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Chapter08 - Side:EachOther - C
113 > 佐藤宅 ー09〜 汐見の罪悪感 [Side:Other]
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【Side:Other】
佐藤が帰ってくる前にはちゃんと元通りに戻しておこうと思ったのに、思ったより早めに帰ってきてしまったので汐見が部屋の現状回復を確認する時間がなかった。
〝ヤバイ! 鍵!〟
佐藤の趣味の部屋に鍵を掛けて出ようと思っていたのに、色々と考え事をしているうちにやるべきことを忘れてそのまま部屋を出てしまった。しかも
〝果物ナイフ!!〟
部屋の鍵を開けた時に使った果物ナイフをPC机の上に置いたままである。
部屋に鍵がかかってないことも含め、明らかに自分が入った痕跡が残っている部屋の状況をまざまざと思い起こした汐見は佐藤を前にして無表情のまま青ざめていた。
「玄関ロビーで同じ階の奥さんと会ってさ、有給とったって言ったら色々聞かれた」
「へ、へぇ~。なんて?」
「旅行じゃないって言ったら、買い物、この量だろ。引きこもるんだね、ってさ。確かに、ちょっとした引きこもりか?」
そう言うと、佐藤が牛乳他食材と生活雑貨が入っている大きめの買い物袋を持ち上げて見せる。
「そ、それほどじゃないだろ……」
佐藤は買って来た物を整理しようと動いているので汐見の異変に気づかず、至って普通に会話している。
一方で、それに受け答えしている汐見は顔に出ないだけで内心動揺しまくっていた。
〝やばい……佐藤があの部屋に行く前に、もう一度あの部屋に戻ってナイフと鍵を……!〟
食材庫に乾物系の食品やら保存食やらを詰め込んでいる佐藤。今、行ってすぐ戻ってくればバレない───気もするが、あまりにも冒険すぎる。でも、もう佐藤が外出することはないだろうからして、今から佐藤があの部屋に行くまでの間になんとかしなければならない。
「っあ~。疲れた。あのスーパーでこんなに買い込んで歩いて帰るとか初めてだ」
「そ、そうなんだ?」
「あぁ、いつも買い込む時は郊外の大型スーパーだからな」
「……歩いて……外、暑かったんじゃないのか?」
「それな。車で出ればよかったと思ったよ。まぁ、でもあのスーパー駐車場が近くにないからさ、ま、今回は仕方ない」
「へぇ……」
視線を彷徨わせると佐藤に気づかれるので、あくまでも平静を装って佐藤の会話を聞き流している汐見。
汐見といると、というより汐見が視界の中にいると佐藤は常にご機嫌なので穏やかな表情だったり笑顔を絶やさない。佐藤が汐見に向かって無表情だったり怒りの表情を露わにすることは滅多にない、が……
〝あの部屋、オレが見たってことがバレたら、超絶マズイ気がする……なんとかして元に戻しに行かないと!〟
頭をフル回転させて元に戻す方法を考えるも良い案が浮かばず、佐藤が何気ない会話をしていても内容は右耳から左耳に抜けていった。
「汐見? 大丈夫か?」
「え? 何が?」
「なんか……上の空だな?」
「そ、そうか?」
「具合は? 痛みとか……」
「っあ、あぁ、ちょ、ちょっと痛む、かもしれない……」
〝ちょっと痛いのは痛いけど、それはどうでも良くて、今はそれどころじゃなくてだな……!〟
心配そうな顔をしている佐藤に罪悪感が増していく。だが、それに気づかない佐藤が
「一応な、市販の痛み止めと熱覚まし用のシートは買ってきたからな。あそこの棚のとこに置いとくから」
言って、リビングの端にある棚を指さした。
〝……罪悪感増し増しだ……〟
汐見は、自分がやってしまったことを今更ながら後悔し始めていた。
いくら友人だからと言って、佐藤が知られたくないことを暴く権利は汐見に無いはずだ。
暴かれたくないからこそわざわざ一人暮らしの一部屋に鍵を掛けてるのだから。
〝その鍵をこじ開けて佐藤の秘密を覗くなんて……〟
そもそもが。
佐藤の秘密そのものが、汐見の人権を軽く無視するような行動の果てに得られているものなのだが。
そこに汐見は気づいていない。
〝とりあえず、あの部屋の現状回復するのが先決なんだが……〟
「っふ~、やっぱ室内はクーラー効いてるから快適だな」
「そ、うだな……」
「俺、汗かいたからちょっとシャワー浴びるわ」
「!! そ、そうだな……!」
〝ナイスタイミング!!……は! でも待てよ、佐藤の着替えとかってどこに……!〟
汐見がそう思っていると、佐藤はリビングからひと続きになった寝室のドアをスライドして中に入って行った。
〝っは~~。そうだった、着替えは寝室のクローゼットん中だった。焦った〟
汐見は表面には全く現れないが内心のテンションの上げ下げが激しく動機が止まらない。
「唐揚げ、先に食べてていいぞ」
「あ、ありがとう」
「くくっ」
「? なんだよ?」
「いや、いい傾向だなと思ってさ」
「? なにが?」
「口癖、ちょっと治ってきてるんじゃないか?」
「……」
言われてみると、あまり『悪い』を連呼しなくなった。確かにそれは良い傾向なのかもしれないが───
〝今、オレはそれどころじゃないんだが……でもまぁ佐藤が笑ってるんだったら……それでいいか……〟
「今日はもう俺も出ないから。お前も自分ん家のようにくつろいどけって」
「……わかった。あ、ありがとな……」
「いえいえ、どういたしまして?」
そう言ってにっこり笑うと佐藤は着替えを持って洗面所に消えた。
「っは~~~……」
汐見は小さくため息をついた。
〝よし!〟
ローテーブルにあったテレビのリモコンを取ってテレビをつけ、少し音量を上げる。
それからキッチンに移動して聞き耳を立て佐藤が浴室の戸を開く音を確認してから、忍び足であの部屋に戻った。
音を立てないよう慎重かつ迅速に部屋の中の現状回復を確認すると、机の上にある果物ナイフを手にそっと部屋を出る。ナイフの切っ先を部屋の鍵穴に差し込んで
カシャ
擦れた音を立てて鍵を掛けた。
足音を立てないようにキッチンに戻ると、ナイフを元あった場所に戻す。
そして───佐藤が風呂から上がってくるまでの間、テレビのバラエティ番組を眺めながら、今後のスケジュールと佐藤のあの部屋の意味を考えていた───
・現状回復→本来は「原」状回復と書きますが、作中ではあくまでも「現在の状態の回復」という意味で使うため表記を変えてます。
佐藤が帰ってくる前にはちゃんと元通りに戻しておこうと思ったのに、思ったより早めに帰ってきてしまったので汐見が部屋の現状回復を確認する時間がなかった。
〝ヤバイ! 鍵!〟
佐藤の趣味の部屋に鍵を掛けて出ようと思っていたのに、色々と考え事をしているうちにやるべきことを忘れてそのまま部屋を出てしまった。しかも
〝果物ナイフ!!〟
部屋の鍵を開けた時に使った果物ナイフをPC机の上に置いたままである。
部屋に鍵がかかってないことも含め、明らかに自分が入った痕跡が残っている部屋の状況をまざまざと思い起こした汐見は佐藤を前にして無表情のまま青ざめていた。
「玄関ロビーで同じ階の奥さんと会ってさ、有給とったって言ったら色々聞かれた」
「へ、へぇ~。なんて?」
「旅行じゃないって言ったら、買い物、この量だろ。引きこもるんだね、ってさ。確かに、ちょっとした引きこもりか?」
そう言うと、佐藤が牛乳他食材と生活雑貨が入っている大きめの買い物袋を持ち上げて見せる。
「そ、それほどじゃないだろ……」
佐藤は買って来た物を整理しようと動いているので汐見の異変に気づかず、至って普通に会話している。
一方で、それに受け答えしている汐見は顔に出ないだけで内心動揺しまくっていた。
〝やばい……佐藤があの部屋に行く前に、もう一度あの部屋に戻ってナイフと鍵を……!〟
食材庫に乾物系の食品やら保存食やらを詰め込んでいる佐藤。今、行ってすぐ戻ってくればバレない───気もするが、あまりにも冒険すぎる。でも、もう佐藤が外出することはないだろうからして、今から佐藤があの部屋に行くまでの間になんとかしなければならない。
「っあ~。疲れた。あのスーパーでこんなに買い込んで歩いて帰るとか初めてだ」
「そ、そうなんだ?」
「あぁ、いつも買い込む時は郊外の大型スーパーだからな」
「……歩いて……外、暑かったんじゃないのか?」
「それな。車で出ればよかったと思ったよ。まぁ、でもあのスーパー駐車場が近くにないからさ、ま、今回は仕方ない」
「へぇ……」
視線を彷徨わせると佐藤に気づかれるので、あくまでも平静を装って佐藤の会話を聞き流している汐見。
汐見といると、というより汐見が視界の中にいると佐藤は常にご機嫌なので穏やかな表情だったり笑顔を絶やさない。佐藤が汐見に向かって無表情だったり怒りの表情を露わにすることは滅多にない、が……
〝あの部屋、オレが見たってことがバレたら、超絶マズイ気がする……なんとかして元に戻しに行かないと!〟
頭をフル回転させて元に戻す方法を考えるも良い案が浮かばず、佐藤が何気ない会話をしていても内容は右耳から左耳に抜けていった。
「汐見? 大丈夫か?」
「え? 何が?」
「なんか……上の空だな?」
「そ、そうか?」
「具合は? 痛みとか……」
「っあ、あぁ、ちょ、ちょっと痛む、かもしれない……」
〝ちょっと痛いのは痛いけど、それはどうでも良くて、今はそれどころじゃなくてだな……!〟
心配そうな顔をしている佐藤に罪悪感が増していく。だが、それに気づかない佐藤が
「一応な、市販の痛み止めと熱覚まし用のシートは買ってきたからな。あそこの棚のとこに置いとくから」
言って、リビングの端にある棚を指さした。
〝……罪悪感増し増しだ……〟
汐見は、自分がやってしまったことを今更ながら後悔し始めていた。
いくら友人だからと言って、佐藤が知られたくないことを暴く権利は汐見に無いはずだ。
暴かれたくないからこそわざわざ一人暮らしの一部屋に鍵を掛けてるのだから。
〝その鍵をこじ開けて佐藤の秘密を覗くなんて……〟
そもそもが。
佐藤の秘密そのものが、汐見の人権を軽く無視するような行動の果てに得られているものなのだが。
そこに汐見は気づいていない。
〝とりあえず、あの部屋の現状回復するのが先決なんだが……〟
「っふ~、やっぱ室内はクーラー効いてるから快適だな」
「そ、うだな……」
「俺、汗かいたからちょっとシャワー浴びるわ」
「!! そ、そうだな……!」
〝ナイスタイミング!!……は! でも待てよ、佐藤の着替えとかってどこに……!〟
汐見がそう思っていると、佐藤はリビングからひと続きになった寝室のドアをスライドして中に入って行った。
〝っは~~。そうだった、着替えは寝室のクローゼットん中だった。焦った〟
汐見は表面には全く現れないが内心のテンションの上げ下げが激しく動機が止まらない。
「唐揚げ、先に食べてていいぞ」
「あ、ありがとう」
「くくっ」
「? なんだよ?」
「いや、いい傾向だなと思ってさ」
「? なにが?」
「口癖、ちょっと治ってきてるんじゃないか?」
「……」
言われてみると、あまり『悪い』を連呼しなくなった。確かにそれは良い傾向なのかもしれないが───
〝今、オレはそれどころじゃないんだが……でもまぁ佐藤が笑ってるんだったら……それでいいか……〟
「今日はもう俺も出ないから。お前も自分ん家のようにくつろいどけって」
「……わかった。あ、ありがとな……」
「いえいえ、どういたしまして?」
そう言ってにっこり笑うと佐藤は着替えを持って洗面所に消えた。
「っは~~~……」
汐見は小さくため息をついた。
〝よし!〟
ローテーブルにあったテレビのリモコンを取ってテレビをつけ、少し音量を上げる。
それからキッチンに移動して聞き耳を立て佐藤が浴室の戸を開く音を確認してから、忍び足であの部屋に戻った。
音を立てないよう慎重かつ迅速に部屋の中の現状回復を確認すると、机の上にある果物ナイフを手にそっと部屋を出る。ナイフの切っ先を部屋の鍵穴に差し込んで
カシャ
擦れた音を立てて鍵を掛けた。
足音を立てないようにキッチンに戻ると、ナイフを元あった場所に戻す。
そして───佐藤が風呂から上がってくるまでの間、テレビのバラエティ番組を眺めながら、今後のスケジュールと佐藤のあの部屋の意味を考えていた───
・現状回復→本来は「原」状回復と書きますが、作中ではあくまでも「現在の状態の回復」という意味で使うため表記を変えてます。
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