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「それは、本当にお辛い思いをされたのだな……」
大泊瀬皇子はそれ以上何も返す言葉がなかった。
「なのでもう誰にも恋をする気はありませんでした。でもあなたからの婚姻の話しを聞いた時、きっと余程の事情があるのだろうと思いました。であれば、そんなあなたの手助けをしてみるのも良いかもしれないと思ったのです」
それを聞いた大泊瀬皇子は、これが草香幡梭姫がこの婚姻に了承した理由だと理解できた。
「草香幡梭姫、あなたのお気持ちは分かりました。ではこの婚姻は了承して貰えたと思って進めさせて貰って良いだろうか」
「はい、それでお願いします。私が心から夫と思う人は、その亡くなった彼だけです。なのであなたは自身の幸せを考えて下さい」
(どうやら、草香幡梭姫を正妃に決めた判断は正しかったようだ。これなら彼女を傷付けることもなく、韓媛のみを大事にしてやれる)
「草香幡梭姫、重ね重ねで本当にすまないが、あなたには心の底から感謝する」
一時はどうなるかと彼も心配していたが、何とか彼女との婚姻がまとまって一安心といった所だろう。
大泊瀬皇子がそう安心していると、また草香幡梭姫が彼にいってきた。
「あ、そうそう。忍坂姫にも是非近々会って色々お話ししたいと伝えて頂けるかしら?前回はあなたの意中の娘の話でかなり盛り上がったものだから」
「え、俺の意中の娘の話しですか……」
それを聞いた大泊瀬皇子は何やら少し嫌な予感がしてきた。
「えぇ、忍坂姫がおっしゃるに『大泊瀬の長かった初恋がやっと実ったのよー!』と。それはとても嬉しそうに話されていました。前回は阿佐津姫ともその件でかなり盛り上がってたそうですね」
草香幡梭姫はとても愉快そうにして、そう話した。
(まぁ、母上のことだから、先程聞いた草香幡梭姫のかつての恋人のことを知った上で話しをしているはずだ。
だが、やはり母上には一度忠告したほうが良さそうだ……)
大泊瀬皇子は自身の母親のことで、ここまで恥ずかしい思いをするとは思ってもみなかった。
韓媛のことが草香幡梭姫にまで知られているとなると、他にも話してる可能性があるかもしれない。
「草香幡梭姫、どうかその話しは特に内緒でお願いしたい。俺の立場もあるので……」
「はい、もちろん分かっています。それと今は恐らく無理でしょうけど、いつか私もそのあなたの大事な娘に会ってみたいです。まぁ向こうが良いといってくれたらですが……」
大泊瀬皇子は、草香幡梭姫も意外にこういった話が好きなのかもしれないと思った。だから自身の母親とも仲良く出来るのだろう。
「そうですね。彼女が良いといってくれるなら、考えてみます」
「えぇ、是非そうして下さい。あと忍坂姫に会いたい件も含めて」
草香幡梭姫はとても嬉しそうにそう話した。
そしてその後、大泊瀬皇子は草香幡梭姫の元を後にすることとなった。
たが彼自身はとても少し複雑な思いを持ったままで。
大泊瀬皇子はそれ以上何も返す言葉がなかった。
「なのでもう誰にも恋をする気はありませんでした。でもあなたからの婚姻の話しを聞いた時、きっと余程の事情があるのだろうと思いました。であれば、そんなあなたの手助けをしてみるのも良いかもしれないと思ったのです」
それを聞いた大泊瀬皇子は、これが草香幡梭姫がこの婚姻に了承した理由だと理解できた。
「草香幡梭姫、あなたのお気持ちは分かりました。ではこの婚姻は了承して貰えたと思って進めさせて貰って良いだろうか」
「はい、それでお願いします。私が心から夫と思う人は、その亡くなった彼だけです。なのであなたは自身の幸せを考えて下さい」
(どうやら、草香幡梭姫を正妃に決めた判断は正しかったようだ。これなら彼女を傷付けることもなく、韓媛のみを大事にしてやれる)
「草香幡梭姫、重ね重ねで本当にすまないが、あなたには心の底から感謝する」
一時はどうなるかと彼も心配していたが、何とか彼女との婚姻がまとまって一安心といった所だろう。
大泊瀬皇子がそう安心していると、また草香幡梭姫が彼にいってきた。
「あ、そうそう。忍坂姫にも是非近々会って色々お話ししたいと伝えて頂けるかしら?前回はあなたの意中の娘の話でかなり盛り上がったものだから」
「え、俺の意中の娘の話しですか……」
それを聞いた大泊瀬皇子は何やら少し嫌な予感がしてきた。
「えぇ、忍坂姫がおっしゃるに『大泊瀬の長かった初恋がやっと実ったのよー!』と。それはとても嬉しそうに話されていました。前回は阿佐津姫ともその件でかなり盛り上がってたそうですね」
草香幡梭姫はとても愉快そうにして、そう話した。
(まぁ、母上のことだから、先程聞いた草香幡梭姫のかつての恋人のことを知った上で話しをしているはずだ。
だが、やはり母上には一度忠告したほうが良さそうだ……)
大泊瀬皇子は自身の母親のことで、ここまで恥ずかしい思いをするとは思ってもみなかった。
韓媛のことが草香幡梭姫にまで知られているとなると、他にも話してる可能性があるかもしれない。
「草香幡梭姫、どうかその話しは特に内緒でお願いしたい。俺の立場もあるので……」
「はい、もちろん分かっています。それと今は恐らく無理でしょうけど、いつか私もそのあなたの大事な娘に会ってみたいです。まぁ向こうが良いといってくれたらですが……」
大泊瀬皇子は、草香幡梭姫も意外にこういった話が好きなのかもしれないと思った。だから自身の母親とも仲良く出来るのだろう。
「そうですね。彼女が良いといってくれるなら、考えてみます」
「えぇ、是非そうして下さい。あと忍坂姫に会いたい件も含めて」
草香幡梭姫はとても嬉しそうにそう話した。
そしてその後、大泊瀬皇子は草香幡梭姫の元を後にすることとなった。
たが彼自身はとても少し複雑な思いを持ったままで。
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