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Chapter08 - Side:EachOther - C
105 > 佐藤宅 ー02〜 気持ち(Side:Salt)
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【Side:Salt】
〝な、なんだ?! どういうことだ?!〟
オレはスマホのライトに照らし出されたその異様な光景に絶句していた。
床に転がっている大量の写真。
それに写っているのは、全部……【オレ】……
机に突っ伏した佐藤は、片頬をでかい写真……の【オレの顔】につけたまま寝入っている。
おそるおそる佐藤の顔をずらして、そのでかいサイズの写真をゆっくりと引き抜いた。
それは───風呂上がりでパンイチになってベランダに出ているオレの全身半裸写真、で。
〝なッ! なんでこんな写真が?! 一体、どこで?!〟
そこまで考えて、このマンションのベランダから前オレが住んでいたアパートはあの辺だと言っていたこと、以前、佐藤が超望遠のカメラを買ったこと、を思い出した。
〝でも、あれって、相当前……〟
たしか、佐藤がこのマンションに……オレと会って1年後くらいに引っ越してきた直後だったはずだ。
とすると、おそらく7年前……あの時、佐藤は『オタクでバードウォッチングに凝ってるから』とかなんとか言ってた。オレもその買い物に一緒に付き合って……このマンションの引っ越し祝いに、と少ないながらも援助した────
〝……オレの、写真……オレだけ切り取ったような……切り取られた写真……〟
床に散らばる大量の写真に圧倒されて呆然と立ち尽くしていたオレはふと、2枚あるPCモニターが異様に傾いているのに気づいて、スマホをかざしてそこを見た。
壁板? がモニターに掛かっているようで……近くに寄ってみてみると……
傾いた壁板の後ろには───数多くの【オレ】の写真、が、そこに───
大小の【オレ】の写真の数々。
コラージュみたいに重なったりそうじゃなかったりして貼り付けられているが、佐藤と一緒に映ってる写真の方は少し大きめで前面に貼り付けられていて……
オレはそっと、その壁板に手を掛けてモニターから退けようとすると、ズ、ルルルル、とその壁板?が滑っていき、壁全面が───
夥しい量の写真を貼られた壁全面、が現れた。
「ストーカー、かよ……」
ボソッとオレはつぶやいていた。
そうか……佐藤はオレのストーカーだったのか────
いや、だった、というのはおかしい。写真の中には明らかに最近撮ったものも混じっている。
【ストーカー】なんだ───
酒臭い部屋の中をぐるっとスマホの灯りで照らすと、細々としたものがあちこちに倒れ……倒されていて……
ふっ、と……気づいた。
いくらオレが鈍くても気づくだろ。
佐藤が言ってた『長く片想いしている佐藤に靡かずに別の男と結婚した相手』……いや、【男】と結婚した、とは言ってなかった気がする……オレも男だし、佐藤も男だし……それって────
「女じゃないのかよ…………お前って【そっち】だった、のか?」
でもそういう気配を感じたことはない。少なくとも1年前まで常に彼女がいたし……それにこの1年はEDとも言っていた……
『諦めきれなくてさ……結婚してるけど……まだ片想いのままだけど……それでもいいや、って思って……』
オレは佐藤が帰り際、最後に言ったセリフを思い出していた。
でもナニかが引っかかる……
〝そういや、そのちょっと前に聞いた時って……〟
『お前の知らない人だよ』とも言っていた。あれはどういう意味……だ?
壁と床にある大量の写真が───佐藤の気持ちを───本音を代弁している……
いくら【そういう事】に疎いオレにもわかる。
オレは、人が言った言葉からしか相手のことを考えないが、言葉をあまり信用していない。
人間は簡単に嘘をつく生き物だからだ。
その人が誠実かどうか、本当のことを言う人間かどうかは、行動に現れると思っている。
言葉に伴う行動を起こさない人間をオレは信じない。だから、そういう人間を避けてきたし、そうだとわかるまでの対応が冷たく、誠実さを行動で証明した人間を信頼する。
言葉よりも行動がその人間の本音であることを理解しているつもりだ。
言った言葉と行動が矛盾している時、その人間の本音は行動の方に現れる。
〝だから……佐藤のコレ、は───〟
その床を眺めていたオレは、ゆっくりかがんで、床に散らばった大量の写真を見てみた。
懐かしい写真もたくさんある。
その中に、泣きそうなくらい懐かしい写真を見つけた。
「これって……」
さっきPC画面で流れていた鎌倉に3人で行った時の写真。
オレと紗妃が写っているはずなのに、紗妃の姿だけなくて写真のサイズがおかしいことになってる。
重なるようにしてその下にある写真を見ると……
同じ場所で、海辺で紗妃と一緒にいるはずの小さなサイズのオレに、大きい顔の佐藤の横顔がキスしてるような遠近感のおかしい写真が───
───巨人と小人みたいに写るあの構図だ───
〝……あぁ、そうか、そうなんだな……〟
オレはもう納得するしかなかった。
〝佐藤が……ずっと……片想いして……諦めきれなかった、って…………〟
『お前の知らない人』と言った理由。
【オレ】に言い出せなかった理由。
多くを語らなかった理由。
そういったもの全部はわからないが……
でもこの大量にある写真が佐藤の気持ちを【オレ】に叫んでいた。
『汐見潮が好きだ』、と。
〝な、なんだ?! どういうことだ?!〟
オレはスマホのライトに照らし出されたその異様な光景に絶句していた。
床に転がっている大量の写真。
それに写っているのは、全部……【オレ】……
机に突っ伏した佐藤は、片頬をでかい写真……の【オレの顔】につけたまま寝入っている。
おそるおそる佐藤の顔をずらして、そのでかいサイズの写真をゆっくりと引き抜いた。
それは───風呂上がりでパンイチになってベランダに出ているオレの全身半裸写真、で。
〝なッ! なんでこんな写真が?! 一体、どこで?!〟
そこまで考えて、このマンションのベランダから前オレが住んでいたアパートはあの辺だと言っていたこと、以前、佐藤が超望遠のカメラを買ったこと、を思い出した。
〝でも、あれって、相当前……〟
たしか、佐藤がこのマンションに……オレと会って1年後くらいに引っ越してきた直後だったはずだ。
とすると、おそらく7年前……あの時、佐藤は『オタクでバードウォッチングに凝ってるから』とかなんとか言ってた。オレもその買い物に一緒に付き合って……このマンションの引っ越し祝いに、と少ないながらも援助した────
〝……オレの、写真……オレだけ切り取ったような……切り取られた写真……〟
床に散らばる大量の写真に圧倒されて呆然と立ち尽くしていたオレはふと、2枚あるPCモニターが異様に傾いているのに気づいて、スマホをかざしてそこを見た。
壁板? がモニターに掛かっているようで……近くに寄ってみてみると……
傾いた壁板の後ろには───数多くの【オレ】の写真、が、そこに───
大小の【オレ】の写真の数々。
コラージュみたいに重なったりそうじゃなかったりして貼り付けられているが、佐藤と一緒に映ってる写真の方は少し大きめで前面に貼り付けられていて……
オレはそっと、その壁板に手を掛けてモニターから退けようとすると、ズ、ルルルル、とその壁板?が滑っていき、壁全面が───
夥しい量の写真を貼られた壁全面、が現れた。
「ストーカー、かよ……」
ボソッとオレはつぶやいていた。
そうか……佐藤はオレのストーカーだったのか────
いや、だった、というのはおかしい。写真の中には明らかに最近撮ったものも混じっている。
【ストーカー】なんだ───
酒臭い部屋の中をぐるっとスマホの灯りで照らすと、細々としたものがあちこちに倒れ……倒されていて……
ふっ、と……気づいた。
いくらオレが鈍くても気づくだろ。
佐藤が言ってた『長く片想いしている佐藤に靡かずに別の男と結婚した相手』……いや、【男】と結婚した、とは言ってなかった気がする……オレも男だし、佐藤も男だし……それって────
「女じゃないのかよ…………お前って【そっち】だった、のか?」
でもそういう気配を感じたことはない。少なくとも1年前まで常に彼女がいたし……それにこの1年はEDとも言っていた……
『諦めきれなくてさ……結婚してるけど……まだ片想いのままだけど……それでもいいや、って思って……』
オレは佐藤が帰り際、最後に言ったセリフを思い出していた。
でもナニかが引っかかる……
〝そういや、そのちょっと前に聞いた時って……〟
『お前の知らない人だよ』とも言っていた。あれはどういう意味……だ?
壁と床にある大量の写真が───佐藤の気持ちを───本音を代弁している……
いくら【そういう事】に疎いオレにもわかる。
オレは、人が言った言葉からしか相手のことを考えないが、言葉をあまり信用していない。
人間は簡単に嘘をつく生き物だからだ。
その人が誠実かどうか、本当のことを言う人間かどうかは、行動に現れると思っている。
言葉に伴う行動を起こさない人間をオレは信じない。だから、そういう人間を避けてきたし、そうだとわかるまでの対応が冷たく、誠実さを行動で証明した人間を信頼する。
言葉よりも行動がその人間の本音であることを理解しているつもりだ。
言った言葉と行動が矛盾している時、その人間の本音は行動の方に現れる。
〝だから……佐藤のコレ、は───〟
その床を眺めていたオレは、ゆっくりかがんで、床に散らばった大量の写真を見てみた。
懐かしい写真もたくさんある。
その中に、泣きそうなくらい懐かしい写真を見つけた。
「これって……」
さっきPC画面で流れていた鎌倉に3人で行った時の写真。
オレと紗妃が写っているはずなのに、紗妃の姿だけなくて写真のサイズがおかしいことになってる。
重なるようにしてその下にある写真を見ると……
同じ場所で、海辺で紗妃と一緒にいるはずの小さなサイズのオレに、大きい顔の佐藤の横顔がキスしてるような遠近感のおかしい写真が───
───巨人と小人みたいに写るあの構図だ───
〝……あぁ、そうか、そうなんだな……〟
オレはもう納得するしかなかった。
〝佐藤が……ずっと……片想いして……諦めきれなかった、って…………〟
『お前の知らない人』と言った理由。
【オレ】に言い出せなかった理由。
多くを語らなかった理由。
そういったもの全部はわからないが……
でもこの大量にある写真が佐藤の気持ちを【オレ】に叫んでいた。
『汐見潮が好きだ』、と。
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