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夏の合宿編
合宿2日目ー桜海高校四大名物 竹之葉 勢也と肝だめし
しおりを挟む手持ちのライト以外に明かりがない中、薄暗い森を抜けていく。
幸いなことに一本道ではあるので、迷うことなく進むことができた。
………にしても。
勢也君はずっと一言も喋ることがない。
(仕方ない私から話しかけてみるか。)
「昨日はキーホルダー取ってくれてありがとう。あ、えーと……。」
「勢也でいいよ。……まぁ、昨日はたまたま居合わせただけだから。」
「そ、そう。」
また、沈黙が流れる。
会話ってこんなに難しかったっけ?
私は、また話しかける。
「バスケはずっとやってるの?」
「小学生のころからやってるよ。」
「へぇ~、バスケが好きなんだね。」
「……やってて一番楽しいからね。」
他の人が言ってるように、やっぱりバスケの事好きなんだな。
スポーツマンなのだろうか。
私は話してる途中で聞きたいことを思い出した。
「そういえばさ何で私を指名したの?話したのも昨日が初めてなのにさ。」
「別に誰でも良かった………。」
(うっ、マジか。)
思った以上に、指名に関してはどうでもよかったのか………。
少し私は傷ついた。
「……って最初はそう思ってたんだ。」
「えっ?」
彼の顔が少し真剣になる。
「……女なんて『俺が有名だから。』とか『カッコいいから。』って理由でしか今まで話しかけてきたことなかったからさ。」
「だから昨日初めてあんたと出会ってビックリしたよ。」
「私に『ビックリした』って、何に?」
私が知らないだけで彼もいろいろあるんだろうか。
そして、彼は続きを話す。
「俺のことをそういう目で見ず普通に話したことだよ。」
「え?普通じゃないの??」
「……少なくとも女で俺と普通に接してくれるやつなんてあんたが初めてだった。だから指名した。」
「……そうだったんだ。」
「それに……「うわぁっ!!」
話に夢中になってた私に何かが私に触れる。
私はライトでそれを照らす。
「………こんにゃく?」
何と古いビックリのさせ方なのだろうか。
ビックリした自分にも恥ずかしくなった。
すると、陰から誰かが出てきた。
「うふふふ、成功しました。染井さん。」
「さくらさんどうです?驚きました?」
春野ちゃんに星宮ちゃんを始めに何人かの人が出てくる。
そして、暗い中ではあったが何枚か写真を撮った。
「ここは第1チェックポイントです、最後の役目を頑張って下さい!……話は、後からいろいろ聞きますから。」
そして春野ちゃん達とは別れる。
(はぁ、思った以上に苦労しそうな肝だめしだな。)
今度は注意を怠らないようにしよう。
私は気を引き締めた。
そういえば……。
「勢也君さっき何か言いかけてなかった?」
「…………何も言ってないよ。」
「そ、そう。」
いろいろとありそうな肝だめし。
何が待っているのかは分からないが、暗い道をまた進み始めた。
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