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ごめんねしに行く
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さて、数日ぶりの学校だが、大丈夫かと声をかけてきたのは担任とクラス委員をしている男子一人であった。
予想の範囲内だ。そも、この世界怪我なんてのは大した問題ではない。
この世界での怪我なんて、内臓の損傷や腕や足がふっとんだくらいでなくては大事にはならない。なぜなら魔法のヒーリングで回復が早いからだ。
心配されないことへの強がりではない、心配しないのは普通のことである。ちょっと事故に巻き込まれて、ちょっと頭ぶつけて数日休むくらい、よくあることなのだ。
一日を恙なく終え、アルの元へ向かう。
今日は事故から久々の登校とあって、家庭教師の予定は入れず家に帰ったら休む予定だった。出かけるのには持って来いという日ではあるが、ヴィルにばれたら面倒だ。性懲りも無く公共交通機関を使ったことを、ねちねち責められることだろう。
大嫌いなヴィルに絡まれないためにも、さっさとアルに兄のことを謝罪し、前世の記憶のことを少し相談して早々に帰宅したて勉学に励むとしよう。
バスではなく今日は電車を使い、中央から西へ向かう。
中央区の駅は商業施設が併設されたものが多いのだが、中層区は所によっては無人の駅もある。あまり見慣れない光景が、いつでも新鮮で面白い。
アルの最寄駅も無人で、魔力駆動の機械駅員に切符を渡す形式だ。この機械駅員、昔はいかにも鉄塊といった見た目だったのに、最近は丸っこいフォルムになりずいぶん可愛くなった。
改札を出て、駅前広場を歩く。人通りは少なく、この駅を利用する者はあまり多くないのだろうことがうかがえる。
手にぶら下げた紙袋を掴み直し、重さを確認する。これはお詫びの品というものだ。義母の好きなメーカーのクッキーを買ってみた。
ふと、店と店の間で、蠢く影を見た。気になって覗き込むと、それが小さな生き物だと分かった。
パン屋の裏っ側、ごみ箱の向こう。猫か、猫なのか、この世界にも居たはずだ。
アルの元へ行かねばという気持ちと、猫を見たいという気持ちが俺の中で戦い。後者が勝つ。
細い路地に入り、ゆっくりと屈む。猫は上からいってはいけない。下からだ。
「にゃー、か?」
「ぴゅぃ……」
「ぴゅ?」
鳥の鳴き声に似た声に、俺は首を傾げる。
ごみ箱の裏から出てきたのは、犬と竜を掛け合わせたような姿の生き物だ。よたよたと俺の方に寄ってくると、長い尻尾をゆらりと揺らす。
黒いふさふさな毛並み、小さい角と翼、幻獣か魔獣かは判断が難しい。幻獣は人間が使役するために呼び出したもの、魔獣はこの世界に昔から存在する魔族に属する生き物だ。人懐っこいので、幻獣なのだろうか。
小さな体を抱き上げると、嬉しそうにしっぽを振る。可愛いぞこいつ。
「お前、主はどうした?」
「ぴぃ」
「野良幻獣は保健所行だぞ、早く呼び戻してもらえ」
「ぴ……」
可愛い、あったかい柔らかい。こいつ、うちの子にする。いやだめだ。どこかに主が存在するはずだ。
路地裏を出て辺りを見回すが歩いてる人は少なく、何かを探している様子の人間も居ない。もしはぐれたなら、来た道を戻ってくるかもと考えたが、その線はなさそうだ。
こいつはどこからどうやって来たのだろう。頭を撫でるともっとやれとばかりに、手のひらにほっぺを擦り付けてくる。大変だ。可愛い。うちの子にしたい。
「ユーリ?」
俺が小さき命に夢中になっていると、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
「わ、アル? どうしてここに」
「学校の帰り、そっちこそどうしたんだ?」
「お前の家に行く途中だったんだが……」
俺が言い難そうにしていると、腕の中の幻獣を見て何かを察したように微笑む。
「幻獣、かな? ご主人様はどうしたんだ?」
アルが幻獣の頭を撫でる。人懐っこい生き物らしく、大人しく触らせている。
キマイラでもない、ドラゴンとも違う形状の幻獣は見たことが無い。図鑑を探せば何かわかるだろうか、その前にこいつをどうするか。放置しても良いのだろうが、飼っていた猫のことを思い出してなかなか手放せない。
「どうするんだ? そいつ」
「え、そうだな。幻獣なら召喚主が呼び戻すことができるから、ほっといても良いだろうな」
そう、こいつをここに置いて去るのが正解だ。このまま誘拐するわけにもいかない。数秒迷った末、俺は抱いていたもふもふを地面に下ろす。
ゆっくりと立ち上がると、幻獣が不思議そうに俺たちを見上げた。その顔はどこか寂しそうだ。
「ぐ、う、さっさとご主人様のところに帰るんだな。俺のそばに寄るなよ。お前をさらって監禁し、温かい寝床と美味しい食事をお前が死ぬまで提供するぞ」
「一生丁寧かつ大事に世話するってことか」
「翻訳するな」
隣に立つアルが小さく笑う。この様子を見るに、怒っている気配は無い。
幻獣に構うか、アルとこの場を離れるか悩んでいると、少し離れた位置から「すみません!」と男の声が聞こえた。
振り返ると、黒いスーツにチェスターコートを来た男が足早にこちらに向かってくるではないか。
「みゅ!」
「みゅ? あ、ぴゅー太!」
「ああ、また逃げられた! こら待ちなさい!」
男の姿を見るなり、ぴゅー太、もとい幻獣は四本の足で地を蹴ると、目にもとまらぬ速さで広場を駆け建物の影に文字通り溶けていった。
硬質な足音をさせ俺たちの元へやってきた男は、息を切らせて肩を落とす。細いフレームの眼鏡が、少しずれてしまっていた。
数秒息を整え、男が黒髪をかきあげ顔を上げた。年齢は二十後半から三十代といったところか、垂れ目で甘いったるい女に好かれそうな顔をしている。
「あーあ、また探し直しだ……」
「貴方の幻獣ですか? なら呼び出しができるのでは?」
「いや、あれは幻獣じゃないんだよ。魔石で動く機械あるだろ? あれの亜種」
「え? 生き物にしか見えませんでしたよ」
アルの驚いた声に、男は得意げに笑って見せる。ずれた眼鏡を直し、口の端をついと上げた。
「そうでしょう、まだ試作品なんだけどね。魔石駆動の生き物、っていうのかな?」
「合成獣は違法ですよ。動物虐待にあたります」
「いや、動物に魔石を入れたわけじゃないんだよ。まあお子様には分からないか」
魔石駆動の機械はこの世に溢れている。
令和日本に電子機器が欠かせないように、この世界も魔石によって動いていると言っても過言ではない。電気やエネルギーの代わり、というと分かりやすいだろう。
文明レベルは限りなく現代日本に近い。ところどころ魔法に頼っている世界ではあるが、衣食住は前世の記憶が混ざった俺でも、違和感は最小限で済んでいる。
「こんなことを学生に話しても仕方ないな、時間を取らせてすまないね。それでは」
男が指を鳴らすと、その姿が消える。転移魔法科、学者かと思ったが魔法使いだったようだ。
それにしても、どこかで見たような。知り合いではない。ということは、間接的に見かけたのかもしれない。
あの幻獣もどき、いじめられてやしないだろうか、心配だ。でも影に飛び込み消えてしまったし、追いかけることは難しいだろう。
男も幻獣も消え、残された俺たちは顔を見合わせる。
「ぴゅー太ってなに?」
「ぴゅいぴゅい鳴くから、ヒューイでも良かったな」
「俺は黒き刃とかのが格好良いと思う」
「だっさ。おっと失礼。まあ他人のものに名前を付けるのは不毛だな。お前の家に行くぞ」
前世で妹にネーミングセンスを疑われた俺だが、アルの方がやばい。
俺が目を側めると、アルは薄い唇をぐにゃ、と曲げて悲しそうな顔をしてみせた。
「なんだろう、いろいろ腑に落ちないけどいいや、行こう」
歩き出す前に、一度駅前の広場を見回すが、やはり黒い生き物の姿はなかった。残念だ。
予想の範囲内だ。そも、この世界怪我なんてのは大した問題ではない。
この世界での怪我なんて、内臓の損傷や腕や足がふっとんだくらいでなくては大事にはならない。なぜなら魔法のヒーリングで回復が早いからだ。
心配されないことへの強がりではない、心配しないのは普通のことである。ちょっと事故に巻き込まれて、ちょっと頭ぶつけて数日休むくらい、よくあることなのだ。
一日を恙なく終え、アルの元へ向かう。
今日は事故から久々の登校とあって、家庭教師の予定は入れず家に帰ったら休む予定だった。出かけるのには持って来いという日ではあるが、ヴィルにばれたら面倒だ。性懲りも無く公共交通機関を使ったことを、ねちねち責められることだろう。
大嫌いなヴィルに絡まれないためにも、さっさとアルに兄のことを謝罪し、前世の記憶のことを少し相談して早々に帰宅したて勉学に励むとしよう。
バスではなく今日は電車を使い、中央から西へ向かう。
中央区の駅は商業施設が併設されたものが多いのだが、中層区は所によっては無人の駅もある。あまり見慣れない光景が、いつでも新鮮で面白い。
アルの最寄駅も無人で、魔力駆動の機械駅員に切符を渡す形式だ。この機械駅員、昔はいかにも鉄塊といった見た目だったのに、最近は丸っこいフォルムになりずいぶん可愛くなった。
改札を出て、駅前広場を歩く。人通りは少なく、この駅を利用する者はあまり多くないのだろうことがうかがえる。
手にぶら下げた紙袋を掴み直し、重さを確認する。これはお詫びの品というものだ。義母の好きなメーカーのクッキーを買ってみた。
ふと、店と店の間で、蠢く影を見た。気になって覗き込むと、それが小さな生き物だと分かった。
パン屋の裏っ側、ごみ箱の向こう。猫か、猫なのか、この世界にも居たはずだ。
アルの元へ行かねばという気持ちと、猫を見たいという気持ちが俺の中で戦い。後者が勝つ。
細い路地に入り、ゆっくりと屈む。猫は上からいってはいけない。下からだ。
「にゃー、か?」
「ぴゅぃ……」
「ぴゅ?」
鳥の鳴き声に似た声に、俺は首を傾げる。
ごみ箱の裏から出てきたのは、犬と竜を掛け合わせたような姿の生き物だ。よたよたと俺の方に寄ってくると、長い尻尾をゆらりと揺らす。
黒いふさふさな毛並み、小さい角と翼、幻獣か魔獣かは判断が難しい。幻獣は人間が使役するために呼び出したもの、魔獣はこの世界に昔から存在する魔族に属する生き物だ。人懐っこいので、幻獣なのだろうか。
小さな体を抱き上げると、嬉しそうにしっぽを振る。可愛いぞこいつ。
「お前、主はどうした?」
「ぴぃ」
「野良幻獣は保健所行だぞ、早く呼び戻してもらえ」
「ぴ……」
可愛い、あったかい柔らかい。こいつ、うちの子にする。いやだめだ。どこかに主が存在するはずだ。
路地裏を出て辺りを見回すが歩いてる人は少なく、何かを探している様子の人間も居ない。もしはぐれたなら、来た道を戻ってくるかもと考えたが、その線はなさそうだ。
こいつはどこからどうやって来たのだろう。頭を撫でるともっとやれとばかりに、手のひらにほっぺを擦り付けてくる。大変だ。可愛い。うちの子にしたい。
「ユーリ?」
俺が小さき命に夢中になっていると、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
「わ、アル? どうしてここに」
「学校の帰り、そっちこそどうしたんだ?」
「お前の家に行く途中だったんだが……」
俺が言い難そうにしていると、腕の中の幻獣を見て何かを察したように微笑む。
「幻獣、かな? ご主人様はどうしたんだ?」
アルが幻獣の頭を撫でる。人懐っこい生き物らしく、大人しく触らせている。
キマイラでもない、ドラゴンとも違う形状の幻獣は見たことが無い。図鑑を探せば何かわかるだろうか、その前にこいつをどうするか。放置しても良いのだろうが、飼っていた猫のことを思い出してなかなか手放せない。
「どうするんだ? そいつ」
「え、そうだな。幻獣なら召喚主が呼び戻すことができるから、ほっといても良いだろうな」
そう、こいつをここに置いて去るのが正解だ。このまま誘拐するわけにもいかない。数秒迷った末、俺は抱いていたもふもふを地面に下ろす。
ゆっくりと立ち上がると、幻獣が不思議そうに俺たちを見上げた。その顔はどこか寂しそうだ。
「ぐ、う、さっさとご主人様のところに帰るんだな。俺のそばに寄るなよ。お前をさらって監禁し、温かい寝床と美味しい食事をお前が死ぬまで提供するぞ」
「一生丁寧かつ大事に世話するってことか」
「翻訳するな」
隣に立つアルが小さく笑う。この様子を見るに、怒っている気配は無い。
幻獣に構うか、アルとこの場を離れるか悩んでいると、少し離れた位置から「すみません!」と男の声が聞こえた。
振り返ると、黒いスーツにチェスターコートを来た男が足早にこちらに向かってくるではないか。
「みゅ!」
「みゅ? あ、ぴゅー太!」
「ああ、また逃げられた! こら待ちなさい!」
男の姿を見るなり、ぴゅー太、もとい幻獣は四本の足で地を蹴ると、目にもとまらぬ速さで広場を駆け建物の影に文字通り溶けていった。
硬質な足音をさせ俺たちの元へやってきた男は、息を切らせて肩を落とす。細いフレームの眼鏡が、少しずれてしまっていた。
数秒息を整え、男が黒髪をかきあげ顔を上げた。年齢は二十後半から三十代といったところか、垂れ目で甘いったるい女に好かれそうな顔をしている。
「あーあ、また探し直しだ……」
「貴方の幻獣ですか? なら呼び出しができるのでは?」
「いや、あれは幻獣じゃないんだよ。魔石で動く機械あるだろ? あれの亜種」
「え? 生き物にしか見えませんでしたよ」
アルの驚いた声に、男は得意げに笑って見せる。ずれた眼鏡を直し、口の端をついと上げた。
「そうでしょう、まだ試作品なんだけどね。魔石駆動の生き物、っていうのかな?」
「合成獣は違法ですよ。動物虐待にあたります」
「いや、動物に魔石を入れたわけじゃないんだよ。まあお子様には分からないか」
魔石駆動の機械はこの世に溢れている。
令和日本に電子機器が欠かせないように、この世界も魔石によって動いていると言っても過言ではない。電気やエネルギーの代わり、というと分かりやすいだろう。
文明レベルは限りなく現代日本に近い。ところどころ魔法に頼っている世界ではあるが、衣食住は前世の記憶が混ざった俺でも、違和感は最小限で済んでいる。
「こんなことを学生に話しても仕方ないな、時間を取らせてすまないね。それでは」
男が指を鳴らすと、その姿が消える。転移魔法科、学者かと思ったが魔法使いだったようだ。
それにしても、どこかで見たような。知り合いではない。ということは、間接的に見かけたのかもしれない。
あの幻獣もどき、いじめられてやしないだろうか、心配だ。でも影に飛び込み消えてしまったし、追いかけることは難しいだろう。
男も幻獣も消え、残された俺たちは顔を見合わせる。
「ぴゅー太ってなに?」
「ぴゅいぴゅい鳴くから、ヒューイでも良かったな」
「俺は黒き刃とかのが格好良いと思う」
「だっさ。おっと失礼。まあ他人のものに名前を付けるのは不毛だな。お前の家に行くぞ」
前世で妹にネーミングセンスを疑われた俺だが、アルの方がやばい。
俺が目を側めると、アルは薄い唇をぐにゃ、と曲げて悲しそうな顔をしてみせた。
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