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Chapter08 - Side:EachOther - C
104 > 佐藤宅 ー01〜 酔いどれ(Side:Salt)
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【Side:Salt 】
タクシーに乗って佐藤の家まで来てみると、ベランダから見える家の電気は消えていた。
出かけてるか、寝てるかどっちかだとは思うが
「やっぱ寝てるよな……」
家の鍵を預かってるし、本人が家にいるんだったら、不法侵入じゃないかもしれない。が、少しためらう。
『来る前にLIMEしろよ』とは言ってたが……
大丈夫だとは思うけど、とりあえず上がる。佐藤の部屋はマンションの5階だ。
佐藤はこのマンションが気に入ってるとは言ってたけど、オレ的にはでかすぎないか?というのが正直な気持ちだった。まぁ、本人が気に入ってるんだったら問題ないわけだが。
玄関の前まで来て、やっぱり連絡するかどうか迷って、一応玄関前でLIMEを打って
『今玄関前にいる。入っていいか?』
送信しようとすると
ガシャーン!!
「?!」
家の中から大きな音が聞こえた。ちゃんと防音してるような部屋からそんなでかい音が聞こえるって……
オレは一瞬、自分の家でのことがフラッシュバックして立ちすくんだ。
〝いや、ここに紗妃はいない。いるのは佐藤だけだ……そのはずだ……〟
足元がすくんでるのが自分でもわかる。
そんなでかい音が佐藤の家からするなんて、なんで……
玄関のドアに耳を当てて様子を伺う。
〝誰かと一緒か?〟
もう何も聞こえてこなかった。
少しほっとして、ゴクリ、と喉を鳴らしたオレは、佐藤から預かった鍵を尻ポケットから取り出してドアに差し込んだ。
ゆっくり鍵を回すと
カチャ という音が聞こえた。オレの家の鍵と違って静かだ。
オレはドアのハンドルを押して開けた。
音もなくドアは開いて、中は真っ暗だ。
〝??? あんな大きい物音がしたのに……暗いな???〟
家中の電気が消えている。ベランダから見える窓はリビングだから、音がするとしたら別の部屋にいるんだと思ったが……
「……じゃま、するぞ……」
小声で確認? するように廊下を進む。すると、ツンとする独特の匂いが漂っていた。
〝酒?〟
佐藤はあまり酒を飲まない。特に日本酒は悪酔いするから、と言ってほぼ口にしない。
だが、今部屋中から漂ってるのは日本酒を飲んだあとの独特の匂いだ。
「……」
真っ暗ではあるが足元はなんとか見えるから、オレはひとまずリビングに向かう。
ガン! がつん!
「!!」
別の部屋から音がした。
〝リビングじゃなくて……佐藤の部屋?〟
あの部屋にはあまり立ち入って欲しくなさそうな顔をするから入ったことはほとんどない。誰にだってプライベートは大事だ。
『元オタクだったからさ、ちょっと、その、な?』
見られて困るようなものがあるわけじゃないけど、とボソッと付け加えていたが。
リビングに向かう前に通り過ぎたその部屋の前に来る。
ドアが少し開いていた。
ボソボソと何か聞こえる。
「佐藤?」
部屋の中も電気はついてない。なのに少し明るい。
そっと中を覗くと、でかいパソコンのモニター2面だけが光っていた。
そこに映し出されているのは──いつだったか紗妃も一緒に行った鎌倉観光の時の映像だ────
「……」
波打ち際をはしゃいでる紗妃と、それを眺めているオレが映し出されている。
デスク上に置いてあるデスクトップPCにはイヤホンが刺さっていて音は聞こえない。
そして佐藤本人は……そのイヤホンを耳につけたままPC机につっぷしていた。
〝めちゃくちゃ酒臭い……〟
そっと部屋の中に入る。
匂いの元を辿って見るとデスクの足元に一升瓶が転がっていた。
「しおみぃ……」
呟いたその一言に、起きたのかと思ってドキっとした。だが、突っ伏したままの体勢は変わらない。
〝……この映像……まさか…………〟
そこまで考えて、オレはさっき佐藤が吐露した片想い相手の話を思い出した。
既婚者で、長いこと片想いで、告白しようと思ったら、結婚した、って……
頭の中が混乱している。
まさか、まさか……
〝……おまえ、紗妃が……好きだったのか?!〟
そんなこと……そしたら、オレは……
「……うしお……」
「?」
「……なんで……俺じゃ、ない……んだ……」
〝? 今、うしお、っつった、よな???〟
「俺……お前、と……」
そのまま、本格的に寝入ってしまったようだ。
薄暗くて部屋の中がよく見えないが、何か、ものが散乱している。
〝もの……というか……〟
部屋の電気をつけて佐藤を起こすのも気が引けたので、寝室まで運ぼうとPC机の上を見たら
「?」
佐藤の顔の下に一枚の写真?にしてはやけにでかいサイズのそれがあって、よく見ると
「!!!」
〝こ! これ!? オレ!!?〟
オレの、顔だった……
声を出せずに口元を片手で押さえて後ずさると今度は、ズルっと何かを踏んだ気がした。
〝?〟
不審に思って、ボディバッグから取り出したスマホのライトで床を照らしてみると……
──大量の写真が、散乱して────
「!!!!」
そのどれもに……【オレ】が写っていた────
「うしぉ……」
タクシーに乗って佐藤の家まで来てみると、ベランダから見える家の電気は消えていた。
出かけてるか、寝てるかどっちかだとは思うが
「やっぱ寝てるよな……」
家の鍵を預かってるし、本人が家にいるんだったら、不法侵入じゃないかもしれない。が、少しためらう。
『来る前にLIMEしろよ』とは言ってたが……
大丈夫だとは思うけど、とりあえず上がる。佐藤の部屋はマンションの5階だ。
佐藤はこのマンションが気に入ってるとは言ってたけど、オレ的にはでかすぎないか?というのが正直な気持ちだった。まぁ、本人が気に入ってるんだったら問題ないわけだが。
玄関の前まで来て、やっぱり連絡するかどうか迷って、一応玄関前でLIMEを打って
『今玄関前にいる。入っていいか?』
送信しようとすると
ガシャーン!!
「?!」
家の中から大きな音が聞こえた。ちゃんと防音してるような部屋からそんなでかい音が聞こえるって……
オレは一瞬、自分の家でのことがフラッシュバックして立ちすくんだ。
〝いや、ここに紗妃はいない。いるのは佐藤だけだ……そのはずだ……〟
足元がすくんでるのが自分でもわかる。
そんなでかい音が佐藤の家からするなんて、なんで……
玄関のドアに耳を当てて様子を伺う。
〝誰かと一緒か?〟
もう何も聞こえてこなかった。
少しほっとして、ゴクリ、と喉を鳴らしたオレは、佐藤から預かった鍵を尻ポケットから取り出してドアに差し込んだ。
ゆっくり鍵を回すと
カチャ という音が聞こえた。オレの家の鍵と違って静かだ。
オレはドアのハンドルを押して開けた。
音もなくドアは開いて、中は真っ暗だ。
〝??? あんな大きい物音がしたのに……暗いな???〟
家中の電気が消えている。ベランダから見える窓はリビングだから、音がするとしたら別の部屋にいるんだと思ったが……
「……じゃま、するぞ……」
小声で確認? するように廊下を進む。すると、ツンとする独特の匂いが漂っていた。
〝酒?〟
佐藤はあまり酒を飲まない。特に日本酒は悪酔いするから、と言ってほぼ口にしない。
だが、今部屋中から漂ってるのは日本酒を飲んだあとの独特の匂いだ。
「……」
真っ暗ではあるが足元はなんとか見えるから、オレはひとまずリビングに向かう。
ガン! がつん!
「!!」
別の部屋から音がした。
〝リビングじゃなくて……佐藤の部屋?〟
あの部屋にはあまり立ち入って欲しくなさそうな顔をするから入ったことはほとんどない。誰にだってプライベートは大事だ。
『元オタクだったからさ、ちょっと、その、な?』
見られて困るようなものがあるわけじゃないけど、とボソッと付け加えていたが。
リビングに向かう前に通り過ぎたその部屋の前に来る。
ドアが少し開いていた。
ボソボソと何か聞こえる。
「佐藤?」
部屋の中も電気はついてない。なのに少し明るい。
そっと中を覗くと、でかいパソコンのモニター2面だけが光っていた。
そこに映し出されているのは──いつだったか紗妃も一緒に行った鎌倉観光の時の映像だ────
「……」
波打ち際をはしゃいでる紗妃と、それを眺めているオレが映し出されている。
デスク上に置いてあるデスクトップPCにはイヤホンが刺さっていて音は聞こえない。
そして佐藤本人は……そのイヤホンを耳につけたままPC机につっぷしていた。
〝めちゃくちゃ酒臭い……〟
そっと部屋の中に入る。
匂いの元を辿って見るとデスクの足元に一升瓶が転がっていた。
「しおみぃ……」
呟いたその一言に、起きたのかと思ってドキっとした。だが、突っ伏したままの体勢は変わらない。
〝……この映像……まさか…………〟
そこまで考えて、オレはさっき佐藤が吐露した片想い相手の話を思い出した。
既婚者で、長いこと片想いで、告白しようと思ったら、結婚した、って……
頭の中が混乱している。
まさか、まさか……
〝……おまえ、紗妃が……好きだったのか?!〟
そんなこと……そしたら、オレは……
「……うしお……」
「?」
「……なんで……俺じゃ、ない……んだ……」
〝? 今、うしお、っつった、よな???〟
「俺……お前、と……」
そのまま、本格的に寝入ってしまったようだ。
薄暗くて部屋の中がよく見えないが、何か、ものが散乱している。
〝もの……というか……〟
部屋の電気をつけて佐藤を起こすのも気が引けたので、寝室まで運ぼうとPC机の上を見たら
「?」
佐藤の顔の下に一枚の写真?にしてはやけにでかいサイズのそれがあって、よく見ると
「!!!」
〝こ! これ!? オレ!!?〟
オレの、顔だった……
声を出せずに口元を片手で押さえて後ずさると今度は、ズルっと何かを踏んだ気がした。
〝?〟
不審に思って、ボディバッグから取り出したスマホのライトで床を照らしてみると……
──大量の写真が、散乱して────
「!!!!」
そのどれもに……【オレ】が写っていた────
「うしぉ……」
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