【R18】みだりに近づかないでください!

はこスミレ

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「ま、いいか。次に会ったら、倫音ちゃんが寂しがってたぞって言えば」
「何ですかそれ!寂しがってないですから!やめてください!」
「えー、嘘つかなくていいんだよ」
「ついてません!」
「高倉さん、倫音ちゃんからかってないで、テーブルのカップ下げて来てー」
「はーい」
 小田さんの助け舟にほっと息を吐いた。
「それにしても、本当に日晴くん来ないねえ。倫音ちゃん、連絡先知ってるんでしょ。聞いてみたら?」
「何で来ないの?って聞いて、営業になりません?」
 ブフッと笑って首を振った。
「いやまあ営業してもらってもいいけど、普通に倫音ちゃんから連絡来たら、喜ぶんじゃないかなあ」
「そうですかね」
「倫音ちゃんだって、友達から連絡来たら嬉しいでしょ」
「そうですね…」
 洗い終わったカップを全て乾燥機に入れて蓋を閉めると、手をタオルで拭いた。
「今、連絡してきてもいいよ。お客さん全然いないし」
「それは遠慮しておきます」
「真面目だねえ、倫音ちゃん」
 ふと、学祭での日晴くんの言葉を思い出す。

 「倫音さんって、本当真面目でかっこいいですね」

 勝手に胸がドキドキして苦しい。
「史乃が喜びそう」
「えっ、何ですか急に!」
 小田さんがコーヒーを淹れながら、クスリと笑った。
「倫音ちゃんの恋話聞きたいってさ!」
「そういうんじゃないんで!」
 カフェ友だから、そういうんじゃない。
「ハハハ!まあ、史乃がそのうち遊びに来るらしいから、話してやって」
「楽しみにしてます」

 バイトが終わった帰り道、白くなり始めた息を吐きつつ、メッセージアプリを開いた。
 特に通知は入っていない。
 普段から、メッセージでのやり取りをしないため、履歴もそんなにない。前回のやり取りなんて、学祭の時の日程確認なのだ。
 いつも日晴くんがカフェに来るから、その時に話せればそれで良かった。
 用事のないメッセージなんて、送った事がない。
 なんて送ろう…元気?最近来ないけど、どうしたの?
 何か違う気がする。
 忙しい?
 そういえば、日晴くんて何をしてる人なんだろう。話し方が落ち着いているし、夕方にやって来るから、年上の大学生くらいかと思っていたけれど。聞いたことなければ、気にしたこともなかった。
 もしかしたら、日晴くんもバイトをしているかもしれない。
「ほんと、名前しか知らないんだな…」
 今度、カフェに来た時に聞いてみよう。教えてくれるだろうか。
 きっと、ニコニコ笑って話してくれるに違いない。
 ほうっと大きく息を吐いて、メッセージアプリを閉じた。
 お汁粉の美味しい甘味処を探しておこう。それで、今度こそちゃんとカフェ友として遊びに行くのだ。

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