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第21話
しおりを挟むここで声を出したり、何かしらの反応をしてしまったら負けだ。
沙彩は止まった息をゆっくりと吐き、壁の上の方へ視線を向けながら深呼吸をした。
後ろに当たっているのは、もしかしたらもしかするかもしれないが、新しいスポンジかお風呂グッズもしれないし、何か別の生き物かもしれない。
沙彩の想像以外の物であることを祈りつつも、怖くて身動きが取れない。
ティルの手のひらが沙彩のお尻に触れた。
「ひぎゃっ?!」
「小動物の鳴き声みたいですね」
答えたくない。
現在、沙彩のお尻には三つの物が触れている状態だ。
手のひらが泡を伴ってゆるゆると円を描いてくる。とてもくすぐったく、羞恥で体中が熱くなってきた。
「サーヤの肌がバラのように色づいてきましたね。美しいです」
振り返って殴ってしまいたい。殴っても許される状況だと思える。
「ふわあっ」
お尻にいた手のひらが後ろから抱きしめるように前に周り、お腹から胸へと上ってきた。
背中からお尻までティルの体がピタリとくっついている。
お尻に当たっているものが何なのか、確定してしまった瞬間だった。
「ちょっと……!」
「すべすべしていて、気持ちいいです」
人肌が温かく泡でぬるりとしていて、慣れない感覚に背中全体がゾワゾワしている。
「や、やめっひっ!」
ティルの指が沙彩の胸を下から持ち上げるように触り、そのまま乳首をするりと撫でた。
「……サーヤは最高ですね」
首筋に顔を埋められ、甘い声が耳元で囁くが、沙彩にとっては恥ずかしさと混乱ばかりが増幅させられていく。
「ううう…!」
「森でたわわになる、甘い果実のようだ…」
羞恥で爆発しそうだ。歯の付け根がむず痒くなってきた。
これがダークエルフのやり方なのか……
「サーヤ、あなたを私のものにしてしまいたい……もう二度と離れるなんて嫌だ」
こちらとしては、今すぐ離れて欲しいばかりである。
しかし、手錠のせいで逃れられない。
大きなティルの手は沙彩の胸を弄び、濡れた髪へキスを落としていく。
「ひいっ……!」
「サーヤ……可愛いです、サーヤ」
沙彩の体はカッカと熱くなり、燃えるようだった。
乳首を指でくりくりと弄られ、爪の先で軽く引っ掻かれると、太ももに力が入ってしまう。
「んんー!」
「私の手でサーヤを悦ばせることができるなんて……来て良かったです。私は幸せです」
体中が泡だらけになり、足を伝って床に落ちて行く。
「ふっ…うう……」
恥ずかしいけれど、気持ちがいい。
そう思ってしまう自分がより一層恥ずかしい。
沙彩の頭の中が、ぐちゃぐちゃになっていく。
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