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最終話-2
しおりを挟む「一口ね、あとはゆうくんにあげる。パパに似ても、ママに似ても、どっちにしろ強くないから」
「おう!」
こぷっと一口含むと、炭酸と妙に苦い感じが口に広がる。
「うえ…にが…もういいや、あげる」
「やっぱダメだったか!もらう」
「倫音さん、口直し」
横から日晴くんがオレンジジュースを差し出した。
「ありがとー」
酸味が苦さを打ち消してくれる感じがする。
「お酒、別に飲まなくていいわ」
「飲むなら、俺がいる時にしてくれる?倫音さんが酔ってるの危ない気がする」
「いや、飲み会とか行かないよ?」
「カフェで飲むでしょ」
まあ、バイト先でも誕生日会してくれるって言ってたから、飲む機会はありそうだ。
「日晴くんも来るでしょ」
「行くけど」
「二人は仲が良いなあ…!良かったなあ、りん!」
バシバシと肩を叩かれる。
「痛いよ、ゆうくん!」
「本当、良かった!りんは一生一人で生きていくかと思ってたから」
「失礼な!」
「そうだぞ悠斗。りんは良い女だから、絶対ちゃんとした男を連れてくると俺は思ってたよ」
「うげんちゃーん!」
もう本当、このイケオジは…!未だに若い女の子達がアプローチするのも分かる。有現ちゃんは相手にしてないみたいだけど。
「有現こそ、いい相手いないのかー?」
「俺は独り身が合ってるんだよ」
サッサッと手を振り、フッと笑う。
は?ここは、映画の撮影所か何かですか?くっそかっこいいな!
「マーシーより、うげんちゃんの方がハーレムできそう」
「いや、いらないよ」
渦中のマーシーは、見事隣の席を獲得した元要にロックオンされている。
「はじは、何でマーシーがいいんだ?」
「顔が好きなんだって」
「人には色々好みがあるからな」
「え、元要くんて…マーシーさんが好きなの?」
びっくりして目を丸くしている日晴くんに、そういえば初めてなんだったと思い出した。場に馴染んでるから忘れてた。
「そうそう、小さい頃からずーっとマーシーの顔が好きなの」
「りんより筋金入りだよ、あれは」
「伴が諦めたくらいだからなあ」
父はずっとやめさせようとしていたのだけれど、元要が絶対に譲らないから見守る方向にシフトチェンジしたらしい。
「中身はいいの?顔だけ?」
「うん、顔が好きなんだって。あの顔があれば、性格も性別も関係なく愛してるらしいよ。ハーレム持ちなのにねえ」
「ハーレム…えー…そうなんだ」
「日晴くんがドン引きしてるぞ、りん」
「真実だからどうしようもない。日晴くん、世の中には色んな人がいるんだよ」
「……そうだね」
日晴くんの肩をポンポン叩き、オレンジジュースを飲んだ。
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