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王都編 〜お茶会〜
130.おっさん、放心する
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「おかえり~」
「おかえりなさい」
瑠璃宮に着くなり、玄関でロイとディーに出迎えられ、おかえりのキスを頬に唇にされる。
「…ただいま…」
また人前でキスされて、顔を顰めた。
グレイもキースもジャニスも、瑠璃宮専属の使用人達も、もはやいつもの光景といった感じで気にも止めないが、俺はまだ人前でキスしたり、イチャイチャすることに抵抗があった。
日本は挨拶でキスを交わす国ではなかったし、最近は割とオープンになっていたと思うが、それでもまだそういうことをするカップルを冷ややかな目で見る人も多かった。俺の中でもキスや触れ合う行為というのは、秘め事の部類で人に見せられるものではないと思ってしまっている。
だから、今だに慣れない。
確かにキスされると嬉しいし、気持ち良いから好きではあるが、やはり人前では恥ずかしさが先行してしまう。
いつかは慣れるんだろうか。
そう考えながら自室へと上がった。
着替えとクリーンを済ませて、いつもの動きやすい服になり、ようやっとひと心地ついた。
やっぱり聖女仕様の服は着るだけで緊張してしまう。
出来れば、上下スウェットのようなゆるくて楽な部屋着が欲しいと思ってしまった。
夕食を済ませて玄関ロビーで来訪者を待つ。
お茶会での報告をすぐにすることになっており、これから全員揃うことになる。
夜8時、時間ぴったりに観劇の報告の時と同じメンバーが揃い、すぐに会議室に移動した。
「初お茶会はどうだった?」
サイファーがまず感想を聞いてくる。
「意外に楽しかったです」
ニコリと笑いながら言った。
「ほぉ」
俺の言葉にギルバートが反応する。
「その真意は」
「今回の参加者は純粋にお見合いを楽しんでいましたよ。
参加者それぞれが婚活を頑張ってたので、見てるだけでも面白かった」
「コンカツ?」
聞き慣れない言葉に数人が首を傾げた。
この世界にない言葉なのか、と思い、結婚相手を探す活動、略して婚活、と説明すると、なるほどーと納得していた。
「誘われたりしなかったんですか?」
「されたよ」
即答すると、ディーがはっきりと嫌な顔をする。
「けど、曖昧に返事した。
今回の参加者は割と全員あっさりと引き下がった感じだったよ」
そう言うと、アランがキースに参加者の名簿はあるか、と確認し、キースがすぐに自分で作った名簿を差し出す。
「初回が様子見で、これから本格的にという場合もあるので、全員まだ保留という感じですね」
俺の言葉に、名簿を見ながらアランもサイファーも頷いた。
それにしても、つい数時間前に帰って来て、ほぼ一緒にいたのに、いつこんな名簿を作ったのか、とキースの有能ぶりにはいつも驚かされる。
「参加者についてはグレーだな。
シェリーたち主催者側はどうだ」
「ではまずはブリアナさんから」
フィッシャーに事前に聞いていた通りの人物だったと説明した。
「明るくて、人懐っこいし、気遣いが上手です。
ただ、すごくおしゃべりなのが短所ですね。何度か場に合わない話題を持ち出して、シェリーに指摘されることもありました」
お茶会での彼女の言葉や動きを思い出す。
常に動きまわり、飲み物やお茶菓子の追加を指示したり、率先して参加者の輪の中に入り会話を盛り上げる。
かと思えば、たまに1人で隅の方へ移動し何かをメモっている姿を見かけていた。
そのメモを見たわけではないが、チラチラと参加者を見ながらメモしている様子を考えると、おそらく次回以降に引き合わせる相手を考慮するためのものだと思った。
「アーネストは…、わかりませんでした。ほとんど話しませんし、笑いもしません。
お茶会の間も、数人と事務的な会話をした程度で、後はケータリングの確認や伝票類をチェックしていました」
俺と直接会話したのも最初の数回だけで、アーネストの方から話しかけてくることはなかった。
質問しても、どちらともとれる曖昧な返事が多く、表情からも思考が読み取れない。
正直、変わった男だと思ってしまった。
「ブリアナとアーネストには誘われることはなかったのか」
「ありません。2人ともお茶会の進行に必死で、俺にどうこうということは一切ありませんでした」
「2人とも独身なのに、自分達はお見合いに参加しないのよ」
ジャニスが付け加える。
「特にブリアナなんて、自分のことよりも他人の結婚のことばっかり話していたし、それが生きがい、みたいな感じだったわ」
まさにジャニスの言ったとおり、ブリアナは「お見合いババア」そのものだった。
後は若いお二人でどうぞ、に近いセリフを何度か聞いたのを思い出し笑ってしまった。
「アーネストは…、わかんねぇな。ほんと無口で無愛想でよ。
お見合いっていう場所があれだけ似合わねぇ男も珍しいと思っちまったわ」
グレイも呆れたように笑った。
「どちらにせよ、一度会っただけでは判断できませんから、やはりグレーでしょうか」
「わかった。最後にシェリーはどうだ」
「その前に一つ報告が」
シェリーについては長くなりそうだったので、先にお茶会に侵入したロペス男爵家のダンについて報告した。
その話を聞いたサイファー、アランが盛大なため息をつく。
「なんなんだ、いったい」
イラついたアランが指でテーブルをトントンと叩く。
「あれです。ショーヘイ様を襲おうとしたイライジャのお仲間ですよ」
その言葉にロイとディーの眉がピクリと動いた。
「先日報告しましたが、ベッカー子爵家のトラヴィスが瑠璃宮に侵入しました。
ですので、残りの仲間だったダンと、ガルシア子爵家のデレクについても、ショーヘイ様への贈り物やお手紙を拒否する手続きをしました」
「それで焦ってショーヘイと接触しようとしたわけか」
サイファーもため息をつく。
「ダン以下3名については、これ以上何も出来ないように対処することにしよう」
「なんならボコろうか」
ロイがイラつきながら言い、ディーもうんうんと頷く。
「ショーヘイさんに手を出したらどうなるか、叩き込んであげませんと」
物騒なロイとディーに呆れ、誰も返事をすることはなかった。
一度休憩となりキースがお茶を入れ直す間、お見合いであった別な話題を聞かせる。
「ロイとディーのことも話題になったよ」
言われた2人がキョトンとしながら俺を見る。
「なんで」
「なんでって言われても…」
お茶会の席で、複数人に2人について根掘り葉掘り聞かれた。
特に、メンデス男爵家次女ドーラ、ミラー子爵家3男ジェラルド、他数人が真剣に2人について聞いてきた。
とりあえず、差し障りのないことは話したが、後は知らない、わからないで通した。
「ショーヘイさんを仲介役にして我々に近付こうという魂胆ですか」
「まぁ…そうだろうな」
「どいつもこいつも…」
ロイが呆れた笑いを漏らす。
「しつこいですね…」
ディーもため息をついた。
てっきりモテ自慢をするかと思っていたので、その2人の反応にほんの少しだがひっかかりを感じた。
「仕方ないわよぉ。ショーヘーちゃんはもちろん、あんた達も優良物件なんだから」
ジャニスが笑いながら言ったが、その直後、アビゲイルがジャニスの尻をバシッと叩く。
その言葉と行為にさらにひっかかりが大きくなり、モヤっとしたものが心に残った。
キースが新たなお茶を配り終わり、モヤモヤをしまい込んで気持ちを切り替えた。
「それじゃあシェリーについて聞こう」
「彼女は、父親の侯爵が嫌いだそうです」
「ほぉ…それは初耳ですね」
ギルバートが目を細めて面白いと言いたげな表情をする。
「夜会で、俺の好みのタイプを聞いたのは、侯爵から探るように言われたのも理由の一つだったそうです」
「他にも理由があると?」
「それは聞けませんでしたが、おそらくは聞けなかった方が本当の理由だと思いました」
「シェリー自身がショーヘーに、というわけでは?」
「それはないですね。
彼女の目を見れば、俺に興味がないことはわかります。
何か別の理由があるんだと」
「その理由をショーヘイ君はどうみるかね」
ギルバートが楽しそうに聞いてくる。
「その憶測を話す前提として、侯爵とシェリーの軋轢が関係しているのかと思います」
「シェリーが父親を嫌いと言った理由か」
アランに聞かれて頷く。
「シェリーは、はっきりと父親を無能だと。さらに侯爵の狙いまで話しました」
「狙い?」
「はい。5年前のロマーノ家の没落、今回のベネットの失脚、立て続けに起こった公爵家の不祥事に加えて聖女が現れたことで、シギアーノ侯爵は俺を手に入れて、公爵へと位階を上げるつもりだと」
ガチャンと、ロイのティーカップが鳴る。
「あのエロジジイがショーヘーを?」
ロイが顔を引き攣らせる。
「ああ。俺を伴侶か愛人に据えたいらしい」
ブッとディーが口からお茶を噴いた。
「それはそれは…なんとも馬鹿げた妄想を」
クックッとギルバートが可笑しそうに笑う。
「シェリーも同じことを言ってましたよ。何を勘違いしているんだって」
俺も笑いながら言った。
「どう見たって不釣り合いだろ。自分の顔を鏡で見たことあんのか」
ロイが吐き捨てるように言い、その言葉に全員が笑った。
確かに、見た目50代後半の侯爵は、脂ぎった顔に分厚い唇。猫耳は可愛いと思うが、でっぷりと突き出した腹に脂肪のついた太い指にジャラジャラと指輪をつけて、いかにも強欲そうな笑い方をする男だった。
娘のシェリーとセシルの母親は人族で、本当に可愛らしい女性だった。2人とも父親の遺伝子を猫耳と尻尾だけ受け取ったことが幸運だと言えるほど、侯爵本人は不男だった。
後継の長男ジャレッドは母親が違い、父親の遺伝子を色濃く継いでいて、シェリー達とは真逆で、猫耳尻尾を受け継がず、見た目を引き継いでしまったため、彼もまた肥満体型の不男だった。
「ジェロームは見た目ではなく、権力や金が男の価値を決めると思っていますから」
ギルバートが笑いながら言い、本当に気持ちが悪い、とはっきりと貶す。
「ありえんな」
「ないな」
サイファーもアランも毒付いた。
「シェリーはそんな父親をはっきりと馬鹿にしていましたよ。
長子に生まれたというだけで侯爵になった能無しだと。
事前に聞いていた、父親の仕事の半分以上は彼女がやっている、というのはあながち噂ではなく事実ではないかと思いました」
「そうだろうな。
事実、侯爵が提出する領地関連の書類はほぼ全てシェリーを通しているし、確認作業もシェリーへ行っている。
本人に聞いても、シェリーに任せてあると言われるしな」
サイファーが呆れたように呟いた。
「そんな男がどうして聖女を手に入れられると思うのかが不思議でならん」
アランが呆れたように呟き、脱力する。
「まぁ、公爵になりたいという理由であれば、簒奪者とは無関係、ということになるでしょう。
元々、頭の足りない彼には無理だとわかっていましたが」
ギルバートがクスクスと笑いながら言う。
「で、シェリーの本当の理由は」
アランが気を取り直して、続きを促した。
言われて思い出し、お茶を飲んで口の中を潤した後に続ける。
「シェリーは、そんな父親への反発というのもありますが、彼女の目的は本当に他者のお見合いを成功させることにあるんだと思うんです。
つまり、グラーティアの会の意思そのものです」
俺の憶測に全員が黙り込んだ。
「シェリーは後継以外の子息子女を恋愛結婚させたいんです。
おそらくは、貴族というしがらみで利用されるその人達を救いたいのではないかと」
「政略結婚をさせないためか」
「そうです。彼女自身、侯爵令嬢として、そんな立場になったことがあるんじゃありませんか?」
俺よりもシェリーの過去のことを知っている全員を見た。
「5年前、会が発足する以前、何かあったんじゃないですか?」
そう言うと、サイファーが俺をじっと見た。
「シェリーは、ロマーノの長子と婚約していた」
サイファーの言葉に、ビンゴ、と心の中で呟く。
「親同士が決めた、愛のない政略結婚だったんですね」
「そうだ」
サイファーが俯く。
「なるほど。そういうことですか」
ギルバートが目を細めて悲しそうに微笑む。
「シェリーだけではなく、会を立ち上げたジェンキンス家のクレアも、ロマーノの次男と婚約していました。
当然、2人の婚約は白紙に戻りましたが、ロマーノ家の者と婚約していたという事実は彼女達の経歴に傷をつけた。
おそらく今後良縁は望めないでしょう」
ギルバートの言葉に胸が締め付けられた。
家の繁栄のため、親が決めた結婚のせいで、彼女達に傷がついた。
もしロマーノ家が没落していなくても、おそらく地獄のような結婚生活だったのは目に見える。
結婚してもしなくても、地獄であることに変わりはない。
「シェリーは非常に頭が良く、優秀な女性だ。欲しがる貴族も多いが、ロマーノと一度でも関わったことで、その後の縁談が消えた」
「さらに、優秀なせいであのジジイが手放さないし、権力を重視して侯爵以下を門前払いにしている」
サイファーが侯爵をジジイ呼ばわりしたことに笑うが、シェリーの置かれた立場に心底同情した。
「なので、彼女が俺を会に誘った目的は、俺が政治的に利用されないように、その相手を見つけることだったんだと思います」
「つまり、善意だと」
「はい」
全員が黙り込む。
おそらく、彼女の放つオーラや態度から、そんな真意があるとは誰も思っていなかったはずだ。
俺がそう考えたのは、彼女をよく知らないせいで、過度な先入観に囚われなかったのが大きいと思った。
「ただ、これはただの俺の憶測です。
やっぱりグレーであることには変わりありません。
それに、まだ他にも理由があると思ったんです」
ここで、お茶会で彼女に言おうとしていたことを言う。
「彼女と話がしたいと思いました。
出来れば、会とは関係なく」
あのお茶会の席で、シェリーは父親を罵る発言を俺に聞かせた。
その意味も知りたいし、なぜそこまで他人を政略結婚から救おうとしているのかも知りたいと思った。
「瑠璃宮に遊びに来ませんか」
あの時、俺はシェリーにそう言おうとしていた。
もしロペス男爵家のダンの騒動がなければ、きっと言っていた。
たまたま騒動があったため、言いかけた言葉を忘れたフリをしたが、騒動がなくそのまま言っていたら、俺がシェリーに興味があると、誘ったと、その言葉が意味するところを勘違いされてしまったかもしれない。
「シェリーが父親との軋轢を俺に話したのにも、何か意味があるように思えたんです」
「なるほどね…」
サイファーが考え込む。
「キース、お前はどう思う」
「ショーヘイ様の言うとおり、シェリー様は何か他にも大きな目的があるように感じます。
今回のような場所では、人の目もありますし、時間もございません。
ですので、こちらからシェリー様をご招待してもいいのではと考えます」
「グレイとジャニスは?」
「俺もキースと同意見だ。
後ろから見ていたが、シェリーはショーヘーを気にかけていたし、何か話したいようだった」
「そうね。あたしもそれは気になってたわ。何か話そうとしてタイミングを計っていたみたいだった。
けど、ダンの騒動があって完全に逃しちゃった感じよね。
無茶苦茶ダンに怒ってたけど、あれって、騒動への怒りと、言いたいことが言えなかった悔しさみたいなのもあったんじゃないかしら」
よく見てんな、とグレイに言われて、乙女の心情は行動に出るわよ、とジャニスが笑う。
「では…」
サイファーが考えを決めたらしく俺をじっと見た。
「シェリー嬢と面会する場を設けよう。
反対の者はいるか?」
そう言うと、すぐにロイとディーが手を挙げ、驚いて左右の2人を見る。
「反対ではないんですけど、侯爵にはバレないように」
「俺も同意見。娘が誘われたとわかったら、確実に勘違いする」
「あわよくばショーヘイさんを手籠にしようとするかも」
「一緒に来るとか言い出しかねん」
2人が交互に一気に言った。
その2人にサイファーが笑う。
「アルヴィン、シェリー嬢への招待に黒騎士を使いたいが可能か」
「問題ございません」
フィッシャーがニコリと微笑む。
「よし。決まりだな」
アランがニコリと笑った。
「キース、後で書簡内容の打ち合わせを」
続けて嬉しそうにキースを見る。
明らかに公私混同しようとするアランに全員が笑った。
最後に、キースがもう一つ報告をする。
「アストリア狩猟祭にも誘われました」
「ああ…もうそんな時期か」
そういえばそんなことも言われていたな、とその時に思い出した。
隣にいたディーに、表情だけで、何?と確認すると、すぐにディーが察してくれる。
「後で説明しますね」
とニコリと微笑まれる。
「狩猟祭は出なきゃダメだろうな。俺もディーもロイも参加するし」
アランが言い、サイファーやギルバートも頷いた。
「伝統行事でもありますから、聖女としても、独身という意味でも、出席しなければならないでしょう」
ギルバートも言い微笑みながら俺を見る。
俺の頭の上にクエスチョン・マークが浮き上がった。
「狩猟祭は今月末だったか。
シェリーとの面会をその前に済ませて、情報を集めておこう」
「護衛も全員独身だから都合がいいな。お前達も全員出席だぞ」
アランが告げると、ジャニスやアビゲイルが目に見えて喜ぶ。
狩猟祭と独身がなんの関係があるのかと、ますます不思議に思った。
狩猟祭については、すぐに出席の方向で決着がつき、解散することになった。
みんなを見送るために玄関ロビーで挨拶をする。
アランはこのままキースを連れて帰りたくてウズウズしているのを見て笑ってしまう。
「キース、今日はもう大丈夫だよ」
ついそんなアランの味方をしてしまい、キースが微妙な表情になった。
「しかしまだ…」
「キース」
じっと目を見ると、キースが苦笑しつつアランと行くことを了承した。
「ただ、少し待っててください。片付けが少し残っているので」
アランを振り返って言うと、アランは嬉しそうにコクコクと頷いていた。
一度キースと今日の護衛であるオスカーとアビゲイルと共に自室に戻る。
キースがパタパタと自室に放置してあった書類関係を片付けたり、ティーカップを洗ったりするのを手伝い、10分もアランを待たせずにロビーに戻った。
「ショーヘイさんは来なくても」
一緒にロビーに行こうとする俺を止めたが、そこはやはり見送りをしなくては、と嫁を送り出す家族のような気持ちで2人で1階まで降りていく。
だが、その階段の1階と2階の踊り場まで降りてきて、ロビーで話す会話が耳に入ってきて、前を行くキースの服を引っ張って止めた。
「ベティ嬢とはどうなんだ?」
「今度一緒に食事することになってる」
「カーラ嬢も一緒です」
「じゃぁ、4人でか」
「そうですね」
「ちょっと楽しみではあるんだよな」
「ベティ嬢はかなりグラマラスだからな」
「カーラ嬢もなかなかなもんを持ってる」
そう言いながら、アランが自分の胸の前で、おっぱいの形を作るような動きをし、ロイは空中に女性の体を形作るように手を動かし、全員が笑う。
「贈り物も用意したのか?」
「無難に花でいいだろ」
「そうはいきませんよ。明日街に行って選ばないと」
何がいいですかねぇ、とディーが考え込む。
「どうせなら、一緒に選んで貰えばいいんじゃねーか。食事の前に寄っても間に合うだろ」
「…それもそうですね」
そしてディーがふと思い出したようにロイを小突く。
「そういえば、アントニーとも遠乗りに行くんですって?」
ニヤニヤしながらディーがロイの腕をグリグリする。
「まぁな」
「今度の狩猟祭の練習になって一石二鳥だわ」
「おいおい、何を狩るつもりだw」
「きのこじゃねーのw」
4人がゲラゲラと笑う。
「向こうも狩られる気まんまんだろうなw」
「その場で食うか」
「味見程度にしてくださいw」
そしてまた大声で笑った。
サイファーとアラン、ロイとディーが楽しそうに笑いながら話す内容に、サーっと一気に血の気が引いていくのを感じた。一瞬で目の前が真っ暗になり、目眩がする。
その会話から、ロイとディーが明らかに誰かを伴って出掛けるとわかる。しかも、プレゼントを用意したり、下品な比喩表現がSEXを連想させ、吐き気が込み上げてきた。
「アラン様!」
キースもその内容を聞いて顔面蒼白になり、アランの名を叫んだ。
「キース」
アランが嬉しそうに階段を見上げたが、その後ろに俺がいることに気付いて一瞬で真顔になる。
それは他の3人も同様だった。
2人が慌てたように俺に向かってきたが、俺はヒッと悲鳴を上げて逃げるように階段を駆け上がった。
「ショーヘー!」
「ショーヘイさん!」
一気に3階まで駆け上がるが、2人の早さに逃げ切れるわけもなく、廊下で追い付かれた。
「違います!」
ディーが叫び、その否定の言葉がさらに俺を追い詰めた。
「近寄るな!!」
咄嗟に、2人に向かって風魔法を放ち、2人が魔法をかわせずに後方へ吹っ飛ばされた。
「なんだぁ?」
物音と俺の声に気づいたオスカーがドアを開けたので、すかさず、部屋に飛び込み、そのまま寝室へ駆け込んでドアをバタンと閉め、ガチャンと鍵をかけた。
「え?何?何なの?」
アビゲイルがその様子に驚き、狼狽える。
その直後、ロイとディーが部屋に飛び込んで来た。
一瞬でリヴィングに翔平がいないことを確認し、寝室へ近付くとドアを開けようとするが、鍵をかけられて、閉じこもったことを知った。
「ショーヘー!開けてくれ!
勘違いだ!冗談だから!」
ロイがドンドンとドアを叩き、中にいる翔平に叫ぶ。
それを見て、オスカーもアビゲイルと何となく察した。
「ショーヘイさん!」
ディーもドアの向こうにいる翔平に叫ぶ。
だが、中から翔平の声が返ってくることはなかった。
ドンドンとドアを叩いて必死に声をかけるが、そのドアが開くことはなかった。
「ショー…」
2人がそれでも声をかけようとした瞬間、キースが大股でズカズカと部屋に入ってくると、ロイとディーの腕を乱暴に掴み、寝室のドアから引き剥がした。
そして、そのまま2人の頬を思い切り殴りつけた。
その勢いで2人は転び、フゥフゥと怒りで呼吸が荒いキースを下から見上げる。
その光景に、オスカーもアビゲイルも顔を顰める。
「出て行きなさい」
低い声でキースが言う。
「でも…」
「冗談でも言ってはいけないことを言ったのはわかるでしょう。
今は何を言おうと届きませんよ。
出て行きなさい」
キースが冷たく言い放ち、ゆらりと威圧の魔力を2人に放つ。
こんなに怒りに満ちたキースを見るのは、アラン絡み以外では初めてのことだった。
その怒りのオーラは、ギルバートの覇気にも匹敵するほどで、ロイもディーもゾッと青ざめ、その言葉にも納得するしかなかった。
ゆっくりと立ち上がり、すごすごと、フラフラと部屋を出て行く。
部屋を出ると、廊下に同じようにキースに殴られたサイファーとアランの姿があった。
「すまん…」
サイファーが項垂れて、2人に声をかけるが、ロイもディーも何も言えなかった。
アランもまたキースに怒られ殴られ、がっくりと肩を落としていた。
「なんだかなぁ…」
ボリボリと後頭部を掻きながら、真っ黒い影に包まれた4人を、アビゲイルにも手伝ってもらって談話室へ誘導した。
「ショーヘイさん…、もう誰もいませんから、開けてください」
キースがドアの向こうの翔平に声をかける。
しばらくしてからカチャンと音がして鍵が外された。
そっとドアを開けると、翔平がドアの前から動かず、立ち尽くしていた。
「ショーヘイさん…大丈夫ですか…」
そっと肩に触れ、その顔を確認するが、その表情に愕然とした。
血の気を失い、真っ白になった肌に、瞬きも忘れたように目が開いている。
閉じることを忘れた唇が、細かく震え、ヒュッヒュッと短い呼吸を繰り返していた。
「キース…吐きそう…」
微かな小さな声で、翔平が呟く。
咄嗟に翔平の体を抱え、そのままベッドの脇にあるガーゼタオルを乱暴に取ると口に当てた。
その瞬間、翔平の体が崩れ落ち、そのタオルに激しく嘔吐する。
優しく背中を撫でながら、翔平が落ち着くまでずっと待ち続けた。
吐くものがなくなり、そのまま蹲り、力を失って立ち上がることも出来ない翔平をそのまま床に座らせ、素早くタオルを片付けて翔平にクリーンをかける。
そしてそっと抱き起こしてベッドに座らせた。
「ショーヘイさん」
頬に触れ話しかけるが、翔平は細かく震え、唇を微かに動かし聞こえない何かをブツブツと呟いている。
目線も合わず、ずっと一点を見つめている姿に、沸々と怒りが込み上げてきた。
あいつら!よくも!!
決していつもは口にしない思いつく限りの罵倒を、心の中で叫び続けた。
「おかえりなさい」
瑠璃宮に着くなり、玄関でロイとディーに出迎えられ、おかえりのキスを頬に唇にされる。
「…ただいま…」
また人前でキスされて、顔を顰めた。
グレイもキースもジャニスも、瑠璃宮専属の使用人達も、もはやいつもの光景といった感じで気にも止めないが、俺はまだ人前でキスしたり、イチャイチャすることに抵抗があった。
日本は挨拶でキスを交わす国ではなかったし、最近は割とオープンになっていたと思うが、それでもまだそういうことをするカップルを冷ややかな目で見る人も多かった。俺の中でもキスや触れ合う行為というのは、秘め事の部類で人に見せられるものではないと思ってしまっている。
だから、今だに慣れない。
確かにキスされると嬉しいし、気持ち良いから好きではあるが、やはり人前では恥ずかしさが先行してしまう。
いつかは慣れるんだろうか。
そう考えながら自室へと上がった。
着替えとクリーンを済ませて、いつもの動きやすい服になり、ようやっとひと心地ついた。
やっぱり聖女仕様の服は着るだけで緊張してしまう。
出来れば、上下スウェットのようなゆるくて楽な部屋着が欲しいと思ってしまった。
夕食を済ませて玄関ロビーで来訪者を待つ。
お茶会での報告をすぐにすることになっており、これから全員揃うことになる。
夜8時、時間ぴったりに観劇の報告の時と同じメンバーが揃い、すぐに会議室に移動した。
「初お茶会はどうだった?」
サイファーがまず感想を聞いてくる。
「意外に楽しかったです」
ニコリと笑いながら言った。
「ほぉ」
俺の言葉にギルバートが反応する。
「その真意は」
「今回の参加者は純粋にお見合いを楽しんでいましたよ。
参加者それぞれが婚活を頑張ってたので、見てるだけでも面白かった」
「コンカツ?」
聞き慣れない言葉に数人が首を傾げた。
この世界にない言葉なのか、と思い、結婚相手を探す活動、略して婚活、と説明すると、なるほどーと納得していた。
「誘われたりしなかったんですか?」
「されたよ」
即答すると、ディーがはっきりと嫌な顔をする。
「けど、曖昧に返事した。
今回の参加者は割と全員あっさりと引き下がった感じだったよ」
そう言うと、アランがキースに参加者の名簿はあるか、と確認し、キースがすぐに自分で作った名簿を差し出す。
「初回が様子見で、これから本格的にという場合もあるので、全員まだ保留という感じですね」
俺の言葉に、名簿を見ながらアランもサイファーも頷いた。
それにしても、つい数時間前に帰って来て、ほぼ一緒にいたのに、いつこんな名簿を作ったのか、とキースの有能ぶりにはいつも驚かされる。
「参加者についてはグレーだな。
シェリーたち主催者側はどうだ」
「ではまずはブリアナさんから」
フィッシャーに事前に聞いていた通りの人物だったと説明した。
「明るくて、人懐っこいし、気遣いが上手です。
ただ、すごくおしゃべりなのが短所ですね。何度か場に合わない話題を持ち出して、シェリーに指摘されることもありました」
お茶会での彼女の言葉や動きを思い出す。
常に動きまわり、飲み物やお茶菓子の追加を指示したり、率先して参加者の輪の中に入り会話を盛り上げる。
かと思えば、たまに1人で隅の方へ移動し何かをメモっている姿を見かけていた。
そのメモを見たわけではないが、チラチラと参加者を見ながらメモしている様子を考えると、おそらく次回以降に引き合わせる相手を考慮するためのものだと思った。
「アーネストは…、わかりませんでした。ほとんど話しませんし、笑いもしません。
お茶会の間も、数人と事務的な会話をした程度で、後はケータリングの確認や伝票類をチェックしていました」
俺と直接会話したのも最初の数回だけで、アーネストの方から話しかけてくることはなかった。
質問しても、どちらともとれる曖昧な返事が多く、表情からも思考が読み取れない。
正直、変わった男だと思ってしまった。
「ブリアナとアーネストには誘われることはなかったのか」
「ありません。2人ともお茶会の進行に必死で、俺にどうこうということは一切ありませんでした」
「2人とも独身なのに、自分達はお見合いに参加しないのよ」
ジャニスが付け加える。
「特にブリアナなんて、自分のことよりも他人の結婚のことばっかり話していたし、それが生きがい、みたいな感じだったわ」
まさにジャニスの言ったとおり、ブリアナは「お見合いババア」そのものだった。
後は若いお二人でどうぞ、に近いセリフを何度か聞いたのを思い出し笑ってしまった。
「アーネストは…、わかんねぇな。ほんと無口で無愛想でよ。
お見合いっていう場所があれだけ似合わねぇ男も珍しいと思っちまったわ」
グレイも呆れたように笑った。
「どちらにせよ、一度会っただけでは判断できませんから、やはりグレーでしょうか」
「わかった。最後にシェリーはどうだ」
「その前に一つ報告が」
シェリーについては長くなりそうだったので、先にお茶会に侵入したロペス男爵家のダンについて報告した。
その話を聞いたサイファー、アランが盛大なため息をつく。
「なんなんだ、いったい」
イラついたアランが指でテーブルをトントンと叩く。
「あれです。ショーヘイ様を襲おうとしたイライジャのお仲間ですよ」
その言葉にロイとディーの眉がピクリと動いた。
「先日報告しましたが、ベッカー子爵家のトラヴィスが瑠璃宮に侵入しました。
ですので、残りの仲間だったダンと、ガルシア子爵家のデレクについても、ショーヘイ様への贈り物やお手紙を拒否する手続きをしました」
「それで焦ってショーヘイと接触しようとしたわけか」
サイファーもため息をつく。
「ダン以下3名については、これ以上何も出来ないように対処することにしよう」
「なんならボコろうか」
ロイがイラつきながら言い、ディーもうんうんと頷く。
「ショーヘイさんに手を出したらどうなるか、叩き込んであげませんと」
物騒なロイとディーに呆れ、誰も返事をすることはなかった。
一度休憩となりキースがお茶を入れ直す間、お見合いであった別な話題を聞かせる。
「ロイとディーのことも話題になったよ」
言われた2人がキョトンとしながら俺を見る。
「なんで」
「なんでって言われても…」
お茶会の席で、複数人に2人について根掘り葉掘り聞かれた。
特に、メンデス男爵家次女ドーラ、ミラー子爵家3男ジェラルド、他数人が真剣に2人について聞いてきた。
とりあえず、差し障りのないことは話したが、後は知らない、わからないで通した。
「ショーヘイさんを仲介役にして我々に近付こうという魂胆ですか」
「まぁ…そうだろうな」
「どいつもこいつも…」
ロイが呆れた笑いを漏らす。
「しつこいですね…」
ディーもため息をついた。
てっきりモテ自慢をするかと思っていたので、その2人の反応にほんの少しだがひっかかりを感じた。
「仕方ないわよぉ。ショーヘーちゃんはもちろん、あんた達も優良物件なんだから」
ジャニスが笑いながら言ったが、その直後、アビゲイルがジャニスの尻をバシッと叩く。
その言葉と行為にさらにひっかかりが大きくなり、モヤっとしたものが心に残った。
キースが新たなお茶を配り終わり、モヤモヤをしまい込んで気持ちを切り替えた。
「それじゃあシェリーについて聞こう」
「彼女は、父親の侯爵が嫌いだそうです」
「ほぉ…それは初耳ですね」
ギルバートが目を細めて面白いと言いたげな表情をする。
「夜会で、俺の好みのタイプを聞いたのは、侯爵から探るように言われたのも理由の一つだったそうです」
「他にも理由があると?」
「それは聞けませんでしたが、おそらくは聞けなかった方が本当の理由だと思いました」
「シェリー自身がショーヘーに、というわけでは?」
「それはないですね。
彼女の目を見れば、俺に興味がないことはわかります。
何か別の理由があるんだと」
「その理由をショーヘイ君はどうみるかね」
ギルバートが楽しそうに聞いてくる。
「その憶測を話す前提として、侯爵とシェリーの軋轢が関係しているのかと思います」
「シェリーが父親を嫌いと言った理由か」
アランに聞かれて頷く。
「シェリーは、はっきりと父親を無能だと。さらに侯爵の狙いまで話しました」
「狙い?」
「はい。5年前のロマーノ家の没落、今回のベネットの失脚、立て続けに起こった公爵家の不祥事に加えて聖女が現れたことで、シギアーノ侯爵は俺を手に入れて、公爵へと位階を上げるつもりだと」
ガチャンと、ロイのティーカップが鳴る。
「あのエロジジイがショーヘーを?」
ロイが顔を引き攣らせる。
「ああ。俺を伴侶か愛人に据えたいらしい」
ブッとディーが口からお茶を噴いた。
「それはそれは…なんとも馬鹿げた妄想を」
クックッとギルバートが可笑しそうに笑う。
「シェリーも同じことを言ってましたよ。何を勘違いしているんだって」
俺も笑いながら言った。
「どう見たって不釣り合いだろ。自分の顔を鏡で見たことあんのか」
ロイが吐き捨てるように言い、その言葉に全員が笑った。
確かに、見た目50代後半の侯爵は、脂ぎった顔に分厚い唇。猫耳は可愛いと思うが、でっぷりと突き出した腹に脂肪のついた太い指にジャラジャラと指輪をつけて、いかにも強欲そうな笑い方をする男だった。
娘のシェリーとセシルの母親は人族で、本当に可愛らしい女性だった。2人とも父親の遺伝子を猫耳と尻尾だけ受け取ったことが幸運だと言えるほど、侯爵本人は不男だった。
後継の長男ジャレッドは母親が違い、父親の遺伝子を色濃く継いでいて、シェリー達とは真逆で、猫耳尻尾を受け継がず、見た目を引き継いでしまったため、彼もまた肥満体型の不男だった。
「ジェロームは見た目ではなく、権力や金が男の価値を決めると思っていますから」
ギルバートが笑いながら言い、本当に気持ちが悪い、とはっきりと貶す。
「ありえんな」
「ないな」
サイファーもアランも毒付いた。
「シェリーはそんな父親をはっきりと馬鹿にしていましたよ。
長子に生まれたというだけで侯爵になった能無しだと。
事前に聞いていた、父親の仕事の半分以上は彼女がやっている、というのはあながち噂ではなく事実ではないかと思いました」
「そうだろうな。
事実、侯爵が提出する領地関連の書類はほぼ全てシェリーを通しているし、確認作業もシェリーへ行っている。
本人に聞いても、シェリーに任せてあると言われるしな」
サイファーが呆れたように呟いた。
「そんな男がどうして聖女を手に入れられると思うのかが不思議でならん」
アランが呆れたように呟き、脱力する。
「まぁ、公爵になりたいという理由であれば、簒奪者とは無関係、ということになるでしょう。
元々、頭の足りない彼には無理だとわかっていましたが」
ギルバートがクスクスと笑いながら言う。
「で、シェリーの本当の理由は」
アランが気を取り直して、続きを促した。
言われて思い出し、お茶を飲んで口の中を潤した後に続ける。
「シェリーは、そんな父親への反発というのもありますが、彼女の目的は本当に他者のお見合いを成功させることにあるんだと思うんです。
つまり、グラーティアの会の意思そのものです」
俺の憶測に全員が黙り込んだ。
「シェリーは後継以外の子息子女を恋愛結婚させたいんです。
おそらくは、貴族というしがらみで利用されるその人達を救いたいのではないかと」
「政略結婚をさせないためか」
「そうです。彼女自身、侯爵令嬢として、そんな立場になったことがあるんじゃありませんか?」
俺よりもシェリーの過去のことを知っている全員を見た。
「5年前、会が発足する以前、何かあったんじゃないですか?」
そう言うと、サイファーが俺をじっと見た。
「シェリーは、ロマーノの長子と婚約していた」
サイファーの言葉に、ビンゴ、と心の中で呟く。
「親同士が決めた、愛のない政略結婚だったんですね」
「そうだ」
サイファーが俯く。
「なるほど。そういうことですか」
ギルバートが目を細めて悲しそうに微笑む。
「シェリーだけではなく、会を立ち上げたジェンキンス家のクレアも、ロマーノの次男と婚約していました。
当然、2人の婚約は白紙に戻りましたが、ロマーノ家の者と婚約していたという事実は彼女達の経歴に傷をつけた。
おそらく今後良縁は望めないでしょう」
ギルバートの言葉に胸が締め付けられた。
家の繁栄のため、親が決めた結婚のせいで、彼女達に傷がついた。
もしロマーノ家が没落していなくても、おそらく地獄のような結婚生活だったのは目に見える。
結婚してもしなくても、地獄であることに変わりはない。
「シェリーは非常に頭が良く、優秀な女性だ。欲しがる貴族も多いが、ロマーノと一度でも関わったことで、その後の縁談が消えた」
「さらに、優秀なせいであのジジイが手放さないし、権力を重視して侯爵以下を門前払いにしている」
サイファーが侯爵をジジイ呼ばわりしたことに笑うが、シェリーの置かれた立場に心底同情した。
「なので、彼女が俺を会に誘った目的は、俺が政治的に利用されないように、その相手を見つけることだったんだと思います」
「つまり、善意だと」
「はい」
全員が黙り込む。
おそらく、彼女の放つオーラや態度から、そんな真意があるとは誰も思っていなかったはずだ。
俺がそう考えたのは、彼女をよく知らないせいで、過度な先入観に囚われなかったのが大きいと思った。
「ただ、これはただの俺の憶測です。
やっぱりグレーであることには変わりありません。
それに、まだ他にも理由があると思ったんです」
ここで、お茶会で彼女に言おうとしていたことを言う。
「彼女と話がしたいと思いました。
出来れば、会とは関係なく」
あのお茶会の席で、シェリーは父親を罵る発言を俺に聞かせた。
その意味も知りたいし、なぜそこまで他人を政略結婚から救おうとしているのかも知りたいと思った。
「瑠璃宮に遊びに来ませんか」
あの時、俺はシェリーにそう言おうとしていた。
もしロペス男爵家のダンの騒動がなければ、きっと言っていた。
たまたま騒動があったため、言いかけた言葉を忘れたフリをしたが、騒動がなくそのまま言っていたら、俺がシェリーに興味があると、誘ったと、その言葉が意味するところを勘違いされてしまったかもしれない。
「シェリーが父親との軋轢を俺に話したのにも、何か意味があるように思えたんです」
「なるほどね…」
サイファーが考え込む。
「キース、お前はどう思う」
「ショーヘイ様の言うとおり、シェリー様は何か他にも大きな目的があるように感じます。
今回のような場所では、人の目もありますし、時間もございません。
ですので、こちらからシェリー様をご招待してもいいのではと考えます」
「グレイとジャニスは?」
「俺もキースと同意見だ。
後ろから見ていたが、シェリーはショーヘーを気にかけていたし、何か話したいようだった」
「そうね。あたしもそれは気になってたわ。何か話そうとしてタイミングを計っていたみたいだった。
けど、ダンの騒動があって完全に逃しちゃった感じよね。
無茶苦茶ダンに怒ってたけど、あれって、騒動への怒りと、言いたいことが言えなかった悔しさみたいなのもあったんじゃないかしら」
よく見てんな、とグレイに言われて、乙女の心情は行動に出るわよ、とジャニスが笑う。
「では…」
サイファーが考えを決めたらしく俺をじっと見た。
「シェリー嬢と面会する場を設けよう。
反対の者はいるか?」
そう言うと、すぐにロイとディーが手を挙げ、驚いて左右の2人を見る。
「反対ではないんですけど、侯爵にはバレないように」
「俺も同意見。娘が誘われたとわかったら、確実に勘違いする」
「あわよくばショーヘイさんを手籠にしようとするかも」
「一緒に来るとか言い出しかねん」
2人が交互に一気に言った。
その2人にサイファーが笑う。
「アルヴィン、シェリー嬢への招待に黒騎士を使いたいが可能か」
「問題ございません」
フィッシャーがニコリと微笑む。
「よし。決まりだな」
アランがニコリと笑った。
「キース、後で書簡内容の打ち合わせを」
続けて嬉しそうにキースを見る。
明らかに公私混同しようとするアランに全員が笑った。
最後に、キースがもう一つ報告をする。
「アストリア狩猟祭にも誘われました」
「ああ…もうそんな時期か」
そういえばそんなことも言われていたな、とその時に思い出した。
隣にいたディーに、表情だけで、何?と確認すると、すぐにディーが察してくれる。
「後で説明しますね」
とニコリと微笑まれる。
「狩猟祭は出なきゃダメだろうな。俺もディーもロイも参加するし」
アランが言い、サイファーやギルバートも頷いた。
「伝統行事でもありますから、聖女としても、独身という意味でも、出席しなければならないでしょう」
ギルバートも言い微笑みながら俺を見る。
俺の頭の上にクエスチョン・マークが浮き上がった。
「狩猟祭は今月末だったか。
シェリーとの面会をその前に済ませて、情報を集めておこう」
「護衛も全員独身だから都合がいいな。お前達も全員出席だぞ」
アランが告げると、ジャニスやアビゲイルが目に見えて喜ぶ。
狩猟祭と独身がなんの関係があるのかと、ますます不思議に思った。
狩猟祭については、すぐに出席の方向で決着がつき、解散することになった。
みんなを見送るために玄関ロビーで挨拶をする。
アランはこのままキースを連れて帰りたくてウズウズしているのを見て笑ってしまう。
「キース、今日はもう大丈夫だよ」
ついそんなアランの味方をしてしまい、キースが微妙な表情になった。
「しかしまだ…」
「キース」
じっと目を見ると、キースが苦笑しつつアランと行くことを了承した。
「ただ、少し待っててください。片付けが少し残っているので」
アランを振り返って言うと、アランは嬉しそうにコクコクと頷いていた。
一度キースと今日の護衛であるオスカーとアビゲイルと共に自室に戻る。
キースがパタパタと自室に放置してあった書類関係を片付けたり、ティーカップを洗ったりするのを手伝い、10分もアランを待たせずにロビーに戻った。
「ショーヘイさんは来なくても」
一緒にロビーに行こうとする俺を止めたが、そこはやはり見送りをしなくては、と嫁を送り出す家族のような気持ちで2人で1階まで降りていく。
だが、その階段の1階と2階の踊り場まで降りてきて、ロビーで話す会話が耳に入ってきて、前を行くキースの服を引っ張って止めた。
「ベティ嬢とはどうなんだ?」
「今度一緒に食事することになってる」
「カーラ嬢も一緒です」
「じゃぁ、4人でか」
「そうですね」
「ちょっと楽しみではあるんだよな」
「ベティ嬢はかなりグラマラスだからな」
「カーラ嬢もなかなかなもんを持ってる」
そう言いながら、アランが自分の胸の前で、おっぱいの形を作るような動きをし、ロイは空中に女性の体を形作るように手を動かし、全員が笑う。
「贈り物も用意したのか?」
「無難に花でいいだろ」
「そうはいきませんよ。明日街に行って選ばないと」
何がいいですかねぇ、とディーが考え込む。
「どうせなら、一緒に選んで貰えばいいんじゃねーか。食事の前に寄っても間に合うだろ」
「…それもそうですね」
そしてディーがふと思い出したようにロイを小突く。
「そういえば、アントニーとも遠乗りに行くんですって?」
ニヤニヤしながらディーがロイの腕をグリグリする。
「まぁな」
「今度の狩猟祭の練習になって一石二鳥だわ」
「おいおい、何を狩るつもりだw」
「きのこじゃねーのw」
4人がゲラゲラと笑う。
「向こうも狩られる気まんまんだろうなw」
「その場で食うか」
「味見程度にしてくださいw」
そしてまた大声で笑った。
サイファーとアラン、ロイとディーが楽しそうに笑いながら話す内容に、サーっと一気に血の気が引いていくのを感じた。一瞬で目の前が真っ暗になり、目眩がする。
その会話から、ロイとディーが明らかに誰かを伴って出掛けるとわかる。しかも、プレゼントを用意したり、下品な比喩表現がSEXを連想させ、吐き気が込み上げてきた。
「アラン様!」
キースもその内容を聞いて顔面蒼白になり、アランの名を叫んだ。
「キース」
アランが嬉しそうに階段を見上げたが、その後ろに俺がいることに気付いて一瞬で真顔になる。
それは他の3人も同様だった。
2人が慌てたように俺に向かってきたが、俺はヒッと悲鳴を上げて逃げるように階段を駆け上がった。
「ショーヘー!」
「ショーヘイさん!」
一気に3階まで駆け上がるが、2人の早さに逃げ切れるわけもなく、廊下で追い付かれた。
「違います!」
ディーが叫び、その否定の言葉がさらに俺を追い詰めた。
「近寄るな!!」
咄嗟に、2人に向かって風魔法を放ち、2人が魔法をかわせずに後方へ吹っ飛ばされた。
「なんだぁ?」
物音と俺の声に気づいたオスカーがドアを開けたので、すかさず、部屋に飛び込み、そのまま寝室へ駆け込んでドアをバタンと閉め、ガチャンと鍵をかけた。
「え?何?何なの?」
アビゲイルがその様子に驚き、狼狽える。
その直後、ロイとディーが部屋に飛び込んで来た。
一瞬でリヴィングに翔平がいないことを確認し、寝室へ近付くとドアを開けようとするが、鍵をかけられて、閉じこもったことを知った。
「ショーヘー!開けてくれ!
勘違いだ!冗談だから!」
ロイがドンドンとドアを叩き、中にいる翔平に叫ぶ。
それを見て、オスカーもアビゲイルと何となく察した。
「ショーヘイさん!」
ディーもドアの向こうにいる翔平に叫ぶ。
だが、中から翔平の声が返ってくることはなかった。
ドンドンとドアを叩いて必死に声をかけるが、そのドアが開くことはなかった。
「ショー…」
2人がそれでも声をかけようとした瞬間、キースが大股でズカズカと部屋に入ってくると、ロイとディーの腕を乱暴に掴み、寝室のドアから引き剥がした。
そして、そのまま2人の頬を思い切り殴りつけた。
その勢いで2人は転び、フゥフゥと怒りで呼吸が荒いキースを下から見上げる。
その光景に、オスカーもアビゲイルも顔を顰める。
「出て行きなさい」
低い声でキースが言う。
「でも…」
「冗談でも言ってはいけないことを言ったのはわかるでしょう。
今は何を言おうと届きませんよ。
出て行きなさい」
キースが冷たく言い放ち、ゆらりと威圧の魔力を2人に放つ。
こんなに怒りに満ちたキースを見るのは、アラン絡み以外では初めてのことだった。
その怒りのオーラは、ギルバートの覇気にも匹敵するほどで、ロイもディーもゾッと青ざめ、その言葉にも納得するしかなかった。
ゆっくりと立ち上がり、すごすごと、フラフラと部屋を出て行く。
部屋を出ると、廊下に同じようにキースに殴られたサイファーとアランの姿があった。
「すまん…」
サイファーが項垂れて、2人に声をかけるが、ロイもディーも何も言えなかった。
アランもまたキースに怒られ殴られ、がっくりと肩を落としていた。
「なんだかなぁ…」
ボリボリと後頭部を掻きながら、真っ黒い影に包まれた4人を、アビゲイルにも手伝ってもらって談話室へ誘導した。
「ショーヘイさん…、もう誰もいませんから、開けてください」
キースがドアの向こうの翔平に声をかける。
しばらくしてからカチャンと音がして鍵が外された。
そっとドアを開けると、翔平がドアの前から動かず、立ち尽くしていた。
「ショーヘイさん…大丈夫ですか…」
そっと肩に触れ、その顔を確認するが、その表情に愕然とした。
血の気を失い、真っ白になった肌に、瞬きも忘れたように目が開いている。
閉じることを忘れた唇が、細かく震え、ヒュッヒュッと短い呼吸を繰り返していた。
「キース…吐きそう…」
微かな小さな声で、翔平が呟く。
咄嗟に翔平の体を抱え、そのままベッドの脇にあるガーゼタオルを乱暴に取ると口に当てた。
その瞬間、翔平の体が崩れ落ち、そのタオルに激しく嘔吐する。
優しく背中を撫でながら、翔平が落ち着くまでずっと待ち続けた。
吐くものがなくなり、そのまま蹲り、力を失って立ち上がることも出来ない翔平をそのまま床に座らせ、素早くタオルを片付けて翔平にクリーンをかける。
そしてそっと抱き起こしてベッドに座らせた。
「ショーヘイさん」
頬に触れ話しかけるが、翔平は細かく震え、唇を微かに動かし聞こえない何かをブツブツと呟いている。
目線も合わず、ずっと一点を見つめている姿に、沸々と怒りが込み上げてきた。
あいつら!よくも!!
決していつもは口にしない思いつく限りの罵倒を、心の中で叫び続けた。
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