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episode2
神の加護
しおりを挟む自分の身体から力が抜ける感覚がある。だけど、魔法を使った時のような倦怠感は一切ない。
本当に、渡すだけなら俺でも出来るみたいだ。
「…ここは…?」
ロゼ先生がゆっくりと目を開けて、朧げに俺達を見る。しばらく焦点が合わずにぼーっとしていたが、数分もすれば色を取り戻す。
そこで、彼女のステータスが変わっている事に気が付いた。
[ロゼッタ・クォーク・アーチア 27歳
人間族 Lv.100 エスポワール学園 Sクラス担任
HP/28921 MP/36068
スキル/魅了、増幅、危険察知]
どういう事だろう。さっきまで、ロゼ先生のHPは5万以上あったはずなのに。MPまでかなり減っている。しかも、ダメージを受けて減っている訳ではない。元々が違うのだ。
嬉しそうに駆け寄るティオ先生達も、半分程減っているし、レベルもスキルも同じなのに体力が減るってどういう事だ?
「どうした坊主、ワシの顔になんか付いてるか?」
「いや…先生達は何か変わってませんか?」
俺の質問の意味がわかっていないのだろう。ギルド長は眉間に皺を寄せて首を傾ける。
マークリフ先生も気にしてくれていたが、やはり分からないようだ。俺にしか見えないステータスだから、上手く説明が出来ない。
戸惑っていると、ロゼ先生がよろよろと起き上がった。透けていた身体は、ちゃんと元に戻っている事が確認出来る。
「ロゼ、話せるか?」
「…黒き太陽が…エレメントを原動力として、奪う力と与える力を得たようです…。」
この世界の人間には、力のキャパシティが各々決められている。与えられた力が大きな力である程、自身の存在を維持出来ない。
「待て。ワタシ達は仮にも、魔王を倒した勇者だ。黒き太陽如きが、何故ワタシ達を狙う必要がある?」
「ワタクシ達が、アリーヤ神の信仰を阻む者だと言っていました。…それに、神の加護がなくなっています。クリフ達の魔力が下がっている事は確かなので、単体で挑まれると、ワタクシのように…。」
神の加護とは、勇者達が魔王討伐のために選ばれた際に付与される、特別な加護。神の御告げを聞いた魔術師のステータスを倍にし、他の仲間のステータスを底上げされた勇者と並べる。
勇者以外の三人は、下手をするとSクラストップのルークってヤツより弱いかもしれない。
三万は勇者レベル、二万はSクラスレベル、忌子と呼ばれる変異種は勇者レベルに近いって事は分かった。
リアンはまだ覚醒していないって事みたいだけど、目覚めるとどう変化するのかが気になる所だ。
「奪う力が神の力をも奪うのであれば、それを証明するためにワタクシを狙ったのかもしれません。」
魔王が復活すれば、すぐに次の勇者候補が選ばれるようなので、まだ断定出来ない。
魔王以外の何者かが、勇者を排除しようと考えているって事か。
黒き太陽…連中が口にした言葉。
『ーー爆ぜろーー』
確かにそう聞こえた。この言葉は、俺達の世界の言葉だ。俺達以外に、転生した奴がいるのか?それとも、召喚?
アリーヤ神は、本当に存在するのか。
「レティシアさん、ゼロさん。ワタクシを救って下さって、ありがとうございます。それに、リアンも…。」
ロゼ先生はリアンに微笑んだ。本当に、女神のように綺麗な人だ。
リアンは安心したように、微笑み返した。
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