爽やか王子のひとりごと

ruki

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「こんな所にいたのか。オフィスにいないから戻って見れば・・・」

そいつはズカズカと彼の側まで来ると、その腰を抱いて体を支えた。

「やめてください、誰かに見られたらどうするんですかっ」

そのやり取りで、全てを察した・・・。

「・・・お前、あれだけ手を出すなと言ったのに・・・」

しかも、目元が真っ赤だ・・・。泣かしたな・・・。

それによく見ると、スーツもネクタイも金曜日と同じものだった。
これは・・・。

「そんなことより、今日休むように言ってくれ、絶対に行くって聞かないんだ」

「何言ってるんですかっ。オレはこんな爛れた理由で会社を休みたくはありませんっ」

気丈にもそう言いきったけれど、体はかなりしんどそうだ。既に自力で立つのを放棄して、そいつに体を預けている。

こいつは週末、女性を何人かに分けて性欲を発散させている。なのに、金曜日と同じスーツということは、女性数人分を彼一人がこなしたと言うことだ。

そりゃ、こんなにヨレヨレにもなる訳だ。

「こいつの言う通りだ。今日は休んだ方がいい」

いくら今日はデスクワークだからと言っても、多分座っているのも辛いはずだ。それに、この状態の彼が社内にいるだけで、きっと他の社員は仕事どころではなくなる。

「担当営業がそう言ってるんだから、今日は帰るぞ」

まだごねてる彼を強引に連れていく。そして通り過ぎる時、オレの耳元で囁いた。

「セフレは全部切った。そういうことだ。だから怒るなよ」

そして、他の社員に彼が見えないように隠しながら、下向きのエレベーターに乗り込んでいった。
地下に行ったということは、今日は車で来たのだろう。確かにあんな状態のあの子を電車には乗せられないよな・・・。

一体、何があってこうなったのか、オレのかわいいアシスタントはまんまと暴君に捕まってしまったらしい。

それにしてもセフレを切った、て本気か?

あの性欲魔人が彼一人にすると決めたということは、彼を恋人にしたと言うことだ。
今まで自分は人を好きになれないと言って、特定の相手を作らなかったあいつが、本気で彼に惚れたのか?

でも、先程のやり取りを思い出す。

『そういうこと』になったのだろう。

それにしても、あの子は大丈夫だろうか?
いつもの笑顔のないあの子は、いつもと違う顔で、いつもと違う物言いで、あいつと接していた。

あれがあの子の素顔なのかもしれない。

だとしたら、それはあの子もあいつに心を許したと言うことだろう。

なんだ、ハッピーエンドじゃん。

それを頭から反対するような無粋なことはしません。

それにしてもあんな状態だったとはいえ、あいつと帰して良かったのだろうか?

明日は出社・・・するよね?

やっぱり、おにーさん心配になっちゃうよ。

オレはひとつ、ため息をついた。




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