次期聖女はシークレットベイビー

紅位碧子 kurenaiaoko

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12.希望

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ダニエルに連れ出されいつの間にか部屋に戻っていた。

ナナが扉のところで呆然としている私の様子を見て駆け寄って抱きしめてくれた。

「……スカーレット様っ!あぁ……何て酷いことを……!」

私の乱れたまままの衣服、乱れた髪型から瞬時に察してくれた。

「……ナナ?私は何か悪いことをしたかな?神さまは残酷すぎるっ……湯浴みしたい。付きあってくれない?」

ナナが予め用意してくれていた浴槽によろよろと近づいた。

「……本当に惨めだった……!あの男、聖女の前で私を犯した……!」

こんなことをして何をつなぎとめるのだろう?
溢れる憎しみと憎悪……。

何とか服を脱ぎ、痛む下半身を湯に浸した。

あの男の感触を今すぐにでも消したかった。

「ナナ……。私、何とか明日までは頑張るよ……」

心が何とか脱出という希望で正常に保っていた。

「軟膏だけ何とか手配しましたので、湯浴みしたら塗布しますね」

毎晩強引にねじ込まれるあの男の肉棒のせいで、私の花唇は切れてしまっていた。

歩く度に痛みを感じ、排泄の度にその激しい痛みに耐えるしかない。

(あと1日の我慢だから……!)

私は自分に言い聞かせる。

あぁ……。

しかし、ここで泣いたら負けだ。

絶対に逃げる!
絶対に復讐する!

何とか頭を切り替えなくては……。

丁度よい加減のお湯に少し心が解れてきた。

明日は計画の最終チェックを行うつもりだ。

「ナナ、もう上がるから」

私はナナに着替えを手伝ってもらうと、早めに休むことにした。

◇◇◇◇

あんなことがあったのに、不思議とすぐに眠りに落ちていたらしい。

疲れ果てて強制終了された感覚だった。

朝からナナが朝食と共に現れた。

「おはようございます。スカーレット様!」

今日のメニューはどうやら大好きなチーズ入のオムレツと、パン、コンソメスープのようだ。

「うふふ。オムレツ、大好きだから少し気分が良くなったわ」

それは良かった、とナナがサーブしながら兄からの手紙を渡してくれた。

「……食後に少し付きあってもらえない?」

私はナナと明日の計画の話を始めた。




私の計画はこうだった。

契約をしたいから殿下の部屋に伺いたい、とナナを通して伝える。おそらく、ダニエルが迎えにくるはずだ。

部屋から何とかして出ればあとは運に任せるしかない。

殿下の部屋まで行く間に、私の護衛をする人物を何とかするしかないのだが、力では勝てないため、ダニエルに気が付かれないように公爵家が用意する護衛と入れ替わる必要がある。

「スカーレット様、その入れ替わりですが、やはり曲がり角でかつ死角がある場所で、瞬時に入れ替われるとすれば、殿下の部屋に上がる前の階段下しかないと思います。そのため、明日はそこに公爵家から2名人員を配置します」

「……そうだよね、あそこしかないよね……」

「護衛を入れ替えても、殿下の部屋まではあまり距離がありません。入れ替えたタイミングでスカーレット様は走り始めて下さい。その廊下を出た突き当りの使用人控室にメイド服などを準備してますので、素早く着替えて目的地に向かって下さい。護衛たちでダニエルを何とかします。正直、かなり無謀な計画です、スカーレット様……」

「そ、そうだよね……。分かる、良く分かってるつもり。万が一、私が捕まればジ・エンドだし……」

ナナが心配そうに頷いていた。

「でもね、ここで毎日、犯され妊娠するよりはよっぽど意味があると思う。みんなには危険を犯させて悪いと思うけど……」

私の決意は揺らがなかった。
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