ただ1枚の盾に。

小隈 圭

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1章

第一章幕間 それぞれの時間2。

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 リヴァイヴで食事をしながら二人での時間を堪能し、先日の事件で鎧が壊れてしまったのを買い替える為に鍛冶屋に行く事にした、ハミィから報酬である銀貨五枚を受け取っていなかったら手持ちの額で鎧を買いに行くという選択肢はなかったのだが受け取った今は買い替える余裕がある、クエストに行く事や修行の事も考えると早めに用意しておいた方がいいだろう。

 「次はどんなやつを買うの? 前のは部分的な防具だったけど」

 壊れてしまった防具は部分的に付けている、といった方が正解なぐらい他の部分ががら空きだった、腕や肩、胸には鉄製の物がついてはいたが他の部分はお粗末な状態だったのだ、しかしその防具でも銀貨三枚と結構な値段がしている、あの店だからこそその値段で売ってくれたと思っていいだろう、それも考えると銀貨五枚でどれほどの物が買えるかと言われれば、正直大したものは買えないだろうな。

 「店に行ってから相談してみるよ、前のとあんまり変わらない物しか買えないだろうけどな」

 「タンクの装備ってそんなに高いの? たしかサイモンさんもあの時言ってたけど」

 そう言えばあの戦いの時にそんな事を言っていたな、高い上に修理やメンテナンスにもかなりの費用が掛かるって、そしてその言葉は自然と俺が貧乏から抜け出せることは無いと言われてるのも同じなわけで気が滅入りそうになる。

 「俺が付けていた防具でも銀貨三枚、それもおまけしてもらってだよ、それでわかる?」

 後衛職とはいえ、ハミィはおそらく服の中に鎖帷子ぐらいは付けているだろうしその値段から察してもらうしかないだろう、男の体になっているとはいえ服や装備に関しては女物しか装備できない、そんな呪いが無ければガッチリとした物を防備する選択肢もあったはずで、仮にもしそれが叶っていたのならばどれほどの出費になるのか。

 「た、大変だね・・・今の私達からしたら考えるのが嫌になってくる」

 しかしまぁ自分や仲間の命を背負う事になるしそこに手を抜く事は出来ない、なら受け入れるしかないだろう、この貧乏さを。



 「さて、ついたな! 店の中にいるのかな」

 ハミィとリヴァイヴを出て話ながら歩いて来たんだが店の近くまで来て違和感があった、今まで見かけた時は必ずと言っていい程店の前で仁王立ちしていた店主が今日はいない、やっと客捕まえる事ができたんだろうか? 会うたびに客を取れなかったと嘆いているしこの店大丈夫か? と心配になってくるのだが俺が気にしても仕方がないと、店の中を覗き込んでみる。

 「あん? なんだ客か? ってお前さんらか、今日はどうしたんだ?」

 「こんにちわ、カマウリさん! 鎧を買いに来たんだよ」

 店の中にいた店主カマウリさんは暇だったのだろうか? 中にある品物の手入れをしているようだ、まぁ商売を生業とする人からすれば当然のことなのかもしれないな。

 「ちょっと待て!! 鎧を買いに来たって前に売ったやつはどうした! そんなに簡単に壊れるもんじゃなかったはずだぞ?」

 確かに普通に使う分には問題はなかったんだろうが今回は相手が悪すぎた、しかし町の人達がみんな知っているわけでもないんだな、世話になってるし安く売ってくれた物とはいえ記念に持っていたのを売ってもらったんだ、説明はしておかないとな。

 「実はちょっと色々あってね、盾を買った後からの話をするよ」

 ギルド前の広場での話、そこからアルスタの洞窟での出来事、その戦いで鎧が壊れ、店に来るまでのこと、その話を黙って聞いているカマウリさんに聞かせる。

 「なるほどな、蠢く者、あんなのが相手じゃぁあの防具じゃ壊れるだろうな、あの怪物の強さは中級冒険者でも全滅するぐらいだ、お前さんに渡した防具で行けるのはせいぜい中級ぐらいまでの敵なら耐える事ができるはずの物だったんだ、それ以上の相手とやりあって壊れたならしかたなねぇだろう」


 「ごめんな、記念に取ってた物を譲ってもらったのに壊してしまった」

 「フン! 気にするな! お前さんが生きていた、それはあの防具がちゃんと役にたってくれたってことだ、俺としちゃ~それで満足だ! 事情は理解した、それで? 予算はどれぐらいなんだ?」

 「それがギルドから報酬として貰った銀貨五枚ぐらいしかないんだよ、それでなんとかならないかな?」

 「ギルドもケチなことしやがるな、蠢く者の討伐なんて本来報酬は金貨はあるはずなのに銀貨五枚とはな、まぁ待ってな! ちょっと店の奥みてくるからよ!」

 本来の報酬だと金貨はもらえると言うなら流石に俺達の報酬は少なすぎませんかねぇ? まぁ確かに役にはほとんどたってないよ? 俺なんて殴られただけだと言ってもいいぐらいだよ? でもさぁ、死にそうになってるんだからもうちょっと下さいと思う事は間違ってはないだろう?

 「他の人達ってどれぐらい貰ったんだろう? ハミィなんか聞いてる?」

 「聞いてないよ、あんまりそうゆうの聞くのもなんかやだし、それ以前に人に話かけるの苦手だし。」

 「そ、そっか、まぁ~気にしても仕方ないか」

 今では普通に話しているから忘れていたがハミィはこの格好があって周りからも自分からも壁を作っているんだった、これ以上は聞かない方がいいだろう、俺自身の為にも・・・。

 「待たせたな! これなんてどうだ? 壊れた経緯も聞いたしこれなら銀貨四枚でいいぞ?」

 そう言いながら出された物は軽鎧の様で、兜以外の部位が揃っている状態だ、見た感じ傷んでいるわけでもなさそうで銀貨四枚にしては安すぎる気がする、前回買ったものは脛当すらなかったのが今回はあるし。

 「ほんとにいいの? これそんなもんじゃ本当は買えないぐらいの物なんじゃ?」

 「あぁ、気にするな! 確かに前回売った物よりいいもんだからそれなりに値段がするが前のは壊れた理由があれのせいだとしても、壊れるのが速すぎた、そのお詫びも込めてってこった!」

 「ありがとう、それじゃぁ買わせてもらうよ!」

 甘えてばかりにはなるが今の自分にはすごく助かる、素直に今はこの思いやりに甘えておこう。

 「どうする? すぐに着て行くか? 持って帰るには荷物になると思うぞ? それなりに重さもあるしな」

 「そうだね、着て行くことにするよ! 持つより身に着けている方が楽だしね」

 「わかった、それじゃちょっと待ってな! 軽く磨いてからわたしてやるよ!」

 剣を買った時もそうだったのだが渡す前にメンテナンスをしてくれるこのサービス精神、ほんとにすごいと思う。

 そして磨かれる間の時間、店の中の品物に興味があります! と色々見て回っているハミィを見守りながらこの後の予定を考えていた。
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