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婚約
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例の事件は、公爵家の跡取りであるアレクを誘拐するために仕組まれたことが分かったが、内容が内容なだけに箝口令が敷かれた。
そのため、リリアナがアレクをかばって傷を負ったことも表沙汰にされることはなかった。
背中に走る10センチにも及ぶ切り傷は貴族令嬢にとっては致命的な傷だったが、私は気にしなかった。
ーー大好きなアレクを助けた名誉の傷だから。
その後、しばらくして私はアレクの正式な婚約者になった。ほぼ同時期に姉のミリアーヌは王太子殿下の婚約者に選ばれた。
そのため、事件が落ちつき傷が癒えた頃に二人の婚約御披露目パーティーが開かれることになった。
アレクとは事件の後はしばらく会わずにいたが婚約パーティーの打ち合わせもあり、姉も含めて頻繁に会うようになっていた。
三人の暗黙の了解であの事件のことを口に出すことはなかった。
婚約パーティーも盛大に催され、私は公爵家に花嫁修業として移り住むことになり、一年後に結婚することになった。
ーー何て幸せなんだろう!
公爵家に引っ越しする日に姉から言われた言葉が胸に引っ掛かりずっとつかえていた。
『リリアナ、ありがとう。あなたのお陰よ』
美しい彫刻のような造形の姉の顔が妖艶に微笑んだ。
(……私のお陰?)
不思議に思いながらも、私は公爵家の馬車に乗り込んだ。
両親は最後まで厄介者の次女の私に無関心で、早く公爵家に嫁にいけとばかりに追い出された。
(……これで公爵家には厄介者はいなくなる)
私はこれからアレクのためだけに生きよう。
そう心に誓い、専属侍女のシリカと専属護衛のユンと共に長年慣れしたしんだ公爵家を後にした。
そのため、リリアナがアレクをかばって傷を負ったことも表沙汰にされることはなかった。
背中に走る10センチにも及ぶ切り傷は貴族令嬢にとっては致命的な傷だったが、私は気にしなかった。
ーー大好きなアレクを助けた名誉の傷だから。
その後、しばらくして私はアレクの正式な婚約者になった。ほぼ同時期に姉のミリアーヌは王太子殿下の婚約者に選ばれた。
そのため、事件が落ちつき傷が癒えた頃に二人の婚約御披露目パーティーが開かれることになった。
アレクとは事件の後はしばらく会わずにいたが婚約パーティーの打ち合わせもあり、姉も含めて頻繁に会うようになっていた。
三人の暗黙の了解であの事件のことを口に出すことはなかった。
婚約パーティーも盛大に催され、私は公爵家に花嫁修業として移り住むことになり、一年後に結婚することになった。
ーー何て幸せなんだろう!
公爵家に引っ越しする日に姉から言われた言葉が胸に引っ掛かりずっとつかえていた。
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美しい彫刻のような造形の姉の顔が妖艶に微笑んだ。
(……私のお陰?)
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両親は最後まで厄介者の次女の私に無関心で、早く公爵家に嫁にいけとばかりに追い出された。
(……これで公爵家には厄介者はいなくなる)
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そう心に誓い、専属侍女のシリカと専属護衛のユンと共に長年慣れしたしんだ公爵家を後にした。
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