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第19話
しおりを挟む服のポケットから小さな鍵を取り出し、ティルは自信の手錠を外した。そのまま、風呂場に設置されているタオルハンガーへ、手錠をガチャリとつける。
「え?」
沙彩はタオルハンガーと繋がった。
「では、沙彩の服を脱がせますね」
「いや、絶対に脱げないですよね。ハンガーのところに服がたまりますよね」
ティルは沙彩の言葉に構わず、トレーナーの裾に手をかける。
「ちょっとちょっと」
「サーヤ、ばんざいしてください」
小さな子どもへ諭すように語りかけるが、トレーナーはどんどん上へ持ち上げられ、沙彩の顔が隠れた。
「全然人の話を聞かない!」
中のTシャツごと剥がされ、あっという間に右の腕へ服が移動した。右腕だけ重い。
「サーヤの下着、レースが可愛らしいですね」
うるせえ!放っといてくれ!と、心の中で叫ぶが、羞恥で声に出せない。
「初めて見ます……サーヤの肌……」
顔が近く、吐息が触れる。
できるだけ顔を逸らして見ないようにするけれど、離れるだけ近づいてくるせいで視界から外れない。
「下着、とりますね」
抱きしめるように腕を回し、背中のホックを外される。開放感と共に外気が肌に触れた。
「想定よりも愛らしいサイズですね」
その言葉に、反射的にティルの足を踏んだ。
「おっと」
力一杯踏んだのにも関わらず反応が薄い。
「女エルフと一緒にしないでもらえます?!」
「真っ赤になった顔も可愛いです」
本当に人の話を聞かない。
「さ、下も脱がせますよ」
ズボンに手をかけて一気に引き下ろされると、完全に裸になってしまった。
「ああ…うっかり下着も脱がせてしまいました。もったいない…もう一度履いてもらえます?」
「絶対に嫌です!」
「では、次回の楽しみにしましょう」
タオルハンガーの手錠を外し、引っかかっていた服を取ると、また手錠をハンガーに戻す。
ティルは沙彩の目の前で、着ているスーツを脱いでいく。
エルフの持つ美しさに、沙彩は目が離せなくなった。
褐色の素肌に、ほどよくついた滑らかな筋肉、長い足の付け根に生えた髪色と同じ陰毛と、既に勃ち上がっている男性器……
「ええー」
「どうしました?」
にこやかな顔をして凶器の体が迫ってくる。
「いや……えっと……ええー……」
どうしたものかと動揺していると、ティルがシャワーの温度調節を始めた。
「足元から掛けますからね」
爪先にお湯が当たり、少しずつ上って来る。ふくらはぎ、太もも、お腹、胸まで来て、反対側に周りまた下から上へとお湯を掛けられた。
「では、髪の毛を濡らしますよ」
肩より少し長い髪を片手でまとめ、美容師のように地肌付近へシャワーヘッドを当てる。
満遍なく濡らしたら、シャンプーを泡立て、目に入らないように気をつけながら、ゆっくりと地肌をマッサージするように洗い始めた。
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