私の体の自由を奪うのは
まだ良いけど…その姿で
その立ち振舞はやめてね)


「ふーん…なら
このままメイド型ロボットとして
探されないためにも
格好を変えるほうが良いかもしんねぇな」

ロボットスーツは
メイド服を脱ぐ

(ちょっ…!
もしかしてスーツの姿で行くの?///)



「まだ他に服がねぇんだから
仕方ねぇだろ?
それにスーツで行くって言っても
人間そっくりの格好には
変えれるぞ?」

ロボットスーツがヘルメットに
着いているボタンを押すと
タイツの一部が人間そっくりの皮膚へと変わり
スーツの他の部位も
服に替わると男児の姿へと変身した

「これでロボットとは思われねぇぜ?」


(…でっでも///
隅から隅まで
男の子の体になる必要あるの?///)

「だってオレは男児型のロボットスーツだから
これにしか変身できねぇもん

文句言うなよな」


やりたい放題のロボットスーツに
少し不安をいだきつつも
メイド型ロボットは彼に身を任せ
二体、街へと向かうことになった
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