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第二十章…「友達の家」
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テストも無事に終わり、夏休みを迎えていたひなとエリオは、ルイノギの実家に遊びに来ていた。
ルイノギの両親は、ひなとエリオを見るなり大泣きをして感激をし、感謝をした。突然のことにひなとエリオは驚きもしたが、ルイノギの性格を知っているからか何となく察してしまう。
そんな両親の行動に恥ずかしそうにしながら、こっちと軽い言葉で呼び寄せるルイノギ。
「賑やかな両親だったね」
「ルイ……ノギ、のこと…が……大切に………思ってる」
「ふふ、私も初めて来たときに同じことを言いました」
エリオとひなの言葉にわかります!っといった反応しながらルベルが混ざる。
三人の先頭を歩くルイノギはいまだに恥ずかしそうに頬赤くしていたが、遠くの方から明るく元気な声で呼ばれると満面の笑みを見せる。
いつもの時には見ることのできない笑顔である。
「お姉さぁま!」
「ルイ!久しぶりね」
掛け合い抱き合う二人。
美人と可愛いの光景。この光景を見た男子は、一瞬でハートを奪われることだろう。
ルイと呼ばれたルイノギの妹は、綺麗な金髪で髪の先っぽは黄緑色になっている。瞳の色は黄緑色で純粋なのがその瞳から見てとれる。
そんなルイがルベルの後ろにいるエリオとひなに気づくと凝視する。
「お客様?」
「初めまして、私はルイノギのクラスメイト件友達のエリオ・メイビィアっていうの……エリオって呼んで」
「私は……ひな・ルーベ……よろ、しく……ね」
エリオとひなが自己紹介をすると、ルイはルイノギから離れて服を正してから少しドレスを摘まみながら軽いお辞儀をする。
「お初にお目にかかります。
私はルイノギ姉様の妹、ルイ・ノルギッシュと申します……以後お見知りおきよ」
にっこりと笑った笑みにきゅんとするエリオとひなは、無意識にルイに抱きついていた。
「可愛いぃぃ!」
「癒し……可愛……い」
「くすぐったいです」
ふふっと笑いながら嬉しそうにしているルイに、それを少し離れた場所から見持っていたルイノギとルベルには笑みが浮かんでいた。
そんな和む空間に一人のメイドがやって来る。
普段ならば気にすることはないのだが、何か違和感を感じたルイノギがそのメイドに声をかけた。
「あなた、見ない顔ね?新入りかしら?」
「いいえ、お姉様…新しいメイドは入っておりません……つまり」
「排除対象ですね」
ルイノギとルイの会話にルベルが混ざり、既に魔法陣を顕現させていた。
問題視されているメイドは窓際に立たずみ、只微笑んでいるだけで弁解しては来ない。
ますます怪しんでいく五人に対し、しばらく動かなかったメイドは小さく何かを呟く。
「なるほど、よくわかりますわ」
「何一人で言ってるの?」
エリオの言葉にメイドはにっこりと笑ってから、一歩一歩カツンとヒールを鳴らしながら歩み寄ると、エリオの前で優雅に両膝を付く。そして願うように両手を絡めながらエリオを見つめ口を開く。
「お初にお目にかかります、私は魔王様を支えた柱の一人、ヨナ・サージリカと申します……今は農家をしていますが昔はこれでも軍の隊長や救護班を勤めておりましたの、もし怪我や病気になった際にはお役にたてるかと」
ヨナと言う名前にエリオとひなはあることを思い出す。それは、ルイノギの家に行く1日前のこと。
エリオとひなはレイトに呼び出され、男子寮のユリィとレイトの部屋にいた。部屋ではいつもの見慣れた風景があったが、大事な話をするときはいつも空気が一瞬で変わる。それもお決まりだ。
「エリオとひなは明日からルイノギの家に行くんだったよな?」
「そうよ」
「ちょうど明日、エリオの護衛が到着する日なんだ……それじゃあ直接行くように伝え直しとくな、ヨナ・サージリカという人物が護衛の名前だ」
などと先んじてレイトから伝えられていたことを。それさえ思い出してしまえば後は大丈夫だ。
「レイトから伺っています……私はエリオこの子は私のパートナーひなです」
エリオがそう答えてから、護衛だと知ったときに聞きたかったことをヨナに問う。
「あの、なんでメイド姿?」
「こちらの方がこの屋敷では適切だと思ったのですが……着替えますか?」
きょとんとしながらヨナがそう訪ねるとすかさずルイノギが口を開く。
「さすがに着替えてください」
「かしこまりました、ルイノギ様」
着替えを要求され、更衣室にて着替えを終えたヨナの姿に誰もが声を出せずに見惚れてしまう。腰まで延びた桜色の髪、それに似合うように白いレースで頭の後ろを隠すように付けられ、十字架の描かれたミニドレス。瞳は先程のはどうやらカラコンだったらしく、今は黄緑と水色のオッドアイ。
「先程とは全く違うでしょ?」
『綺麗』
「あら、嬉しいことをおっしゃいますね」
エリオたちの素直な感想に、まるでお決まりの台詞のようにヨナは返す。
それから少ししてコホンと気を取り直すようにルイノギが咳払いをしてから、当初の目的地だったルイノギの部屋へと移動する。
そしてルイノギの部屋に入ってから、エリオとひなはぽかーんとした表情で固まる。
その理由はルイノギの部屋にあり、部屋には大型テレビにふっかふかのソファー、天蓋付きベッド。
そしてその部屋に繋がっていた隣の部屋に移動し、再びベッドが現れる。だが、先程よりも小型のシングルの天蓋付きだ。そして少し離れた場所に長テーブが置かれ、一定の距離で椅子が置かれている。
「何?この部屋」
「?私の部屋ですが?」
「広………でかい…………怖い」
驚きのあまりにひなが泣き始める始末。
そんなひなにヨナは優しく頭を撫でる。それを見ていたルイも、ヨナの服をくいくいと引っ張り頭を差し出す。ヨナはふふ…と小さく笑いながら両手で撫でる。
「これは以前サクラノが言っていた両手に花ですね………これはアリです」
ぶつぶつとそんなことを呟きながら満足げな表情をしながら撫で続けるのであった。
それからしばらく。
ようやく落ち着き、今はルイノギの部屋で賑やかにトランプで遊んでいた。
実はルイノギの家の晩餐は早く、この時点では既に食べ終わっていたのだ。
「それにしても、ご飯美味しかった~………あ、揃った」
「うん……あんな……豪華な、ご飯は……久しぶり」
「そう?うちではいつもこんなんよ?」
エリオとひなの言葉に首を傾げるルイノギに、エリオは複雑そうな表情を浮かべ、ひなが説明するように口を開く。
「私の……家は、貴族で……あっても、お金が………あまり、なくって………管理、している……街の人には、いつも………苦労………させているの」
「そっか……あっそういえば、エリオ達ってレイトとほぼ一緒にいるじゃない」
ひなの言葉にあることを思い出したルイノギは、話は変わるけどといった雰囲気で問う。
「最近レイトの様子はどう?」
「どうって……」
「いつも、通り?」
ルイノギの言葉に少し戸惑いを見せる二人に、ルベルも首を傾げていた。
今ルイノギの頭の中に浮かぶのは、あの日、仮テストの日に聞かれた質問であり、答えだった。
__お前には、この世界はどう思う?__
__俺には最悪な世界に見えるよ__
あれはどういった意味なのか、ルイノギはあれからずっときにしていた。
だからいつも大抵は傍にいる二人に問うったが、やはり気づいておらず、尚且つ二人には聞いていないのかも知れないと新たな可能性が生まれる。
そうなれば、後はユリィに聞くしかないのだが___と、ここまでルイノギが速やかに考えていると横槍が投げられるかのようにずっと出入口付近にいたヨナがルイノギの質問に少し答えるように口を開く。
「あの方はずっと魔族と人間の幸せだけを願っています………そう、ずっと……
もし、気になるのでしたら明日街に出てはいかがですか?」
ヨナの進言に四人は頷き、状況がわからないでいるルイは一人頬を膨らませていた。
そして夜の楽しみである入浴時間がやって来る。
大浴場備え付けの更衣室で、女子達はきゃっきゃっうふふをしたのち、タオルで胸元を隠しながら風呂場までやって来る。
ルイは残念なことに母親に回収されてしまっていた。
先に湯に浸かり始めたのはエリオとひなだった、湯に浸かるだけで疲れが一瞬でとれたように二人は溶けたように幸せそうな顔をしている。それを見たルイノギとルベルが笑みを浮かべながら湯に浸かる。
「ふぁ~、気持ちいい」
「とけ……る~」
「ひな、もー溶けてるわよ」
「ひゃわ!」
ルイノギの言葉でえっと言いたげな顔で見つめてくる。その横でルベルはエリオと自分の胸を見ては、エリオと比べて小さい胸を触る。
それに気づいたエリオがあることを閃き、ルイノギにそれを告げる。その顔はまるで悪戯を仕掛ける子供のようである。
「ルイノギ、知ってる?」
「?」
「胸を大きくするには!胸を揉むんだって!」
「ひぁ!!」
ルイノギの背後から抱き付き、そしてがっしりとルイノギの胸を掴み揉み始める。
最初は抵抗していたルイノギであったが、揉まれ続け次第に力が抜けて湯に勢いよく浸かる。
「あれ?」
「ルイノギ様!?」
「___っ、やったわね、エリオ!」
「え、ちょ!きゃわ!」
仕返しにと前方から飛び付いたルイノギにバランスを崩したエリオは、そのまま湯に沈む。
少ししてぷはっと同時に上がっては来たものの、どうやらルイノギは馬乗り状態にあるらしく、少し高い位置からエリオの胸をエリオに揉まれたように揉む。
「や、柔らかいわね」
「え~っ、ルイノギも柔らかいよ?」
「きゃ!~っ、揉むな!」
「……ルイ……ノギ、胸、枕?」
エリオとルイノギのやり取り見ていたひなが横から乱入。それに続きルベルも参加した。
「え、エリオ……どうですか?私の胸枕は」
顔を真っ赤に目を合わせようとしないルベルに、エリオは頭をルベルの胸に預ける。
「うむ!寝心地最高!」
グッと親指をたてるエリオに、やっぱり恥ずかしいと訴えるように耳まで赤くしているルベル。そんな賑やかな入浴タイムはあっという間に過ぎ去り、気づいた頃には既に皆布団の中であった。
布団の中ではルイノギの妹ルイについて話していた。
「それにしてもルイちゃん、可愛いよね~」
「一緒に……連れて、帰り……たい」
「な、何言ってるのよ!ダメに決まってるじゃない!」
『なんで~』
「私の可愛い可愛い妹なんだから!」
「わかった、じゃあルイノギも連れて帰りましょうひな」
「そう……だね、エリオ」
ルイ単独がダメならルイノギも一緒にっと言い、互いに頷き合う。そんな楽しそうな会話に一人の女性が割り込む。
「そろそろ寝てください……明日起こしに来ます」
そう言ったのはヨナであった。
明日はヨナの提案で街に出る。
ルイノギの屋敷から街までは少し距離が離れているため、馬車で移動することになっていた。
それだけを告げるとヨナは部屋を後にする。
残された四人は、ヨナの言いつけに従い眠りにつく。騒いではいたが相当疲れていたのだろう、エリオとひなは部屋を暗くすると一瞬で寝ていた。ルイノギとルベルは少し会話を交わした後眠りについた。
ルイノギの部屋を後にしたヨナがいたのは、屋敷の屋根の上だった。
夜風が髪を揺らし、草や花を揺らす。
その音を目を瞑りながら聞いていたヨナだったが、突如として頭上に出現した微かな気配でバッと顔を上げる。それと同時に夜の闇にとけるような羽織に衣服。顔を見えないように深く被ったフード。そんな何者かをヨナは一目見ただけで笑みを見せた。
「どうしたのですか?」
「いや、ちょっと様子を見に来たのとヨナと話したかったから」
フードから覗く口元が笑う。
それを見たヨナも口元を緩め、隣にずれると何者かは先程までヨナが座っていた場所に腰を下ろし、フードを取る。風で揺れる紫の髪が月の光で輝いて見える。
「そちらの準備はどうですか?」
「あぁ、順調だよ……」
「そうですか……明日彼女達に街を見に行くように誘導しましたが…説明はなさらないのですか?」
「それでいい………説明はしない、巻き込まないためにもね」
ヨナの言葉に薄ら笑いを浮かべ、少年は月を見上げる。それから少しすると、少年は立ち上がりヨナに別れを告げると屋根の上から飛び降りる。少年が飛び降りたのを見たヨナ、バッと下を見たが既に少年の姿はなかったのだった。
「……どうか、あの方に安らぎを」
ヨナは祈るように指を絡める。
誰もいない夜、ヨナは一人、涙を流しながら祈りを捧げた。
ルイノギの両親は、ひなとエリオを見るなり大泣きをして感激をし、感謝をした。突然のことにひなとエリオは驚きもしたが、ルイノギの性格を知っているからか何となく察してしまう。
そんな両親の行動に恥ずかしそうにしながら、こっちと軽い言葉で呼び寄せるルイノギ。
「賑やかな両親だったね」
「ルイ……ノギ、のこと…が……大切に………思ってる」
「ふふ、私も初めて来たときに同じことを言いました」
エリオとひなの言葉にわかります!っといった反応しながらルベルが混ざる。
三人の先頭を歩くルイノギはいまだに恥ずかしそうに頬赤くしていたが、遠くの方から明るく元気な声で呼ばれると満面の笑みを見せる。
いつもの時には見ることのできない笑顔である。
「お姉さぁま!」
「ルイ!久しぶりね」
掛け合い抱き合う二人。
美人と可愛いの光景。この光景を見た男子は、一瞬でハートを奪われることだろう。
ルイと呼ばれたルイノギの妹は、綺麗な金髪で髪の先っぽは黄緑色になっている。瞳の色は黄緑色で純粋なのがその瞳から見てとれる。
そんなルイがルベルの後ろにいるエリオとひなに気づくと凝視する。
「お客様?」
「初めまして、私はルイノギのクラスメイト件友達のエリオ・メイビィアっていうの……エリオって呼んで」
「私は……ひな・ルーベ……よろ、しく……ね」
エリオとひなが自己紹介をすると、ルイはルイノギから離れて服を正してから少しドレスを摘まみながら軽いお辞儀をする。
「お初にお目にかかります。
私はルイノギ姉様の妹、ルイ・ノルギッシュと申します……以後お見知りおきよ」
にっこりと笑った笑みにきゅんとするエリオとひなは、無意識にルイに抱きついていた。
「可愛いぃぃ!」
「癒し……可愛……い」
「くすぐったいです」
ふふっと笑いながら嬉しそうにしているルイに、それを少し離れた場所から見持っていたルイノギとルベルには笑みが浮かんでいた。
そんな和む空間に一人のメイドがやって来る。
普段ならば気にすることはないのだが、何か違和感を感じたルイノギがそのメイドに声をかけた。
「あなた、見ない顔ね?新入りかしら?」
「いいえ、お姉様…新しいメイドは入っておりません……つまり」
「排除対象ですね」
ルイノギとルイの会話にルベルが混ざり、既に魔法陣を顕現させていた。
問題視されているメイドは窓際に立たずみ、只微笑んでいるだけで弁解しては来ない。
ますます怪しんでいく五人に対し、しばらく動かなかったメイドは小さく何かを呟く。
「なるほど、よくわかりますわ」
「何一人で言ってるの?」
エリオの言葉にメイドはにっこりと笑ってから、一歩一歩カツンとヒールを鳴らしながら歩み寄ると、エリオの前で優雅に両膝を付く。そして願うように両手を絡めながらエリオを見つめ口を開く。
「お初にお目にかかります、私は魔王様を支えた柱の一人、ヨナ・サージリカと申します……今は農家をしていますが昔はこれでも軍の隊長や救護班を勤めておりましたの、もし怪我や病気になった際にはお役にたてるかと」
ヨナと言う名前にエリオとひなはあることを思い出す。それは、ルイノギの家に行く1日前のこと。
エリオとひなはレイトに呼び出され、男子寮のユリィとレイトの部屋にいた。部屋ではいつもの見慣れた風景があったが、大事な話をするときはいつも空気が一瞬で変わる。それもお決まりだ。
「エリオとひなは明日からルイノギの家に行くんだったよな?」
「そうよ」
「ちょうど明日、エリオの護衛が到着する日なんだ……それじゃあ直接行くように伝え直しとくな、ヨナ・サージリカという人物が護衛の名前だ」
などと先んじてレイトから伝えられていたことを。それさえ思い出してしまえば後は大丈夫だ。
「レイトから伺っています……私はエリオこの子は私のパートナーひなです」
エリオがそう答えてから、護衛だと知ったときに聞きたかったことをヨナに問う。
「あの、なんでメイド姿?」
「こちらの方がこの屋敷では適切だと思ったのですが……着替えますか?」
きょとんとしながらヨナがそう訪ねるとすかさずルイノギが口を開く。
「さすがに着替えてください」
「かしこまりました、ルイノギ様」
着替えを要求され、更衣室にて着替えを終えたヨナの姿に誰もが声を出せずに見惚れてしまう。腰まで延びた桜色の髪、それに似合うように白いレースで頭の後ろを隠すように付けられ、十字架の描かれたミニドレス。瞳は先程のはどうやらカラコンだったらしく、今は黄緑と水色のオッドアイ。
「先程とは全く違うでしょ?」
『綺麗』
「あら、嬉しいことをおっしゃいますね」
エリオたちの素直な感想に、まるでお決まりの台詞のようにヨナは返す。
それから少ししてコホンと気を取り直すようにルイノギが咳払いをしてから、当初の目的地だったルイノギの部屋へと移動する。
そしてルイノギの部屋に入ってから、エリオとひなはぽかーんとした表情で固まる。
その理由はルイノギの部屋にあり、部屋には大型テレビにふっかふかのソファー、天蓋付きベッド。
そしてその部屋に繋がっていた隣の部屋に移動し、再びベッドが現れる。だが、先程よりも小型のシングルの天蓋付きだ。そして少し離れた場所に長テーブが置かれ、一定の距離で椅子が置かれている。
「何?この部屋」
「?私の部屋ですが?」
「広………でかい…………怖い」
驚きのあまりにひなが泣き始める始末。
そんなひなにヨナは優しく頭を撫でる。それを見ていたルイも、ヨナの服をくいくいと引っ張り頭を差し出す。ヨナはふふ…と小さく笑いながら両手で撫でる。
「これは以前サクラノが言っていた両手に花ですね………これはアリです」
ぶつぶつとそんなことを呟きながら満足げな表情をしながら撫で続けるのであった。
それからしばらく。
ようやく落ち着き、今はルイノギの部屋で賑やかにトランプで遊んでいた。
実はルイノギの家の晩餐は早く、この時点では既に食べ終わっていたのだ。
「それにしても、ご飯美味しかった~………あ、揃った」
「うん……あんな……豪華な、ご飯は……久しぶり」
「そう?うちではいつもこんなんよ?」
エリオとひなの言葉に首を傾げるルイノギに、エリオは複雑そうな表情を浮かべ、ひなが説明するように口を開く。
「私の……家は、貴族で……あっても、お金が………あまり、なくって………管理、している……街の人には、いつも………苦労………させているの」
「そっか……あっそういえば、エリオ達ってレイトとほぼ一緒にいるじゃない」
ひなの言葉にあることを思い出したルイノギは、話は変わるけどといった雰囲気で問う。
「最近レイトの様子はどう?」
「どうって……」
「いつも、通り?」
ルイノギの言葉に少し戸惑いを見せる二人に、ルベルも首を傾げていた。
今ルイノギの頭の中に浮かぶのは、あの日、仮テストの日に聞かれた質問であり、答えだった。
__お前には、この世界はどう思う?__
__俺には最悪な世界に見えるよ__
あれはどういった意味なのか、ルイノギはあれからずっときにしていた。
だからいつも大抵は傍にいる二人に問うったが、やはり気づいておらず、尚且つ二人には聞いていないのかも知れないと新たな可能性が生まれる。
そうなれば、後はユリィに聞くしかないのだが___と、ここまでルイノギが速やかに考えていると横槍が投げられるかのようにずっと出入口付近にいたヨナがルイノギの質問に少し答えるように口を開く。
「あの方はずっと魔族と人間の幸せだけを願っています………そう、ずっと……
もし、気になるのでしたら明日街に出てはいかがですか?」
ヨナの進言に四人は頷き、状況がわからないでいるルイは一人頬を膨らませていた。
そして夜の楽しみである入浴時間がやって来る。
大浴場備え付けの更衣室で、女子達はきゃっきゃっうふふをしたのち、タオルで胸元を隠しながら風呂場までやって来る。
ルイは残念なことに母親に回収されてしまっていた。
先に湯に浸かり始めたのはエリオとひなだった、湯に浸かるだけで疲れが一瞬でとれたように二人は溶けたように幸せそうな顔をしている。それを見たルイノギとルベルが笑みを浮かべながら湯に浸かる。
「ふぁ~、気持ちいい」
「とけ……る~」
「ひな、もー溶けてるわよ」
「ひゃわ!」
ルイノギの言葉でえっと言いたげな顔で見つめてくる。その横でルベルはエリオと自分の胸を見ては、エリオと比べて小さい胸を触る。
それに気づいたエリオがあることを閃き、ルイノギにそれを告げる。その顔はまるで悪戯を仕掛ける子供のようである。
「ルイノギ、知ってる?」
「?」
「胸を大きくするには!胸を揉むんだって!」
「ひぁ!!」
ルイノギの背後から抱き付き、そしてがっしりとルイノギの胸を掴み揉み始める。
最初は抵抗していたルイノギであったが、揉まれ続け次第に力が抜けて湯に勢いよく浸かる。
「あれ?」
「ルイノギ様!?」
「___っ、やったわね、エリオ!」
「え、ちょ!きゃわ!」
仕返しにと前方から飛び付いたルイノギにバランスを崩したエリオは、そのまま湯に沈む。
少ししてぷはっと同時に上がっては来たものの、どうやらルイノギは馬乗り状態にあるらしく、少し高い位置からエリオの胸をエリオに揉まれたように揉む。
「や、柔らかいわね」
「え~っ、ルイノギも柔らかいよ?」
「きゃ!~っ、揉むな!」
「……ルイ……ノギ、胸、枕?」
エリオとルイノギのやり取り見ていたひなが横から乱入。それに続きルベルも参加した。
「え、エリオ……どうですか?私の胸枕は」
顔を真っ赤に目を合わせようとしないルベルに、エリオは頭をルベルの胸に預ける。
「うむ!寝心地最高!」
グッと親指をたてるエリオに、やっぱり恥ずかしいと訴えるように耳まで赤くしているルベル。そんな賑やかな入浴タイムはあっという間に過ぎ去り、気づいた頃には既に皆布団の中であった。
布団の中ではルイノギの妹ルイについて話していた。
「それにしてもルイちゃん、可愛いよね~」
「一緒に……連れて、帰り……たい」
「な、何言ってるのよ!ダメに決まってるじゃない!」
『なんで~』
「私の可愛い可愛い妹なんだから!」
「わかった、じゃあルイノギも連れて帰りましょうひな」
「そう……だね、エリオ」
ルイ単独がダメならルイノギも一緒にっと言い、互いに頷き合う。そんな楽しそうな会話に一人の女性が割り込む。
「そろそろ寝てください……明日起こしに来ます」
そう言ったのはヨナであった。
明日はヨナの提案で街に出る。
ルイノギの屋敷から街までは少し距離が離れているため、馬車で移動することになっていた。
それだけを告げるとヨナは部屋を後にする。
残された四人は、ヨナの言いつけに従い眠りにつく。騒いではいたが相当疲れていたのだろう、エリオとひなは部屋を暗くすると一瞬で寝ていた。ルイノギとルベルは少し会話を交わした後眠りについた。
ルイノギの部屋を後にしたヨナがいたのは、屋敷の屋根の上だった。
夜風が髪を揺らし、草や花を揺らす。
その音を目を瞑りながら聞いていたヨナだったが、突如として頭上に出現した微かな気配でバッと顔を上げる。それと同時に夜の闇にとけるような羽織に衣服。顔を見えないように深く被ったフード。そんな何者かをヨナは一目見ただけで笑みを見せた。
「どうしたのですか?」
「いや、ちょっと様子を見に来たのとヨナと話したかったから」
フードから覗く口元が笑う。
それを見たヨナも口元を緩め、隣にずれると何者かは先程までヨナが座っていた場所に腰を下ろし、フードを取る。風で揺れる紫の髪が月の光で輝いて見える。
「そちらの準備はどうですか?」
「あぁ、順調だよ……」
「そうですか……明日彼女達に街を見に行くように誘導しましたが…説明はなさらないのですか?」
「それでいい………説明はしない、巻き込まないためにもね」
ヨナの言葉に薄ら笑いを浮かべ、少年は月を見上げる。それから少しすると、少年は立ち上がりヨナに別れを告げると屋根の上から飛び降りる。少年が飛び降りたのを見たヨナ、バッと下を見たが既に少年の姿はなかったのだった。
「……どうか、あの方に安らぎを」
ヨナは祈るように指を絡める。
誰もいない夜、ヨナは一人、涙を流しながら祈りを捧げた。
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