銀色のクマ

リューク

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グループ発表

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 ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ、カチ。

 体がだるい。昨日の放課後にずっと探していた疲れが残っているのだろうか。それでも掛け布団から腕を伸ばし、やっとの思いで目覚まし時計を黙らせた。二度寝しないようギリギリの意識を保ちながら、ベッドから這い出る。そしてザァッと部屋のカーテンを開けた。今日も晴れだ。向かいの家の木にはほとんど葉が残っていない。風に吹かれると、「ここにいるよ」と言わんばかりに激しく揺れていた。

 眩しさで片目をつぶりながら後ろを向くと、スマホが目にとまった。一呼吸おき、手にとって画面を開いてみる。特に新しい通知はなかった。

 朝食を済ませ、歯を磨き始める。口をゆすいで洗面台の鏡を見た。顔全体がむくんでいる。それをからかうように、くせ毛がピンと横にはねていた。少し濡らしてクシでとかしてみたが直らない。むくみだけでもしっかり洗い落そうと、蛇口を多めにひねる。滝のような勢いのついた水で、ゴシゴシと顔をこする。

 よし、今日も頑張って探さないと。

 仕度を済ませて家を出た。日差しは眩しかったが、十月らしい肌寒さを感じた。道には淋しい色になった葉っぱがたくさん落ち、踏むとクシャクシャと乾いた音がした。

 寒風摩擦のように両手で腕をこすっていると、牧ちゃんが前を歩いているのが見えた。小走りで追いつき、後ろから肩をポンと叩きながら「牧ちゃん、おはよー」と声をかける。牧ちゃんはあたしの顔を見ると、少しこわばった表情をして挨拶を返した。気になったのでどうしたのか聞いてみたが、「ううん、何でもないよ」と明るく否定された。

 学校まで並んで歩く間、牧ちゃんは何かを確かめるように度々後ろへ振り向いた。こちらが話していても、相槌こそ打っていたが、どこか上の空だった。そして校舎の階段を上って教室が見えてくると、「あ、あたしトイレ行ってくるね」と言いながら一人で走っていった。

 変なの。教室は目の前なんだから、ランドセルを置いてから行けばいいのに。

 教室に入ると同時に、妙な視線が向けられているのに気づいた。後ろの席の方に集まっておしゃべりをしていた女子が、こちらをチラチラと見始めた。昨日ゴミ箱に腕を突っ込んでいた時の男子の目つきより冷ややかに見える。肌が外の寒さをウソみたいに忘れ、じんわりと汗を出し始めた。自分の周りだけ空気が薄くなったように息苦しい。

 一時間目は社会だった。先日パン工場で一緒に行動したグループごとに、質問したことや感想を発表する。奈美や牧ちゃんもいた。自分達で決められるグループ分けでは、いつも奈美と一緒になった。三年生の時からずっとそうだ。

 六つの机を長方形に並べ、わら半紙を広げてカラーペンを用意する。準備が整ったグループから、司会を決めて順番に発表していった。

「工場の人が機械でどんどん作られていくパンを一個ずつ点検するのは、すごい大変な作業だと思いました」

 みんなの意見を牧ちゃんがわら半紙に箇条書きにしていく。これから工場見学に向かうバスの中のように、クラスが賑やかになっていった。

 順番が最後のあたしも発言する。

「できたてのパンの中でも、酵母パンが一番美味しかったです。食べ物を作るのにも、色々な知識や研究が必要なんだと学びました」

 前に座っている男子二人が「あー、あれ超うまかった」「えー、俺はクリームパンの方が好き」とおしゃべりをする中、他の女子は誰も口を開かなかった。隣の男子や散らばったカラーペンなど、あたし以外に目を向けていた。

「あのパンすごい美味しかったよね? 奈美?」

 椅子から少し腰を浮かして、飛びつくように聞いた。すると奈美は「うん……、そうだったね」と、持っていた消しゴムを見つめながら呟いた。

「あ。書くスペースなくなったから、ここまでにしよっか」
「そうだねー、もうすぐ発表の時間だし」

 そう言った他の女子が、せっせとカラーペンを片づけ始める。口を半開きにしたまま、わら半紙を見てみる。空白が埋まるように、一番下の意見が牧ちゃんの大きい文字で書かれていた。
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