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第五話 教え子の家でお菓子を頂きついでにお土産ももらった

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「ただいまーっ」

玄関に入り
部屋の照明をつけるナオト

ふと、俺は
気がかりだった
条件の話を思い出す

「あのさー…」

「え?何?」

「ここに引っ越してくる際に
お前、住まわせてくれる代わりに
条件出してきたじゃん

自分の仕事を手伝わせるとか…なんとかって」


「ああ、それね

実はよぉ…お前に頼みたい仕事ってのはな


動画に出て食レポしてほしいんだよ」


「え?…何だよソレw

そんなことで俺の居候許可したのかw?」


ってか…
そんなの需要とかあんのか?

「うんwお前じゃなきゃ
駄目なんだよぉ~」


疑問は募る
俺じゃなきゃ駄目な理由がわからない
他にコイツは
頼める友達居ないのか?

でもちょっとした商品とかを
食べてレビューすれば良いだけの話だ…



…飯代浮かせるつもりでやってみるか

「じゃあ、わかった
簡単な仕事みたいだし
家にいるときは手伝うよ」

「そうか~w
じゃあ契約成立ってことで!」

やけに嬉しそうだな
…でも本当にただの一般人の俺なんかが
動画で食レポして意味があるのだろうか…?

普通、雇うなら
人の目を引くような
容姿端麗の女子とかのほうが
再生数稼げそうだと思うけどなww


そうして日は過ぎ
翌朝になった

俺は
目を覚ます

「…あれ?まだ4時半…」

時計を見た俺は
再び布団に寝転ぶ

まだ部屋の中は
薄暗い…

寝よう…


「…う」

だが胃が
凹むような音をたてた

…うそ…だろ
昨日あんなに食べたのに…何で…?

これは腹が空いていて
鳴っている音だ


考えようにも
胃の音に思考も全て持ってかれる


…お腹空いた…な

しかも…こんな時間に…///

「うう…!いいや!
空いてなんかいないって!」

もっ…もう起きちゃえばいい!

そうだ!昨日決めたじゃないか
食い過ぎた分動こうって
ランニングだ…!ランニングに行ってこよう!

ベッドから
起き上がるとすぐに
早く起きた分の時間を使って

近所を一周りしに行った…


「ふぅ~スッキリしたぁ!」

帰ってくると
シャワーを浴びて髪を乾かす

洗面所のドライヤーを使っていると
そこへナオトがやって来た

「あれ~?玄関の音が聞こえたけど
こんな朝早くから
出てたのか?」


「ああ、ちょっと近所を一周な」

「ふぅ~んまぁいいや
そんなことより朝飯食う?」


「う…いっいや…
おっ俺は今日は良いやww
昨日の夕飯の食い過ぎで
腹空いてない…し」


何のために走ったと思ってんだよ…!

そして朝食抜きで
土曜日の今日
家庭教師の仕事で俺は
小学高学年や中学生たちの家に訪問した

因みに今受け持っているのは
小学五年生のたかし君と中学生のミノル君、ナツキちゃん


「おじゃましまーす」

三件目
ナツキちゃんの家に
上がった頃には
昼過ぎだった


「先生、できました
採点お願いします」

俺は問題用紙を受け取り
1ページずつ赤ペンで採点した

チェックが終わると
ナツキちゃんに返す

「すごいよ、この間の反省で
しっかり成長してるじゃないか!
50点満点!」

「やったぁーっ‼」


「この調子なら
高校も合格できるよ」

二人で喜び合っていると
部屋のドアにノックが入った

「どうです~?
二人共一段落つきましたか~?」

ドアが開き
ナツキちゃんのお母さんが
お茶とお菓子をトレイに乗せて
運んできた


「ふふw先生も
お茶でも召し上がってってくださいよね」

「すっすみませんw」

「ねぇ見てよ!前よりも点数良くなったでしょ!」

ナツキちゃんは
お母さんに採点の入った
問題用紙を見せた

「すっごいじゃないの~!
これなら受験も大丈夫そうねw!」


盛り上がっている中
お茶に手を付けていると

視界に出されたお茶請けが目に入る…

…何かうまそう


じーっと見つめていると
ソレに気がついたのか
ナツキちゃんが
俺の頬にお茶請けのマシュマロを
くっつける

「先生も食べてよぉ~

これ私の好きなお菓子なんだぁ♪」

…とは言っても


「…」

顔に擦れたマシュマロの
ほのかに甘い香りが脳を支配する

もちろん
我慢をしてきた人生で一度たりとも
食べたことはない

だけど…


ひっ一粒ぐらいなら…せっかく出してくださったんだし…

「じゃあ、遠慮なく…」

俺はナツキちゃんから
そのマシュマロをもらい一口つまんだ

すると口の中いっぱいに
甘い味が広がり
マシュマロがすーっと溶けていく…
なんとも言えない新食感に俺は
心を揺さぶられた


「お…美味しい///」

「でしょ!
さぁもっと食べていいよ♪」

その後、腹が減りすぎていた俺は
勧められるがまま
マシュマロを全部食べてしまった

そうして夕方になり
二人に玄関先で見送られる

するとナツキちゃんが
一度、部屋に戻り
お菓子の袋を俺に渡した

「はいっ♪これ先生にあげる♪」

「えっ…」

見てみればそれは
さっき頂いたマシュマロだった

「だって、いっつも先生
遠慮してて…それで
今日初めて食べて美味しそうな顔してくれたから♪
だからこれ、家でも食べてね♪」

「はっはぁ…ありがとう
何か悪いね…ナツキちゃん」


そのまま
別れを告げ
俺は家へと帰宅した

「…ただいま~」

部屋に行くと
テーブルの上に袋に詰まったマシュマロを置き
ため息を付いた

あのときは
手が止まらなくて食べちゃったけど

まさかお土産までもらっちゃうなんて

これ…どうしよう

だが眺めていると
さっきの甘さが
口の中に蘇ってきた

俺は胃を擦る…

あんなに食べたのに
まだ、何か…空いてるような///


とっとにかく、今は食べないぞ…!

俺は胃の音を抑えようと
冷蔵庫のペットボトルのお茶を
取り出した

これはナオトが飲んで良いって
言ってたお茶だ

遠慮はしないぞ
胃の中を満腹にするためだ
全部飲んじまえ…!

注いでは飲み注いでは飲みを繰り返し
等々、二リットルの
ペットボトルを空にしてしまった

「ふぐぷっ…げふぇ

これなら安心だな」


だが
それから
リビングのソファで一人
横になって
テレビを見ていたら

突然、胃が鳴り出した

まっ…まぁ
あれから二、三時間ぐらい経っただろうし…
夕飯時だし
しようがない…よな




俺は
部屋に行き
マシュマロの封を開けた

ひっ一粒ぐらい…

しかし一粒口に運ぼうとしたその時
部屋のドアが開き
ナオトが入ってきた

「よしっハルキ、早速仕事するんで
手伝ってくれよ!」

「へひっ…⁉なっ何だよ…びっくりしたぁ
入ってくるときはノックぐらいしろよなww」

俺は慌てて
菓子の袋を隠す

だが遅かった

「なーにマシュマロなんか持ってんだよ?」

「こっこれは…!
教え子の子に貰ったんだよ…

俺がお茶請けで出たマシュマロを
美味しそうに食ってたからあげるって言われて…
ソレに帰ってきてから
もう三時間ぐらい経ってるだろうし
一口ぐらい食べよっかなーって思って///」

「え?帰ってきたのって何時だよ?」

「16時…」

「…お前、時計見てみろよ
今、17時になったとこだぞ?」

俺は時計を見た
たっ確かに…約一時間ぐらいしか経ってない

俺は顔を赤らめ
床へと身体を崩した

嘘だろ…これじゃまるで
俺が食いしん坊みたいじゃないか~‼///

「おい…どうしたんだよ?」


「別にいいだろ…
俺のことなんか放って置いてくれよ…!///」

「ああそう、んじゃ仕事の話に変えるぞw!」

ナオトは詮索などせず
自分の仕事の話を始めた


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