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3章 東西都市国家大戦編
第57話 巨影
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「「トウキョウCN上空にセントラルトライアド内の1機、
セレストクライを確認しました」」
「「なに!?」」
「「こっちも確認したわ。後、ゴールドペインもね。
たった今、下層階に突っ込んできたわ」」
「「私の別働隊が下層階で赤いライオットギアを見かけたという
情報がありました。おそらくクリムゾンアンガーの可能性が」」
「「とんだ巡り合わせね、こんな時期で発見なんて」」
「「このタイミングで3機とも見つかるとは・・・。
まったく、世の動きは演算でもどうにもできぬな」」
「「俺もすぐに向かうぜ、やっと本願が実現かよ」」
「「我々の悲願、もうすぐ実現する。
各自、ロストせぬよう気を抜かぬようにな」」
「「了解です」」
トウキョウCN 上空
約500mの高さから1機の戦闘機が侵入する。
S-001、スイレンが搭乗する機体は高層より上部の空を飛び、
膨大な量にも及ぶ兵器の集まりを視察していた。
「・・・・・・」
中央と外側のみ迂回して速射砲の死角をかいくぐり、
無理に戦わずサポートに徹する姿勢は成功しているようだ。
だが、慎重に飛空しつつも、周辺に違和感が消えずにいた。
トウキョウには巨大な飛空艇を所有しているはず。
それが今、ここ上空に1隻たりとも飛んでいないのだ。
こことは真逆な位置である地上には3機の超大型の機体が
街をまたぐ様にそびえていた。
トウキョウCN 最下層
スパッ ガシャン
「キャッ!?」
「セレッ!」
黒い軍服を着た男、フリードリッヒという人のブレードで
セレーネの檻扉を一瞬で解体。脱出始めに何をするつもりか、
彼女も外に出そうとした。
「何故、お前がここに連れてこられたんだ?」
「私は・・・キューブセクションに入ってライオットギアを」
「あんな可動式倉庫でなんで? あそこは格納庫じゃないのに」
「「それは・・・ウワサですごいタイプがあるって」」
「まったく、いつもの夢見て飛び出し探りか。
ところで、アンタらはなんでセレを?」
「やはり、クリムゾンアンガーと接触したのだな。
感動の再会もそこいらにして我々と同行してもらおう」
「わ、私がですか?」
No5がそうしたのは初めて聞く名称とセレーネの奇行かららしい。
確かに助けてほしかったのはボクも同感だけど、
この人達も別用で彼女に用があるみたいで作戦の一部だと言う。
なら、軍備計画局にいた時から始めれば良かったのに、
このタイミングでやらなければならない様子だと察知した。
「何も覚えてなかろう、父よりAUROで記憶操作されてたようだが
ここの連中に疑われずに身を置いていたのだからな」
「えええっ、アンタらがセレーネと同じメンバーだったってぇ!?」
なんと、彼女はこの人達と同じグループだったという。
しかし、やっぱり話さない。
肝心な部分だけは隠されたままでコッソリと聞く隙間もなく、
新しい用語登場で負けじと関心に喰らい付く。
(時代が違う・・・いや、世界が違う)
といっても、こんな金色ボディもフレームを見ただけで規格違いなのは
とっくに理解できていた。形も違えば素材も異なるだろうし、
他地方でトウキョウ内の天才を上回る人がいたくらいしか想定できない。
そんなオーパーツな粒子が人の体内にまで介入するなんて、
昔の映画みたいな展開が当然の如く現実になる。
このアーゲイル、No5は本当に別世界から来た人なんじゃないか?
ボクはとてつもないチームにいる事だけは理解できる。
トウキョウこそ最高のシステム、製造を誇っていたと思ってたけど、
思い上がりも甚だしいくらいに狭い世界を見てきただけだった。
恨めしい気持ちはあるけど立場がこんなだから黙認。
これからどうなり、何が起こるのか胸がすくむ。
周囲のここから出せコールを無視して、ボク達は機体に乗り込んだ。
そして、下層階から抜け出して空に飛ぶ。
久しぶりの地上、太陽光すら眩しくなるくらいだ。
運動もしていなかったから腕と足もすぐ動きにくい。
だけど、浸るヒマもなく地上のあらゆる場所から轟音が出ている。
さらに、古宿エリア外周に大型機体も発見した。
「あれは・・・あの子達の巨人!?」
一方でボク達3人もゴールドペインに搭乗して同じ景色を目撃。
あのアメリア司令の巨人プロジェクトに就いた3人の市民、
コトミとノエルとロールが操縦する機体が大きな影を地上に
覆いつくして、敵兵を待ち受けていた。
今世代における初となる総掛かり戦。
地下の牢獄にいたボク達にとって、目の前の襲撃の理由など
不可能と思っていただけあって理解しているはずがない。
「え、なんでトウキョウにこんなたくさん敵がいるの?」
「積み重ねられた欺瞞の崩壊が訪れたからだ」
「回りくどく言わないで、ハッキリ答えてよ!」
詰め寄って回答を迫ったが、この人は言わない。
代わってアーゲイルが現状を話す。
「CN法の答えを知りに来たからだろう。
地上の者達にとって管理者への反逆がようやく始まった」
「CN法の答え!?」
「だが、あの大きさで有人操作などすれば、機動力も低下。
操縦者の先読み無しに、たちまちラグが発生してレスポンスがでる。
無数相手には向かずにNo3も無謀な策をしたものだな」
「へ、有人!? あの人は確か無人操作するって――!」
「あれは外部電磁波遮断装甲を用いている、背面のコックピット部より
内部で誰かが搭乗しているタイプだろう」
(馬鹿な・・・これじゃあ)
アメリア副司令の規格は予定より変更されていた。
アーゲイルの端折った説明ですら解釈しきれないが、
あれら3機にアルビノの子達が乗せられているのが本当なら
放っておくわけにはいかない。
「ねえ、あの子らを助けてくれない!?
規模からして倒される、このままだと――」
「より道している暇などない」
No5は拒否した。
内の1機は関東兵の遠距離攻撃に対応しきれていないようで、
後れをとっている。劣勢だとすぐに分かる位置取りでどうしようもない。
2人も地上の連中まで相手にしていられずに放置する。
「発射する!」
バシュッ ドゴン
一方で花畑の画面にノイズが走り、クマのアイコンが動かなくなるのを
ノエルが気付いた。実際には外部による攻撃で不具合が発生。
関東兵の砲撃が巨人の腰部に直撃して機体の神経路に損傷がでた。
元々兵士ではない彼女達はアーゲイルの言う通り、動きが2テンポも遅い。
内部で外の事情が観えていないノエルにとって、現状を捉えていなかった。
思う様に動かせなくなり、うろたえる。
「「動かせない、リトーどうなってるの!?」」
彼女から外の世界は観えないので、彼女が観るディスプレイは
ただのフリーズ画面。
オペレーティングシステムも故障して遮断。
リトーに対する集中砲火は止まずに火薬を注がれていく。
彼女が観ていたモニターもノイズだけになる。そして。
「駄目だあああああぁぁぁぁぁぁ!」
ズドォボヴァオオオオオオン
1機の巨人は崩壊した。爆発音と崩落音が同時に鳴り響き、
中にいた1つの命もまた消えてしまった。
ノエル ロスト
「行くぞ」
「はい」
フリードリッヒとアーゲイルは静かに行動を続ける。
約100m半径に崩れ落ちる破片で周囲の兵が逃げ惑う光景を
よそに、2人は冷静に次の行動を起こす。
「「うっ・・・ひぐっ」」
知人、ボクにとって友人と言いたい者がロストした。
自分が投獄された以上に苦しい念が残る。
こんな気持ちは初めてかもしれない。
今まで待遇された生い立ち故、突如見せられた現実に
慣れていないのでどうにもならず、悔し泣きで突っかかる。
「「何で・・・あの子があんな目に」」
「手に取れば、逆に取られる時もある。
機械は脅威として最優先ターゲットであり、有人機の定めだ」
「だったら、巨人は無人操作させれば良かったじゃないか!
AUROの通信速度は従来の5.7倍もあるのにラグなんて小さく、
頭頂部にでも受信装置を装着させとけば同じにできたはずだよ!
散々ボクらを円滑にいなしてきたPDみたいに!」
「それは少々違う、PDは基本、有人操作から始まった機体だ。
元は人体神経電位工学から発祥したもの、AIコードで無線起動できる
タイプ以前の規格で人為操作も可能なのだ」
「・・・・・・人為的操作?」
アーゲイルの発言に耳を疑った。
PDは始めから無線起動で動かすものではなかったという。
人による手動という方法は初耳だったからだ。
「アンドロイドって、人が操作する事も可能だったの!?」
「そうだ、改造利用で謀反させないよう上層部のみ手動操作できる。
私が直に確認したので偽りない」
「PDが手動で動いていたなんて・・・まさか、じゃあ、あの時も!?」
投獄される前に暗号を壁に描いていた光景を観られていた
ある可能性があったのを思い出した。
つまり密告、自分のPDが他意に遠隔操作されていて
あの暗号が盗み読みされてしまったのを想像する。
「「有人操作に変えての時間差通報、だからボクは見つかったんだ。
なんていう灯台下暗し・・・バカはボクの方か」」
外側の目が内側に潜り込まれる危険性を秘めていたなど、
想像の内にも入れていなかった自分が嘆かわしく感じる。
会話を払拭させるようにフリードリッヒが次の行動を指示した。
「それで、セレストクライの位置は見当できたか?」
「認証コードはトウキョウ上空から発信されています。
誰かが所持しているらしいですが、個人までは特定できなくて」
「奴ではないのか?」
「サップさんではないようです、あの人からの応答は未だなく
旧世代言語を用いて別人が直に操縦している可能性が」
「・・・・・・」
立て続けに不遇を受けて落ち込んだ。
あまりにも仕打ちにしばらくの間沈黙を通していたが、
こんな心境でも2人の会話はしっかりと聞いていた。
ボクには心当たりがある。
旧世代言語、前にトーマスチームで暗号遊びしていたもので
頭は寂れずに少なからず覚えていた。
このまま何も出来ず、ついていくだけなのか。
するはずがない、あくまでもエリートトウキョウ兵なのだ。
どうにかしようと立ち上がって声を掛けた。
「ボクに調べさせて!」
「お前が?」
アーゲイルに代わり、ボクが調べ始める。
速射砲の配置は元々トーマスチームが担当していたから、
部外者の滞空予測位置くらい特定できそうだと思った。
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカクカタカタカタカタカタ
腹いせ、というレベルのものでもないこのやり場のない気持ちを
何かにつけて晴らしてやりたい。
今、自分ができる事などシステムエンジニア関係しかないが、
少しでも役立つ行動を起こしたかった。
もう、トウキョウでは自分の立場などなく、挙句の果てに
正体不明なこの2人についてきてしまったのだ。
映画みたいなインテリ系脇役のやる展開をボク自身で体験するとは。
もうとことんやるしかない。
タブレット端末を片手に開いたドアを開けて指差ししようとした途端。
「いや、確かあそこに――!」
つい、仕組みが気になって外側の装甲を見ようと
身を乗り出しすぎて姿勢が傾きだす。そして。
グイン
「えっ!?」
ゴールドペインが方向転換した拍子で体勢が揺らぎ、
体が下部によりかかってしまう。
ツルッ
「ヒデキ!?」
「うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
約30mの高さから落下、足を滑らせてそして転落してしまった。
セレーネが細い手を伸ばすも、手遅れ。
ヒデキの体は機体から徐々に見えなくなっていった。
トウキョウCN古宿エリア 統制論理機関タワー入口
大きな建造物入口前にたどり着いたレッド率いる関東兵。
イバラギ兵や東北兵のおかげで、トウキョウ兵の分散が
エリア各地で見られていた。
「わずかに包囲の穴が空いた模様!」
「マリサ隊長から連絡きた。摩天楼エリア制圧したってよ!」
トチギ、グンマ兵が目標位置までの道を確保寸前と報告。
先の円陣形が効いていたのだ。
強引な進行をとらずにコンクリート建造物による盾で少しずつ
ヒットアンドアウェイを駆使して地形を利用したので、
トウキョウ兵の動揺を扇動させた。
このまま進んでも大丈夫だろうと思った反面、
すぐに真逆の思考に切りかえる。
中に入ろうとした時、大きな塊に待ち伏せされた。
「一度停止!」
ズシン
20mの人型機体が滑り降り立つ。
トウキョウCNのライオットギアが現れた。
(ここまで来てこんな奴が・・・)
重装備ながらも、ボディパーツはスリムなものだ。
戦闘にはいる直前、またもや総司令官が助言をしてくれた。
突破口を見いだして、レッドに先手をとれと言う。
「「入口すぐ先のエレベーターがあります。
そこから上層までの最短距離になるでしょう」」
目標はすでに目の上にある。
CN法を生み出した根源がすぐそこに。
まだ対処法は何も聞かされていない。
しかし、自分が代表として行かなければ解決できない。
最上階に敵はいるのだろうか。
そして、出生の全てが明らかになるのだろうか。
不安が脊髄と心臓に滲み出るものの、
背後から多くの味方に頼られる。
「この無機物は俺達がやります。
レッド隊長、先に行ってください!」
「こんな戦争を終わらせられるのは
あんたしかいないんだ、行ってくれ!」
「お前は変な奴だけど、希望なんだ!
元気になる掛け声をかけてやる、ほっほほぉー!」
同盟CNのメンバー達、そして同盟してなくも関西軍の助力によって
ゴール付近までめげずに多くの仲間達が自分を推していく。
今更ながら、こんなにたくさんのCN兵が背中を押してくれていた。
この必死さに応えないわけにはいかない。
「皆・・・無事でいてくれ!」
この場は彼らに任せる決意をして自分は指示に従って向かう。
エントランスの表示があり、ルートは他になさそうでこのまま進むだけだ。
そして、入口に着いて上を目指す。
フロアへと駆け足で入る。数m奥にはエレベーターがあり、
すぐ上の階にのぼれるようで利用しようと判断。
外の騒音に気を取られがちになるも、構う余裕がないと
内部を振り返った瞬間、人型が複数現れた。
「くそっ、この数じゃ――!」
銃器を抱えて走ってくるアンドロイド。
直線通路で隠れる場所も逃げられる余裕もない。
これらの数では流石に討伐できず、1mまで踏み込んできた時だ。
「「異常なし」」
「「異常なし」」
「「異常なし」」
「「異常なし」」
「「異常なし」」
スッ スッ スッ スッ スッ
「え!?」
アンドロイドの群れは自分の横を素通りしていく。
あたかも、そこにいない様に反応の微塵もなく外へ走って
関東軍の相手をしにいった。
(相手にされない・・・俺は観られていないのか)
理由は分からないが、無視されているようだ。
やみくもにここで戦闘しても圧倒的不利。
ロボットの目をかいくぐり、隙を付いて入れたのは
幸運に変わりはない。この身が無事に済んだのならば、
今はもう上層へ上がるのみ。
後ろも見ずに急ぎ足でエレベーターへ乗り込んで行った。
セレストクライを確認しました」」
「「なに!?」」
「「こっちも確認したわ。後、ゴールドペインもね。
たった今、下層階に突っ込んできたわ」」
「「私の別働隊が下層階で赤いライオットギアを見かけたという
情報がありました。おそらくクリムゾンアンガーの可能性が」」
「「とんだ巡り合わせね、こんな時期で発見なんて」」
「「このタイミングで3機とも見つかるとは・・・。
まったく、世の動きは演算でもどうにもできぬな」」
「「俺もすぐに向かうぜ、やっと本願が実現かよ」」
「「我々の悲願、もうすぐ実現する。
各自、ロストせぬよう気を抜かぬようにな」」
「「了解です」」
トウキョウCN 上空
約500mの高さから1機の戦闘機が侵入する。
S-001、スイレンが搭乗する機体は高層より上部の空を飛び、
膨大な量にも及ぶ兵器の集まりを視察していた。
「・・・・・・」
中央と外側のみ迂回して速射砲の死角をかいくぐり、
無理に戦わずサポートに徹する姿勢は成功しているようだ。
だが、慎重に飛空しつつも、周辺に違和感が消えずにいた。
トウキョウには巨大な飛空艇を所有しているはず。
それが今、ここ上空に1隻たりとも飛んでいないのだ。
こことは真逆な位置である地上には3機の超大型の機体が
街をまたぐ様にそびえていた。
トウキョウCN 最下層
スパッ ガシャン
「キャッ!?」
「セレッ!」
黒い軍服を着た男、フリードリッヒという人のブレードで
セレーネの檻扉を一瞬で解体。脱出始めに何をするつもりか、
彼女も外に出そうとした。
「何故、お前がここに連れてこられたんだ?」
「私は・・・キューブセクションに入ってライオットギアを」
「あんな可動式倉庫でなんで? あそこは格納庫じゃないのに」
「「それは・・・ウワサですごいタイプがあるって」」
「まったく、いつもの夢見て飛び出し探りか。
ところで、アンタらはなんでセレを?」
「やはり、クリムゾンアンガーと接触したのだな。
感動の再会もそこいらにして我々と同行してもらおう」
「わ、私がですか?」
No5がそうしたのは初めて聞く名称とセレーネの奇行かららしい。
確かに助けてほしかったのはボクも同感だけど、
この人達も別用で彼女に用があるみたいで作戦の一部だと言う。
なら、軍備計画局にいた時から始めれば良かったのに、
このタイミングでやらなければならない様子だと察知した。
「何も覚えてなかろう、父よりAUROで記憶操作されてたようだが
ここの連中に疑われずに身を置いていたのだからな」
「えええっ、アンタらがセレーネと同じメンバーだったってぇ!?」
なんと、彼女はこの人達と同じグループだったという。
しかし、やっぱり話さない。
肝心な部分だけは隠されたままでコッソリと聞く隙間もなく、
新しい用語登場で負けじと関心に喰らい付く。
(時代が違う・・・いや、世界が違う)
といっても、こんな金色ボディもフレームを見ただけで規格違いなのは
とっくに理解できていた。形も違えば素材も異なるだろうし、
他地方でトウキョウ内の天才を上回る人がいたくらいしか想定できない。
そんなオーパーツな粒子が人の体内にまで介入するなんて、
昔の映画みたいな展開が当然の如く現実になる。
このアーゲイル、No5は本当に別世界から来た人なんじゃないか?
ボクはとてつもないチームにいる事だけは理解できる。
トウキョウこそ最高のシステム、製造を誇っていたと思ってたけど、
思い上がりも甚だしいくらいに狭い世界を見てきただけだった。
恨めしい気持ちはあるけど立場がこんなだから黙認。
これからどうなり、何が起こるのか胸がすくむ。
周囲のここから出せコールを無視して、ボク達は機体に乗り込んだ。
そして、下層階から抜け出して空に飛ぶ。
久しぶりの地上、太陽光すら眩しくなるくらいだ。
運動もしていなかったから腕と足もすぐ動きにくい。
だけど、浸るヒマもなく地上のあらゆる場所から轟音が出ている。
さらに、古宿エリア外周に大型機体も発見した。
「あれは・・・あの子達の巨人!?」
一方でボク達3人もゴールドペインに搭乗して同じ景色を目撃。
あのアメリア司令の巨人プロジェクトに就いた3人の市民、
コトミとノエルとロールが操縦する機体が大きな影を地上に
覆いつくして、敵兵を待ち受けていた。
今世代における初となる総掛かり戦。
地下の牢獄にいたボク達にとって、目の前の襲撃の理由など
不可能と思っていただけあって理解しているはずがない。
「え、なんでトウキョウにこんなたくさん敵がいるの?」
「積み重ねられた欺瞞の崩壊が訪れたからだ」
「回りくどく言わないで、ハッキリ答えてよ!」
詰め寄って回答を迫ったが、この人は言わない。
代わってアーゲイルが現状を話す。
「CN法の答えを知りに来たからだろう。
地上の者達にとって管理者への反逆がようやく始まった」
「CN法の答え!?」
「だが、あの大きさで有人操作などすれば、機動力も低下。
操縦者の先読み無しに、たちまちラグが発生してレスポンスがでる。
無数相手には向かずにNo3も無謀な策をしたものだな」
「へ、有人!? あの人は確か無人操作するって――!」
「あれは外部電磁波遮断装甲を用いている、背面のコックピット部より
内部で誰かが搭乗しているタイプだろう」
(馬鹿な・・・これじゃあ)
アメリア副司令の規格は予定より変更されていた。
アーゲイルの端折った説明ですら解釈しきれないが、
あれら3機にアルビノの子達が乗せられているのが本当なら
放っておくわけにはいかない。
「ねえ、あの子らを助けてくれない!?
規模からして倒される、このままだと――」
「より道している暇などない」
No5は拒否した。
内の1機は関東兵の遠距離攻撃に対応しきれていないようで、
後れをとっている。劣勢だとすぐに分かる位置取りでどうしようもない。
2人も地上の連中まで相手にしていられずに放置する。
「発射する!」
バシュッ ドゴン
一方で花畑の画面にノイズが走り、クマのアイコンが動かなくなるのを
ノエルが気付いた。実際には外部による攻撃で不具合が発生。
関東兵の砲撃が巨人の腰部に直撃して機体の神経路に損傷がでた。
元々兵士ではない彼女達はアーゲイルの言う通り、動きが2テンポも遅い。
内部で外の事情が観えていないノエルにとって、現状を捉えていなかった。
思う様に動かせなくなり、うろたえる。
「「動かせない、リトーどうなってるの!?」」
彼女から外の世界は観えないので、彼女が観るディスプレイは
ただのフリーズ画面。
オペレーティングシステムも故障して遮断。
リトーに対する集中砲火は止まずに火薬を注がれていく。
彼女が観ていたモニターもノイズだけになる。そして。
「駄目だあああああぁぁぁぁぁぁ!」
ズドォボヴァオオオオオオン
1機の巨人は崩壊した。爆発音と崩落音が同時に鳴り響き、
中にいた1つの命もまた消えてしまった。
ノエル ロスト
「行くぞ」
「はい」
フリードリッヒとアーゲイルは静かに行動を続ける。
約100m半径に崩れ落ちる破片で周囲の兵が逃げ惑う光景を
よそに、2人は冷静に次の行動を起こす。
「「うっ・・・ひぐっ」」
知人、ボクにとって友人と言いたい者がロストした。
自分が投獄された以上に苦しい念が残る。
こんな気持ちは初めてかもしれない。
今まで待遇された生い立ち故、突如見せられた現実に
慣れていないのでどうにもならず、悔し泣きで突っかかる。
「「何で・・・あの子があんな目に」」
「手に取れば、逆に取られる時もある。
機械は脅威として最優先ターゲットであり、有人機の定めだ」
「だったら、巨人は無人操作させれば良かったじゃないか!
AUROの通信速度は従来の5.7倍もあるのにラグなんて小さく、
頭頂部にでも受信装置を装着させとけば同じにできたはずだよ!
散々ボクらを円滑にいなしてきたPDみたいに!」
「それは少々違う、PDは基本、有人操作から始まった機体だ。
元は人体神経電位工学から発祥したもの、AIコードで無線起動できる
タイプ以前の規格で人為操作も可能なのだ」
「・・・・・・人為的操作?」
アーゲイルの発言に耳を疑った。
PDは始めから無線起動で動かすものではなかったという。
人による手動という方法は初耳だったからだ。
「アンドロイドって、人が操作する事も可能だったの!?」
「そうだ、改造利用で謀反させないよう上層部のみ手動操作できる。
私が直に確認したので偽りない」
「PDが手動で動いていたなんて・・・まさか、じゃあ、あの時も!?」
投獄される前に暗号を壁に描いていた光景を観られていた
ある可能性があったのを思い出した。
つまり密告、自分のPDが他意に遠隔操作されていて
あの暗号が盗み読みされてしまったのを想像する。
「「有人操作に変えての時間差通報、だからボクは見つかったんだ。
なんていう灯台下暗し・・・バカはボクの方か」」
外側の目が内側に潜り込まれる危険性を秘めていたなど、
想像の内にも入れていなかった自分が嘆かわしく感じる。
会話を払拭させるようにフリードリッヒが次の行動を指示した。
「それで、セレストクライの位置は見当できたか?」
「認証コードはトウキョウ上空から発信されています。
誰かが所持しているらしいですが、個人までは特定できなくて」
「奴ではないのか?」
「サップさんではないようです、あの人からの応答は未だなく
旧世代言語を用いて別人が直に操縦している可能性が」
「・・・・・・」
立て続けに不遇を受けて落ち込んだ。
あまりにも仕打ちにしばらくの間沈黙を通していたが、
こんな心境でも2人の会話はしっかりと聞いていた。
ボクには心当たりがある。
旧世代言語、前にトーマスチームで暗号遊びしていたもので
頭は寂れずに少なからず覚えていた。
このまま何も出来ず、ついていくだけなのか。
するはずがない、あくまでもエリートトウキョウ兵なのだ。
どうにかしようと立ち上がって声を掛けた。
「ボクに調べさせて!」
「お前が?」
アーゲイルに代わり、ボクが調べ始める。
速射砲の配置は元々トーマスチームが担当していたから、
部外者の滞空予測位置くらい特定できそうだと思った。
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカクカタカタカタカタカタ
腹いせ、というレベルのものでもないこのやり場のない気持ちを
何かにつけて晴らしてやりたい。
今、自分ができる事などシステムエンジニア関係しかないが、
少しでも役立つ行動を起こしたかった。
もう、トウキョウでは自分の立場などなく、挙句の果てに
正体不明なこの2人についてきてしまったのだ。
映画みたいなインテリ系脇役のやる展開をボク自身で体験するとは。
もうとことんやるしかない。
タブレット端末を片手に開いたドアを開けて指差ししようとした途端。
「いや、確かあそこに――!」
つい、仕組みが気になって外側の装甲を見ようと
身を乗り出しすぎて姿勢が傾きだす。そして。
グイン
「えっ!?」
ゴールドペインが方向転換した拍子で体勢が揺らぎ、
体が下部によりかかってしまう。
ツルッ
「ヒデキ!?」
「うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
約30mの高さから落下、足を滑らせてそして転落してしまった。
セレーネが細い手を伸ばすも、手遅れ。
ヒデキの体は機体から徐々に見えなくなっていった。
トウキョウCN古宿エリア 統制論理機関タワー入口
大きな建造物入口前にたどり着いたレッド率いる関東兵。
イバラギ兵や東北兵のおかげで、トウキョウ兵の分散が
エリア各地で見られていた。
「わずかに包囲の穴が空いた模様!」
「マリサ隊長から連絡きた。摩天楼エリア制圧したってよ!」
トチギ、グンマ兵が目標位置までの道を確保寸前と報告。
先の円陣形が効いていたのだ。
強引な進行をとらずにコンクリート建造物による盾で少しずつ
ヒットアンドアウェイを駆使して地形を利用したので、
トウキョウ兵の動揺を扇動させた。
このまま進んでも大丈夫だろうと思った反面、
すぐに真逆の思考に切りかえる。
中に入ろうとした時、大きな塊に待ち伏せされた。
「一度停止!」
ズシン
20mの人型機体が滑り降り立つ。
トウキョウCNのライオットギアが現れた。
(ここまで来てこんな奴が・・・)
重装備ながらも、ボディパーツはスリムなものだ。
戦闘にはいる直前、またもや総司令官が助言をしてくれた。
突破口を見いだして、レッドに先手をとれと言う。
「「入口すぐ先のエレベーターがあります。
そこから上層までの最短距離になるでしょう」」
目標はすでに目の上にある。
CN法を生み出した根源がすぐそこに。
まだ対処法は何も聞かされていない。
しかし、自分が代表として行かなければ解決できない。
最上階に敵はいるのだろうか。
そして、出生の全てが明らかになるのだろうか。
不安が脊髄と心臓に滲み出るものの、
背後から多くの味方に頼られる。
「この無機物は俺達がやります。
レッド隊長、先に行ってください!」
「こんな戦争を終わらせられるのは
あんたしかいないんだ、行ってくれ!」
「お前は変な奴だけど、希望なんだ!
元気になる掛け声をかけてやる、ほっほほぉー!」
同盟CNのメンバー達、そして同盟してなくも関西軍の助力によって
ゴール付近までめげずに多くの仲間達が自分を推していく。
今更ながら、こんなにたくさんのCN兵が背中を押してくれていた。
この必死さに応えないわけにはいかない。
「皆・・・無事でいてくれ!」
この場は彼らに任せる決意をして自分は指示に従って向かう。
エントランスの表示があり、ルートは他になさそうでこのまま進むだけだ。
そして、入口に着いて上を目指す。
フロアへと駆け足で入る。数m奥にはエレベーターがあり、
すぐ上の階にのぼれるようで利用しようと判断。
外の騒音に気を取られがちになるも、構う余裕がないと
内部を振り返った瞬間、人型が複数現れた。
「くそっ、この数じゃ――!」
銃器を抱えて走ってくるアンドロイド。
直線通路で隠れる場所も逃げられる余裕もない。
これらの数では流石に討伐できず、1mまで踏み込んできた時だ。
「「異常なし」」
「「異常なし」」
「「異常なし」」
「「異常なし」」
「「異常なし」」
スッ スッ スッ スッ スッ
「え!?」
アンドロイドの群れは自分の横を素通りしていく。
あたかも、そこにいない様に反応の微塵もなく外へ走って
関東軍の相手をしにいった。
(相手にされない・・・俺は観られていないのか)
理由は分からないが、無視されているようだ。
やみくもにここで戦闘しても圧倒的不利。
ロボットの目をかいくぐり、隙を付いて入れたのは
幸運に変わりはない。この身が無事に済んだのならば、
今はもう上層へ上がるのみ。
後ろも見ずに急ぎ足でエレベーターへ乗り込んで行った。
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