26 / 108
9-2
しおりを挟む「ハナくんに会いたい!」
灯里が食いつくのは分かってた。
「俺も!会って見極めるから!」
どうして星野まで?
「意味が分からない」
「倫音ちゃんが俺以外と仲が良いなんて、許せないよ?!この大学で一番喋るのは俺なのに!」
星野が話しかけてくるだけで、私は喋ってるつもりはないが。
はて?と首を傾げていると、灯里が肩を揺さぶって来た。
「たまーにカフェに行ってもハナくんらしき人いないし、全然見たことないんだよ!絶対に会いたい!連れてきて!」
「灯里、来てたの」
「そう!倫音のバイト姿も、こっそり外から覗いてたよ!」
「それ来てるって言わないね」
「えっ、倫音ちゃんてカフェでバイトしてるの?!」
プライベートが漏れた。
星野は良いこと聞いたって顔をしている。
「まあたまに」
「ハナくん…!倫音に顔が良いと称されるハナくん!ご尊顔を拝みたい!」
「えっ…そうなの?俺より?」
「光流くん、倫音に顔が良いって褒められたことある?」
灯里、結構酷なこと言ってるけど分かってるのかな?星野、傷ついてるっぽいけど。
「…クソ、相当なイケメンか。相手にとって不足はない」
あ、傷ついてなかった。むしろポジティブだった、さすが星野。
「星野、当日はサークルの模擬店とか係あるんでしょ」
「合間を塗って行く!」
「私は何にもないよ!」
「灯里は斎藤と回るんじゃないの?」
「Wデートね!」
「それはさせないぞ!」
二人とも自由だな。
「まあ、タイミングが合えばね」
返事も面倒なので適当に合わせておくことにした。
学祭当日、事前の連絡により大学の最寄駅で集合となった為、改札前の柱側で待つ。
いつもはバイト先だから、動きやすいシャツにジーンズやスキニーのカジュアルスタイルばかりだったので、今日はワンピースを着た。天体観測に行った日も、職業アイドルに水をかけられた日も、適当な服を着ていたから、ちゃんとした格好で会うのは、初めてかもしれない。
生まれ持った顔とスタイルのせいで、カジュアルな服装でもモデルみたいに見えるから、普段から適当にしている。そう、可愛い服を着るとそれはそれで目立ってしまうのだ。
だから今、私は改札から出てくる人々の視線を、めちゃくちゃ集めまくっている。
あー、近づいてくる二人組の男、絶対に声かけてくるだろうな。面倒くさい。
最近、あまりそういうことがなかったから、気を抜いてしまっていた。
「お姉さん、誰か待ってるの?」
「今からそこの大学の学祭行くんだけど、一緒に行かない?」
「行かない」
何で行くと思うのだろうか。鏡を見て出直して来い。
1
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる