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結婚式前日
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アレクの待つ公爵家に移り住むと、豪華な客間が私の部屋になった。
毎日、公爵家の嫁になるためのレッスンがビッシリと組み込まれていた。
歴史、社交に貿易、語学にマナーなどなど朝から晩までこれ程勉強してことはなかった。
もともと読書が好きだった私はアレクのためだと思うと毎日楽しく頑張れた。
講師の先生からも真面目で習得が早いと褒められ、大変だけれど充実した毎日だった。
その頃はあまり不思議に思わなかったが、姉が頻繁に私に会いに来た。
……特に用事もなく、しばらく雑談すると王太子殿下からの伝言があるなどでアレクと執務室に消えることが多かった。
私は花嫁修業と結婚式の準備で忙しいすぎて気にもとめなかった。
アレクとはあの事件以来、差し障りのない会話しか交わせないでいた。
もちろん、デートの誘いもなければ、贈り物もなかった。甘い言葉のひとつもなしーー。
(……どれたけ望まれていない花嫁なんだか……)
傷モノ令嬢である私を義務感から娶ってくれるだけなのだから。
そこに期待をしてはいけないと思いつつも、恋心は期待してしまう。
(……ダメね、私は…。残念な傷モノ令嬢なんて誰も相手にしてくれないのだから……。結婚してくれるだけでもアレクに感謝しなくちゃ…!)
ちょうど届けられたウェディングドレスを見ながら深いため息をついた。
(……明日からは正式なアレクの妻になるんだから。愛なんて期待しちゃダメ……)
毎日、公爵家の嫁になるためのレッスンがビッシリと組み込まれていた。
歴史、社交に貿易、語学にマナーなどなど朝から晩までこれ程勉強してことはなかった。
もともと読書が好きだった私はアレクのためだと思うと毎日楽しく頑張れた。
講師の先生からも真面目で習得が早いと褒められ、大変だけれど充実した毎日だった。
その頃はあまり不思議に思わなかったが、姉が頻繁に私に会いに来た。
……特に用事もなく、しばらく雑談すると王太子殿下からの伝言があるなどでアレクと執務室に消えることが多かった。
私は花嫁修業と結婚式の準備で忙しいすぎて気にもとめなかった。
アレクとはあの事件以来、差し障りのない会話しか交わせないでいた。
もちろん、デートの誘いもなければ、贈り物もなかった。甘い言葉のひとつもなしーー。
(……どれたけ望まれていない花嫁なんだか……)
傷モノ令嬢である私を義務感から娶ってくれるだけなのだから。
そこに期待をしてはいけないと思いつつも、恋心は期待してしまう。
(……ダメね、私は…。残念な傷モノ令嬢なんて誰も相手にしてくれないのだから……。結婚してくれるだけでもアレクに感謝しなくちゃ…!)
ちょうど届けられたウェディングドレスを見ながら深いため息をついた。
(……明日からは正式なアレクの妻になるんだから。愛なんて期待しちゃダメ……)
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