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王都編 〜トラウマ〜
131.おっさん、壊れかける
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まるで誰かが死んだように部屋の中がズウンと重たい空気で包まれる。
それぞれ談話室のソファに腰掛け、頭を抱え青ざめていた。
先ほどの下品な冗談を交えた会話を翔平に聞かれていた。
ロイとディーが女性2人にプレゼントを渡し、一緒に食事をする。
さらにロイは男性と2人で遠乗りに行く約束をしていた。
確かにそれは紛れもない事実だ。
今度ロイとディーは2人の女性と食事をし、マナーとして彼女達に贈り物をする。
さらにロイは遠乗りに誘われて近隣の森まで乗馬をすることになっていた。
実はこれには事情がある。
だが、その事情を知っているのはごく僅かで、とある理由から翔平も聞かされていなかった。
それを彼女達や彼とデートしSEXまで及ぶというものに言い換え、笑うネタにした。
事実とは違うが、他愛のない猥談に変換して笑い合っただけのことだった。本当に何の意味もない軽口で戯言だが、知らない者が聞けば勘違いする内容だった。
そんな俺たちの会話を聞いていた翔平の顔が頭から離れない。
真っ白に青ざめた顔で目を見開いた翔平の驚いた顔。口を半開きにして、少し震えていた。
慌てて訂正しようとした時にはもう遅かった。
俺たちの言葉を聞かず、全力で翔平は逃げて行った。
「近寄るな!」
そう言った時の翔平の顔は、信じられないものを見た時のような、恐怖を感じた表情だった。
カチカチと奥歯が鳴る。
ロイもディーも体が無意識にガタガタと震えていた。
絶対に翔平にだけは聞かれてはいけない内容なのはわかっていた。
なぜあの場所で話してしまったのか。
その浅はかさを呪う。
後悔してももう遅い。
翔平を傷付けた。
翔平が最も恐れていることを、笑いながら、言ってしまった。
あの会話は、まさに翔平が一番恐れている裏切りに相当する。
たとえそれが事実ではなく冗談だったとしても、そんなこと翔平には関係ない。
いつか翔平が言った言葉を思い出していた。
「裏切られたら、もう立ち直れない。きっと壊れてしまう」
ゾクっとロイの背中に悪寒が走った。
キースが何度話しかけても、翔平は焦点の合わない目で一点を見つめ、目も合わせなければ言葉も返さない。
全く反応しなくなっていた。
受けた衝撃に感情が間に合わず、声も涙も出さない様子にキースの顔が歪み、ただ翔平を抱きしめる。
こんな状態を以前にも見たことがある。
目の前の翔平が母親を失った時のアランと重なる。
精神的に追い詰められ眠れなくなった時のアランも、じっと一点を見つめ、ただ呆然としていた。
「ショーヘイさん。今は眠ってください。何もかも忘れて」
キースがそっと翔平の目を両手で覆い、昔は出来なかった睡眠魔法を翔平にかける。前に倒れ込んだ翔平が目を閉じ眠りに落ちたことを確認した。
そのまま手早く寝夜着に着替えさせてベッドに横たえると、布団をかけた。
静かに寝室から出るとリヴィングにアビゲイルが待っていた。
「談話室にいるわ」
サイファーに何があったのか説明を受け、アビゲイルも怒りに任せてロイとディーを殴りつけた後、同じ部屋にいるのが嫌で翔平の自室に戻っていた。
「行きます」
怒りがまた膨れ上がるが、なんとか堪えて談話室に向かった。
「ショーヘイさんがあそこまで打ちのめされた原因を知っているんでしょう?」
談話室に入ってすぐ、ロイとディーに問いただす。
「…知ってる」
ロイが震える声で言った。
「話してください。理由がわからないと救いようがありません」
ビクッとロイとディーが怯えたように体を震わせる。
「ショーヘイさんは…?」
ディーがおずおずと顔をあげて翔平の状態を聞いてくる。
「魔法で強制的に眠らせました。
ショーヘイさんの心が壊れかかっています。早く手を打たないと手遅れになる。だから、知っていることを教えてください」
「う…」
壊れかかっていると聞いたロイが小さく短い悲鳴をあげた。
なんてことをしてしまったのか。
自分の浅はかさに、愚かさに吐き気がする。
ロイもディーも同じことを考え、顔を覆った。
2人とも肩を震わせて嗚咽を漏らし、翔平を傷付けてしまったことに涙した。
「今更泣いても仕方がないでしょう!
ショーヘイさんの方がもっと辛いんです!!
さっさと原因を言いなさい!!」
キースが怒りを抑えつつイライラしながら怒鳴った。
その怒鳴り声にビクッと反応し体をすくませた。
「ぁ…」
口が、声が震える。カチカチと奥歯がなるのを必死に堪えて、ロイもディーもポツリポツリと、短い文章を繋げるように、翔平の過去を聞かせた。
愛し、結婚を約束した女性に浮気され、二股されるという酷い裏切りをされて一度心が壊れた。
それからこの世界に来るまでの8年間、心の傷は癒えることなくトラウマを抱え、人を愛することが出来なくなった。
この世界でロイとディーを好きになり、人を愛することが出来るようになったが、好きになればなるほど、いつか裏切られるかもしれないという恐怖も膨れ上がっていた。
キースは少し前に翔平から、一時期恋愛恐怖症になっていたと聞いた。
今度話してくれると言っていたのに、まさかこんな形で、本人ではなく、ロイとディーの口から聞くことになろうとは夢にも思わなかった。
しかも、恐怖症の原因が愛する人からの裏切りであると聞かされ、今すぐ2人に殴りかかりたい衝動を必死に抑えた。
翔平の過去を聞いたその場に居た全員が青ざめる。
サイファーもアランも、話の流れで猥談をしたことに心の底から後悔した。
「どうすれば…」
ディーが目に涙を浮かべて頭を抱える。
「どうすれば?
どうしようもありませんよ!」
キースが怒鳴る。
「ショーヘイさんの過去を知っていながら、よくもあんな話が出来ましたね!
しかも、ショーヘイさんが住むこの場所で!いつ聞かれてもおかしくないのに!!
あの会話は!
ショーヘイさんが最も恐れていた裏切りそのものじゃないですか!!」
キースがロイの胸ぐらを掴み、目の前で怒鳴りつける。
そのまま拳を固め殴る姿勢になったが、なんとかその腕を理性で押さえ込んだ。
胸ぐらを離し、そのままソファへロイを放り投げた。
サイファーもアランも黙り込む。
部屋の中が静まり返った。
「起こってしまったことは仕方ありません。
早急に対処しないと」
キースが顔を上げ2人を睨みつける。
「何か方法はあるか」
アランがすがるようにキースを見るが、キースがアランを睨み返した。
「そんなものありませんよ。
ただ、良かれと思って隠していたことを全部話します。
少しでも誤解を解かないと」
そう言ってドアに向かう。
「話しても、ショーヘイさんに聞こえるかどうかもわかりませんがね」
話しかけても全く反応しない翔平を思い出し、もう手遅れかもしれないと一瞬思ってしまった。
ドアを開け、翔平のところに戻ろうとすると、ロイが声をかけた。
「キース…、すまん」
「言う人が違うでしょう」
項垂れて放心状態のロイに顔を顰め、そのまま部屋を出た。
ロイとディーが俺の前で女を抱いていた。
4人で絡み合う。
ただそんな光景を無言で見続ける。
涙で目が霞んでも、拭うことも、顔を背けることも出来ず、ただ見せられた。
ハッハッと短い呼吸を繰り返しながら目を開けた。
はっきりと今まで見ていた夢を思い出し、ボロボロと大粒の涙をこぼした。
「っふ…う…ぇ」
手で目を抑え、そのまま嗚咽を漏らす。
「あぁ…う」
堪えきれない涙がとめどなく溢れ、枕を濡らして行く。
「ああ…あ!あー!!」
そのまま悲鳴を上げ、体を丸めるとベッドの上で泣き続けた。
「ショーヘイさん!」
バタンとドアが開き、キースが駆け込んでくる。
そのまま小さく蹲る翔平を上から強く抱きしめた。
「あー!」
叫び、ボロボロに泣き続ける翔平を抱き上げると、腕の中に包み込んで背中を、頭を撫でる。
「いいんです。泣いてください。気持ちを抑えないで」
そのままずっと、翔平が落ち着くまで好きなだけ叫ばせ、泣かせる。
我慢せず感情を爆発させ、少しでも外に出さないと、本当に心が壊れてしまう。
叫び、泣き続けて、ぐったりと身を投げ出す。
もう声も出せなかったが、涙だけはまだ溢れてくる。
キースがホットタオルで顔を拭いてくれ、その気持ちよさに目を閉じた。
何度か、キースが俺に話しかけてくるが、声が出せなかった。
何も考えたくない。
何も答えたくない。
何もしたくない。
このまま消えてしまいたい。
痛い。
心が痛い。
この辛さから逃げたい。
ただずっとそれだけを思っていた。
そのままキースが俺の頭を撫でてくれる。
その優しい手だけを感じ、気を失うように再び眠りに落ちた。
アランとオスカーとアビゲイルが談話室から翔平の自室に来る。
すでに時刻は朝方近くになっていたが、誰1人眠ることが出来なかった。
談話室ではロイとディーがやってしまったことに呆然として、抜け殻状態になっている。
「ショーヘーはどうだ」
「感情が不安定のせいか、魔法の効きが悪くて…。何度か目を覚ましては泣き叫んでいます…」
その様子を聞いて3人の顔が曇る。
「なんで俺はあんなこと言っちまったんだよ…」
会話の口火を切ったアランが頭を抱える。
「他愛のない戯言のつもりだったのはわかります」
キースが眉間に皺を寄せた。
「ですが、ショーヘイさんにとっては冗談では済まされない」
「…反省してます」
がっくりと項垂れるアランに苦虫を噛み潰したように顔を顰めた。
「それに…」
3人へソファに座るよう促し、キースが続ける。
「ご存知かどうかは知りませんが、ショーヘイさんのいた世界と、この世界では、恋愛の…性の価値観が全く違うんですよ」
「…それは、ショーヘーが男が苦手ってことだろ?」
オスカーが言った。
カレーリアから護衛し、専属護衛になってから、翔平が男からのアピールに嫌悪感を示しているのは、みんな気付いていた。
たまに異性にしか興味を持てない、そういう奴はいるし、翔平もそうなんだと思っていた。
アビゲイルも、翔平は男に好意を抱かれやすいタイプだと認識していた。好意という可愛いものだけではなく、あきらかに性の対象にされている。
聖女教会も翔平を性の対象として襲おうとしていたから、きっと翔平はそういう経験をたくさんしてきて、男が苦手なんだろうと思っていた。
「ショーヘイさんの世界では、同性の恋愛は忌避されて、差別の対象だったそうです」
「え…」
「恋愛だけじゃなく、SEXもですよ。事実、ショーヘイさんはこの世界に来るまで、女性だけが恋愛の、性の対象で、それが普通で一般的だったんです」
3人が呆然とする。
「え?ちょっと…は?」
「じゃぁ、ロイとディーゼルは?」
「彼らが特別なんです」
キースが悲しそうな表情を浮かべる。
「前の世界で、婚約者に裏切られて恋愛出来なくなり、こっちの世界にきたら、今まで対象ではなかった男に言い寄られる。
戸惑いは相当なものだと思いますよ。
実際、今もまだ戸惑っているし、馴染めないとおっしゃっていました」
翔平の過去の話にも驚いたのに、新たに知る事実に言葉も出ない。
「でも、ロイ様とディーゼル様がショーヘイさんの心を開かせたんです。
お二人だけが、同性であるという壁と恋愛恐怖症という壁を突き破った。
だからショーヘイさんにとって、お二方は特別なんです」
そんな特別な2人が言ったあの言葉が、どれだけ翔平にショックを与えたのか。それを考えると何も言えなかった。
「それに、今までのショーヘイさんの言動や態度を見る限り、性に関しては奥手というか…。
愛のないSEXが出来ない人だと思います」
「……それは…」
また3人とも口を噤む。
「あの会話は、ロイ様とディーゼル様の浮気を仄めかしたばかりか、愛のない遊びのSEXをしようとするお二人にもショックを受けたのではないでしょうか」
3人とも、愛がない性欲を発散するためのSEXは普通のことだと認識している。
それがこちらの世界では当たり前で、お互いに合意であれば、後腐れなく、ベッドを共にするのは日常茶飯事だ。
それは男女関係なく、相手が誰であろうが、お互いに条件が合えば性欲を満たすためにSEXし、終わればさよならで、二度と会うこともない、というのも当たり前だった。
だからあのような戯言が冗談として罷り通る。
「ショーヘイさんは、この世界でのSEXに対する認識に薄々気づいてはいるみたいですが、理解して、納得はしていないでしょう」
「ジュノーだからこその価値観の相違か…」
「それは苦しむわね」
「はぁ~…」
アランが長い長いため息をついた。
「まいった…」
珍しくアランが泣き言を言った。
このまま眠り続けたい。
もうジュノーだとか、聖女だとか、この国のことも、何もかもが全部どうでもいい。
痛い。
辛い。
逃げたい。
薄目を開けて天井を見る。
涙はもう出ない。
散々泣いて、もうとっくのとうに枯れてしまった。
ただ呆然と天井を見上げて、ひたすら逃げたいとだけ考えていた。
何もかも放り投げて、逃げ出して、何も感じない、何もない場所に行きたいと思っていた。
瑠璃宮の呼び鈴を鳴らすと、メイドが玄関ドアを開けた。そして、訪ねてきた人物を見て驚いた表情をした。
「おはよう。ショーヘイ君は起きているかな?」
ニコニコと微笑むギルバートにメイドがはっきりと狼狽えた。
「どうかしましたか?」
微笑みながらメイドに尋ねるが、メイドはただ狼狽えた。
「あ…、少しお待ちいただけますか。ただいまキース様を…」
その狼狽えぶりに、直感が働いたギルバートが、自分で行きますよ、と制止を振り切って3階に上がった。
翔平のドアをノックすると、キースがドアを開け、明らかに動揺した表情を見せた。
「何があったんです?」
「ぁ…」
珍しく狼狽える弟子に、ギルバートの目の奥が光り、そのままキースの肩を押すと部屋へ入った。
そこに、アランとオスカー、アビゲイルの姿を見とめ、3人の目が泳いだことを見逃さなかった。
「…事情は後で聞きましょう」
ギルバートがツカツカと寝室へ近づき、躊躇いなくドアを開けた。
ベッドに仰向けで横たわり、真っ直ぐ天井を見つめたままの翔平を覗き込む。
「おはよう、ショーヘイ君」
ニコリと微笑むが翔平は全く反応しなかった。
翔平の目の周りが腫れぼったく、赤くなっている目に、泣いたことは一目瞭然だった。
「ロイとディーゼルに、何をされたんですか?」
そっと翔平の手を取って握るが、翔平は何も答えなかった。
ただ、2人の名前を聞いた一瞬だけ、ぴくりと手が僅かに反応した。
ギルバートの目が細められ、静かに翔平の手を下ろすと、そっと寝室から出る。
リヴィングに、さっきまでいなかったサイファーも駆けつけ、ギルバートを不安そうな目で見ていた。
「何があったのか、説明しなさい」
ギルバートから全力の威圧が4人を襲う。
ビリビリと全身を包む覇気に一気に脂汗が噴き出す。
「ご説明します…」
キースがゴクリと唾を飲み込み、事の経緯を話し始めた。
それぞれ談話室のソファに腰掛け、頭を抱え青ざめていた。
先ほどの下品な冗談を交えた会話を翔平に聞かれていた。
ロイとディーが女性2人にプレゼントを渡し、一緒に食事をする。
さらにロイは男性と2人で遠乗りに行く約束をしていた。
確かにそれは紛れもない事実だ。
今度ロイとディーは2人の女性と食事をし、マナーとして彼女達に贈り物をする。
さらにロイは遠乗りに誘われて近隣の森まで乗馬をすることになっていた。
実はこれには事情がある。
だが、その事情を知っているのはごく僅かで、とある理由から翔平も聞かされていなかった。
それを彼女達や彼とデートしSEXまで及ぶというものに言い換え、笑うネタにした。
事実とは違うが、他愛のない猥談に変換して笑い合っただけのことだった。本当に何の意味もない軽口で戯言だが、知らない者が聞けば勘違いする内容だった。
そんな俺たちの会話を聞いていた翔平の顔が頭から離れない。
真っ白に青ざめた顔で目を見開いた翔平の驚いた顔。口を半開きにして、少し震えていた。
慌てて訂正しようとした時にはもう遅かった。
俺たちの言葉を聞かず、全力で翔平は逃げて行った。
「近寄るな!」
そう言った時の翔平の顔は、信じられないものを見た時のような、恐怖を感じた表情だった。
カチカチと奥歯が鳴る。
ロイもディーも体が無意識にガタガタと震えていた。
絶対に翔平にだけは聞かれてはいけない内容なのはわかっていた。
なぜあの場所で話してしまったのか。
その浅はかさを呪う。
後悔してももう遅い。
翔平を傷付けた。
翔平が最も恐れていることを、笑いながら、言ってしまった。
あの会話は、まさに翔平が一番恐れている裏切りに相当する。
たとえそれが事実ではなく冗談だったとしても、そんなこと翔平には関係ない。
いつか翔平が言った言葉を思い出していた。
「裏切られたら、もう立ち直れない。きっと壊れてしまう」
ゾクっとロイの背中に悪寒が走った。
キースが何度話しかけても、翔平は焦点の合わない目で一点を見つめ、目も合わせなければ言葉も返さない。
全く反応しなくなっていた。
受けた衝撃に感情が間に合わず、声も涙も出さない様子にキースの顔が歪み、ただ翔平を抱きしめる。
こんな状態を以前にも見たことがある。
目の前の翔平が母親を失った時のアランと重なる。
精神的に追い詰められ眠れなくなった時のアランも、じっと一点を見つめ、ただ呆然としていた。
「ショーヘイさん。今は眠ってください。何もかも忘れて」
キースがそっと翔平の目を両手で覆い、昔は出来なかった睡眠魔法を翔平にかける。前に倒れ込んだ翔平が目を閉じ眠りに落ちたことを確認した。
そのまま手早く寝夜着に着替えさせてベッドに横たえると、布団をかけた。
静かに寝室から出るとリヴィングにアビゲイルが待っていた。
「談話室にいるわ」
サイファーに何があったのか説明を受け、アビゲイルも怒りに任せてロイとディーを殴りつけた後、同じ部屋にいるのが嫌で翔平の自室に戻っていた。
「行きます」
怒りがまた膨れ上がるが、なんとか堪えて談話室に向かった。
「ショーヘイさんがあそこまで打ちのめされた原因を知っているんでしょう?」
談話室に入ってすぐ、ロイとディーに問いただす。
「…知ってる」
ロイが震える声で言った。
「話してください。理由がわからないと救いようがありません」
ビクッとロイとディーが怯えたように体を震わせる。
「ショーヘイさんは…?」
ディーがおずおずと顔をあげて翔平の状態を聞いてくる。
「魔法で強制的に眠らせました。
ショーヘイさんの心が壊れかかっています。早く手を打たないと手遅れになる。だから、知っていることを教えてください」
「う…」
壊れかかっていると聞いたロイが小さく短い悲鳴をあげた。
なんてことをしてしまったのか。
自分の浅はかさに、愚かさに吐き気がする。
ロイもディーも同じことを考え、顔を覆った。
2人とも肩を震わせて嗚咽を漏らし、翔平を傷付けてしまったことに涙した。
「今更泣いても仕方がないでしょう!
ショーヘイさんの方がもっと辛いんです!!
さっさと原因を言いなさい!!」
キースが怒りを抑えつつイライラしながら怒鳴った。
その怒鳴り声にビクッと反応し体をすくませた。
「ぁ…」
口が、声が震える。カチカチと奥歯がなるのを必死に堪えて、ロイもディーもポツリポツリと、短い文章を繋げるように、翔平の過去を聞かせた。
愛し、結婚を約束した女性に浮気され、二股されるという酷い裏切りをされて一度心が壊れた。
それからこの世界に来るまでの8年間、心の傷は癒えることなくトラウマを抱え、人を愛することが出来なくなった。
この世界でロイとディーを好きになり、人を愛することが出来るようになったが、好きになればなるほど、いつか裏切られるかもしれないという恐怖も膨れ上がっていた。
キースは少し前に翔平から、一時期恋愛恐怖症になっていたと聞いた。
今度話してくれると言っていたのに、まさかこんな形で、本人ではなく、ロイとディーの口から聞くことになろうとは夢にも思わなかった。
しかも、恐怖症の原因が愛する人からの裏切りであると聞かされ、今すぐ2人に殴りかかりたい衝動を必死に抑えた。
翔平の過去を聞いたその場に居た全員が青ざめる。
サイファーもアランも、話の流れで猥談をしたことに心の底から後悔した。
「どうすれば…」
ディーが目に涙を浮かべて頭を抱える。
「どうすれば?
どうしようもありませんよ!」
キースが怒鳴る。
「ショーヘイさんの過去を知っていながら、よくもあんな話が出来ましたね!
しかも、ショーヘイさんが住むこの場所で!いつ聞かれてもおかしくないのに!!
あの会話は!
ショーヘイさんが最も恐れていた裏切りそのものじゃないですか!!」
キースがロイの胸ぐらを掴み、目の前で怒鳴りつける。
そのまま拳を固め殴る姿勢になったが、なんとかその腕を理性で押さえ込んだ。
胸ぐらを離し、そのままソファへロイを放り投げた。
サイファーもアランも黙り込む。
部屋の中が静まり返った。
「起こってしまったことは仕方ありません。
早急に対処しないと」
キースが顔を上げ2人を睨みつける。
「何か方法はあるか」
アランがすがるようにキースを見るが、キースがアランを睨み返した。
「そんなものありませんよ。
ただ、良かれと思って隠していたことを全部話します。
少しでも誤解を解かないと」
そう言ってドアに向かう。
「話しても、ショーヘイさんに聞こえるかどうかもわかりませんがね」
話しかけても全く反応しない翔平を思い出し、もう手遅れかもしれないと一瞬思ってしまった。
ドアを開け、翔平のところに戻ろうとすると、ロイが声をかけた。
「キース…、すまん」
「言う人が違うでしょう」
項垂れて放心状態のロイに顔を顰め、そのまま部屋を出た。
ロイとディーが俺の前で女を抱いていた。
4人で絡み合う。
ただそんな光景を無言で見続ける。
涙で目が霞んでも、拭うことも、顔を背けることも出来ず、ただ見せられた。
ハッハッと短い呼吸を繰り返しながら目を開けた。
はっきりと今まで見ていた夢を思い出し、ボロボロと大粒の涙をこぼした。
「っふ…う…ぇ」
手で目を抑え、そのまま嗚咽を漏らす。
「あぁ…う」
堪えきれない涙がとめどなく溢れ、枕を濡らして行く。
「ああ…あ!あー!!」
そのまま悲鳴を上げ、体を丸めるとベッドの上で泣き続けた。
「ショーヘイさん!」
バタンとドアが開き、キースが駆け込んでくる。
そのまま小さく蹲る翔平を上から強く抱きしめた。
「あー!」
叫び、ボロボロに泣き続ける翔平を抱き上げると、腕の中に包み込んで背中を、頭を撫でる。
「いいんです。泣いてください。気持ちを抑えないで」
そのままずっと、翔平が落ち着くまで好きなだけ叫ばせ、泣かせる。
我慢せず感情を爆発させ、少しでも外に出さないと、本当に心が壊れてしまう。
叫び、泣き続けて、ぐったりと身を投げ出す。
もう声も出せなかったが、涙だけはまだ溢れてくる。
キースがホットタオルで顔を拭いてくれ、その気持ちよさに目を閉じた。
何度か、キースが俺に話しかけてくるが、声が出せなかった。
何も考えたくない。
何も答えたくない。
何もしたくない。
このまま消えてしまいたい。
痛い。
心が痛い。
この辛さから逃げたい。
ただずっとそれだけを思っていた。
そのままキースが俺の頭を撫でてくれる。
その優しい手だけを感じ、気を失うように再び眠りに落ちた。
アランとオスカーとアビゲイルが談話室から翔平の自室に来る。
すでに時刻は朝方近くになっていたが、誰1人眠ることが出来なかった。
談話室ではロイとディーがやってしまったことに呆然として、抜け殻状態になっている。
「ショーヘーはどうだ」
「感情が不安定のせいか、魔法の効きが悪くて…。何度か目を覚ましては泣き叫んでいます…」
その様子を聞いて3人の顔が曇る。
「なんで俺はあんなこと言っちまったんだよ…」
会話の口火を切ったアランが頭を抱える。
「他愛のない戯言のつもりだったのはわかります」
キースが眉間に皺を寄せた。
「ですが、ショーヘイさんにとっては冗談では済まされない」
「…反省してます」
がっくりと項垂れるアランに苦虫を噛み潰したように顔を顰めた。
「それに…」
3人へソファに座るよう促し、キースが続ける。
「ご存知かどうかは知りませんが、ショーヘイさんのいた世界と、この世界では、恋愛の…性の価値観が全く違うんですよ」
「…それは、ショーヘーが男が苦手ってことだろ?」
オスカーが言った。
カレーリアから護衛し、専属護衛になってから、翔平が男からのアピールに嫌悪感を示しているのは、みんな気付いていた。
たまに異性にしか興味を持てない、そういう奴はいるし、翔平もそうなんだと思っていた。
アビゲイルも、翔平は男に好意を抱かれやすいタイプだと認識していた。好意という可愛いものだけではなく、あきらかに性の対象にされている。
聖女教会も翔平を性の対象として襲おうとしていたから、きっと翔平はそういう経験をたくさんしてきて、男が苦手なんだろうと思っていた。
「ショーヘイさんの世界では、同性の恋愛は忌避されて、差別の対象だったそうです」
「え…」
「恋愛だけじゃなく、SEXもですよ。事実、ショーヘイさんはこの世界に来るまで、女性だけが恋愛の、性の対象で、それが普通で一般的だったんです」
3人が呆然とする。
「え?ちょっと…は?」
「じゃぁ、ロイとディーゼルは?」
「彼らが特別なんです」
キースが悲しそうな表情を浮かべる。
「前の世界で、婚約者に裏切られて恋愛出来なくなり、こっちの世界にきたら、今まで対象ではなかった男に言い寄られる。
戸惑いは相当なものだと思いますよ。
実際、今もまだ戸惑っているし、馴染めないとおっしゃっていました」
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「でも、ロイ様とディーゼル様がショーヘイさんの心を開かせたんです。
お二人だけが、同性であるという壁と恋愛恐怖症という壁を突き破った。
だからショーヘイさんにとって、お二方は特別なんです」
そんな特別な2人が言ったあの言葉が、どれだけ翔平にショックを与えたのか。それを考えると何も言えなかった。
「それに、今までのショーヘイさんの言動や態度を見る限り、性に関しては奥手というか…。
愛のないSEXが出来ない人だと思います」
「……それは…」
また3人とも口を噤む。
「あの会話は、ロイ様とディーゼル様の浮気を仄めかしたばかりか、愛のない遊びのSEXをしようとするお二人にもショックを受けたのではないでしょうか」
3人とも、愛がない性欲を発散するためのSEXは普通のことだと認識している。
それがこちらの世界では当たり前で、お互いに合意であれば、後腐れなく、ベッドを共にするのは日常茶飯事だ。
それは男女関係なく、相手が誰であろうが、お互いに条件が合えば性欲を満たすためにSEXし、終わればさよならで、二度と会うこともない、というのも当たり前だった。
だからあのような戯言が冗談として罷り通る。
「ショーヘイさんは、この世界でのSEXに対する認識に薄々気づいてはいるみたいですが、理解して、納得はしていないでしょう」
「ジュノーだからこその価値観の相違か…」
「それは苦しむわね」
「はぁ~…」
アランが長い長いため息をついた。
「まいった…」
珍しくアランが泣き言を言った。
このまま眠り続けたい。
もうジュノーだとか、聖女だとか、この国のことも、何もかもが全部どうでもいい。
痛い。
辛い。
逃げたい。
薄目を開けて天井を見る。
涙はもう出ない。
散々泣いて、もうとっくのとうに枯れてしまった。
ただ呆然と天井を見上げて、ひたすら逃げたいとだけ考えていた。
何もかも放り投げて、逃げ出して、何も感じない、何もない場所に行きたいと思っていた。
瑠璃宮の呼び鈴を鳴らすと、メイドが玄関ドアを開けた。そして、訪ねてきた人物を見て驚いた表情をした。
「おはよう。ショーヘイ君は起きているかな?」
ニコニコと微笑むギルバートにメイドがはっきりと狼狽えた。
「どうかしましたか?」
微笑みながらメイドに尋ねるが、メイドはただ狼狽えた。
「あ…、少しお待ちいただけますか。ただいまキース様を…」
その狼狽えぶりに、直感が働いたギルバートが、自分で行きますよ、と制止を振り切って3階に上がった。
翔平のドアをノックすると、キースがドアを開け、明らかに動揺した表情を見せた。
「何があったんです?」
「ぁ…」
珍しく狼狽える弟子に、ギルバートの目の奥が光り、そのままキースの肩を押すと部屋へ入った。
そこに、アランとオスカー、アビゲイルの姿を見とめ、3人の目が泳いだことを見逃さなかった。
「…事情は後で聞きましょう」
ギルバートがツカツカと寝室へ近づき、躊躇いなくドアを開けた。
ベッドに仰向けで横たわり、真っ直ぐ天井を見つめたままの翔平を覗き込む。
「おはよう、ショーヘイ君」
ニコリと微笑むが翔平は全く反応しなかった。
翔平の目の周りが腫れぼったく、赤くなっている目に、泣いたことは一目瞭然だった。
「ロイとディーゼルに、何をされたんですか?」
そっと翔平の手を取って握るが、翔平は何も答えなかった。
ただ、2人の名前を聞いた一瞬だけ、ぴくりと手が僅かに反応した。
ギルバートの目が細められ、静かに翔平の手を下ろすと、そっと寝室から出る。
リヴィングに、さっきまでいなかったサイファーも駆けつけ、ギルバートを不安そうな目で見ていた。
「何があったのか、説明しなさい」
ギルバートから全力の威圧が4人を襲う。
ビリビリと全身を包む覇気に一気に脂汗が噴き出す。
「ご説明します…」
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──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
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pixivにも投稿しています。
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また、内容もサイレント修正する時もあります。
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