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秋の桜海祭編
文化祭ー桜海の熱気
しおりを挟む校長先生の開会式の挨拶の後、いよいよ桜海の文化祭がスタートする。
まずは桜海吹奏楽部による演奏。
様々な大会に出ているだけあって、その演奏の凄さは言葉では表現できないものがあった。
「やっぱ桜海の吹奏楽って、昔っから凄いねーさくら。」
「そんないうほど昔に聞いたことあったっけ?」
「えー!!覚えてないの。さくらのお母さんが子供の時に連れてきてくれたじゃん。」
(………あっ、思い出した。)
小さい時にお母さんに頼んで吹雪と一緒に見にきたんだっけ。
思えばあの頃から桜海高校に憧れていたのかもしれないな。
「……あの時も、こんな感じではしゃいでいたっけ?」
私は吹雪に聞く。
「あははは、そういえば子供の時も演奏聞いて同じようになってたね。」
そして二人で笑う。
見た目は大きくなっても中身はまだまだ子供かもしれない。
「それだけ昔から良い演奏ってことじゃないんですか?」
「確かに、そうなのかもしれないね。」
星宮ちゃんの言うように子供の時から桜海高校が伝えてきた伝統が守られてるので、今もこうして感動するのかもしれない。
そして吹奏楽部の演奏が終わり、演劇部の劇が始まる。
今年の題材は『ロミオとジュリエット』だ。
演劇部によるロミオとジュリエット二人の想いを表現した舞台は会場の空気を飲み込んでいた。
「……本当に切ないお話しですね。」
劇が終わると星宮ちゃんは心を打たれていた。
ロミオとジュリエット………。
悲劇として執筆された演劇だが、もしも二人が幸せになれるストーリーとして書かれてたら、どんな感じに終わりを向かえたのだろうか。
ふと一人そんな事を考える。
そして演劇部の出し物が終わり、いよいよ自由時間になる。
その間にもいろんな場所で様々な催しがある。
来客向けのゲームや、動きの派手なダンス、茶道部によるお茶会など多岐にわたるものだった。
「星宮ちゃんが言ってた場所ってここだっけ、さくら?」
「うん、ここで合ってると思う。」
私と吹雪は星宮ちゃんに言われ、とあるイベントステージに来ている。
私は最近、星宮ちゃんと話していて占いの他にも得意な趣味があることを知った。
それは…………。
『ジャーーーン!』
軽快な音が鳴らされ、会場は沸き上がる。
そう、星宮ちゃんはギターも得意なのだ。
暇な時にお父さんのギターをさわっていたら、弾けるようになったらしい。
髪を後ろにまとめクールに決めている星宮ちゃんは、いつものおっとりとした星宮ちゃんとはまるで別人だった。
そして星宮ちゃんを含むバンドメンバーは最近の流行りの曲から誰もが知っている曲を披露し、会場を盛り上げた。
「星宮ちゃんカッコいい~~!」
「きゃーーー!」
気付けば私と吹雪は叫んでいた。
そして時が過ぎ星宮ちゃん達のバンドは最高の盛り上がりを見せて終了する。
「ふぅ~、少し疲れました。」
そして、普段の格好に着替えた星宮ちゃんが戻ってきた。
「お疲れ~~、最高だったよ。」
「星宮ちゃんカッコよかったよ。」
「お二人ともありがとうございます。……さて、今度はクラスみんなで頑張りましょう。」
そう、今からの時間は星宮ちゃんの言うようにクラスの『カフェ』の始まる時間なのだ。
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