小説版 デブになれないなら雌豚になるしかないよね

第六話 オレが手伝う仕事内容は動画で顔出しして食べ物を食べて感想を言う食品レビューだった

はぁ…本当に最近
どうしちまったんだオレ…絶対変だろこれ

上の空で天井を見つめると
ナオトが顔をのぞかせた


「おい真面目に聞けよ～
詮索するなって言ったんだから
お前も機嫌直して俺の説明を聞くんだよ」



「わかったよ…ごめん

んで？オレは何を手伝えばいいんだよ」


「はい、じゃあ
これ持って」


手に持たされたのは
よくスーパーの
駄菓子屋コーナーとかで見かける
スルメイカのカットされたやつ


「とりあえずカメラ回したら
挨拶してそのお菓子食って
レビューして

ああ、それと
感想の内容は当たり障りない感じにな

あと笑顔で滑舌良く
自然に‥な！
‥動画の終わりにも挨拶しろよ」




「えっ！ちょっと待てよ‥！！

オマエの仕事の手伝いって
‥オレを動画に出すことだったの⁉」

オレは駄菓子を突き返す

「一体オレがレビューなんかして
何の意味があるんだよ‥！

閲覧数稼ぎたいなら
動画映えする奴を使えって‥」


ナオトはため息をつく

「はぁ‥
バッカだなぁ‥！

今の時代
動画映えする容姿も派手さも
関係ねぇだろ？

動画の編集が良ければ

どういう感想を残そうが
大抵は定期的に閲覧してくれるもんだよ

見た目なんてオマエには
滑舌と清潔感があるんだし十分だぜ？

クリーンさを持って
マナーを守りさえして
人に興味を持たせ
集客数を増やし閲覧数を多くしていけば
それでいいんだ‥」



「そっ‥そういうもんなの‥か」



オレが勢いを無くすと
自分の意見に
納得したと思ったのか
ナオトは駄菓子を再び渡し
カメラを回した

「はい、スタート！」

えっ！えっ⁉まっマジかよ‥


ええっと‥

「みっみなさん‥ｗ
どうも初めましてｗ！
ハルキです！

ええっと今回は！

こちらの駄菓子
『イカの味わいまろやカットくん』を
食べてレビューしたいと思います‥ｗ！」

勢いで食べるだなんて
言ったけど‥

さっきマシュマロ食ったばかりだよな‥

ナオトに目線をやると
首を駄菓子へと振り
カメラを構える


やっぱ食べろってことか‥

ええいっ！居候させてもらうためだ！


オレは筒状の透明の入れ物から
スルメイカを取り出し

食した‥

ﾑｸﾞ‥ﾓｸﾞ‥

「んぐ‥むぐぅ‥///」

噛むごとに口いっぱいに広がる
イカの味

おいしぃい‥♡


「干したことによって
イカ本来の味わいが凝縮されて
とても美味しいです‥♪

‥噛みごたえがあるので
満腹中枢も刺激しますし
ダイエットにも最適かもしれないですね♪

みなさんも是非気になったら
ご購入してみてくださいね♪

ご視聴ありがとうございました♪」


そしてカメラが止まった

「よし、オーケーだ
おつかれさま！

最初の方で間があった部分は
オレが編集でカットしとくから安心しろ」


「んぐ‥もぐぅ♡

ん？ああ‥もう終わりかぁ

こんな早いなら
毎日レビューしても
別に良いけどなｗ

んぐっんぐ♪」

にしてもコレ‥すごく美味しいぃ♪

その後も手が止まらず
食いちぎった

「まぁオマエを使って動画を作るのは
オレの副業だとでも思って
気軽に手伝ってくれよ

（‥それにしても
ダイエットに最適とか
言ってたくせに

コイツ
もう十本目を口にしてるな‥

この調子なら早く肥えそう‥）」

他愛もなく話しかけつつも
呆れた表情で
ナオトはオレを見ていた