爽やか王子のひとりごと

ruki

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そう、今までそう言う誘いを彼は一切受けたことがない。合コンどころか、上司の飲みの誘いも忘年会も、社外の付き合いはいつも断っていた。
なのに、いきなり合コンとは・・・。

「あぁ、あれはただの人数合わせです。行くはずだった女の子が病欠したんで、勿体ないから来ないか、て」

何でも、うちの女の子が一人病気でいけなくなったけど、その人数で予約してしまってるから、代わりに来ないか、と誘われたらしい。

「費用ももう払い済みだからタダでいいって言うし、そもそもオレ、女子の代わりなんで全くその会に参加しなくてよかったんです。タダでご飯食べられてラッキーでした 」

にこにこしながらそういうけど、多分相手の男の子たちはしっかり、君も合コンのメンバーとして見てたと思うよ、とは言えなかった。

まあ、うちの女子たちは何故かこの子を他の男子社員から守っているので、その時も彼女たちが彼を守ったんだろう。

ああ、だからこの子は今まで自分の魅力に気づかなかったのかもしれない。いつもこうやって、誰かが彼を守ってきたんだ。本人の知らないところで。

願わくば彼はこのまま変わらないで欲しい。そして、いつか愛する人と出会って幸せになって欲しい。

・・・ついつい、親戚のおじさんのような心境になってしまった。オレも歳かな・・・?

そんなことをしてる間に退社時間になって、彼は足早に帰っていった。

そして次の月曜日の朝。
少し早めに出てきたので、まだ誰もいないと思って行った会社のエレベーターの前に、彼の後ろ姿をみつけた。

金曜日、あれだけ楽しげに帰っていったのだからさぞかし有意義に週末を過ごしただろうと声をかけると、予想もしない反応が帰ってきた。

「おはよう・・・ございます・・・」

そのアンニュイな反応に、思わずオレは彼をホールの隅に連れていった。

幸いエレベーターを待っていた人はオレたち以外にいなかったので、彼を見たものは恐らくいなかったと思う。

「どうしたんだ?体の具合でも悪いのか?」

そんな言葉が口を突いて出てしまうほど、彼は普段と違った。

いつもはクリっとした大きな目がいつにも増して潤み、目元を赤く染めている。唇も赤く腫れぼったい。そして何より、いつもふんわりとした柔らかい雰囲気がなりを潜め、ゾクゾクするような色香を放っている。

まるで、たった今まで『いたしてました』という感じだ。

よくここまで無事にたどり着けたな、こんな色気ダダ漏れで・・・。

こんな姿、うちの社員に見られたら大変なことになる。

そう思って、今日は帰るように言おうと思ったそのとき、エレベーターの扉が開いた。
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