今日。恋をする。

あまみずき

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第3話 君の「好き」が聞きたくて。

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君は僕をどう思っているのだろう。

僕はある人に恋をしていた。

その子は……声がない。
僕が君の声になれたらどんなに嬉しいか……。
そんなこと。ありえないのかな………

僕大田梓(たいだ あずさ)はごく普通の公立高校に通う高校2年生。女の子っぽい名前をしてるからからかわれることは少しあるけどもう慣れてしまった。

そんな僕はクラスの女の子、椎名 恋々音(しいな ここね)ちゃんに恋をしていた。
彼女とは小、中と同じ学校だったが関わる事はあまり無かった。むしろ、関わりづらいと思っていた。
なぜなら彼女には声がないからだった。

彼女はいつも1人で窓を見ていて誰とも話さない。
筆談で話さなければいけないからなのか誰とも話したくないのかは分からないが……。
僕が恋に落ちたのは2年の春だった。
僕が名前のことでからかわれていた時筆談で必死に怒っていたのを見て僕は恋に落ちた。
理由はバカバカしいかもしれないが僕は彼女に本気だった。

声がなくたっていい。君の力ななりたい。君の声になりたい。そう思っていた。

ある日僕は委員会の仕事で遅くまで教室に残っていた。
もう一人委員の子がいたけど用事があると言って帰ってしまった。

外では運動部が練習している。ここの教室は音楽室からも近いので吹奏楽部が練習しているのもわかる。自然なことに囲まれながら僕は仕事を進めていた。その時だった。

ガタッ
ドアに何かがぶつかる音がした。僕はそれがすぐにわかった。
恋々音ちゃんが倒れていたのだった。
僕はすぐ彼女の元へ行く。彼女はうつ伏せで動かない。

「恋々音ちゃん!!恋々音ちゃん!!」
呼んでも返事がない。どうしよう。とりあえず頭がいっぱいなる。落ち着け。落ち着け。
……保健室に運べばいいんだよ。いやまて、女の子を…ましてや好きな子を運ぶんだぞ!?別にやましい気持ちがある訳じゃないけど…でも…はこばなきゃいけないんだよなうん。
訳の分からない自問自答をして僕は彼女をおぶって保健室まで向かった。
ふわっと甘い香りがする。香水…?いや制汗剤かな…?
いやいや、そんなの今はどうでもいい。それにしても体が軽い。身長が高いのにこんなに軽いのは以外だ。ちゃんと食べてるのかな。
こんな事を思ったりしてたら保健室にたどり着いた。
「失礼しまーす…」ドアを開けると誰もいなかった。
とりあえずベットがあるところまで運ぶ。ゆっくり寝かせて近くにあった椅子に座って彼女を見る。
綺麗。いや、可憐と言ったほうが似合う。
清楚で可愛いな…。僕は目の前の彼女にあう言葉を色々と考えていた。

しばらくして彼女が目を覚ました。
僕は「大丈夫?」と一声かける。 彼女は小さくうなづいた。そしてペンで書くような素振りをした。紙とペンが欲しいサインだった。僕は近くにあったペンと紙を持って渡す。彼女は受け取るとサラサラと文字を書き出した。

″あなたがここまで運んでくれたの?″
「あー…うん。急にドアの前で倒れたから…うん。」
″ありがとう″
「いや…う、うん…」

思わず言葉が詰まってしまった。声で会話をしているわけじゃないけど緊張してしまう。

彼女は僕の服の裾を引っ張って紙を指さした。そして彼女はまた書き始めた。

″私、声は出ないし貧血とか起こしやすくてこんなこと良くあるの。その度にいろんな人が助けてくれるんだけどね、その度にすごく辛くなるの″
そして間を開けてこう書いた

″声がない私にはなにもできない。もういっそいなくなった方がいいんじゃないかなって思うの″

…僕は思わず黙ってしまった。
こんな事を思っていたなんて。なんて返せばいい?なんて言えばいい……。彼女の書いた文字をじっと見つめ答えをだした。

「そんなことはない。何も出来ないわけじゃない!」
僕は必死に訴えた。
″だって私には声がないもの″
そう彼女が訴える。
「僕が君の声になる!!君が伝えたいこと、やりたいこと全て僕が隣で支えるから!…だから…その…」
″その…何?″
「ぼ、僕と付き合ってください!!」
言ってしまった。
彼女を見ると泣いていた。
「あっ…その…あのっ…ごめん…」僕は慌てて謝った。
でも彼女は首を横に振り紙にこう書いた。
″よろしくお願いします。″





あの日から数日後、僕は彼女の声をみんなに伝えている。もし君がしゃべれるようになったら君の口から「好きです」が聞ければいいな…なんて思いながら。
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