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1 王立学園
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ここは、トレイニー国にある唯一の王立学園であるトレイニー王立学園。
主に貴族階級が通う学園で、伯爵令嬢である私も15歳になるともれなく入学した。
卒業まではあと半年余り。
(しっかし、ここは嫌な思い出ばっかり……)
自分では割りと気に入っている漆黒のストレートヘアーが、風にふんわりと流された。特別美人とまではいかないが、皆に愛される大きなブラウンの瞳は気に入っていた。
ランチタイムには人目を避けるように図書館近くの芝生でランチボックスを広げていたが、風がだいぶ強くて食べるのは遠慮したい気分だった。
レジャーシートが飛ばないように片付けしていると、近くを通りかかった女生徒達が私を見ながら何やら噂しているようだ。
(もう慣れたからあれだけど……)
いつの間にか、私は学園ではいわゆる悪役令嬢になっていたのだ。
特に何もしていないのに……。
ーー妹を平気で虐げる冷酷な姉
ーー愛し合う2人を引き裂く卑劣な女
故意に流された噂だけが一人歩きし、誰も本質を見てくれようとはしなかった。
(実の両親だって、妹の主演女優賞総ナメの演技にはイチコロよね……)
学園でも、屋敷でも味方はいない。
「あれ?お姉様?またこんなところに一人でいたの?」
同じ顔をした妹に言われると本当に腹が立つ。
無視しながら片付けを急ぐが、もう一人めんどくさい相手もやって来た。
「ジョセフィーヌ、オリーブが話しかけてるのに無視かい?何で君みたいな女と私は結婚しなくてはいけないのか、本当に分からないよ……」
ため息をつきながら私の婚約者であるホワイティア伯爵家次男のエリオット様が、毎度の如く嫌味を放つ。
(そもそも、私の婚約者であるあなたが、いつも私の妹とイチャイチャしてるのがおかしいって、何で分からないのかが分からない……!)
私はエリオット様も無視し片付けを終えた。
私とエリオット様の婚約は政略的なもの。
私が伯爵家の長女で婿が必要だから母親同士が仲が良く、以前から交流があった次男のエリオット様に決まっただけ、だ。
昔から私と一卵性双生児の妹であるオリーブ、エリオット様は一緒に遊ぶ幼馴染だったし、そこに恋愛感情は全くない。
その上、昔から妹は何かと私を敵視していて、私が幸せになることを許してくれなかった。
時に病弱令嬢になり、時に庇護欲誘う令嬢になりーー。
あの手この手で、私に差し伸べられようとする手を払い、両親の愛情を奪っていった。
今回は婚約者を奪いたいだけーー。
学園に入学してからは、わざと私が孤立するように、エリオット様と元々愛しあっていた恋人設定にしたようだ。
私とエリオット様の婚約は遥かに昔になされているにも関わらず……。
更に、エリオット様が絵に描いたような女好きのダメ人間と来たものだから相手をするのも時間の無駄だった。
「…ですから、エリオット様。何度も申し上げておりますが、オリーブと婚約されたらいかがですか?早く私と婚約破棄して下さい。あなた有責でっ!」
私だってこんな男と結婚したくない。
だから、2人の設定にわざと応えるフリをしてきたのに。
「……じょ、ジョセフィーヌ!何かあればすぐに婚約破棄を持ち出す。この結婚は政略的なものだ。私はオリーブを愛しているんだ。でも、オリーブも私も領地経営はしたくない。ジョセフィーヌが領地経営しなくて誰がするんだっ!」
またまたエリオット様は無茶苦茶な理論を展開する。
はぁ……。
私は確かに小さい頃から領地経営の英才教育を受けてきた。それは、我がボールドワルド家に後継になる男児がいないから、だ。
妹のオリーブも最初は一緒に教育を受けていたが、教師が匙を投げた。
妹に甘い両親は、お金もかかることなので教育を私一人に絞ったのだ。
(……私のこと、何だと思ってるんだか)
領地経営は私にやらせ、自分とオリーブは贅沢三昧するつもりなのだろうか?
(…はぁ。この会話自体が無駄……)
エリオット様からしたら、次男のため実家の伯爵家を継げない。が、楽して贅沢だけしたい。
となれば、領地経営の才能がある私を捕まえる必要がある。
それだけのことだ。
何度も両親に婚約者変更を願い出たが、聞き入れてもらえなかった。
両親としても、オリーブには領地経営が無理なことは理解しているのだ。
おまけに、最近では学園での噂を信じ、私がオリーブを虐めている、と言い出す始末。
「領地経営でございますか?オリーブとされれば良いのではないですか?」
「お前みたいな可愛げのない、傷モノ令嬢は、婚約破棄されたら行く場所すらないだろう?だから、優しい私がお前と結婚してやるんだっ!」
傷モノって…。
「そうですよ、お姉様?エリオット様と仲良くして下さいな。いつもそんな態度だから、エリオット様は、私ばかり大切にして下さるんですっ!」
「……話はそれだけですか?私は、私にふさわしい婚約者と仲良くするつもりですので……。時間が勿体ないので失礼します」
一刻も早くこの場を立ち去りたかった。
「お、おい!話はまだだ…!ジョセフィーヌっ!戻って来い!」
後ろでハエが喚いているが無視するに限る。
おかげで貴重な昼休みを台無しにされてしまった。
スタスタと午後の授業がある校舎に向かっていると、草陰から呼び止められた。
「フィー?」
この学園で私をフィーと呼ぶのはただ一人。
同じような境遇で、この芝生でいつからか意気投合している唯一の仲間……クラスメイトの公爵令息であるカイトライトが声を掛けてきた。
柔らかな金色の髪に深い海のようなシャープな瞳は、見るものを魅力してやまない。
「また、派手にやってたな……」
「……聞いてたの?」
「ここで静かに寝てたら雑音が聞こえてきたからな」
「ふふふ。雑音って」
「相変わらずな連中だな……。フィーが少し笑顔になったから良かった」
「……ありがとう」
「……なぁ、俺さ、考えてみたんだけどさ」
「何?」
「お見合いしてみないか?」
「お、お見合い?」
驚いて声が裏返ってしまった。
「あんな男と結婚したいのか?」
「……したいわけないでしょう」
「なら、アイツよりも優秀な婚約者を見つければ可能性があるかも知れないだろう?」
ようは、私とオリーブを交代するのではなく、エリオット様の代りを探す作戦だ。
「まあ、そうだけど……。カイトは知り合いにいるの?そんな都合の良い相手が?」
「……とりあえずは、アイツよりまともな奴を数人見繕うよ。その中からフィーが会いたい奴がいたら教えて?」
「あ、ありがとう」
カイトはいつだって私に優しくしてくれる。
でも、婚約者を探してくれる、と言われて胸がチクリと痛む。
「でも、私……。カイトにお礼出来ないよ?」
「それなら、一つお願いがあるんだ。紹介したら、久しぶりに以前話してくれた森に連れて行ってくれないか?」
「そんなお願いでいいの?というか……」
逆に、カイトと二人っきりで森に行くことが出来るのが嬉しい、なんて言えなかった。
「じゃあ、準備出来たら連絡する。お見合い作戦、上手くいくといいな」
私は頷くと複雑な気持ちでカイトとその場で別れた。
本当は一緒に校舎まで歩きたかったけど、一応お互い婚約者がいる身分。これ以上の醜聞は避けたかった。
私は気持ちを落ち着けるため、無理矢理授業に集中することにした。
そして、その日の放課後にまた事件が起きた。
主に貴族階級が通う学園で、伯爵令嬢である私も15歳になるともれなく入学した。
卒業まではあと半年余り。
(しっかし、ここは嫌な思い出ばっかり……)
自分では割りと気に入っている漆黒のストレートヘアーが、風にふんわりと流された。特別美人とまではいかないが、皆に愛される大きなブラウンの瞳は気に入っていた。
ランチタイムには人目を避けるように図書館近くの芝生でランチボックスを広げていたが、風がだいぶ強くて食べるのは遠慮したい気分だった。
レジャーシートが飛ばないように片付けしていると、近くを通りかかった女生徒達が私を見ながら何やら噂しているようだ。
(もう慣れたからあれだけど……)
いつの間にか、私は学園ではいわゆる悪役令嬢になっていたのだ。
特に何もしていないのに……。
ーー妹を平気で虐げる冷酷な姉
ーー愛し合う2人を引き裂く卑劣な女
故意に流された噂だけが一人歩きし、誰も本質を見てくれようとはしなかった。
(実の両親だって、妹の主演女優賞総ナメの演技にはイチコロよね……)
学園でも、屋敷でも味方はいない。
「あれ?お姉様?またこんなところに一人でいたの?」
同じ顔をした妹に言われると本当に腹が立つ。
無視しながら片付けを急ぐが、もう一人めんどくさい相手もやって来た。
「ジョセフィーヌ、オリーブが話しかけてるのに無視かい?何で君みたいな女と私は結婚しなくてはいけないのか、本当に分からないよ……」
ため息をつきながら私の婚約者であるホワイティア伯爵家次男のエリオット様が、毎度の如く嫌味を放つ。
(そもそも、私の婚約者であるあなたが、いつも私の妹とイチャイチャしてるのがおかしいって、何で分からないのかが分からない……!)
私はエリオット様も無視し片付けを終えた。
私とエリオット様の婚約は政略的なもの。
私が伯爵家の長女で婿が必要だから母親同士が仲が良く、以前から交流があった次男のエリオット様に決まっただけ、だ。
昔から私と一卵性双生児の妹であるオリーブ、エリオット様は一緒に遊ぶ幼馴染だったし、そこに恋愛感情は全くない。
その上、昔から妹は何かと私を敵視していて、私が幸せになることを許してくれなかった。
時に病弱令嬢になり、時に庇護欲誘う令嬢になりーー。
あの手この手で、私に差し伸べられようとする手を払い、両親の愛情を奪っていった。
今回は婚約者を奪いたいだけーー。
学園に入学してからは、わざと私が孤立するように、エリオット様と元々愛しあっていた恋人設定にしたようだ。
私とエリオット様の婚約は遥かに昔になされているにも関わらず……。
更に、エリオット様が絵に描いたような女好きのダメ人間と来たものだから相手をするのも時間の無駄だった。
「…ですから、エリオット様。何度も申し上げておりますが、オリーブと婚約されたらいかがですか?早く私と婚約破棄して下さい。あなた有責でっ!」
私だってこんな男と結婚したくない。
だから、2人の設定にわざと応えるフリをしてきたのに。
「……じょ、ジョセフィーヌ!何かあればすぐに婚約破棄を持ち出す。この結婚は政略的なものだ。私はオリーブを愛しているんだ。でも、オリーブも私も領地経営はしたくない。ジョセフィーヌが領地経営しなくて誰がするんだっ!」
またまたエリオット様は無茶苦茶な理論を展開する。
はぁ……。
私は確かに小さい頃から領地経営の英才教育を受けてきた。それは、我がボールドワルド家に後継になる男児がいないから、だ。
妹のオリーブも最初は一緒に教育を受けていたが、教師が匙を投げた。
妹に甘い両親は、お金もかかることなので教育を私一人に絞ったのだ。
(……私のこと、何だと思ってるんだか)
領地経営は私にやらせ、自分とオリーブは贅沢三昧するつもりなのだろうか?
(…はぁ。この会話自体が無駄……)
エリオット様からしたら、次男のため実家の伯爵家を継げない。が、楽して贅沢だけしたい。
となれば、領地経営の才能がある私を捕まえる必要がある。
それだけのことだ。
何度も両親に婚約者変更を願い出たが、聞き入れてもらえなかった。
両親としても、オリーブには領地経営が無理なことは理解しているのだ。
おまけに、最近では学園での噂を信じ、私がオリーブを虐めている、と言い出す始末。
「領地経営でございますか?オリーブとされれば良いのではないですか?」
「お前みたいな可愛げのない、傷モノ令嬢は、婚約破棄されたら行く場所すらないだろう?だから、優しい私がお前と結婚してやるんだっ!」
傷モノって…。
「そうですよ、お姉様?エリオット様と仲良くして下さいな。いつもそんな態度だから、エリオット様は、私ばかり大切にして下さるんですっ!」
「……話はそれだけですか?私は、私にふさわしい婚約者と仲良くするつもりですので……。時間が勿体ないので失礼します」
一刻も早くこの場を立ち去りたかった。
「お、おい!話はまだだ…!ジョセフィーヌっ!戻って来い!」
後ろでハエが喚いているが無視するに限る。
おかげで貴重な昼休みを台無しにされてしまった。
スタスタと午後の授業がある校舎に向かっていると、草陰から呼び止められた。
「フィー?」
この学園で私をフィーと呼ぶのはただ一人。
同じような境遇で、この芝生でいつからか意気投合している唯一の仲間……クラスメイトの公爵令息であるカイトライトが声を掛けてきた。
柔らかな金色の髪に深い海のようなシャープな瞳は、見るものを魅力してやまない。
「また、派手にやってたな……」
「……聞いてたの?」
「ここで静かに寝てたら雑音が聞こえてきたからな」
「ふふふ。雑音って」
「相変わらずな連中だな……。フィーが少し笑顔になったから良かった」
「……ありがとう」
「……なぁ、俺さ、考えてみたんだけどさ」
「何?」
「お見合いしてみないか?」
「お、お見合い?」
驚いて声が裏返ってしまった。
「あんな男と結婚したいのか?」
「……したいわけないでしょう」
「なら、アイツよりも優秀な婚約者を見つければ可能性があるかも知れないだろう?」
ようは、私とオリーブを交代するのではなく、エリオット様の代りを探す作戦だ。
「まあ、そうだけど……。カイトは知り合いにいるの?そんな都合の良い相手が?」
「……とりあえずは、アイツよりまともな奴を数人見繕うよ。その中からフィーが会いたい奴がいたら教えて?」
「あ、ありがとう」
カイトはいつだって私に優しくしてくれる。
でも、婚約者を探してくれる、と言われて胸がチクリと痛む。
「でも、私……。カイトにお礼出来ないよ?」
「それなら、一つお願いがあるんだ。紹介したら、久しぶりに以前話してくれた森に連れて行ってくれないか?」
「そんなお願いでいいの?というか……」
逆に、カイトと二人っきりで森に行くことが出来るのが嬉しい、なんて言えなかった。
「じゃあ、準備出来たら連絡する。お見合い作戦、上手くいくといいな」
私は頷くと複雑な気持ちでカイトとその場で別れた。
本当は一緒に校舎まで歩きたかったけど、一応お互い婚約者がいる身分。これ以上の醜聞は避けたかった。
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