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治癒術師 クレア・キャンベル
魔法剣士 カオル(5)
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アサヒを貪っている間に首輪を用意して帰ってきたクレアをベッドに引きずり込み、二人まとめて抱き潰すと、二人の間に寝転がって眠りについた。
「おはようございます」
「あ、おはようございます」
「おはようございます。
とりあえずシャワーですよね」
「え? あ、そうですね?」
翌朝、体液まみれの不快感とともに目を覚ますと、寝ぼけている間に先に目を覚ましていたシオンとユズリハにシャワールームに連れ込まれ、石けんを泡立てて身体に塗りつけた二人に前後から抱きつかれてお肌で身体を洗われて朝勃ちしていたものがさらに硬くなった。
「私たちも混ぜてくださいよ」
「そーだそーだ」
「ずるいずるい」
硬くなったものを泡まみれの二人の手で洗われていると、物音で起きてきたクレアにアサヒとカオルが同意しながら狭いシャワールームに入ってきた。アジムはいつの間にやら用意された風呂用の椅子に座らされ、腕をユズリハとカオルのたっぷりの石けんの泡をまとわせた豊かな胸に挟み込まれ、膝の上に乗ったアサヒとシオンの股に足を洗われ、後ろから抱きついたクレアの身体に背中を擦られる。
「……っふぅ」
全身を女体で洗われている間に、硬くなっていたものが更に硬さを増していく。
身体だけでなく五対のしなやかな手たちにも身体を洗われ、全身を擦りおわったら綺麗に湯で泡を流されて、礼を言って立ち上がろうとするとカオルに正面から抱きつかれてもう一度、風呂用の椅子に座らされる。
アジムが訝しく思って見上げると、アジムの逞しい身体に自分の身体をこすりつけている間にすっかり気分が盛り上がっていたカオルが上気した顔で微笑んだ。
「昨日は私が最後だったんで、
今日は私からです」
カオルはそう言って、座っているアジムのものを自分の中に飲み込みながら、正面からアジムに抱きつくようにして膝の上に身体を落とした。
「んんっ! やっぱり、大きぃ……」
甘い声をあげるカオルを抱きしめて左右に目を向けると、他の4人も発情した顔で股ぐらを弄っている。
「んあぁっ!」
せっかく綺麗にしてもらったけど、後でもう一度シャワーしないと。
そんな風に思いつつ、アジムはゆるゆると腰をふるカオルの身体を抱き寄せて、硬くなったものでカオルを奥まで貫いた。
◯
順番に5人も抱いてからシャワーをし直していると、お昼になっていた。チェックアウト時間はとっくに過ぎていて機嫌が悪い宿の店主に謝ってテイクアウトできるもの用意してもらい、追加の宿代と部屋を体液で汚しまくってしまったのでとこころづけを弾むと一転して機嫌の良くなった店主に見送られ、宿を後にした。
城塞都市であるエディンパラの中心街からのびる大通りを歩き、街の終わりの城壁をくぐって外に出てそのまましばらく街道沿いを歩く。街の市場で買い物を済ませ、これから農村へ売りに行くらしい商人の馬車と並んで歩き、その逆に別の街で仕入れた商品を売りに来ているらしい馬車を避けて歩いていると、広い草原に差し掛かる。
アジムたちはそこで街道から逸れて草原に踏み込み、剣をぶつけ合っていても街道を行く旅人を驚かせないですむだけの距離を離れてから、カオルが風魔法で軽く草を刈り取ってちょっとした広場を作り出した。
出来上がった広場に刈り取ったばかりの草を敷いてレジャーシート代わりにして、テイクアウトしてきた食べ物を広げる。バノックと羊のジャーキー、たっぷりのチーズが入っていて、飲み物にエールが革の水袋に用意されていた。
「……お酒が入ると剣が狂うよね?」
クレアの問いかけに<姫と姫>魔法剣士の面々が頷く。アジムはビール程度ならどれだけ飲んでも平気なのだが、他のメンバーに合わせて頷いておいた。
アジムが冒険に出るときに持ち歩いている荷物から大きめのカップを取り出して、水魔法の使い手であるシオンに魔法で作った水を注いでもらう。人数分のカップは持ち歩いていないのでいくつかのカップを複数人で共用だが、清潔で新鮮な水を井戸がなくとも飲めるのはありがたい。
アジムがシオンと水を用意している間に、他のメンバーがアサヒがつけた火をつかって食べ物を軽く炙る。硬いパンと塩気の強いジャーキーとチーズだが、炙ってやるとパンは香ばしさを帯びて柔らかくなり、炙られて脂が出てきたジャーキーと蕩けたチーズを挟むと中々に美味い。強い塩気がエールを呼ぶが、お楽しみは鍛錬の後だ。
腹ごしらえをして、クレアを除いた4人と順番に立ち合う。
アサヒ、シオン、ユズリハ、カオルと順に立ち合ってから、いいようにやられてしまったユズリハにもう一度立ち合ってもらう。
「じゃあ、行きます」
「お願いします」
言葉をかわし合い、お互いに構える。アジムより頭一つ小さいだけの、女性としては飛び抜けて背が高く大柄なユズリハが一般的な大きさの幅広の長剣を手に構えていると、その剣が頼りなく見えてしまうほど、身体から圧を感じる。
だが、その圧は見せかけだけで、実のところはユズリハの腕力は小柄なアサヒと変わらない。アジムの剣を真正面から受けてしまえば、なすすべもなく押し切られてしまう程度のものだ。
しかし、土の魔法剣士であるユズリハはその見せかけの圧と<暴走>で一時的に跳ね上げた腕力で初めて戦う相手だからと様子見していたアジムを押し、アジムが後ろに退いた瞬間に集中なしで使える小さな<土壁>を、退くアジムの足の踏み出し先を遮るように放った。
足を掬われたアジムは押してくるユズリハと自分の鎧の重量を咄嗟には支えきれずに仰向けに転がり、上にのしかかったユズリハに、首へと刃を振り下ろされたのだ。
直接的に打ち込まれる攻撃魔法であれば、アジムの<抵抗力>スキルは十分な効果を発揮するが、こういう使い方をされると<抵抗力>がどれほど高くても意味がない。
そういえばアカネと戦ったときに炎で視界を遮られてコントロールされたなぁと、蘇生してもらってから思ったものだ。
「おおぉぉぉぉ!!」
今度は見せかけの圧に騙されない。
アジムは先んじて踏み込んで剣を振るい<暴走>も使わせまいとユズリハに対応を迫る。
「……っく!」
ユズリハはアジムの重い剣をどうにか受け流すが、立て続けに振るわれる竜巻のようなアジムの剣を受け続けられるはずもない。
「あぅっ!」
がつっ、と一際大きな金属同士がぶつかり合う音がして、アジムの剣を受け流し損ねたユズリハが体勢を崩して跳ね飛ばされる。アジムはさらに踏み込んで、ユズリハに留めの一撃を振るおうとして、
「<土壁>っ!」
ユズリハが作り出した小さな<土壁>に蹴躓いてすっ転んだ。
後ろに退くときに足を掬えるんだから、前に出るときにも使えるよなぁ、と思ったのは地面に転がってからだ。
身を起こそうとするアジムに、すかさずユズリハが剣を振るってくる。だが、今度は次の攻撃が予測できていた。ソフィアが用意してくれた鎧と自分の肉体を信じて振るわれる刃を左腕で受け止め、無防備なユズリハの腹を立ち上がる勢いも利用してアッパーカット気味に殴り上げる。
「ごっぽ……っ!」
ユズリハは鈍い水音のような苦悶の声を漏らし、剣を手放して腹を抱えて仰向けに倒れ込んだ。
斬られた左腕の感覚がないが、チャンスだ。倒れ込んだユズリハにのしかかり、魔法使い相手なら殴るよりも呼吸を奪って魔法を封じたほうがいいだろうと動く右手で首を締め上げる。この状況でも土魔法使いとの戦闘経験が少ないアジムは「何かできたりしないだろうか」と不安だったが、流石に詰みだったらしい。
「っか、ひゅ……!
こ……ふ……!!」
しばらくは歯を食いしばってアジムの手をなんとかしようと藻掻いていたユズリハだったが、アジムの手がさらに深く喉に食い込むと、アジムの手を掴んでいた両手から力が抜け、端に唾液の泡をためた口を物言いたげに動かし、蕩けた目でアジムを見上げながらゆっくり意識を手放していった。
ユズリハが完全に気を失ったのを確認して、アジムは身を起こす。
「……っふぅ」
兜を脱ぎながら、痺れて感覚のなかった左手を動かしてみる。ちゃんと腕はつながってるが、鎧の内側にぬるりとした感触がある。
「治療しますよ」
「あ。
ありがとうございます」
クレアが声をかけてくれて、あっという間に痛みが引いていく。
「うわ、めっちゃいい笑顔」
「気絶する瞬間、幸せそうだったもんねぇ」
「腹立つから<覚醒>じゃなく水ぶっかけてやりましょう」
不意の窒息プレイで満足そうに気を失っているユズリハには魔法剣士の3人が様子を見に行っていたが、回復魔法を使えるはずのシオンが言葉通り<水作成>で水をぶっかけて叩き起こしていた。
とりあえずは魔法剣士の4人と戦い、勝てたので、一息入れる。
草の上に腰を下ろして酒の肴にするためにパンに挟まずいくつか残してあったジャーキーとエールを楽しみながら、戦った感想とアドバイスをもらう。
「いやー、私は話にならなかったね。
火の魔法剣士とは戦い慣れてるのかな。
何をやっても「それ知ってる」的に処理された感があったなぁ」
「私は剣よりも魔法に偏ってますから、
あまりお役に立てなかった気がしますね。
申し訳ないです」
「アジムさん、ちゃんと兜を被ってるから、
風を使った見えない目潰しがほとんど使えなかった……。
私もアサヒと同じ感じで雑に処理された感じかなー」
アサヒ、シオン、カオルがそれぞれに戦った感想を口にする。
「<土壁>を使った足を引っ掛ける戦い方も覚えたでしょうし、
土使い相手でももう大丈夫だと思いますよ。
魔法専門ならともかく魔法剣士の<石弾>じゃ
アジムさんの板金鎧の上からダメージを与えられませんし
<石化>なんて抵抗力の高いアジムさんにかかるはずもないですし」
水をぶっかけて叩き起こされたユズリハも、タオルで髪を拭きながら声を上げた。
「ありがとうございます。
とてもいい経験になりました」
アジムがそう言って頭を下げると、治療を終えた後は自分の荷物をゴソゴソしていたクレアが近づいてきて、
「こちらこそありがとうございました。
こちら、お納めください」
そう言って頭を下げながら両手で小切手を差し出した。
今回の冒険傭兵としての報酬だ。契約通り金額が記載されている。
8万円だ。これまでのアジムの収入を思えば、とんでもない金額だ。
「なんか、鍛錬にまで付き合ってもらってお金をいただくの、
申し訳ない気がします」
アジムが小切手に手を出すのをためらっていると、クレアがさらにずいっと小切手を差し出してくる。
「駄目ですよ。契約通りに受け取っていただかないと。
私たちが契約を履行しないパーティだと言われてしまいます」
「じゃあ……遠慮なく。
ありがとうございます」
そう言われてアジムは小切手を受け取った。
「それに、この金額だと安すぎるので、
今度からもっと高い金額で契約でいいと思います」
「……そうですか?」
「はい。とても安いです」
アジムは戸惑ってクレア以外のメンバーに視線を向けるが、視線を向けられた他の面々も頷きを返す。
「とにかくダメージを受けても戦線を崩さずに維持してくれるの本当に助かったよ」
「敵の数が多くても後ろに逸らさずに自分に引き付けてくれましたね」
「堅い相手にもダメージを与えてくれるし」
「色々な冒険道具を持ち歩いてくれてるのもありがたいよね。
今もお水とかビールをいれてるカップはアジムさんのですし」
口々に言われ、アジムは照れて頭を掻く。
「それと、こういう言い方はちょっと誤解されるかもしれませんが……
アジムさんは耐久型の前衛ですから、怪我してくれるでしょう?」
クレアに言われてアジムは頷いた。
「そうですね……敵の攻撃を避けきれないのが当たり前なので、
結構怪我します……治してもらってすみません」
「いえ、そうではなく。
治癒術師って、味方が回避の上手い人ばかりだと、普段は暇なんです。
だから、一撃で即死せず適度に怪我してくれる耐久型の前衛がいると、
治癒術師は仕事ができて楽しいんですよ」
「ああ、なるほど」
「なので、アジムさんみたいな<回復増強>スキルが入っていて
血を流しても体力が失われず怪我さえ治れば即座に戦線復帰できる耐久型前衛は
治癒専門の術師がいるパーティからすごく求められると思います」
アジムは納得して頷いた。
どうしても怪我の多い自分が誰かから支援してもらうときに、回復量を増やそうと入れておいた<回復増強>のスキルだったが、自然回復にも影響があると気がついたのはスキルがマスターになってからだ。失血の回復も馬鹿げて早いことだろう。
体力なぞは装備を身につけて軽く走りながらでも大きく回復していくので、よほど激しい運動をしていない限り消耗すらしない。今日も朝から5人の女性を抱いて順番に中出しし、間を置かずに立て続けに剣を合わせても息も乱れていない。
「アジムさん、余裕があるならもう少し戦う?
私たちじゃガチ対人の人より弱いから、
あまりいい経験をさせてあげられないかもしれないけど」
エールを飲みかけていたアサヒがそう声をかけてくれたが、アジムは首を横に振った。
「いえ、今日はこのくらいで。
戦闘の記録は取らせてもらっていたので、
内容を確認しながらどう動くのがいいのかゆっくり確認します」
「そっか。
じゃあ、アジムさんも飲もう!」
頷いたアサヒが差し出してくれたエールのカップを受け取り、口に運びながら目を空に向ける。
抜けるような青空に薄い雲が流れていく。陽の光は穏やかで、ぽかぽかと温かく降り注いでいる。視線を戻すと、カップを差し出してくれたアサヒが別のカップにビールを満たして乾杯を待ってくれていた。同じようにビールのカップを手にしたシオンとカオルも乾杯を待ってくれていて、カップが足りずに乾杯できないクレアとユズリハはアジムのためにジャーキーを炙ってくれている。
アジムは一緒に冒険し、剣を合わせた仲間たちに笑みを向け、カップをかかげた。
「乾杯!」
冷えていない革袋の匂いがうつったエールだが、最高に旨いエールだった。
「おはようございます」
「あ、おはようございます」
「おはようございます。
とりあえずシャワーですよね」
「え? あ、そうですね?」
翌朝、体液まみれの不快感とともに目を覚ますと、寝ぼけている間に先に目を覚ましていたシオンとユズリハにシャワールームに連れ込まれ、石けんを泡立てて身体に塗りつけた二人に前後から抱きつかれてお肌で身体を洗われて朝勃ちしていたものがさらに硬くなった。
「私たちも混ぜてくださいよ」
「そーだそーだ」
「ずるいずるい」
硬くなったものを泡まみれの二人の手で洗われていると、物音で起きてきたクレアにアサヒとカオルが同意しながら狭いシャワールームに入ってきた。アジムはいつの間にやら用意された風呂用の椅子に座らされ、腕をユズリハとカオルのたっぷりの石けんの泡をまとわせた豊かな胸に挟み込まれ、膝の上に乗ったアサヒとシオンの股に足を洗われ、後ろから抱きついたクレアの身体に背中を擦られる。
「……っふぅ」
全身を女体で洗われている間に、硬くなっていたものが更に硬さを増していく。
身体だけでなく五対のしなやかな手たちにも身体を洗われ、全身を擦りおわったら綺麗に湯で泡を流されて、礼を言って立ち上がろうとするとカオルに正面から抱きつかれてもう一度、風呂用の椅子に座らされる。
アジムが訝しく思って見上げると、アジムの逞しい身体に自分の身体をこすりつけている間にすっかり気分が盛り上がっていたカオルが上気した顔で微笑んだ。
「昨日は私が最後だったんで、
今日は私からです」
カオルはそう言って、座っているアジムのものを自分の中に飲み込みながら、正面からアジムに抱きつくようにして膝の上に身体を落とした。
「んんっ! やっぱり、大きぃ……」
甘い声をあげるカオルを抱きしめて左右に目を向けると、他の4人も発情した顔で股ぐらを弄っている。
「んあぁっ!」
せっかく綺麗にしてもらったけど、後でもう一度シャワーしないと。
そんな風に思いつつ、アジムはゆるゆると腰をふるカオルの身体を抱き寄せて、硬くなったものでカオルを奥まで貫いた。
◯
順番に5人も抱いてからシャワーをし直していると、お昼になっていた。チェックアウト時間はとっくに過ぎていて機嫌が悪い宿の店主に謝ってテイクアウトできるもの用意してもらい、追加の宿代と部屋を体液で汚しまくってしまったのでとこころづけを弾むと一転して機嫌の良くなった店主に見送られ、宿を後にした。
城塞都市であるエディンパラの中心街からのびる大通りを歩き、街の終わりの城壁をくぐって外に出てそのまましばらく街道沿いを歩く。街の市場で買い物を済ませ、これから農村へ売りに行くらしい商人の馬車と並んで歩き、その逆に別の街で仕入れた商品を売りに来ているらしい馬車を避けて歩いていると、広い草原に差し掛かる。
アジムたちはそこで街道から逸れて草原に踏み込み、剣をぶつけ合っていても街道を行く旅人を驚かせないですむだけの距離を離れてから、カオルが風魔法で軽く草を刈り取ってちょっとした広場を作り出した。
出来上がった広場に刈り取ったばかりの草を敷いてレジャーシート代わりにして、テイクアウトしてきた食べ物を広げる。バノックと羊のジャーキー、たっぷりのチーズが入っていて、飲み物にエールが革の水袋に用意されていた。
「……お酒が入ると剣が狂うよね?」
クレアの問いかけに<姫と姫>魔法剣士の面々が頷く。アジムはビール程度ならどれだけ飲んでも平気なのだが、他のメンバーに合わせて頷いておいた。
アジムが冒険に出るときに持ち歩いている荷物から大きめのカップを取り出して、水魔法の使い手であるシオンに魔法で作った水を注いでもらう。人数分のカップは持ち歩いていないのでいくつかのカップを複数人で共用だが、清潔で新鮮な水を井戸がなくとも飲めるのはありがたい。
アジムがシオンと水を用意している間に、他のメンバーがアサヒがつけた火をつかって食べ物を軽く炙る。硬いパンと塩気の強いジャーキーとチーズだが、炙ってやるとパンは香ばしさを帯びて柔らかくなり、炙られて脂が出てきたジャーキーと蕩けたチーズを挟むと中々に美味い。強い塩気がエールを呼ぶが、お楽しみは鍛錬の後だ。
腹ごしらえをして、クレアを除いた4人と順番に立ち合う。
アサヒ、シオン、ユズリハ、カオルと順に立ち合ってから、いいようにやられてしまったユズリハにもう一度立ち合ってもらう。
「じゃあ、行きます」
「お願いします」
言葉をかわし合い、お互いに構える。アジムより頭一つ小さいだけの、女性としては飛び抜けて背が高く大柄なユズリハが一般的な大きさの幅広の長剣を手に構えていると、その剣が頼りなく見えてしまうほど、身体から圧を感じる。
だが、その圧は見せかけだけで、実のところはユズリハの腕力は小柄なアサヒと変わらない。アジムの剣を真正面から受けてしまえば、なすすべもなく押し切られてしまう程度のものだ。
しかし、土の魔法剣士であるユズリハはその見せかけの圧と<暴走>で一時的に跳ね上げた腕力で初めて戦う相手だからと様子見していたアジムを押し、アジムが後ろに退いた瞬間に集中なしで使える小さな<土壁>を、退くアジムの足の踏み出し先を遮るように放った。
足を掬われたアジムは押してくるユズリハと自分の鎧の重量を咄嗟には支えきれずに仰向けに転がり、上にのしかかったユズリハに、首へと刃を振り下ろされたのだ。
直接的に打ち込まれる攻撃魔法であれば、アジムの<抵抗力>スキルは十分な効果を発揮するが、こういう使い方をされると<抵抗力>がどれほど高くても意味がない。
そういえばアカネと戦ったときに炎で視界を遮られてコントロールされたなぁと、蘇生してもらってから思ったものだ。
「おおぉぉぉぉ!!」
今度は見せかけの圧に騙されない。
アジムは先んじて踏み込んで剣を振るい<暴走>も使わせまいとユズリハに対応を迫る。
「……っく!」
ユズリハはアジムの重い剣をどうにか受け流すが、立て続けに振るわれる竜巻のようなアジムの剣を受け続けられるはずもない。
「あぅっ!」
がつっ、と一際大きな金属同士がぶつかり合う音がして、アジムの剣を受け流し損ねたユズリハが体勢を崩して跳ね飛ばされる。アジムはさらに踏み込んで、ユズリハに留めの一撃を振るおうとして、
「<土壁>っ!」
ユズリハが作り出した小さな<土壁>に蹴躓いてすっ転んだ。
後ろに退くときに足を掬えるんだから、前に出るときにも使えるよなぁ、と思ったのは地面に転がってからだ。
身を起こそうとするアジムに、すかさずユズリハが剣を振るってくる。だが、今度は次の攻撃が予測できていた。ソフィアが用意してくれた鎧と自分の肉体を信じて振るわれる刃を左腕で受け止め、無防備なユズリハの腹を立ち上がる勢いも利用してアッパーカット気味に殴り上げる。
「ごっぽ……っ!」
ユズリハは鈍い水音のような苦悶の声を漏らし、剣を手放して腹を抱えて仰向けに倒れ込んだ。
斬られた左腕の感覚がないが、チャンスだ。倒れ込んだユズリハにのしかかり、魔法使い相手なら殴るよりも呼吸を奪って魔法を封じたほうがいいだろうと動く右手で首を締め上げる。この状況でも土魔法使いとの戦闘経験が少ないアジムは「何かできたりしないだろうか」と不安だったが、流石に詰みだったらしい。
「っか、ひゅ……!
こ……ふ……!!」
しばらくは歯を食いしばってアジムの手をなんとかしようと藻掻いていたユズリハだったが、アジムの手がさらに深く喉に食い込むと、アジムの手を掴んでいた両手から力が抜け、端に唾液の泡をためた口を物言いたげに動かし、蕩けた目でアジムを見上げながらゆっくり意識を手放していった。
ユズリハが完全に気を失ったのを確認して、アジムは身を起こす。
「……っふぅ」
兜を脱ぎながら、痺れて感覚のなかった左手を動かしてみる。ちゃんと腕はつながってるが、鎧の内側にぬるりとした感触がある。
「治療しますよ」
「あ。
ありがとうございます」
クレアが声をかけてくれて、あっという間に痛みが引いていく。
「うわ、めっちゃいい笑顔」
「気絶する瞬間、幸せそうだったもんねぇ」
「腹立つから<覚醒>じゃなく水ぶっかけてやりましょう」
不意の窒息プレイで満足そうに気を失っているユズリハには魔法剣士の3人が様子を見に行っていたが、回復魔法を使えるはずのシオンが言葉通り<水作成>で水をぶっかけて叩き起こしていた。
とりあえずは魔法剣士の4人と戦い、勝てたので、一息入れる。
草の上に腰を下ろして酒の肴にするためにパンに挟まずいくつか残してあったジャーキーとエールを楽しみながら、戦った感想とアドバイスをもらう。
「いやー、私は話にならなかったね。
火の魔法剣士とは戦い慣れてるのかな。
何をやっても「それ知ってる」的に処理された感があったなぁ」
「私は剣よりも魔法に偏ってますから、
あまりお役に立てなかった気がしますね。
申し訳ないです」
「アジムさん、ちゃんと兜を被ってるから、
風を使った見えない目潰しがほとんど使えなかった……。
私もアサヒと同じ感じで雑に処理された感じかなー」
アサヒ、シオン、カオルがそれぞれに戦った感想を口にする。
「<土壁>を使った足を引っ掛ける戦い方も覚えたでしょうし、
土使い相手でももう大丈夫だと思いますよ。
魔法専門ならともかく魔法剣士の<石弾>じゃ
アジムさんの板金鎧の上からダメージを与えられませんし
<石化>なんて抵抗力の高いアジムさんにかかるはずもないですし」
水をぶっかけて叩き起こされたユズリハも、タオルで髪を拭きながら声を上げた。
「ありがとうございます。
とてもいい経験になりました」
アジムがそう言って頭を下げると、治療を終えた後は自分の荷物をゴソゴソしていたクレアが近づいてきて、
「こちらこそありがとうございました。
こちら、お納めください」
そう言って頭を下げながら両手で小切手を差し出した。
今回の冒険傭兵としての報酬だ。契約通り金額が記載されている。
8万円だ。これまでのアジムの収入を思えば、とんでもない金額だ。
「なんか、鍛錬にまで付き合ってもらってお金をいただくの、
申し訳ない気がします」
アジムが小切手に手を出すのをためらっていると、クレアがさらにずいっと小切手を差し出してくる。
「駄目ですよ。契約通りに受け取っていただかないと。
私たちが契約を履行しないパーティだと言われてしまいます」
「じゃあ……遠慮なく。
ありがとうございます」
そう言われてアジムは小切手を受け取った。
「それに、この金額だと安すぎるので、
今度からもっと高い金額で契約でいいと思います」
「……そうですか?」
「はい。とても安いです」
アジムは戸惑ってクレア以外のメンバーに視線を向けるが、視線を向けられた他の面々も頷きを返す。
「とにかくダメージを受けても戦線を崩さずに維持してくれるの本当に助かったよ」
「敵の数が多くても後ろに逸らさずに自分に引き付けてくれましたね」
「堅い相手にもダメージを与えてくれるし」
「色々な冒険道具を持ち歩いてくれてるのもありがたいよね。
今もお水とかビールをいれてるカップはアジムさんのですし」
口々に言われ、アジムは照れて頭を掻く。
「それと、こういう言い方はちょっと誤解されるかもしれませんが……
アジムさんは耐久型の前衛ですから、怪我してくれるでしょう?」
クレアに言われてアジムは頷いた。
「そうですね……敵の攻撃を避けきれないのが当たり前なので、
結構怪我します……治してもらってすみません」
「いえ、そうではなく。
治癒術師って、味方が回避の上手い人ばかりだと、普段は暇なんです。
だから、一撃で即死せず適度に怪我してくれる耐久型の前衛がいると、
治癒術師は仕事ができて楽しいんですよ」
「ああ、なるほど」
「なので、アジムさんみたいな<回復増強>スキルが入っていて
血を流しても体力が失われず怪我さえ治れば即座に戦線復帰できる耐久型前衛は
治癒専門の術師がいるパーティからすごく求められると思います」
アジムは納得して頷いた。
どうしても怪我の多い自分が誰かから支援してもらうときに、回復量を増やそうと入れておいた<回復増強>のスキルだったが、自然回復にも影響があると気がついたのはスキルがマスターになってからだ。失血の回復も馬鹿げて早いことだろう。
体力なぞは装備を身につけて軽く走りながらでも大きく回復していくので、よほど激しい運動をしていない限り消耗すらしない。今日も朝から5人の女性を抱いて順番に中出しし、間を置かずに立て続けに剣を合わせても息も乱れていない。
「アジムさん、余裕があるならもう少し戦う?
私たちじゃガチ対人の人より弱いから、
あまりいい経験をさせてあげられないかもしれないけど」
エールを飲みかけていたアサヒがそう声をかけてくれたが、アジムは首を横に振った。
「いえ、今日はこのくらいで。
戦闘の記録は取らせてもらっていたので、
内容を確認しながらどう動くのがいいのかゆっくり確認します」
「そっか。
じゃあ、アジムさんも飲もう!」
頷いたアサヒが差し出してくれたエールのカップを受け取り、口に運びながら目を空に向ける。
抜けるような青空に薄い雲が流れていく。陽の光は穏やかで、ぽかぽかと温かく降り注いでいる。視線を戻すと、カップを差し出してくれたアサヒが別のカップにビールを満たして乾杯を待ってくれていた。同じようにビールのカップを手にしたシオンとカオルも乾杯を待ってくれていて、カップが足りずに乾杯できないクレアとユズリハはアジムのためにジャーキーを炙ってくれている。
アジムは一緒に冒険し、剣を合わせた仲間たちに笑みを向け、カップをかかげた。
「乾杯!」
冷えていない革袋の匂いがうつったエールだが、最高に旨いエールだった。
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