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番外編
姉からの手紙
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王太子妃教育で目の回る忙しさの中。
とある日、シリウス殿下から呼び止められた。
「リリアナ、あの女から私とリリアナ宛に手紙が届いた。私は読んだが……。リリアナは読むか?どうする?」
わざわざ忙しい殿下が私を呼び止めてまで聞くのだから、相当な内容なんだろう。
「……姉がいつまでもお騒がせしてすみません……。殿下が読まれたのなら、私も読ませて頂きます」
殿下の手元の手紙に視線を送ると、宛名からは見慣れた姉の字が見えた。
「……リリアナならそう言うと思っていたが……。とりあえず、先に伝えるならば……。物凄く後味が悪く、気分が悪くなる手紙だ」
殿下の表現に私は思わず笑ってしまった。
「……殿下、すみません。笑ってしまいまして……。姉らしいな、と思いまして」
「……確かにそうだな」
殿下は私に手紙を差し出すと執務室に消えていった。
私はどうせならシリカとユンと楽しもうと二人に声をかけ、王宮内の与えられた部屋に向かった。
◇◇◇
「……リリアナ様、では私シリカが代読させて頂きます!」
シリカが読み、私が突っ込みを入れることにした。
そんな茶番劇がこれから開始される。
「……えー、コホン。では読ませて頂きますっ!」
シリカの音読が始まった。
『リリアナへ
私は修道院で生きてるけど、毎日退屈すぎて……。
(退屈?って…!!)
シスターから反省文を書けと言われたから残念女に書くことにした。あ、今は王太子の婚約者だった。
(……どこが反省文?と、いうかいつまで私が残念女なの?)
でも、才色兼備な私が反省文なんて必要ないわよね?だから、とりあえず手紙書いてみたわ。読みたくなければ捨てて。
(…… 相変わらずの自己肯定感高過ぎっ!)
修道院は本当に退屈。掃除に、洗濯に、食事の世話に。欠伸しか出ないお祈りの時間。男もいないし、楽しいことなんてひとつもないから、考えたの!ここから脱走できるかなって。
(えーと。修道院とはそう言うものです……。しかし、つまらないから脱走って…)
で、10回も脱走したんだけど、連れ戻されたわ。おまけに、足枷まで付けられて!ひどい……!
(……いや、むしろ10回も脱走して足枷なかったのが奇跡?)
時々、あんたがあの殿下の婚約者で、国民から愛されてる的な話が耳に入るんだけど嘘よね?まさか、あの寝取られ残念女が?
(……呼び方!あんたになってるし!)
ま、どうでもいいんだけど。関係ないしね。
最後にお願いがあるんだけど。
アレクが領地で暇してるなら、修道院に遊びに来てほしいわ。なんで私、アレクと素直に婚約しなかったんだろう。
(……今さら?)
それと反省文、意味がないから書かせないようシスターにいっておいて。
(……確かに、無意味…!)
ミリアーヌ』
寸劇が終わると、三人で笑いが止まらなかった。
そんな今日も平和な王宮。
とある日、シリウス殿下から呼び止められた。
「リリアナ、あの女から私とリリアナ宛に手紙が届いた。私は読んだが……。リリアナは読むか?どうする?」
わざわざ忙しい殿下が私を呼び止めてまで聞くのだから、相当な内容なんだろう。
「……姉がいつまでもお騒がせしてすみません……。殿下が読まれたのなら、私も読ませて頂きます」
殿下の手元の手紙に視線を送ると、宛名からは見慣れた姉の字が見えた。
「……リリアナならそう言うと思っていたが……。とりあえず、先に伝えるならば……。物凄く後味が悪く、気分が悪くなる手紙だ」
殿下の表現に私は思わず笑ってしまった。
「……殿下、すみません。笑ってしまいまして……。姉らしいな、と思いまして」
「……確かにそうだな」
殿下は私に手紙を差し出すと執務室に消えていった。
私はどうせならシリカとユンと楽しもうと二人に声をかけ、王宮内の与えられた部屋に向かった。
◇◇◇
「……リリアナ様、では私シリカが代読させて頂きます!」
シリカが読み、私が突っ込みを入れることにした。
そんな茶番劇がこれから開始される。
「……えー、コホン。では読ませて頂きますっ!」
シリカの音読が始まった。
『リリアナへ
私は修道院で生きてるけど、毎日退屈すぎて……。
(退屈?って…!!)
シスターから反省文を書けと言われたから残念女に書くことにした。あ、今は王太子の婚約者だった。
(……どこが反省文?と、いうかいつまで私が残念女なの?)
でも、才色兼備な私が反省文なんて必要ないわよね?だから、とりあえず手紙書いてみたわ。読みたくなければ捨てて。
(…… 相変わらずの自己肯定感高過ぎっ!)
修道院は本当に退屈。掃除に、洗濯に、食事の世話に。欠伸しか出ないお祈りの時間。男もいないし、楽しいことなんてひとつもないから、考えたの!ここから脱走できるかなって。
(えーと。修道院とはそう言うものです……。しかし、つまらないから脱走って…)
で、10回も脱走したんだけど、連れ戻されたわ。おまけに、足枷まで付けられて!ひどい……!
(……いや、むしろ10回も脱走して足枷なかったのが奇跡?)
時々、あんたがあの殿下の婚約者で、国民から愛されてる的な話が耳に入るんだけど嘘よね?まさか、あの寝取られ残念女が?
(……呼び方!あんたになってるし!)
ま、どうでもいいんだけど。関係ないしね。
最後にお願いがあるんだけど。
アレクが領地で暇してるなら、修道院に遊びに来てほしいわ。なんで私、アレクと素直に婚約しなかったんだろう。
(……今さら?)
それと反省文、意味がないから書かせないようシスターにいっておいて。
(……確かに、無意味…!)
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寸劇が終わると、三人で笑いが止まらなかった。
そんな今日も平和な王宮。
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