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48P《丹比柴籬宮にて》
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その頃忍坂姫は丹比柴籬宮にいた。
彼女はそこで、瑞歯別大王の妃の佐由良とその娘の阿佐津姫を紹介された。
(この人が、瑞歯別大王の妃の佐由良様……)
忍坂姫は彼女の事をまじまじと見た。
彼女の夫の瑞歯別大王も綺麗な顔立ちをしたとても凛々しい人だったが、この妃も大変綺麗な女性だった。
彼女の父親は物部伊莒弗と聞いていたが、母方は吉備との事だった。
元々は吉備から采女としてやって来ており、そして大和に来てから父親が誰だかが分かったんだそうだ。
そして大和で今の大王と知り合い、2人は恋に落ちた。
(何て、素敵なお話なんでしょう)
忍坂姫は佐由良と瑞歯別大王の恋の話しを聞いてとても感動した。
そしてそんな2人の間に阿佐津姫と言う名の1人の姫が生まれた。
前に市辺皇子が話していた、今年4歳になる女の子だ。
「佐由良様のお話しはとても感動しますね。それに阿佐津姫もとてもお可愛らしい姫で」
忍坂姫はそんな阿佐津姫を膝の上で抱っこしていた。
市辺皇子よりも2歳下なので、だいぶ軽く感じられた。
「あら、忍坂姫も可愛らしい姫だと私は思うわよ」
佐由良は少しクスクス笑いながらそう言った。そんな彼女は今20歳になっているが、まだ10代の少女のように見える。元々小柄で、忍坂姫よりも少し背が低かった。
「大王から聞いているけど、今は雄朝津間皇子の宮にいるそうね。彼とは仲良くやれているの?」
忍坂姫が何故、雄朝津間皇子の元にいるかは瑞歯別大王からは聞いていた。
元々彼女を皇子の宮に行くよう薦めたのは大王だったので、妃の彼女も話しに聞いていた。
「はい、そうですね。最初はどうなるかと思っていましたが、最近は皇子も割りと変わってきた感じがしています」
忍坂姫は彼女にそう答えた。皇子の気持ちはまだはっきりとは分からないが、初めの頃よりも、だいぶ仲良くなってきた感じがする。
「まぁ、そうなの。上手く行くと良いわね」
佐由良は彼女にそう言った。
雄朝津間皇子は彼女にとって、今は義理の弟になる。そんな彼の今後の事を彼女自身も心配していた。
「ねぇ、お父さま達はまだ帰ってこないの?」
阿佐津姫は足をブラブラさせながら、その場で言った。
(最近は市辺皇子の事ばかりかまっていたけど、女の子の姫も可愛いわ)
「そうね、割と近くだから、視察が終われば直ぐに帰って来ると思うわ。それより阿佐津姫、姫がそんな足をブラブラさせないの」
佐由良はそう彼女を叱った。
母の佐由良にそう言われ、少しムクッとはしたが、そのまま素直に従い母の元に戻ってきた。
「この子、姫の割りにちょっとやんちゃな所があって」
佐由良はそう言いながら、阿佐津姫の頭を軽く叩いた。どうやらいつもこんな感じなのだそうだ。
「まぁ、そうなんですね。私も小さい頃かなりお転婆でした。雄朝津間皇子もそんな私に当時かなり参ったって、少し前に言ってましたね」
「そうなの。その話しは初めて聞いたわ。昔、皇子とは一度だけ会った事があるとは聞いていたけど」
そんなお転婆な所があったので、雄朝津間皇子も最初この婚姻に反対していたと言っていた。
(でも、本当にそれだけの理由だったのかしら。他に何か理由があったのかは聞いてなかったけど)
その事については、また彼から聞ける機会があれば聞いてみよう。どのみち彼女が皇子の宮にいられるのはあと少しの期間だけである。
(この1ヶ月は本当にあっという間だったわね。皇子の宮に来たのがつい先日のようだわ)
雄朝津間皇子が1ヶ月を終えて、どういう結論を出そうとしているのかは正直彼女には全く想像がつかない。
特に何か彼から言われた訳でもなく、仲良く接しているだけだった。ただ最近の彼の接し方に少し違和感は感じていた。
「でも出来る事なら、私も佐由良様のように、1人の男性から一途に思われてみたいですね」
ただ雄朝津間皇子にそれを求めても、それは厳しいであろう。仮に自分を妃に選んでくれたとしても、皇子と言う立場であれば他の人も妃に出来る。
今の瑞歯別大王がどちらかと言うと珍しいだけだ。
「まぁ大王の場合、極度に嫉妬深いのと、元々複数の妃を持つつもりがなかったそうよ。彼は母の親磐之媛の側によくいたみたいで」
瑞歯別大王の場合、彼の母親の磐之媛が夫と他の妃との事でとても苦しまれた人だった。なので、そんな母親の影響が大きいとの事だった。
「へぇ、そうなんですね。でもそうだとしても、佐由良様は幸せだと思いますよ」
(だって、夫があんなに素敵な方なのだから...世の沢山の女性が羨ましいと思うはずよ)
「まぁ、大王には大切にしてもらっているのは事実だし、彼には本当に感謝しているわ」
そんな彼女を見て、やはりこの大王夫婦は本当に素敵に思える。
自分も出来る事なら、彼らのようになりたいと思った。
それから暫くして、佐由良はふと思い付いた。
「そうだわ。この近くに小高い丘があって、そこから村々を見渡せれるのだけれど、良かったらこれからそこに行ってみない?」
そこは【たかみのさと】と呼ばれており、大王もしばしそこから村々を眺めているのだそうだ。
「まぁ、それは素敵ですね。是非とも行ってみたいです」
忍坂姫はその話しを聞いて、その場所にとても興味を覚えた。
「じゃあ、阿佐津姫も連れて行きましょうか。念のため数名の従者も連れてね」
そうすると佐由良は、部屋の外にいるであろう使用人に声を掛けた。どうやらその手配をお願いしているようだ。
(この宮には滅多に来ないだろうから、行ける時に行っておきたいわ)
阿佐津姫は、母が使用人と話している事に関しては特に興味は無さそうで、その場で玩具で遊んでいた。
そんな姫を見て、忍坂姫はふとある事を聞いてみようと思った。
「ねぇ、阿佐津姫。あなたは市辺皇子の事は知ってるわよね?彼の事はどう思う?」
すると阿佐津姫はその言葉に反応したらしく、彼女に答えた。
「市辺皇子~知ってるけど、あの子は嫌い。ちょっと生意気で何か偉そうなんだもん」
(なる程。お互いに嫌ってるって事ね。
いとこ同士だからもっと仲良く出来たら良いと思うけど、男の子と女の子だから中々難しい部分もあるのかしら)
彼女はそこで、瑞歯別大王の妃の佐由良とその娘の阿佐津姫を紹介された。
(この人が、瑞歯別大王の妃の佐由良様……)
忍坂姫は彼女の事をまじまじと見た。
彼女の夫の瑞歯別大王も綺麗な顔立ちをしたとても凛々しい人だったが、この妃も大変綺麗な女性だった。
彼女の父親は物部伊莒弗と聞いていたが、母方は吉備との事だった。
元々は吉備から采女としてやって来ており、そして大和に来てから父親が誰だかが分かったんだそうだ。
そして大和で今の大王と知り合い、2人は恋に落ちた。
(何て、素敵なお話なんでしょう)
忍坂姫は佐由良と瑞歯別大王の恋の話しを聞いてとても感動した。
そしてそんな2人の間に阿佐津姫と言う名の1人の姫が生まれた。
前に市辺皇子が話していた、今年4歳になる女の子だ。
「佐由良様のお話しはとても感動しますね。それに阿佐津姫もとてもお可愛らしい姫で」
忍坂姫はそんな阿佐津姫を膝の上で抱っこしていた。
市辺皇子よりも2歳下なので、だいぶ軽く感じられた。
「あら、忍坂姫も可愛らしい姫だと私は思うわよ」
佐由良は少しクスクス笑いながらそう言った。そんな彼女は今20歳になっているが、まだ10代の少女のように見える。元々小柄で、忍坂姫よりも少し背が低かった。
「大王から聞いているけど、今は雄朝津間皇子の宮にいるそうね。彼とは仲良くやれているの?」
忍坂姫が何故、雄朝津間皇子の元にいるかは瑞歯別大王からは聞いていた。
元々彼女を皇子の宮に行くよう薦めたのは大王だったので、妃の彼女も話しに聞いていた。
「はい、そうですね。最初はどうなるかと思っていましたが、最近は皇子も割りと変わってきた感じがしています」
忍坂姫は彼女にそう答えた。皇子の気持ちはまだはっきりとは分からないが、初めの頃よりも、だいぶ仲良くなってきた感じがする。
「まぁ、そうなの。上手く行くと良いわね」
佐由良は彼女にそう言った。
雄朝津間皇子は彼女にとって、今は義理の弟になる。そんな彼の今後の事を彼女自身も心配していた。
「ねぇ、お父さま達はまだ帰ってこないの?」
阿佐津姫は足をブラブラさせながら、その場で言った。
(最近は市辺皇子の事ばかりかまっていたけど、女の子の姫も可愛いわ)
「そうね、割と近くだから、視察が終われば直ぐに帰って来ると思うわ。それより阿佐津姫、姫がそんな足をブラブラさせないの」
佐由良はそう彼女を叱った。
母の佐由良にそう言われ、少しムクッとはしたが、そのまま素直に従い母の元に戻ってきた。
「この子、姫の割りにちょっとやんちゃな所があって」
佐由良はそう言いながら、阿佐津姫の頭を軽く叩いた。どうやらいつもこんな感じなのだそうだ。
「まぁ、そうなんですね。私も小さい頃かなりお転婆でした。雄朝津間皇子もそんな私に当時かなり参ったって、少し前に言ってましたね」
「そうなの。その話しは初めて聞いたわ。昔、皇子とは一度だけ会った事があるとは聞いていたけど」
そんなお転婆な所があったので、雄朝津間皇子も最初この婚姻に反対していたと言っていた。
(でも、本当にそれだけの理由だったのかしら。他に何か理由があったのかは聞いてなかったけど)
その事については、また彼から聞ける機会があれば聞いてみよう。どのみち彼女が皇子の宮にいられるのはあと少しの期間だけである。
(この1ヶ月は本当にあっという間だったわね。皇子の宮に来たのがつい先日のようだわ)
雄朝津間皇子が1ヶ月を終えて、どういう結論を出そうとしているのかは正直彼女には全く想像がつかない。
特に何か彼から言われた訳でもなく、仲良く接しているだけだった。ただ最近の彼の接し方に少し違和感は感じていた。
「でも出来る事なら、私も佐由良様のように、1人の男性から一途に思われてみたいですね」
ただ雄朝津間皇子にそれを求めても、それは厳しいであろう。仮に自分を妃に選んでくれたとしても、皇子と言う立場であれば他の人も妃に出来る。
今の瑞歯別大王がどちらかと言うと珍しいだけだ。
「まぁ大王の場合、極度に嫉妬深いのと、元々複数の妃を持つつもりがなかったそうよ。彼は母の親磐之媛の側によくいたみたいで」
瑞歯別大王の場合、彼の母親の磐之媛が夫と他の妃との事でとても苦しまれた人だった。なので、そんな母親の影響が大きいとの事だった。
「へぇ、そうなんですね。でもそうだとしても、佐由良様は幸せだと思いますよ」
(だって、夫があんなに素敵な方なのだから...世の沢山の女性が羨ましいと思うはずよ)
「まぁ、大王には大切にしてもらっているのは事実だし、彼には本当に感謝しているわ」
そんな彼女を見て、やはりこの大王夫婦は本当に素敵に思える。
自分も出来る事なら、彼らのようになりたいと思った。
それから暫くして、佐由良はふと思い付いた。
「そうだわ。この近くに小高い丘があって、そこから村々を見渡せれるのだけれど、良かったらこれからそこに行ってみない?」
そこは【たかみのさと】と呼ばれており、大王もしばしそこから村々を眺めているのだそうだ。
「まぁ、それは素敵ですね。是非とも行ってみたいです」
忍坂姫はその話しを聞いて、その場所にとても興味を覚えた。
「じゃあ、阿佐津姫も連れて行きましょうか。念のため数名の従者も連れてね」
そうすると佐由良は、部屋の外にいるであろう使用人に声を掛けた。どうやらその手配をお願いしているようだ。
(この宮には滅多に来ないだろうから、行ける時に行っておきたいわ)
阿佐津姫は、母が使用人と話している事に関しては特に興味は無さそうで、その場で玩具で遊んでいた。
そんな姫を見て、忍坂姫はふとある事を聞いてみようと思った。
「ねぇ、阿佐津姫。あなたは市辺皇子の事は知ってるわよね?彼の事はどう思う?」
すると阿佐津姫はその言葉に反応したらしく、彼女に答えた。
「市辺皇子~知ってるけど、あの子は嫌い。ちょっと生意気で何か偉そうなんだもん」
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