【第1部完結】佐藤は汐見と〜7年越しの片想い拗らせリーマンラブ〜

有島

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Chapter13 - Side:Sugar - B

198 > 再会−01(バーで、橋田と)

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「久しぶりだな!」
「おぅ……」

「なんだよ。本当に死にそうな顔してんな」
「うるせぇ……」

「お前な……それが仮にも呼び出したやつが言うセリフかよ」
「……」

「で? なんだ? 汐見から連絡があったか? って話?」
「……そうだ……」

 橋田は面白そうな顔をして俺を見た。

〝本当は絶対、こいつに連絡なんかしたくなかった……〟

 汐見は俺に橋田の連絡先を教えて欲しいと言っていたけど、汐見だって馬鹿じゃない。俺以外にも橋田と繋がってる人間なら何人かいるのは知っているはずだ。ただ、特に用事がなかったから橋田に連絡してなかっただけで。

〝開発の……原田あたりなら確実に知ってそうだったしな……〟

 同じチャラいキャラで売ってる原田は開発部の宴会部長で、飲み会では率先して橋田と連れ立っていたと聞いている。最近は原田自身も技術力が向上して、プロジェクトリーダーに案件も増えたとのこと。で、橋田が退職するきっかけにもなったらしい。

〝それだったら、音沙汰のない1週間の間に汐見が原田あたりを通じて橋田と連絡取っててもおかしくないからな……〟

「……汐見と連絡取れないのか?」
「……」
「ふーん……」

 俺は、橋田に初めて連れられて来た『アクアミア』とか言うバーの店内を見渡した。
 フロアは屋外に接する天井から足元までの全面ガラスが曲面になって広がっていて、室内と夜景がシームレスな眺めになっている。
 薄暗く広い店内には、中央にでかい水槽群があって、それが1番の目玉らしかった。
 照明が灯されていない店内は、その上下2段になっている水槽を照らす照明が一番明るい。俺は、橋田の背後でぼうっと光を放っている巨大な水槽たちをぼんやりと見つめていた。
 地元の専門誌に取り上げられるほど特殊な内装の店内は、初めて来る客を圧倒するだろう。
 だが、今の俺は───

〝それどころじゃない……〟

 汐見と連絡が取れなかったこの1週間。本当に精神が摩耗まもうするんじゃないかと思うほど憔悴しょうすいしていた。
 後から他のやつに
『美形がゾンビになってる、って言われてましたよ』という話を聞いた。

 今日は7月8日、金曜日だ。

 あと2日後に汐見の誕生日が迫っている。のに。
 汐見と木曜日の夜から全く連絡が取れない。

 実は……火曜日と木曜日はマンションまで行った。……行ってしまった……
 正確には、マンション前の電信柱まで……

 流石に自分でもヤバイとは思ったけど、もう止められなかった。

〝一目だけでいい。姿を見るだけでいいから……元気なのを確認したらすぐ帰るから……〟

 そう思って行ったのに……おそらくベランダに出る部屋は電気を点けていないんだろう。マンションの明かりは汐見がいる気配が薄れるほど小さかった……

〝たぶん……俺がここにいること、知ってるよな……〟

 ちょうど1週間前の金曜日に汐見のマンションの下まで行った時、ベランダで洗濯物を干してる時にちらっと見られた気がしたから。

 でも、マンションの部屋まで押しかけていく勇気はない。

〝もし……玄関先で断られたりした日には……〟

 自分がどういう行動を起こすのか自信がなかったからだ。

〝たぶん……汐見は……〟

 どういうふうに思っているかはわからない。けど。

〝きっと……断る……拒否……される……〟

 あいつは思い切りの良いやつだから、俺は綺麗さっぱり、あっさりばっさり切り捨てられるかもしれない……

〝こんな……親友と思ってた奴に……性的に……〟

 考えれば考えるほど悲しくなってくる。
 もう少し時間をかけたかった。

 こんなタイミングで汐見に知られたくなかった。

 それに───

〝あの写真、どこで拾ったんだ……それに…………『あの部屋も見せてくれ』って……まさか……〟







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