口が悪くてスミマセン。

osho

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秋の桜海祭編

文化祭ーミス桜海のその後

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名前を呼ばれた瞬間、時が止まったように感じた。







今度は頭の中が真っ白になる。会場中が大きな拍手が鳴り響いているなかで『名前を呼ばれた』ということに現実味が湧かず、ボーッとしている。













そして、私は………。









いつの間にか涙を流していた。






嬉し涙なのには違いないが、もっといろいろな思いもあり込み上げてきたのだ。










「はぁ……………。」






横にいた橘先輩が、ため息をついて私の近くに歩みよる。









「最後の最後まで貴女は…………。しっかりとしなさい、私に勝ったのだから。」






それだけ言うと橘先輩は静かに去っていった。














その後はミス桜海の優勝記念としてメダルの贈呈が行われた。






小さなメダルではあるが、それ以上にみんなの思いが詰まった価値のあるメダルだ。






これほど貰って嬉しい物はない。










……あと、副賞もあるらしいのだが明日の『体育祭』で発表するとのこと。






気にはなったが、私は早くみんなに改めてありがとうと言いたかった。










私はステージ側から出れる関係者専用ドアから靴を履き替え外へと出る。







急いでみんなの所へ行か「ざーーぐーーらーーー。」








ドアを出た瞬間に吹雪に抱きつかれた。










「感動したよ!私は。成長したねぇ、立派になったねぇ。」






吹雪が完全におばあちゃんみたいな話し方になっている。







……それだけ、私のために喜んでくれているのだ。









もちろんその場にいたのは吹雪だけじゃない。







松白君に、笹山君。星宮ちゃん、春野ちゃんにお母さん…………。









「…………って、何でお母さんが!」






私はビックリした声で思わず話す。









「そりゃ毎年こっそり見に来てたけど、今回は桜がミス桜海に出るって吹雪ちゃんが言ってたからね、会いに来ちゃった。」







そういうことだったのか………。









「その、ヒールもサイズが合ってて良かったわ。」







「このヒールお母さんのだったの?」








「そうそう、急いで家に取りに帰ったのよ。そして吹雪ちゃんに渡して貰ったの。」







そっか、だから見たことがあったような気がするんだ。











「それにしても、ミス桜海に出るなんてねぇ。お母さんビックリしたわ。」







「あははは、まぁいろいろとあって。私自身もビックリしたよ。」











…………………ん?







今普通に話してたがみんなその違和感に気づいたようだ。








「え、今、『桜も』って言いませんでした?」





吹雪がお母さんに聞く。









「そうよ、吹雪ちゃん。私もミス桜海に出てたのよ。」






へぇ、そうだったのか。








「すみません、お母様の旧姓を聞いてもよろしいですか。」






春野ちゃんが興味津々にお母さんに尋ねる。











「私の旧姓は梅花うめはなよ。」






それを聞いた春野ちゃんの顔が驚きの表情に変わる。








春野ちゃんだけじゃなく、吹雪や星宮ちゃん、みんな驚いた顔をしている。







何かあるのだろうか?










「も、もしかしてお母様って………。」





春野ちゃんは何かを確認するように聞く。










「そうよ。私がミス桜海三連覇したの。まだ私しか出来てないようね。」








驚きの情報だった。






ひょっとしたら私がこのミス桜海に出たのは何かの運命だったのかもしれない。




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