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3章 譲位騒乱
76☆嫉妬
しおりを挟む「とりあえずそれ、脱がせてもいい?」
すごくいい雰囲気だったのに、真顔でソーヴィが言い出した。
「えっ?」
ソファの上に私を座らせて、肯定する前に脱がしにかかる。
「これ、アイツの選んだやつでしょ。アユリの体を包んでることが、許せない。」
ポイポイと手際よく脱がされて、空中に放り出されては、服が消えていく。
「何で?」
「は?気持ち悪いじゃん?」
途端に不機嫌な顔になる。
「違う、何で服が消えてるの?」
「原子まで分解したから。」
こっわ…とことんやるな、この男。
「すごいね…そんなに魔力使って大丈夫?」
「アユリがいるから、大丈夫。」
全ての服を消して、満足そうに笑う。
「私がいない間、どうしてたの?平気だった?」
ソーヴィの手が私の首を撫で、ゆるりと胸へ伸びた。
「魔法を使わなくても、生活は出来るんだよ。アユリだってそうでしょ?」
指先が敏感な場所を避けて、焦らす。
「んっ…そうだけど。」
「…心配だった?俺の性欲が。」
「…うん。前に、何日ももたないって言ってたから。」
クスクス笑って、両手で胸を揺らしてくる。
「それは、常に魔力を放出してたらね。アユリ以外を抱きたくないのに、魔法なんて使わない。」
正直に言う、嬉しい。
ほんの数時間前まで最低の気分だったのに、今じゃ世界で一番幸せだ。
首に腕を回して、思いっきりキスをした。
「大好き。」
「ねえ、していい?」
ぎゅっと抱きついて、頷く。
「ソーヴィの部屋がいい。」
「分かった。」
久しぶりのベッドの中は、ソーヴィの匂いでいっぱいで、安心すると共にゾクゾクした。
初めて会った日のことを、思い出す。
このベッドで、したんだ。
あの時は止むに止まれずだったけれど、今は違う。
「ソーヴィ…お願い…」
自ら足を開いて、おねだりをする。
「入れるよ。」
じゅぷ…と音をさせながら、ソーヴィが中に入ってくる。
「んうっ…」
「痛い?」
「…ううん、大丈夫。久しぶりだから、苦しいだけ。」
ゆっくりと慣らすように根元までつながると、じんわりと温もりが広がる。
「はあ…長かった、アユリと1つになれない間、気が狂うかと思った。」
「大袈裟!」
「いや、死活問題だからね!」
ぐいっと弱いところを擦られて、腰が跳ねる。
「ひゃんっ!」
「何されるか分かったもんじゃないのに、落ち着いてなんかいられないよ。」
体をぎゅっと抱きしめて、ソーヴィの柔らかな髪が顔にかかる。
広くてすべすべの背中をあやすように撫でて、愛しさが募る。
「私も、ソーヴィが捕まったって聞いて、生きた心地がしなかったよ。何週間かは落ち込み過ぎて、あんまり記憶がない。」
「…俺が捕まったって、聞いたの?」
「うん、こっちに来ないとソーヴィを拷問するって言うから…」
ガバッと顔を上げて、目をぎらりと光らせる。
「ソーヴィ!この話は後でにしよ?今は、ソーヴィのことだけ感じたいの。」
「ごめん、そうだね。今は、アユリのことだけ…」
柔らかな光を灯して、キスを落とされた。
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