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Chapter08 - Side:EachOther - C
112 > 佐藤宅 ー08〜 買い物帰り (Side:Sugar)
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【Side:Sugar】
「今日の夕飯になる食材は買ったし、昼のテイクアウトも受け取ったし、これで大丈夫だな」
今日は買い出すものをメモしてから出たんだが、まだ何か残ってるような気がして不安になってメモを見返しながら帰路を歩いていた。
〝うん、大丈夫だ〟
歩いてると暑さで吹き出す汗がヤバイけど、そんなこと言ってられない。
とりあえず家に帰ってゆっくり休みたい。
汐見を留守番させるのは何も今回が初めてじゃないんだが、ちょっと気になっていて早く帰りたかった。何がって……
〝鎌倉でのあの写真、どこに行ったんだ……〟
鏡の破片を片付けて掃除機をかけた後、写真を拾って確認した。一枚ずつ確認したわけじゃないけどパラパラめくってもあの写真だけが見つからなかった。
〝おかしい……〟
机を動かしてみたり、あの二つの壁の間に挟まってないかそれぞれ5回くらいロールさせて確認したりしてみたんだが、見当たらない。
〝データは残ってるから印刷すればいいんだけど……〟
気がかりで買い物の最中にも思い出したりして手が止まった。
〝ひっくり返して全部広げるのもいいけど、そろそろ整理しないとな。あの構図の写真だけ抜き取って別のアルバムか何かに納めておこう。……汐見が家に帰ってからの方がいいな……〟
昨夜は汐見がいなかったから少しは楽しもうと思っていたのに、撮り貯めてた動画を整理していると鑑賞会が始まってしまい酔いも手伝って止まらなかった。
〝……多分、他の人間から見ると汐見は強面だし態度も冷たいから怖い人だと思われるんだよな。だけど……〟
ふとした時に見せる、緩んだ笑顔とか、ちょっとした瞬間に見せる隙のある表情とか仕草とかが……
〝うわっ! お、思い出すな、俺!!〟
かわいくて仕方ない。かわいいというか、なんというか……そう! ギャップ萌えだ!!
あの笑顔にやられるのは何も俺だけじゃない。他の人間が汐見のギャップのある表情に一瞬見惚れるのを俺は何度も見てきた。
〝こないだだって……〟
だから、表面だけでしか判断しない、見た目にしか興味がない女子連中は汐見をほとんど相手にしないが……そうじゃない人間には汐見の魅力がじわじわと理解できるようになる。
〝あいつはキャーキャー言われる人種じゃないんだよな……〟
汐見に興味が湧く人間のほとんどは……女子に限ってはほぼ全員が汐見に本気で惚れてしまう。それくらいの魅力を持ってるくせにそのことに自分自身で気づいてないことに一番腹が立つ。
〝……せめて……〟
汐見が俺の恋人になってくれて、それを公言できて、汐見を独り占めできる権利があれば、ここまでやる必要はなかったんだ。
〝でも汐見にとっては、そういうことすらどうでも良さそうだもんな……〟
あいつは自分の容姿に全く頓着していない。自分の価値すらどうでも良さそうだ。
あの目つきの悪さは生来のものだけど、でもそれすらかわいいと思う俺は相当な盲目なんだろう。顔を俯けながらメガネ越しに睨んでくる任侠物俳優顔負けの表情でさえ、俺をときめかせるくらいなんだから……
〝まぁ、俺が重症なのはわかってるんだ……〟
俺の思いが届くことはあるのか、ないのか。
〝汐見が転職するっていうなら、俺も同じ会社に転職しようかな……〟
そんなことを思うくらいには結構思い詰めてる。
〝離れたくない……〟
同じ会社に勤められなくなる……同僚じゃなくなるのが嫌だ。
別に同じ会社に勤めてるからって、四六時中一緒にいるわけじゃないし(そんなことしてたらいくらなんでも息が詰まるだろうし)ずっと鑑賞してられるわけじゃないんだけど、でも【同じ組織に属している安心感】?みたいなものってあるじゃないか。同じ学校に通ってるだけでなんかテンション上がる、みたいな。
そういう感じじゃなくなるのが────
〝汐見はそんなこと考えてないんだろうな……〟
そもそも俺の気持ちに気づいてすらいないんだから当たり前か。
気づいて欲しい、俺だけを見て欲しいという気持ちと、気づかれたくない、気持ち悪いと思われたくないという矛盾した思いが常にせめぎ合っている。
一体どっちなんだ、と言われると【どっちも本当にそう思う】んだ……
テイクアウトしたお昼用の食事(弁当とサイドメニュー)、牛乳やら結構な荷物になった買い物袋、を両手に徒歩10分。マンションが見えてきてホッとした。
こんなにいっぺんに買い出しに行くのは久しぶりだった。
汐見が泊まりに来る前日にも買い出したけど店で思いつくものだけ買ったために、買い足りてないものの方が多かった。
「車で行けばよかったか……でもあのスーパー、駐車場ないしなぁ」
玄関ロビーに入ると、マンションの同じ階の住民と入れ違った。汗だくになってるので、匂いをちょっと気にして距離を保つ。
「こんにちは」
「佐藤さん。あら、こんな時間に……お買い物?」
「はい」
「……随分多いのね」
「はは、ちょっと色々ありまして……」
「そうなの?今日はお休み?」
「はい。先週まで多忙だったので今週は有給をいただきまして……」
「あら、ご旅行にでも行かれるの?」
「いや、普通に家でゴロゴロしてるだけです」
「ふふ。じゃあ家ごもり用の食材なのね?」
「そ、うですね。そんな感じです」
当たり障りのない会話をしてその奥さんとはロビーで別れ、ナンバーパネルに解錠ナンバーを打ち込んでエレベーターに乗り込む。
〝寝てるかな……〟
俺は、左の尻ポケットに入れている鍵を取り出す。チーンと音が鳴ったエレベーターを出て、自分の部屋に向かう。寝てるかもしれないから、俺はチャイムを鳴らさずに玄関の鍵を回し
ガチャ
そっと玄関を開けると、すぐそこに汐見がいて。
「ん? 汐見?」
「あ、あぁ! おかえり」
「ただいま。どうした?」
〝寝てなかったのか……?〟
「っあ、ああ、ちょっと、昨日持っていき忘れたのがあったな、と思って部屋に……」
〝なんだ? なんだか……〟
「? なに?」
ちょっとした違和感を感じたが、でも顔色も悪そうじゃなかったから少し安心した。
「っあ、いや、メモを……」
俺はチェーン店の弁当屋の買い物袋をかざして
「お昼はこれな。唐揚げ買っといたから、お前も少し食べろよ」
「あ、ありがとう……」
汐見があの口癖の替わりに『ありがとう』を言えるようになったな、と思ってご満悦だった。
「今日の夕飯になる食材は買ったし、昼のテイクアウトも受け取ったし、これで大丈夫だな」
今日は買い出すものをメモしてから出たんだが、まだ何か残ってるような気がして不安になってメモを見返しながら帰路を歩いていた。
〝うん、大丈夫だ〟
歩いてると暑さで吹き出す汗がヤバイけど、そんなこと言ってられない。
とりあえず家に帰ってゆっくり休みたい。
汐見を留守番させるのは何も今回が初めてじゃないんだが、ちょっと気になっていて早く帰りたかった。何がって……
〝鎌倉でのあの写真、どこに行ったんだ……〟
鏡の破片を片付けて掃除機をかけた後、写真を拾って確認した。一枚ずつ確認したわけじゃないけどパラパラめくってもあの写真だけが見つからなかった。
〝おかしい……〟
机を動かしてみたり、あの二つの壁の間に挟まってないかそれぞれ5回くらいロールさせて確認したりしてみたんだが、見当たらない。
〝データは残ってるから印刷すればいいんだけど……〟
気がかりで買い物の最中にも思い出したりして手が止まった。
〝ひっくり返して全部広げるのもいいけど、そろそろ整理しないとな。あの構図の写真だけ抜き取って別のアルバムか何かに納めておこう。……汐見が家に帰ってからの方がいいな……〟
昨夜は汐見がいなかったから少しは楽しもうと思っていたのに、撮り貯めてた動画を整理していると鑑賞会が始まってしまい酔いも手伝って止まらなかった。
〝……多分、他の人間から見ると汐見は強面だし態度も冷たいから怖い人だと思われるんだよな。だけど……〟
ふとした時に見せる、緩んだ笑顔とか、ちょっとした瞬間に見せる隙のある表情とか仕草とかが……
〝うわっ! お、思い出すな、俺!!〟
かわいくて仕方ない。かわいいというか、なんというか……そう! ギャップ萌えだ!!
あの笑顔にやられるのは何も俺だけじゃない。他の人間が汐見のギャップのある表情に一瞬見惚れるのを俺は何度も見てきた。
〝こないだだって……〟
だから、表面だけでしか判断しない、見た目にしか興味がない女子連中は汐見をほとんど相手にしないが……そうじゃない人間には汐見の魅力がじわじわと理解できるようになる。
〝あいつはキャーキャー言われる人種じゃないんだよな……〟
汐見に興味が湧く人間のほとんどは……女子に限ってはほぼ全員が汐見に本気で惚れてしまう。それくらいの魅力を持ってるくせにそのことに自分自身で気づいてないことに一番腹が立つ。
〝……せめて……〟
汐見が俺の恋人になってくれて、それを公言できて、汐見を独り占めできる権利があれば、ここまでやる必要はなかったんだ。
〝でも汐見にとっては、そういうことすらどうでも良さそうだもんな……〟
あいつは自分の容姿に全く頓着していない。自分の価値すらどうでも良さそうだ。
あの目つきの悪さは生来のものだけど、でもそれすらかわいいと思う俺は相当な盲目なんだろう。顔を俯けながらメガネ越しに睨んでくる任侠物俳優顔負けの表情でさえ、俺をときめかせるくらいなんだから……
〝まぁ、俺が重症なのはわかってるんだ……〟
俺の思いが届くことはあるのか、ないのか。
〝汐見が転職するっていうなら、俺も同じ会社に転職しようかな……〟
そんなことを思うくらいには結構思い詰めてる。
〝離れたくない……〟
同じ会社に勤められなくなる……同僚じゃなくなるのが嫌だ。
別に同じ会社に勤めてるからって、四六時中一緒にいるわけじゃないし(そんなことしてたらいくらなんでも息が詰まるだろうし)ずっと鑑賞してられるわけじゃないんだけど、でも【同じ組織に属している安心感】?みたいなものってあるじゃないか。同じ学校に通ってるだけでなんかテンション上がる、みたいな。
そういう感じじゃなくなるのが────
〝汐見はそんなこと考えてないんだろうな……〟
そもそも俺の気持ちに気づいてすらいないんだから当たり前か。
気づいて欲しい、俺だけを見て欲しいという気持ちと、気づかれたくない、気持ち悪いと思われたくないという矛盾した思いが常にせめぎ合っている。
一体どっちなんだ、と言われると【どっちも本当にそう思う】んだ……
テイクアウトしたお昼用の食事(弁当とサイドメニュー)、牛乳やら結構な荷物になった買い物袋、を両手に徒歩10分。マンションが見えてきてホッとした。
こんなにいっぺんに買い出しに行くのは久しぶりだった。
汐見が泊まりに来る前日にも買い出したけど店で思いつくものだけ買ったために、買い足りてないものの方が多かった。
「車で行けばよかったか……でもあのスーパー、駐車場ないしなぁ」
玄関ロビーに入ると、マンションの同じ階の住民と入れ違った。汗だくになってるので、匂いをちょっと気にして距離を保つ。
「こんにちは」
「佐藤さん。あら、こんな時間に……お買い物?」
「はい」
「……随分多いのね」
「はは、ちょっと色々ありまして……」
「そうなの?今日はお休み?」
「はい。先週まで多忙だったので今週は有給をいただきまして……」
「あら、ご旅行にでも行かれるの?」
「いや、普通に家でゴロゴロしてるだけです」
「ふふ。じゃあ家ごもり用の食材なのね?」
「そ、うですね。そんな感じです」
当たり障りのない会話をしてその奥さんとはロビーで別れ、ナンバーパネルに解錠ナンバーを打ち込んでエレベーターに乗り込む。
〝寝てるかな……〟
俺は、左の尻ポケットに入れている鍵を取り出す。チーンと音が鳴ったエレベーターを出て、自分の部屋に向かう。寝てるかもしれないから、俺はチャイムを鳴らさずに玄関の鍵を回し
ガチャ
そっと玄関を開けると、すぐそこに汐見がいて。
「ん? 汐見?」
「あ、あぁ! おかえり」
「ただいま。どうした?」
〝寝てなかったのか……?〟
「っあ、ああ、ちょっと、昨日持っていき忘れたのがあったな、と思って部屋に……」
〝なんだ? なんだか……〟
「? なに?」
ちょっとした違和感を感じたが、でも顔色も悪そうじゃなかったから少し安心した。
「っあ、いや、メモを……」
俺はチェーン店の弁当屋の買い物袋をかざして
「お昼はこれな。唐揚げ買っといたから、お前も少し食べろよ」
「あ、ありがとう……」
汐見があの口癖の替わりに『ありがとう』を言えるようになったな、と思ってご満悦だった。
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