ただ1枚の盾に。

小隈 圭

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1章

筋肉という名の美。

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筋肉。

それはそれは筋肉だ。

あぁぁ筋肉。

されど筋肉。

額に肉と書いて筋肉。

あぁぁ・・・・・筋肉。





ギルドから北に移動し、鍛錬所に俺は来た。

目的は技を覚えること、というかサイモンさんに教えてもらうことだ。

建物にある両開きの扉その扉に手を当て、押し開いた。

しかしそこで俺にはひとつの疑問があった、昨日の叫び声が全く聞こえなかったのだ。

不思議に思いながらも開いた先を見ると昨日いた男たちは誰一人いなかった。

今日は休みか?などと思っていると声が聞こえて来た。

「いらっしゃいませ!昨日来て下さったコウさんでしたよね?」

声の方を見ると初めて来たときにサイモンさんを紹介してくれた女性が立っていた、そういえば客として来たとはいえ、担当をしてくれたんだ、礼ぐらいは言うべきだと思いとにかく挨拶をした。

「昨日はありがとうございました、それで今日も鍛錬をお願いしたいのですが。」

「いえいえ、気にしないでくださいね~仕事ですから!
鍛錬ですね、コウさんは2回目でハウルまでですので銅貨3枚になりますがよろしいでしょうか?」

事前にラミアスさんから聞いていた通りの額で内心ほっとしながらも大丈夫です!と答えた俺は手持ちの銀貨1枚を俺に託してくれた二人に感謝をしながら手渡した。

「お釣りを持ってきすので少々お待ちくださいね~!」

そういいながら移動しようとする彼女に俺はあの人の居場所を先に聞いてみた、戻って来るまでに挨拶ぐらいはしたいと考えたからだ。

「すいません、サイモンさんはどちらにいらっしゃるのですか?」

「サイモンさんですか?彼ならあちらに・・・・。」

そういいながら指を刺した彼女なのだがなぜか少し困ったような顔をしていた。

なんだ?と思いながらも指のさした方を見ると何もないようにはじめは見えたのだが、昨日と違い何故か像が5体あることに気がついた。

あんなもの昨日はあったか?などと思いながらも近づきながら像を見ると、上半身裸のその5体の像は中央にいる者を称えるように4人の像が片膝をつき、手を伸ばし、中央の像は両手を上に上げ、視線は天を見ているようだったが目は閉じていた、どこか見覚えがあるようなその像達はとても神々しく見え、何故か引き込まれるようだ。

特に中央の像、その像はとてもすばらしかった。

鍛え上げられた筋肉。

自身の存在を主張するかの様な気品さ。

見る者を魅了するような美しさ。

あぁ・・・・あれは・・・・





サイモンじゃねぇか。




何やってんだこの人・・・。

話しかけてもいいのか?と思いながらも像達は微動だにしていないのだ、声をかけなければ先には進まないと声をかけた。

「サイモンさん、昨日はありがとうございました!今日も鍛錬をお願いしてもよろしいでしょうか?」

そう言った俺の声を聴き、サイモンさんは薄目を開き、俺を見ると。

「貴様のハウルをわれらに捧げよ。」

そう一言言うとまた目を瞑り、黙ってしまった。

ハウルを捧げよとはおそらく昨日鍛錬したハウルの出来を見せてみろ、ということだと判断する。
万全ではないにしてもある程度までは声も戻っている、なら言われた通りにやるしかない!と俺は腰を落とし、腕を脇に添え、大きく息を吸いあらんかぎりを叫んだ。

「あああああぁぁぁぁ!!!!!」

喉に痛みが走る。

当然だ、万全ではないのだ、しかしやれ!と言われれば今の俺はやるしかない。

息を吐ききった俺の声は徐々に細くなり止まってしまった。

全力のハウル、それなりに声は出たはずだ!そう思いながらも像を見ると、中央の像は相変わらず天を見ていたが、両脇にいる4体の像が先ほどの中央を称えるかのような態勢から変わっていた。

こちらを見ながら座り込み、くだらないものを見たという表情で鼻をほじりながらあきれているようだった。おそらく話にならない!そう言いたいようだ。

確かに万全の状態ではない、でもそれなりに声は出ていたはずだ、なのになぜ・・・。

そんな少し困った俺の様子を薄目で見ていたサイモンさんは再び口を開いた。

「貴様は宿で何をしていたのだ?確かに我は伝えたはずだぞ。」

宿でしていたこと・・・?確かにサイモンさんから言われたことをしていたけど、あれって意味あるのか・・・?でも今の言葉はそれをハウルに加えてやれ!と言ってるように聞こえた、このままでは鍛錬なんてできないし、やってみるしかないか。

そう決めた俺は、先ほどハウルを出した態勢のまま目を閉じる。

腹の底から全身に力をみなぎらせていき、体を覆うようにとどめる、そして一気にすべてを解き放つ様に声もだす。いくぞ!!!

「はああぁぁぁぁ!!!!!」


先ほどと同じ様に喉に痛みが走る、だがやめるわけにはいかない、二人が待ってくれているんだ、ここで止まっている時間はないのだから。

出していた声がやがて息をすべて吐きだし、細くなっていき、声は止まった。

喉の痛みを我慢し、閉じていた目を開け像を見ると両脇にいる4体の像は立ち上がり、腕を組み、うんうんとうなずいていた、そして中央の像は上げていた手を胸の前で組み、上げていた視線を下に戻し俺を見ると口を開いた。

「いいハウルだ、やればできるではないか。
よし、鍛錬を始めるぞ!そして・・・・・

私がサイモンだ!」
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