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秋の桜海祭編
文化祭ーミス桜海高校決定戦の結果発表
しおりを挟むその後、しばらく拍手が鳴り続いた。
パフォーマンスと呼ぶには少し遠い気がするかもしれないが、私の言葉はしっかりと会場の人達に響いたようだ。
私はもう一度、深く頭を下げステージ側に向かった。
「ふぅ………。」
手を胸に当てなくても、心臓がバクバクと激しく動いているのが分かる。
「思ってた以上に緊張していたのか、わたし。」
すぐにステージ上に戻ることにはなるが、落ち着くために少しだけここにいよう。
やれることは全部出しきった。
最初は埋め合わせぐらいの気分から始まったミス桜海。
気づけば、もう決勝戦まで来ていたんだ。
振り返れば濃い文化祭だったな。
(………って、いけない!)
まだ、結果発表も残っているんだ。気を緩めず最後まで引き締めていこう。
そして…………。
「染井 桜さん、ステージまでお願いします。」
スタッフの人から呼び出しが入った。
私は返事をしてステージ上へと向かう。
橘先輩も私がステージに上がった後に、やってきた。
顔は見ていないが、何となくあの刺々しいオーラは無くなっているような気がした。
(会場は相変わらず人でいっぱいだなぁ。)
だが、どの人も明るく輝いた目をしている。
私はこの会場の人達に夢を与えられたのだろうか?
(……………あっ。)
ステージに一番近い所で決勝戦前に会った女の子が素敵な笑顔で手を振っている。
「ふふっ。」
『夢を与えられたかどうか?』なんて聞く必要もなさそうだ。
「さぁ、お待たせしました。いよいよミス桜海高校決定戦の優勝者の発表をいたします。」
アナウンスが聞こえると会場は静かになる。
逆に私の鼓動は落ち着けたはずなのに、またバクバクとうるさくなり始める。
「今年度のミス桜海の栄冠を手にしたのは………。」
時間にすると数十秒もないこの間が長く感じる。
私はいつの間にか目を閉じていた。
正直、勝っても負けても悔いはない。
それだけ頑張ったから。
そしてアナウンスで発表される。
「ミス桜海の栄冠を手にしたのは……、二年 染井 桜さんです!おめでとうございます。」
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