引っ越した町は悪に満ちている

まなた

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田舎町とアパートの雰囲気は妙だった

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約五時間後僕たちは町に着いた。


【安斉山町】


ここがこの町の名前か。どうやら駅前のようだが、いわゆる某有名レンタル店等は期待できる町並みではなかった。
と、急ブレーキを父さんがかけた。

「あなたどうしたの?」

「いや、今なにかが目の前を通ったんだ」

ちっ、沙夜は舌打ちをする。どうやら今の急ブレーキでやってたゲームが負けたようだ。

「何も見えなかったよ、父さん」

「勘違いか、沙夜すまんな」

「話しかけないで、また一からやりなおしてるんだから」

父さんは苦笑いしながら車を進める。

「あ、あそこだ。あそこが引っ越し先のアパートだよ」

あたりはどんよりと暗い。なんだか嫌だなぁ。

車を止めると、すでに管理人さんがまっていた。

「どうも、こんにちは、お待ちしておりましたよ」

「すいません、おそくなりました、南川です」

「いえいえ、では中にどうぞ」

僕たちは階段で三階まであがる。エレベーターなんてものはもちろんない。

「こちらになります」

管理人のお爺さんが鍵を開ける

部屋はきれいになっていて、思ったよりも広かった。

「こんな広い部屋があんな安い金額で借りていいんですか?」

管理人はにやりと笑い。
「いいんですよ。この辺はみんなあのくらいの金額ですから」

その後、簡単な説明を管理人から両親が受けていた。

僕らは引っ越し業者が荷物を運んでくるのを待つことになった。

「さて、部屋は三つか、瑛人と沙夜が一部屋ずつで、父さんと母さんでこの部屋を使うか」

「私はお兄ちゃんと同じ部屋でもいいけど」

「さすがにそうもいかんだろう」

父さんは即座に否定する。

沙夜は両親にはそっけないが、自分で言うのもなんだが、かなりのブラコンであり、僕には良くなついている。

ちっ、また沙夜の舌打ちが聞こえた。

引っ越し業者が到着したようだ。

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