大和の風を感じて3~泡沫の恋衣~【大和3部作シリーズ第3弾】

藍原 由麗

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  大泊瀬皇子おおはつせのおうじは、韓媛からひめにそんなふうに突然言われて妙に照れていた。
  そして彼は恥ずかしそうにして顔を赤らめる。

(まぁ、大泊瀬皇子が照れてるわ。これはちょっと意外ね……)

  そんな彼を見て韓媛は少し可笑しくなった。あの能吐の前に現れた時の彼とは、何だか別人に見える。

「まぁ、とりあえず俺が聞きたかったのはそれだけだ。長居しても悪いので、俺はこれで失礼する」

  大泊瀬皇子はそう言うと、立ち上がった。

「大泊瀬皇子、もうお帰りになられるのですね。では部屋の外までお見送りします」

  そう言って韓媛も立ち上がり、一緒に部屋の外まで行った。

「では、俺はこのまま自分の宮に戻る事にする」

「はい、大泊瀬皇子も帰りの道中お気を付けてください」

  韓媛は笑顔で彼にそう言った。

  大泊瀬皇子は彼女のそんな表情を見ていると、とても癒される感じがする。
  そしてそんな彼女の笑顔を見て、彼も嬉しさに動かされ、反射的に少し微笑んだ。

  そして彼は「じゃあ、失礼する」と言って韓媛の元を後にした。

  そしてそんな彼を、姿が見えなくなるまで彼女は見送った。


「大泊瀬皇子、本当に立派になったわ。今は確か16歳になってるのよね。これなら無事にどこかの姫を妃に貰えそう」

  韓媛は思わずそんな事をふと考えてみた。

「でもそう言えば、その辺の話しはもう進めてるのかしら?  彼がどこかの姫の元に通っている話は、今まで噂でも全く聞いた事が無いわ」

  まだ妃は娶っていないが、彼もどこかの娘の元に通ってても全然良い年頃になっている。

「今度皇子に会った時に聞いて見ようかしら?    でも彼の場合、そんな話しをしたら逆に怒りそうな気もするわね」
 
  韓媛は幼馴染みの彼が、そんな年齢になってる事に初めて気が付いた。彼が立派に成長して嬉しい反面。少し寂しさも感じる。

「まぁ、私も皇子も、いつかは誰かと一緒にならないといけない。もう2人ともそんな年になったのね」

  そんな事をふと韓媛は考えながら、自分の部屋の中へと戻って行った。
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