【R18】次に目を開けた時、イケメンのベッドの中に異世界転移してました。

はこスミレ

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番外編2

リリーの恋・3

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 ある夏の日、彼は奥方3人とメイド数名を引き連れてやってきた。
「久しぶりだな、この感じ…いつも一人で来てたのに。」
「そうね、まあ女の子が増えたことだし。休暇も必要よね。」
 少し嫌そうな顔をした父と、意に介すこともなくニコニコ笑って談笑する彼が、畑を前に立っていた。
「国王なんだから、避暑地があるだろ。うちに来なくても…」
「ここだから、来るのよ。」
 唇を釣り上げて蠱惑的に笑う彼の横顔を見て、不安になった私は、玄関から飛び出して抱きついた。
「しゃいちゃん!」
「あら、私の可愛いリリー。元気だった?」
 大きくてキレイな手が、私の頭を撫でる。
「うん。しゃいちゃんは、今日から何日いるの?」
「んー、そうねえ。3日くらいかなあ。それ以上空けちゃうとね、こわーいオジサン達に怒られちゃうの。」
 彼は、まだ私が子どもだと思ってる。そういう風に、扱うのだ。言葉も、態度も、小さな子どもをあやすように。
「そういえば、アンバーは?」
「知らない!」
 私の顔を見てから、父の顔を見る。
「最近、しょっちゅうケンカしてるんだよ。前はベッタリだったのに。」
「アンバーが悪いの!」
「あらら。まあ、そういう時もあるわよね?ソーヴィ。」
「うるさい。」
「お父さんも、しゃいちゃんと仲悪かったの?」
「そもそも、リリーやアンバー程、仲が良いわけじゃないから。」
 プイッと横を向く父は、私の父親というより、彼の弟の顔をしていた。
「やだあ、お姉ちゃん悲しいわあ。」
「兄だろうが!」
「いいじゃない、どっちでも。ねえ、リリー?」
 切れ長の目を柔和に細めて微笑む彼は、さっき見た顔とは真逆だった。
「うん…私はしゃいちゃんが好きだから、何でもいいよ。」
「嬉しい、私の可愛いリリー!私もあなたが大好きよ。」
 ギュッと強く抱きしめられると、嬉しいはずなのに胸がチクチクした。
 ふと彼の後ろを見ると、こちらをチラチラと伺っている女性たちがいた。
 きっと、彼の奥さん達だ。
 そう思ったら、急にこの場から消えてしまいたくなった。
「しゃいちゃん、私、学校の子達と遊びに行く約束があるから、もう行くね。」
「そうなの?夜は帰ってくるんでしょう?」
「うん、じゃあね!」
「気をつけて!」
 背後で手を振っているであろう彼に答えず、走って森へと向かった。
 どうしても涙が堪え切れずゴシゴシと手で拭い、結界を抜けて転移魔法を使う。
 たどり着いたのは、近くの町。ここには、学校があり友達もいる。
 門を抜け、商店街を通って端の小さな店に入れば、店番をしている友人がいた。
「リリーじゃん。今日って、愛しの君が来る日じゃないっけ?」
 くるくるの巻き毛を伸ばし一つに束ね、丸い瞳をキラキラさせた、ゴシップ好きの親友。
「女連れで来た…無理。」
「あちゃー…側室3人だよね。1人じゃなかったんだ。」
 上がれば?と指で奥を指し、冷蔵庫からお茶を注いだ。
 ありがたくいただく。全力で移動してきたから、喉がカラカラだった。
「おいしい…」
「まあね、リリー父作のハーブだから、美味しいでしょ。」
 そういえば、父は薬草を卸しているのだった。
「で、聞きましょうかね?不平不満を。」
「うえーん!ジョーゼット!!」
 せっかく止めてきた涙が、また流れ始めた。

 
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