45 / 105
45《星の約束》
しおりを挟む
そしていよいよ、厩戸皇子との待ち合わせの時間となった。
稚沙は彼にいわれていた通り、門の外に出た所で、本人が来るのを今か今かと待っていた。
「うーん、少し早く来てしまったかな。皇子の為にと思って仕事頑張っていたら、思いのほか早く終わってしまったのよね」
彼女は今日の自身の仕事ぶりを思い返す。
普段からこれだけ打ち込められたら、さぞ順調に仕事をこなせるだろうと。
(私もやれば出来るってことね!今日はこのことも厩戸皇子にいってみよう。皇子もきっと褒めてくれるに違いないもの)
稚沙は嬉しそうにしながら、そのようなことを考えてみる。
それからさらに時間がたち、周りが徐々に暗くなりだしてきていた。
(遅いな。もう待ち合わせの時間帯になってるのに……)
宮の人達の気配も段々と少なくなっていく。そして辺りもすっかり静まりかえってしまった。
「皇子遅いな。もしかて今日聞いた話のように、斑鳩宮で何かあったの?」
稚沙はだんだんと不安になってきた。このまま夜になれば、一人ではよう動けなくなってしまう。
「それとも斑鳩宮に寄ったので、少し遅れてるのかな?」
そしていよいよ辺りが夜の暗闇に変わり始める頃合いになっていた。
稚沙は一人でポツンとその場に立っていた。そして酷く心細くなり、少し泣きそうになっていた。
(う、厩戸皇子……)
そんな時である。急に稚沙に誰かが声をかけてきた。
「おい、お嬢ちゃん、どうしたんだ?」
彼女は思わず、自分に声をかけてきた人物を見る。
するとそこには数名の男たちが立っていた。
余り見かけない人達だったので、遠方から小墾田宮に何か用事でやってきた人達なのだろうか。
だが稚沙が見るに、少しガラの悪そうな男達だった。
(やだ、どうしよう。この人達ちょっと怖い……)
「ちょっと、人を待ってますので」
だがその男達は一歩一歩と、彼女に近寄ってくる。
そんな彼らを目にし、彼女は思わず恐怖を感じて一歩後ろに下がる。そして自身の体を少し震わせた。
「少し離れたところで、お嬢ちゃんを見ていたが、誰も来る気配がなかった。きっと相手にすっぽかされたんだろう?」
そういって男達は、皆ゲラゲラと笑いだした。
(相手にすっぽかされた?)
稚沙の不安はいよいよ限界を越えようとしている。
「なら俺達と一緒に行かないか?このままだと夜になって、どこかの悪いヤツらに襲われるぞ」
そういった男が稚沙の前に出てきて、いきなり彼女の腕を掴んだ。
「まぁ、悪いようにしない。大人しく俺達についてくるんだ!」
その瞬間、稚沙の目から涙が流れた。
(厩戸皇子、お願い、助けてー!!)
その瞬間である。
「おい!その子から離れろ!!」
いきなり稚沙とその男達の後ろから、怒鳴り声が聞こえた。
稚沙は驚いてその人物を見ると、そこには椋毘登が立っていた。
稚沙は彼にいわれていた通り、門の外に出た所で、本人が来るのを今か今かと待っていた。
「うーん、少し早く来てしまったかな。皇子の為にと思って仕事頑張っていたら、思いのほか早く終わってしまったのよね」
彼女は今日の自身の仕事ぶりを思い返す。
普段からこれだけ打ち込められたら、さぞ順調に仕事をこなせるだろうと。
(私もやれば出来るってことね!今日はこのことも厩戸皇子にいってみよう。皇子もきっと褒めてくれるに違いないもの)
稚沙は嬉しそうにしながら、そのようなことを考えてみる。
それからさらに時間がたち、周りが徐々に暗くなりだしてきていた。
(遅いな。もう待ち合わせの時間帯になってるのに……)
宮の人達の気配も段々と少なくなっていく。そして辺りもすっかり静まりかえってしまった。
「皇子遅いな。もしかて今日聞いた話のように、斑鳩宮で何かあったの?」
稚沙はだんだんと不安になってきた。このまま夜になれば、一人ではよう動けなくなってしまう。
「それとも斑鳩宮に寄ったので、少し遅れてるのかな?」
そしていよいよ辺りが夜の暗闇に変わり始める頃合いになっていた。
稚沙は一人でポツンとその場に立っていた。そして酷く心細くなり、少し泣きそうになっていた。
(う、厩戸皇子……)
そんな時である。急に稚沙に誰かが声をかけてきた。
「おい、お嬢ちゃん、どうしたんだ?」
彼女は思わず、自分に声をかけてきた人物を見る。
するとそこには数名の男たちが立っていた。
余り見かけない人達だったので、遠方から小墾田宮に何か用事でやってきた人達なのだろうか。
だが稚沙が見るに、少しガラの悪そうな男達だった。
(やだ、どうしよう。この人達ちょっと怖い……)
「ちょっと、人を待ってますので」
だがその男達は一歩一歩と、彼女に近寄ってくる。
そんな彼らを目にし、彼女は思わず恐怖を感じて一歩後ろに下がる。そして自身の体を少し震わせた。
「少し離れたところで、お嬢ちゃんを見ていたが、誰も来る気配がなかった。きっと相手にすっぽかされたんだろう?」
そういって男達は、皆ゲラゲラと笑いだした。
(相手にすっぽかされた?)
稚沙の不安はいよいよ限界を越えようとしている。
「なら俺達と一緒に行かないか?このままだと夜になって、どこかの悪いヤツらに襲われるぞ」
そういった男が稚沙の前に出てきて、いきなり彼女の腕を掴んだ。
「まぁ、悪いようにしない。大人しく俺達についてくるんだ!」
その瞬間、稚沙の目から涙が流れた。
(厩戸皇子、お願い、助けてー!!)
その瞬間である。
「おい!その子から離れろ!!」
いきなり稚沙とその男達の後ろから、怒鳴り声が聞こえた。
稚沙は驚いてその人物を見ると、そこには椋毘登が立っていた。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ソラノカケラ ⦅Shattered Skies⦆
みにみ
歴史・時代
2026年 中華人民共和国が台湾へ軍事侵攻を開始
台湾側は地の利を生かし善戦するも
人海戦術で推してくる中国側に敗走を重ね
たった3ヶ月ほどで第2作戦区以外を掌握される
背に腹を変えられなくなった台湾政府は
傭兵を雇うことを決定
世界各地から金を求めて傭兵たちが集まった
これは、その中の1人
台湾空軍特務中尉Mr.MAITOKIこと
舞時景都と
台湾空軍特務中士Mr.SASENOこと
佐世野榛名のコンビによる
台湾開放戦を描いた物語である
※エースコンバットみたいな世界観で描いてます()
7番目のシャルル、狂った王国にうまれて【少年期編完結】
しんの(C.Clarté)
歴史・時代
15世紀、狂王と淫妃の間に生まれた10番目の子が王位を継ぐとは誰も予想しなかった。兄王子の連続死で、不遇な王子は14歳で王太子となり、没落する王国を背負って死と血にまみれた運命をたどる。「恩人ジャンヌ・ダルクを見捨てた暗愚」と貶される一方で、「建国以来、戦乱の絶えなかった王国にはじめて平和と正義と秩序をもたらした名君」と評価されるフランス王シャルル七世の少年時代の物語。
歴史に残された記述と、筆者が受け継いだ記憶をもとに脚色したフィクションです。
【カクヨムコン7中間選考通過】【アルファポリス第7回歴史・時代小説大賞、読者投票4位】【講談社レジェンド賞最終選考作】
※表紙絵は離雨RIU(@re_hirame)様からいただいたファンアートを使わせていただいてます。
※重複投稿しています。
カクヨム:https://kakuyomu.jp/works/16816927859447599614
小説家になろう:https://ncode.syosetu.com/n9199ey/
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる