ただ1枚の盾に。

小隈 圭

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1章

ワキャワキャ

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 カマウリさんの手によって磨き上げられた剣を受け取り、代わりに代金である銀貨二枚を渡して鞘に収まっている剣を腰にあるベルトへと括り付けぶら下げる様に身に着ける。

 村でもまともな武器など持った事がないこともあり、腰に物があるという事自体は別に問題はないのだが武器を持っている、という状態が何故かしっくりこない、初めての経験だからだろうか? 

 「さて、それじゃあ行ってくるよ! 色々ありがとう、また来るからその時はよろしく!」

 「ん? コウ早速どこかに行くのか? あんまり無理だけはするなよ?」

 そう言えばクエストで受けた討伐に行くとは一言も言っていなかったのを思い出した、心配をしてくれている人にはそれぐらいの話はしておいていいかもしれないな。

 「ここにくる前にギルドでクエスト受けてきたんだ、剣を買うついでに早速行こうと思ってね! 討伐対象がハニービーだし、数も少ないからこれぐらいなら行けそうだしな」

 「なるほどな、そうゆう事か、まぁ無理せんようにな!」

 「うん、ありがとう!それじゃぁ行ってくる」

 別れの挨拶をしながら店を出てそのままクエストに向かう為に移動をすることにする。

 ハニービーは町の外ならどこにでもいると言うぐらい多く、どの出口から出ても問題はない為鍛治屋を出てそのまま南へと進み、しばらく歩くと南門が見えた、門の横にはモンスターの侵入を防ぐ為に警備に付いている人が数人いる。

 門を通ったのが先ほどという事もあり、警備についている人も変わってはいなかったようで、町に入る時に声をかけて来た人が周囲の警戒をしているのが見え、向こうも俺に気がついた様だ。

 「なんだ兄ちゃん、もう登録は済んだのか?」

 「はい、済ませて来ましたよ! これからハニービーの討伐に行こうと思いまして」

 俺の言葉を聞いたその人は来るときにも感じた視線、俺の全身を見て何かを確認するような、そんな視線を向けていた。

 「そうか、まぁ武器も持ってるみたいだしな、無理だけはするなよ? 駆け出しが無理した所でいい事なんて何にもないからな!」

 この町にいる人は基本的に世話焼きと言うか、いい人なのだろうか? 心配をしてくれている様なその言葉に有難みを感じるな、もしくは俺が頼りなさそうに見えるかだな。

 「ありがとうございます、行ってきますね!」

 軽く頭を下げ挨拶を済ませた後、来るとにに通った道でもある南門の外へと歩き出す。

 町周辺には花や木があちこちに生えててモンスターもそこら辺にいるのだがトリーア周辺のモンスターはおとなしく、こちらからなにかしない限り襲ってくることはない。

 辺りを見渡しハニービーを探すと花の回りを飛び回っているのが見え数も3匹と多くなく初戦闘の相手には良さそうだと剣を抜き近付く。

 現状今の自分の状態は剣しかなく、鎧や楯など買う金もないので向こうの反撃はかわすしかない、初撃で一匹は確実に倒したいな、その後出来るだけ早く二匹目をかたずけ一対一の状況にもって行き安全に戦えるようにしないと今の自分のではかなりの怪我をするはめになる。

 近くまで移動し草の間に身を隠しながらまずは観察をした、徐々に距離を詰め向こうとの距離はそう遠くなく飛び出して斬りかかっても当てられる位になり右手持つ剣に自然と力が入る。

 「ふぅ・・・、よし! 行こう!」

 低姿勢のしゃがんだ状態で足に力を入れいっきに飛び出す、三匹の中で一番近くを飛んでいる奴に狙いを付けそのまま切り裂き仕留めたのを確認し二匹目に行こうと狙いを付けるが、そう甘くはなく針を出し飛んで来た。

 顔を狙って針を刺そうとした所を横に飛び剣で斬るが狙いがズレ足を数本切り落とす、その間にも三匹目が狙い付け飛び込んできてるのをしゃがんでかわし後から斬る。縦に真っ二つになり地面に落ちたそれを見ることはせずすぐさま目を離した二匹目を見付け攻撃を待つ。

 こちらから斬りに行った所で移動に関しては向こうが上。なら避けてから攻撃する方が安全だと判断した為だ。

 左右にブンブンと針を出しながら飛び止まった瞬間に突進がきた。はじめから避ける事を決めていたため中腰の状態ですぐ横に避け後から突き刺す。

 三匹とも仕留めたことにフゥっとため息をつき突き刺した剣を見ると胴体を貫かれている状態でまだワキャワキャ足やら羽やらを動かし動いていた。

 「気持ち悪!!」

 自分でした事だけど落ち着いてみると虫が手元で動いているその感触は剣から伝わってくる。

 うわぁ・・・・と剣を離したくなる衝動を抑え、まだ生きているうちは手放すことなんてできるわけもないと諦めて静かにワキャワキャしてるのを見続けた。
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