【R18】私の担当は、永遠にリア恋です!

はこスミレ

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第三部

Sky's The Limit・21-2

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 昼休憩も終え、午後のまったりとした時間、消化に血液を持っていかれるから眠くなる。普段は自分で作ったお弁当を持参することが多いけれど、最近はもっぱら定食をいただいている。現実逃避に、今日食べたサバ味噌定食を思い出す。添え物の浅漬けが美味しくて、売って欲しい。
「さきさき、家で漬物作る?」
「作んないよ!そもそもあんまり食べないし!でも今日の定食屋さんの美味しかったね」
「そうなの!美味しかった!」
 美味しいものの話をしていると、心が豊かになる気がする。そう、デスクの上で震えているスマホも気にならない。
「私さ、あんまりこだわって作らないから、美味しいって感動するような料理が出来たことないんだよね。人が作るご飯の方が美味しい」
「わかる!」
 実音々が作ってくれるご飯の美味しいこと。だから自分であんまり作りたくない。
「ねえ、菜果音ちゃん…」
「なあに?」
 さきさきが困り顔で指差した。
「さっきから、ずっと着信来てるけど、いいの?」
 困り顔も可愛いなあ。
「業務中だし」
「でも、2分置きくらいで鳴ってるから、きっと重要なことだと思うんだけど」
 私はできるだけ笑顔を作ってスマホを取り、デスクの下にしまってあるバッグの中へ突っ込んだ。
「業務中だからね!メッセージの確認くらいは許されても、私用通話はね」
「菜果音ちゃん、私には出ろって言うのに」
 一度止まったバイブレーションが、バッグの中で再び始まった。
「営業さんも上司も、会議でいないよ。しばらく帰ってこないよ」
 さきさきが優しく笑って首を傾げた。
「菜果音ちゃん、今出ないと後悔するんじゃない?」
 相手が誰なのか分からないのに、さきさきは私の表情だけで判断している。
「いっておいでよ、急ぎのタスクもないしさ」
 まだバッグの中では、ブーブーと音がしている。
「また泣いて帰ってくることになったら、どうしよう」
「菜果音ちゃんの有給いっぱい残ってるし、早退しちゃえ!」
 さきさきが拳を振り上げて笑う。
 バッグが静かになった。
「止まっちゃった」
「菜果音ちゃんが一番遠いトイレに着くまでに、また着信が来るに生ビール大ジョッキ!」
 元気が良い!
「…いってくる」
「いってらっしゃい」
 さきさきは、本当に女神だ。
 私はバッグからスマホを取り出し、フロアを抜け出した。
 一番遠いトイレへの廊下を駆けていると、手の中でスマホが震え始めた。
 次にさきさきと飲みに行く時は、生ビール大ジョッキをご馳走しなきゃ。ついでに、お刺身の五点盛りもサービスします。
 少し潤んだ目を指で拭って、一番奥の個室に飛び込んだ。

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