おっさんが願うもの 〜異世界行ったらイケメンに大切にされ、溺愛され、聖女と呼ばれ、陰謀に巻き込まれ。それでも幸せ目指して真面目に頑張ります〜

猫の手

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キドナ編 〜さらなる考察とバシリオの救出〜

221.おっさん、大きな勘違いに気付く

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 11月25日深夜。
 グロスターに数軒ある娼館の一室で、ゆったりとしたソファにのけぞるように座り、大きく足を広げた状態で、背もたれに頭を預けて天井を見上げている男がいた。
 その足の間で、娼婦が一心不乱に男のペニスをしゃぶり、もう1人の男娼が男の陰嚢を揉みしだきながら内腿を舐め、ペニスをしゃぶりたくて順番を待っていた。
「おい…、俺にも」
 男娼が娼婦の髪を鷲塚むと後ろへ引っ張る。
 娼婦の口から引き出されたペニスがブルンとそり返り、唾液と先走りがたらたらと溢れた。
 男娼がうっとりとそのペニスを握り込むと鈴口に口付け、チュルチュルと蜜を音を立てて飲み込む。
「美味しい…」
 恍惚とした表情でペニスを咥えると、ジュブジュブと上下に頭を動かし始める。
「ちょっとぉ…あたしにも頂戴よ」
 娼婦が男娼の体を押し、ペニスを離させようとするが、男娼はしっかりと喉まで咥え込んで離さなかった。
「ねぇ…」
 娼婦が男娼の肩を掴んで揺すると、男娼はチラッと娼婦を見て、仕方がないと言いたげにゆっくりと吸い上げながら口を離す。
 今度は2人で飴を舐めるように陰嚢から竿、亀頭、鈴口と、舌を使ってくまなく舐め始めた。
 男は頭を動かし、天井から2人へ視線を落とすと、ニヤリと笑った。
「欲しいか?」
「ほしぃれす」
「くらはい」
 舌を突き出し、ペニスを舐めながら返事をする2人に微笑むと、腕を伸ばして自分のペニスを掴みジュプジュプと自ら扱き始める。
「口を開けろ」
 笑いながら命令すると、2人は嬉しそうに大きく口を開けて、舌を突き出した。
「ほら、飲め」
 そして、その鈴口から大量の精液を噴出し、2人の口に注ぎ込む。
「あぁ…」
「はぁ…」
 2人は口を閉じ、口内と舌の上に注がれた精液をゴクリと飲み込み、鈴口から溢れ落ちている精液を我先にと奪い合うように舐めた。
「こっちにも、ください」
 男娼が背中を向けて膝立ちになると、尻を男へ突き出し、両手で自らアナルを広げる。
「欲しければ自分で挿入れろ」
 男のペニスは射精したばかりなのに反り返ったままで、まだガチガチに固く筋張っていた。
 男娼は立ち上がり、男に座るように尻をゆっくりと下げて行く。
 娼婦は男のペニスを握って動かないように固定し、男娼のアナルがペニスを飲み込んで行く所を凝視し、笑っていた。
「おぅ…おぉ…あ」
 みちみちとアナルを押し広げる快感に、男娼が喘ぐ。
 男は、体に絡みついてきた娼婦の乳房を揉みしだき、乳首を捻るようにつまみ上げると、娼婦もたまらないという表情をして、乳房を突き出しながら自らヴァギナを触り、手淫を始める。
 男娼は自ら腰を使い、アナルを出入りするペニスに嬌声を上げながら、自分のペニスを握り込むと、さらなら快感を得ようと扱いていた。
「おいお前、こいつに挿入れてやれ」
 男が揉みしだいていた乳房を離すと、乱暴に娼婦の肩を押して仰向けに倒れ込ませ、男娼の尻を掴むとペニスを引き抜いた。
「あぁ…」
 男娼が後ろを振り返り、再度挿入を懇願するが、男は男娼の尻を足で押し、娼婦に突っ込んでやれと笑いながら言った。
 仰向けに寝転んだ娼婦は大きく足を開きグチュグチュと手淫を繰り返し、男娼がその上に重なると、しぶしぶ己のペニスをヴァギナに挿入した。
「ああん!あん」
 途端に娼婦の甲高い喘ぎが響き、男娼もそのヴァギナの感触に顔が緩んだ。
 男娼が娼婦を犯すのを見ながら、男は体を起こすと、ヘコヘコと腰を揺する男娼の尻を掴み、アナルへペニスをあてがう。
「あぁ、挿入れて!早く!」
 男娼が後ろを振り向いて男に懇願した。
 バチュンと、そのアナルに一気に突き入れる。
「おぁ!あぁ…おほぉ!」
 一気に深く挿入されて奥を突かれ、男娼の目がその快感にあらぬ方向を向く。
 男の手が男娼の腰を掴み、パンパンと肉を打つように音を立てて突き上げると、その衝撃は男娼を受け入れている娼婦にも伝わり、2人の嬌声が大きくなる。
 男は乱れる2人を見ながらうすら笑いを浮かべ腰を揺する。

 だが、ふと男の動きが止まった。
 顔を上げると窓の方を見て、すぐにズルッとペニスを引き抜くと立ち上がった。
「ちょっとぉ…」
 あと少しでオーガズムを得られるというところで動きを止められ、娼婦は文句を言い、男娼は恨めしそうに男を見た。
 男はそのまま窓に近付くと少しだけ開ける。すぐに一羽の小さな鳥が中に入ってきた。
 その鳥を男は左手で鷲塚むと握り潰した。
「っひ」
 それを見た娼婦が小鳥を殺したと思い小さく悲鳴を上げる。
「出て行け」
 男がチラッと2人を見ながら言うと、2人ははぁ!?と声を上げた。
「そりゃないよ。せめて最後までしてよぉ…」
 男娼が娼婦の上から退けると、男に縋り付くように右腕を掴んだ。
「邪魔だ」
 だが、男が瞬間的に殺意を込めた魔力を2人に向けると、娼婦はひぃ!と悲鳴をあげ、男娼は間近で感じた威圧に腰を抜かした。
 娼婦は慌てて立ち上がり、脱ぎ散らかした自分の服を拾い上げると逃げるように部屋を出て行くが、男娼は腰を抜かして立ち上がることが出来ず、ガタガタと震えながら這って部屋を出て行く。
 そんな不格好な男娼を見て鼻で笑いつつ、男はドサッとソファに座ると、鳥を捻り潰した左手を開いた。
 その手の中に丸められた紙があり、魔力を通すと、カサカサと動いて元の形に戻って行く。
 封筒の形に戻ったところで、押された封蝋を指で切ると、中から便箋を取り出した。

 視線を文面に向け、3枚の便箋を読み終えると、再びクシャクシャに丸め、すぐにボッと火をつけて手の中で燃やした。

「簡単に言ってくれる」
 その内容に文句のような言葉を呟いたが、その口元は楽しそうに笑っていた。
「っふ…」
 閉じていた口から僅かに声が出ると、堪えきれないという感じで、徐々に笑い声が部屋に響いた。
「面白い。…あいつ、どんな顔するか見ものだな」
 これから起こる、起こすことを考え、笑いが止まらなかった。









 11月27日。ロイ達がグロスターへ到着したという連絡から2日が経った。
 先日まで積もっていた雪は、ここ数日の晴天ですっかり解けてしまっていた。

「解けちまったなぁ…」
 執務室の窓から外を眺め、雪がなくなった庭園を見てがっかりする。
「そんながっかりしなくても、2週間も経てば嫌というほど見れますよ」
 残念がる俺に、キースが笑いながら言う。
 聞けば、例年通りなら12月の初旬を過ぎたあたりから根雪になるらしい。
 キースが勉強の合間にお茶を淹れてくれて、今日の護衛担当であるアビゲイルとエミリア、4人でお茶の時間を楽しむ。


 今朝、キースから俺は明日の夜にバルト家の2人と食事会をすることになったと告げられた。

 ユージーンとの初回の見合いから時間が経っており、その間に色々なことがあったためかなり前のように感じるが、実際には10日しか経っていない。本当にその間の内容が濃くて、1ヶ月ほど過ぎているような感じがした。

 この10日間、バルト家のユージーンとモーリスは何をしていのか、と確認すると、公国内の視察に出ていたと聞いた。
 コークス家の被害者を治療した、国が運営する医療研究施設、さらにベルトラーク家が所有するダンジョン、遠い所ではイグリットの魔鉱石鉱山まで足を伸ばしており、さらに観光事業、商業関係や流通に関することまで視察を行っていたらしい。

 単純に見合いに来た、というわけではなかった。
 要は、聖女との見合いはユージーンを連れ出す口実の一つで、本来の目的は彼の勉強がメインというわけだ。

 24歳になるユージーンは次男の兄と2人で帝国のバルト家が所有する領地の管理を行っている。
 今はまだ兄から言われたことしか出来ないし、やらない傾向にあるらしく、本人が領地経営についてもっと真摯に取り込むようにと、見合いにかこつけて公国の各領地経営、産業の勉強に来たというわけだ。
 だが人伝てに聞いたところによると、ユージーン本人は旅行気分で、視察に赴いた場所で説明を受けても、つまらなそうにしたり、欠伸をするなど、とても褒められた態度ではなかったらしい。
 付き添っていたモーリスがその都度謝罪したり、ユージーンに対して叱責するなど、苦労したらしかった。


 まんまお守りじゃん。


 金持ちの坊ちゃんで、何も苦労せず、させず、可愛がられて育ってしまった結果がこれだ。
 最初の印象通りだな、とその話を聞いて笑ってしまい、モーリスに同情してしまった。


 つい昨日王都に戻ったバルト家から、食事会の申し込みが来て了承した。
 その際、モーリスから俺宛の手紙が添えられていた。 
 ユージーンを叱責してもらえないだろうか。あの子供のような行動を改めさせ、性根を叩き直したい。
 と、俺に協力を要請するとともに、情けない依頼に対しての謝罪が書かれていた。
「モーリス様も、ほとほと手を焼いているようです」
 内容を確認したキースも呆れたように笑った。
「他国の人間に頼まなきゃならないほど人材不足なのかしらね」
 アビゲイルが笑いながら言う。
「きっと、憧れの人である聖女様に言われることに効果があるって考えたんじゃないか?」
 憧れや尊敬する人の言葉なら聞き入れるかもしれない、ということなのだろう。
「協力しますか?」
「う~ん…したいのは山々だけど…」
 苦笑いを浮かべて考える。
「協力するにしてもね…。俺はこの世界のことをあんまり知らないっていうのもあるし、相手は他国の高位貴族だ。
 下手なこと言えないよ」
 いくら頼まれたとはいえ、帝国公爵家の3男を叱責するのは如何なものだろうか、と考えてしまった。
「大丈夫よ。モーリス様だってその辺はわかってるわよ。
 きっと、お小言を言うのはモーリス様で、ショーヘーちゃんはそれに賛同すればいいんじゃない?」
 エミリアがそう提案してくれた。
「なるほど、そうだね。そうしよう」
 良い考えだと、その意見を取り入れた。



 その後、キースは食事会の打ち合わせに行くというので見送り、パタリとドアが閉まった後、女性陣に声をかける。
「あのさ、ちょっとキースには今更過ぎて聞けないことがあるんだけど、教えてくれる?」
「何?」
「この間キースとアランの婚約式に出席したけどさ…」
 真顔で、婚約式を思い出しながら尋ねる。
「婚約式の内容が俺が知ってるものと違ってて…」
 あの時見た2人の婚約式は、俺の記憶の中にある結婚式とほぼ同じだった。
 チャペルで司祭が居て誓いの言葉を言いキスをする。俺が元の世界で会場予約だけして実現出来なかった結婚式そのものだった。
 俺の中での婚約式は、日本的に言うと結納式とかそういうもので、婚約指輪や記念品の授受、両家顔合わせを行うものだと思っていた。
 だが、実際に目にしたのは、司祭が王になった、内容は結婚式そのもの。
 それに、翌朝のギルバートの『初夜』という言葉と、アランのことを『夫』と呼んでいたのも引っ掛かっていた。
 俺が知っている初夜も結婚後のことだし、まだキースは婚約者という扱いなのでは?と思っていた。
 式から5日も経って今更だが、気になってしまったので仕方がない。

 俺の元の世界の婚約式と結婚式の違いを説明し、こちらの世界のことを尋ねる。
「言葉は同じでも中身が違うのね」
 エミリアが目を丸くしていた。
「そうね…。説明を聞く限り、婚約式はショーヘーちゃんの世界での結婚式になるわね」
「ってことはさ、アランとキースはもう夫婦ってことになるのか!?」
「そうよ。王の前で宣誓して署名したから、正真正銘の夫婦よ」
「えー…。だって結婚を約束する式って意味じゃないのかよ…」
「違うわよ」
 アビゲイルが笑い、あっさりと否定した。
「婚約式は、結婚して生涯共にあると、王と誓約を交わす式のことよ」
 言葉の微妙なニュアンスの違いに混乱する。
 確かに俺が知る結婚式でも、神に誓約する。こちらでは誓う相手が王になるということだ。それは理解した。
 だが、婚約の「約」が、「結婚の約束」ではなく、「王との誓約」の「約」だったことが腑に落ちない。
「じゃあさ、結婚式って何?」
「結婚式は…言い換えれば……お披露目?」
 言葉を探して数秒沈黙したのち、エミリアが教えてくれた。
 結婚披露宴のことかー!と頭の中で叫んだ。

 婚約式=結婚式
 結婚式=結婚披露宴

 ということだった。
 いつだったか、
 「先に婚約式だけでも済ませてしまえば…」
 と誰かが言っていたセリフは、俺の常識に照らし合わせると、「先に婚姻届を出す」という意味だったんだと、今になってわかった。

「混乱するわ…」
 俺は、今もキースとアランは婚約中だと思っていた。先日の婚約式は正式に婚約者として認めるための式だと考えていた。
 だがそれは間違いで、キースはもうアランの正式な妻、嫁となっていたのだ。
 そのことに少しだけショックを受けつつ、キースに罪悪感のようなものを抱く。
「そっかぁ…。キースはもう人妻なのかぁ…」
 ショボンと自分が大きな勘違いをしていたことに気付き、項垂れた。
「人妻ってw」
「言い方w」
 そんな俺を見て2人は爆笑した。










 王宮から借りたガイアーステラの本を読む。
 その本によると、この星が誕生したのは約50億年前。
 大陸が出来、海が誕生し、まずは単細胞生物が誕生する。さらに酸素が生成されて星を覆うと、様々な生物が生まれた。
 だが地殻や気候変動、隕石の衝突による環境の変化などの理由で、49億年という長い時間をかけて誕生と滅亡を何度も繰り返している。
 その中で過酷な環境下にも耐え、進化を続けた生物もいて、約1億年前に今の全種族(人類)の始祖となる生物が誕生し、魔素もほぼ同時期に生成されるようになったと書かれていた。

 ざっくりと大まかに把握した所で読むのを止めた。
 知れば知るほど地球の成り立ちに似ている。違うのは約1億年前に生成された魔素についてだ。
 生命の誕生と滅亡があったと知って、数億年前には、この星にも恐竜がいたのかな、なんて考え、ロマンだなぁと1人で含み笑いを漏らす。
 

「なぁに、今度はガイアーステラのことを勉強してるの?」
 分厚い本を閉じて一息ついた所で、俺が読んでいた本のタイトルを見た2人に聞かれた。
「勉強っていうほどじゃないよ。
 とにかく俺は知らないことが多すぎるからさ」
 苦笑しながら答え、2人も一般的ではないガイアーステラのことを知っているんだと顔を上げた。
「2人とも世界創造の神話を信じてるわけじゃないんだ」
「神話はあくまでも神話よ」
「あたし達騎士は、宗教的思想に囚われないように、こういうことも教えられるの」
「へぇ~」
 そりゃそうか、と納得する。
 信じる宗教の思想によって行動が変わることはある。騎士という職業柄、その意識や行動は統一されねばならず、私情を挟まず、ましてや善悪の共通意識は大切なことだろう。
「でも、今を生きるのに精一杯だし、それこそ気の遠くなるような大昔のことを気にして考える人なんていないわよ」
「まぁそうだろうね」
 俺だって学校で習った、というだけで、興味はない。へぇそうなんだ、と記憶の片隅に残っているだけだ。

 だが、それでも約1億年前にこの世界の始祖らしい生物の誕生と、魔素が同時期に生成されたことだけは、ものすごく興味が引かれた。
 一つの生命体から、この世界に存在する多種多様な種族へ進化したという。その進化の過程がすごく気になった。

 ロマに聞いたらわかるだろうか。
 こういう研究をしている人を紹介してもらえないだろうか。
 「あいつ」に会えないだろうか。

 そんなことを考えながら、ガイアーステラ史を脇へ避けると、古代史の本を手元に寄せ、分厚い表紙を捲った。









 同日午後8時。
 鬱蒼と繁る森の中で、火柱が上がる。
 ザザザ、バキバキ、ドカンと木々が薙ぎ倒される音、岩が砕ける音、何かが弾け飛ぶ爆発音が周囲に響き渡る。
「待て」
 攻撃をしかけても防戦一方で反撃もして来ず、ただ逃げて行く3人を追いかけようとした者達に命令する。
 その言葉に、走り出していた数人がピタリと動きを止めるとその場で立ち尽くした。
「戻れ」
 そう声をかけると、動きを止めて突っ立ったままだった者達が向きを変え、命令した男の元へ無言で戻って行く。
「8…」
 戻ってきた人数を数え、1人足りないことに気付くと、チッと舌打ちし、戻った8人へ9人目を探すように命令する。
 8人はバッとその場から四方八方に飛び散ると、その数分後に1人が9人目の頭を鷲掴み引き摺りながら戻ってきた。
 男が頭を離すように命令すると、9人目をゴミを捨てるように放り投げる。
 9人目は生きている。
 生きているが、その目の虚空を見つめ、半開きした口から涎を垂らしていた。
「ああ…、もう限界か。処分だな」
 男がそばにいた者に殺すように言うと、命令された者はただそれに従い、一瞬で9人目の首を切り落とした。
「埋めろ」
 再び命令すると、土魔法で穴を掘り、無造作に首と体を穴に放り投げ、その上に土を被せていく。
 男は黙ってその様子を見ながらため息をつく。

「めんどくさ…」
 口の中で、周囲に聞こえないように男が呟く。
 埋め終わった8人はまたその場に立ち尽くしている。雑草のように風が吹くと揺れるが、その場からは移動しないし、向きも変えない。
「いくら駒とはいえ、命令しないと動けないんじゃな…」
 いちいちあれしろ、これしろ、と言うのが面倒くさくて仕方がなかった。
 使えと言われたから連れてきたが、こんなにも面倒くさい者達だとは思わなかった。
 命令せずに放置すれば、こいつらはいつまでもここにいる。
 逆に、命令すれば、止めろというまで動き続ける。
 まさに人形そのものだ。自我がない、ただ命令に従うだけの使い捨ての生き人形。
 ただし命令を与えれば、たとえ血が流れようが、手足がもがれようが、ひたすら命令に従う。その命が尽きるまで従順に。
 やっかいなのは、先程の9人目のように突然人形ですらなくなることだ。
 無気力状態に陥り、全く命令を聞かなくなる。だが、自分で動くわけでもない。放っておけばそのうち餓死でもするのだろうが、この人形を人に見られるのはマズい。
 だから使い物にならなくなった時点で処分(殺す)する。
 この任務について2日。処分はすでに3人目だった。


 男はため息をつきながら、立ち尽くす8人に「ついて来い」と一言だけ命令した。




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