それは、恋でした。

恋？

3-16

あたしは、１日の仕事が終わって部屋で辞書を引いていた。



やっぱり気になる。



恋って何なのかー




辞書をパラパラと捲って、恋と言う意味を調べる。




【恋】男女との間で、相手を特別に好きになる気持ち。

相手を特別に好きになる気持ちー

それが分からないから引いてるのに、何でもっと悩まなきゃならないのよ？


もっと他の言葉をと思い、出来るだけ疑問に思った言葉を辞書で引き始めるあたし。




【恋愛】男女が互いに慕い合うこと。男女の間の愛情。

【愛情】かわいいと思う心。大切に思う心。

【惚れ惚れ】心を奪われて、うっとりするようす。





「奪われる…心や目を引き付けられる、」




心や、目・・・




あたしはこれまでの事を思い返していた。





『ご飯は、そんなに気にする事ないよ。上手いもんなら何でも食うし。マネジの仕事もいつも通りやればいいって』



あの時の笑顔に、あたしは心を奪われた。




『何処が分からねぇの？』




スコアブックの書き方が分からなくて教えてもらうことになったとき、ノートを覗きこんでいる悼矢さんの仕草が、あたしの心をおかしくさせた。




あたしは、悼矢さんに心を奪われていたってこと、なの？



全身の力が抜けて、あたしはその場に座ってしまう。




あたしはー




ずっと、ずっと、





悼矢さんの事が好きだったの？







違う、


違うっ…




悼矢さんの事は、憧れだった。




アイドルみたいな存在で、こうなりたいなぁっていう願望みたいなもので。







お兄ちゃん的存在の人でー…









「好きなんかじゃ・・・」