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番外編2
リリーの恋・8
しおりを挟む「いや…あの…その…」
必死で言葉を探すけれど、何を言えばいいか分からない。背中をダラダラと冷や汗が流れている。
「リリーは嘘をつけた試しがない、顔に出る。で、私みたいに見ちゃったわけ?」
「あう…」
「大丈夫、王様自体に興味ないし、誰にも言わない。」
片眉を上げてため息をつくジョーゼットは、私が傷つかないように言葉を選んでくれている。
彼の威厳が損なわれないなら、ジョーゼットなら他言しないから、頭の中を言い訳がぐるぐる駆け巡る。
息を吸って、ゆっくり吐き出した。
「…うん。森の中を散歩してたら、遭遇しちゃって。」
レモネードが酸っぱい。
「乱交青姦ってレベル高いな…さすが我が国王…国民性を体現してるわ。」
これ、やっぱり威厳は損なわれてるんじゃないだろうか。
「奥方様と来てたし…考えたくなかったけど、そういうこともあるだろうし…だけど…まさか…」
「全員一緒にだと思わなかった?」
コクリと頷く。
そう、全員で致すとは思わなかったのだ。
一人ずつ相手にするものだと…明らかに奥方以外の、メイドもいた。
結婚していないのに、どうして?
私は…私は…
「合理主義なのか、趣味なのか、はたまた全部か。全部な気がするなあ。」
ジョーゼットは腕を組んで首を捻る。
「私だって、しゃいちゃんのこと好きなのに…好きなのに…ずるい。結婚してないのに、メイドなのに、しゃいちゃんとセックスできるのずるい!」
「あー、それでずっと不機嫌な顔だったのか。分かりやすくていいなあ、リリーは。」
悔しくて悔しくて、たまらなかった。
「何で私、子どもなの?相手にされないの?どうしたら、しゃいちゃんは私のこと女の子として見てくれるの…?」
「夜這いすればいいじゃん。」
「へ?」
聞き間違いだろうか。
ポカンとしていると、なんてことのないような感じで繰り返す。
「だから、夜這いだよ。今夜は帰らないって言っておいて、こっそり王様の部屋に行けばいいんだよ。」
「なっ、ななっ、何を!?」
「今夜がチャンスでしょ。昼に乱交してるなら、夜はしないかもよ。体力的にも大変だろうし。」
「いやいやいや、マジで言ってる??」
ジョーゼットは当然のように首を縦に振った。
「そんなの…無理…だって、どうすれば良いのか…断られたら死んじゃう。」
「今日はセックスじゃなくて、私はこれくらいあなたのことが好きなんですよっていうのを、思い知らせるのが目的だから。14歳がまともな大人にセックスしてもらえると思うでない。必ず断られる。」
ハッキリと断定されると、そこそこ傷つく。
「でも…」
「女の子に見られたいんでしょ?これからもずっと好きなんでしょ?結婚したいんでしょ?」
「…したい。正妻になりたい。」
彼の隣に立ちたい。
美しく、高貴で、気高い彼の支えになりたい。
「じゃあ、決まりだね。さ、下に降りるよ。」
「へ?」
「勝負下着、選んであげる。」
「お、お金持って来てないよ!」
「出世払いでいいよ。」
ジョーゼットはニヤリと笑って、私の腕を引っ張った。
店に飾られた、色とりどりのランジェリー達が、キラキラと輝いて見えた。
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